新アゲハ ~第64話 伊月 トム8~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、悲しみ、怒り、絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。
※趣味で書いてます。※誤字脱字多いです。



?「…お、動き出した…」

ーベルギーのスナイパー
 パトリック・アンダーサイド(46)ー

遠くのビルの屋上から、ライフル銃のスコープを覗いて様子を見ている者がいた
ゾディアックが雇ったスナイパーだ

スコープには、茨のツルをたどって上へと登り出すフェリックスと登志夫が映った

パトリック「さぁて…」

スコープを覗き、ライフル銃の引き金に指を入れる
登志夫を狙うつもりだ
その時、屋上のドアが開いた

パトリック「!」

茅「そこまでよ!」

茅率いる、特殊部隊SITの隊員が現れた
即座にパトリックを拘束する

パトリック「くっ…!」

茅「パトリック・アンダーサイドね…!何をしていたのか教えてもらいましょうか!?」

茅はパトリックのライフル銃を持ち、パトリックに尋問する
ところが

パトリック「…え?な、何の事ですか?」

茅「は?」

パトリックが、とぼけた答えを言ったのだ
先程と顔色が違う

茅「しらばっくれないで!貴方がここで撃とうとしてたのは知ってるのよ!ゾディアックの事も、教えてもらおうかしら!?」

パトリック「ゾディアック…?何ですか?それは」

茅「ちょっと!ふざけないで!」

パトリック「銃…な、なんで私の銃がここに?ここはどこなんだ…?私はベルギーにいたはずなのに…!」

茅「…?」

先程の様子とは全く違い、キョロキョロと周りを見渡す
まるで、知らない場所に来たかの様な言い方と様子に茅も意味が分からなかった

パトリック「お、教えてください…!ここは…どこですか?貴方は誰ですか…?」

茅「…ま、まさか…」


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登志夫「お、もう雲に到達しますよ。しっかり捕まってて」

フェリックス「は、はい…」

ドローンから吊るされたロープをしっかりと持ち、雲の中に入る
層積雲が集まって出来たものだったらしく、意外にもうすぐ届きそうだ

フェリックス(…良かった…もし登っていたら結構時間がかかったかも…)

登志夫「フェリックスさんでしたっけ?」

フェリックス「え?えぇ…」

登志夫「結構バランス感覚いいですね。何かスポーツをやってるんですか?」

フェリックス「いえ、そんなことは…ただ趣味で狩猟をやってます」

登志夫「え?狩猟?それって…動物とか狩ってる?」

フェリックス「はい。でもちゃんと許可証も免許証も持ってますよ。それに山登りとかもするので、体力には自信があります」

登志夫「へぇ、すごいな…。あ、もう光が…!」

上を見ると太陽の光が差し込んできた
雲の上に到達した
広がる青空に、目の前にはまだ上に続く茨のツルが伸びている
そのツルの上を見ると、ツルが纏まっている場所を見つけた

登志夫「お、足場かもしれない」

ドローンをそこまで飛ばし、上に到達する
足を伸ばし、強度を確認してから着地をする

フェリックス「…意外と頑丈だな」

登志夫「うわ、まだ上に続いていた…」

茨のツルを見ると、さらに上に続いていた
今度は大きな団子の様に、茨の塊が出来ていた

登志夫「もしかしたらあの中に…!」

フェリックス「ドローン、飛ばせますか?」

登志夫「えっと…あ、ダメだ。ここで丁度3000メートルみたいでこれ以上は…」

フェリックス「…トゲを使って登るしかないですね」

フェリックスがツルのトゲを掴んで登ろうとしたその時だった

ギャアアアアアアアッ!

フェリックス「っ!?」

登志夫「うわっ!」

突然、鼓膜が破れそうな程の高音が聞こえた
その瞬間、何かが登志夫の前に現れ、登志夫を押し飛ばした

登志夫「!うわぁっ!」

フェリックス「!」

登志夫がツルの足場から落ちてしまった
だが咄嗟の判断で、太いツルのトゲに掴まり、地上まで落ちずに済んだ

登志夫「はぁ…はぁ…!たっ、助かっ…!」

フェリックス「ホッ…」

?「よそ見をするなぁっ!」

フェリックス「!」

登志夫を押し飛ばした何かが、フェリックスに襲いかかる
フェリックスは避けて、足場の中央に避難する
離れて、ようやくその正体を拝めることが出来た
自分が生み出したハートレスだ

ー伊月 トム
 改め マンドレイクー

頭に大量の葉が映えており、身体は土のように全身茶色、そして両腕と両足には茨のツルが巻き付いている

フェリックス「なんだお前は…」

マンドレイク「俺はマンドレイクだ!」

フェリックス「マンドレイク?それって植木鉢から引っこ抜いたら悲鳴を上げて、悲鳴を聞いたら死ぬってあの?随分違うような…」

マンドレイク「うるさい!貴様!どのツラを下げて戻ってきたんだ!」

ギャアアアアアアアッ!

フェリックス「っ!うるせっ…」

マンドレイク「はぁ!」

フェリックス「やべっ!」

マンドレイクの口から放つ悲鳴に耳を塞ぐが、すぐにマンドレイクが襲い掛かる
フェリックスは避けた

登志夫「っ…!今の悲鳴…!フェリックスさん!待っててくれ!」

フェリックスの事を心配した登志夫は、茨のトゲを利用して登る
ドローンはあの足場に置いてきてしまった
急いで登っていく

フェリックス「っ…未来乃さんはあの上か!?なら助けないと…!心配なんだ!」

マンドレイク「いや!あの子は安全だ!もう男共には傷付けさせない!」

フェリックス「チッ…!仕方ねぇ…!」

流石に自分の身が危ないと思ったのか、隠して持ってきていたキーホルダーを取り出す
エスポワールだ
スイッチを起動すると、白と黒の二丁拳銃になった

フェリックス「街で勝手に暴れてくれるなら結構!だが俺の店の上でやるんじゃねぇよ!」