綾辻 黎(28)
彼がファントムになったのは、20年前にある組織と関わり、ある事件の被害者になったからだ
20年前
黎「きーらーきーらーひーかーるー♪おーそーらーのーほーしーよー♪」
ー綾辻 黎(当時8歳)ー
当時小学3年生の黎は、星空の観察が大好きな子だった
父親が宇宙センター関係の仕事をしていた事もあり、星座や惑星の事を聞くのがとても大好きで、自分の部屋にも星や宇宙のポスターなどを貼るほど夢中になった
将来は宇宙飛行士になりたいと言う夢も持っていた
黎父「おっ、この前買った星のシールを壁に貼ったのか~」
黎「うん!今度は上もいっぱいにしたい!」
黎父「アハハ、そうか」
黎母「ご飯よ~」
黎父「お、黎一緒に行こう」
黎「うん!」
父親と母親の3人暮らしで、毎日楽しかった
2人も黎の夢を応援してくれていた
黎父「ふぅ~、お腹いっぱいだな」
黎「ねぇお父さん!今日は星座の特集がテレビでやるんだって!一緒に見ようよ!」
黎父「おっ、いいね!」
すぐに黎はテレビのリモコンを押す
テレビに映ったのは、ニュースだった
黎母「も~、番組始まるのは7時からでしょ?あと5分もあるじゃない」
黎父「いいじゃないか、このまま見ていようか!」
黎「うん!」
『…続いてのニュースです。謎の行方不明事件がまた発生しました』
黎「ん?」
それは、行方不明事件のニュースだった
20年前の当時、世界各国から15歳未満の子供達が次から次へと行方不明になる事件が発生しており、日本にも、その事件が起きていた
被害に遭った子供は各国で100人を超えるほどだった
警察は誘拐事件と見て捜査を始めているが、犯人も分からず、手掛かりも証拠も無いので、捜査は難航していた
黎母「怖いわねぇ…」
黎父「増えてるみたいだな。被害は来ないと思うが…一応用心しないと」
黎母「そうね。黎、いい?」
黎「なーに?」
黎母「知らない人には付いて行っちゃダメよ?何かあげるとか、良いもの見せてあげるとか言われても絶対に行っちゃダメ。それは悪い人だからね」
黎「うん」
黎母「もし連れてかれそうになったら、すぐ大声で助けを呼ぶのよ。そしてすぐに逃げなさい」
黎父「最近じゃ、名前を知られている事もあるから、その時は違いますって答えて逃げるんだぞ?」
黎「分かった」
黎母「学校の帰りもすぐに帰って来るのよ。寄り道なんてダメ。友達と遊びたい時は、一旦家に帰ってから遊びに行きなさい」
黎「うん、分かった」
父親と母親によく言い聞かされ、黎は翌日からそれを徹底した
学校が終わるとすぐ家に帰り、友達と約束がある時も気を付けて外を歩いていた
一方で、行方不明事件はまだ続いていた
被害に遭った子供は200人に増えていく
そのニュースを見ると、さらに自分も気を付けなければと決意した
そんなある日の事だった
黎「お母さん!これ見て!」
黎は母親にあるチラシを見せた
それは、6泊7日の天体観測キャンプのチラシだった
星がよく見える場所で天体観測しながら、キャンプを行う夏休み限定のイベントだ
黎母「へぇ、夏休みにこんなのやるのね」
黎「弦ちゃんと流くんも行くんだって!僕も行きたい!」
黎母「あら?でもこれ…大人不参加の子供だけ?」
チラシをよく読むと、大人は不参加で7歳~15歳までの子供だけのキャンプになっている
大人はスタッフのみみたいだ
黎母「ダメよこんなの、子供だけなんて危ないわ」
黎「えぇーっ、行こうって約束したのに!」
黎母「なんで約束するのよ、まだ決まった訳じゃないでしょ!」
黎父「何騒いでいるんだ?」
黎母「あ、実はね…」
チラシを見せて、黎母は説明した
黎父「なるほど、俺は賛成だと思うけどな」
黎母「ちょっと!」
黎父「スタッフさんもいるなら安心だろ。それに他の県からも参加する子だっているし、15歳くらいの子供もいるかもしれないから」
黎母「それはそうかもしれないけど…」
黎「お願いお母さん!」
黎父「いいんじゃないか?今のうちに自然の中で生活するのは将来の役に立ちそうだし。それに黎だってしっかりしてるし」
黎母「うーん…分かったわ。ならこのキャンプがあるまでに夏休みの宿題を全部終わらせて、何も問題が無かったら行かせてあげる!」
黎「わーい!やった!」
黎父「良かったな!黎!」
黎は夏休み中、キャンプに行けるように宿題を全部終わらせた
もちろんそれだけではなく、母親の手伝いもした
約束通り、キャンプを行くことを許された
黎はすごく、わくわくした
だが、この時から黎の運命が大きく変わった事に気付いていない…