優李「ハァ…!ハァ…!」
美海「ゆーりくん!待って!待ってってば!」
家を突然飛び出した事に驚く
美海はなんとか優李に追い付いた
優李「…美海さん…」
美海「大丈夫…?」
優李「……どうして…兄さんはあんな女を選んだんだ…⁉」
美海「ゆーりくん…」
美海は心配の言葉をかけようとするが、その時優李のポケットに入っていたスマホが鳴った
兄の杏哉から電話がかかってきたのだ
優李「!…兄さん…?」
優李は耳にスマホを当てた
ー満島家の長男
満島 杏哉(32)ー
杏哉『優李、お前何をしたんだ?』
優李「…え?」
聞こえてきた声は、呆れた様な声だった
杏哉『茉莉花から電話があった。茉莉花の事を“金食い虫”って言ったそうじゃないか』
優李「そ、それは…!」
美海「…?」
杏哉『お前なんでそんなに茉莉花が気に入らないんだ?茉莉花が買い物をしてるだけだろ?お前には何の迷惑もかけていないじゃないか』
優李「で、でもあれは兄さんが稼いだお金じゃ…」
杏哉『ハァ…結婚前にそんな事では困る。お前や梨生と仲良くなってもらいたいと思って同棲を決めたが、一体何が気にくわないんだ?』
優李「そ、それはあの女が財産目当てで…」
杏哉『証拠は?』
優李「え、えっと…」
杏哉『変な言い掛かりは止めろ、只でさえ今は仕事で忙しいんだ。これ以上揉めるな、話は帰ってからじっくり聞く。いいな?』
と、そう言うと電話を切られた
話を聞いた優李は、がく然としていた
優李「…なんだよ…それ…」
美海「電話…杏哉さんだったの?何て…」
美海は心配して声をかけるが、それどころでは無い
眼に涙が溜まっているように見えた
優李「なんで…なんで兄さんはあの女の事を庇うんだよ!兄さんはあの女の事を何も知らないから!あの女の表面しか見てないから!」
美海「ゆ、ゆーりくん…」
優李「兄さんは…僕の事なんてどうでもいいんだ…。もう、疲れたよ…」
美海「あ…」
優李「……ごめん美海さん、今日は帰ってくれる?気分が優れないんだ…」
美海「う、うん…」
茉莉花のせいで最悪な気分になった
一旦美海を家に帰し、優李も自分の部屋に戻った
優李「ハァ…」
ベッドの上に横になり、天井を眺める
すると部屋のドアがノックされる
入ってきたのは、もう1人の兄の梨生だ
ー満島家の次男
満島 梨生(27)ー
梨生「およよ~?ゆーくんどした~?」
優李「梨生兄さん…」
梨生「茉莉花さんから聞いたよ?酷いこと言ったんだって?」
優李「!…チクってんじゃねぇよ…」
梨生「ん?…まぁ気持ち分からんではないけどさ、ゆーくんも仲良くなんなよ。結婚したら落ち着くかもじゃん?」
優李「絶対信用できない」
梨生「…ねぇ、茉莉花さんの事嫌ってるけどさ…茉莉花さん、お前に何もしてないじゃん?なんでそんなに嫌うの?」
優李「何?梨生兄さんもあの女の味方するの?」
梨生「いや味方って言うか…仲良くやんなきゃ後できょーくん怖いからさ」
優李「怒られるから面倒かよ」
梨生「ちょっとゆーくんさ…」
優李「ゆーくんってのも止めろよ!ウザい!」
バンッ!と優李は梨生に枕を投げ付けた
優李「出てけよ!もう誰の顔も見たくないんだ!」
梨生「う…分かったよ」
梨生はおずおずと優李の部屋のドアを閉めた
優李はイライラが爆発したのか、ベッドにうつ伏せになり
優李「あ゛ーーーーー!」
と声をあげた
ハートレス『イヒヒヒ…!』
その時、ハートレスが優李に近づいた
優李は全く気づいていない
ハートレスは、優李の背中から貫き、心を盗った
優李「…!」
カリブディス『…可哀想な満島くん…』
優李の頭の中に渦巻航…カリブディスの声が聞こえた
そのカリブディスは、いつの間にか優李の部屋に入っていた
優李は気付いたが、そんな事は問題では無いみたいだ
カリブディスの話を聞き続ける
カリブディス『自分の事も分かってもらえない。あの女の味方をする人間が許せない…。辛いよね』
優李「…あぁ…!どうしたらあの女の化けの皮を剥がせる事が出来る…⁉」
カリブディス『心配ないよ、良い手がある。あの女に罪を擦り付ければいいんだよ…!』
そう言うとカリブディスは持っていたスプレー缶を優李に渡した
塗料が入っているものだ
カリブディス『君に新しい名前をあげるよ。今日から君は“ペインター”だ。その力を、上手く使いこなして…ね?』
そう言うと、カリブディスは部屋から消えた
優李はもらったスプレー缶と、ハートレスが具現化したアンプルを見る
アンプルを強く握りしめ、スプレー缶に強く射ち込んだ