仁「くっそ…!ご丁寧にグルグル巻きやがって…!」
アランに捕らわれたタテハと仁
仁は拘束を解こうと力を入れるが、なかなか解けない
エスポワールがあれば逃げ出す事が出来るが、仁の物は宏一が、タテハの物はアランが預かっている
タテハ「ねぇ仁…」
仁「あ?」
タテハ「俺ら…どうなるのかな…?」
タテハは不安になっていた
エスポワールも無く、拘束され、逃げ出せない状況、10年前に1度体験した事がある
その記憶が頭に過っているのか、少し震え出した
仁「…タテハ、あのアランって奴…リルカの手下って言ってたよな?」
タテハ「え?あぁ…」
仁「どんな奴なんだ?詳しく教えてほしい。無理なら…聞かないけど」
タテハ「……大丈夫だよ、もう10年も前だし…」
タテハはアランの知ってる限りの情報を話した
イギリス出身のマジシャンにして、性格は卑劣
しかも目が黒目で、その目を見た人物を操る事が出来るなど、話を終えると聞いていた仁は落ち着いて頷いた
仁「…そうか…それは災難だったな」
タテハ「10年は逃げていたとは思わなかった…。と言うか、福島にまだいたなんて…」
仁「さっきの攻撃といい…只者じゃねぇな。あいつ」
アランの攻撃を見て、普通の殺し屋では無いと思った
仁「……“カラパス”があればな……」
タテハ「…?カラパス?」
すると仁の口から何かの名前が出てきた
仁は説明した
仁「…カラパスってのは、アゲハ族のエスポワールの中で特殊なエスポワールだよ」
タテハ「え?なにそれ?」
仁「通常エスポワールはアクセサリーやアイテムなどにスイッチを入れると1つの武器になるだろ?カラパスは、1つなのに3つの武器になれるんだ」
タテハ「そうなの?」
仁「セイバー、マグナム、ハンマー…戦闘スタイルを簡単に変える事が出来るし、使わない時は、亀のロボットになるんだ」
タテハ「亀の…ロボット?あ、甲羅って英語でカラパスって言う!それでか!」
仁「さらに言えば、そのカラパスはロボットだから自由に動くことが出来る、“動くエスポワール”として、活躍するんだ」
タテハ「なにそれ…!そんなのあるなら早く見せてほしいよ!」
仁「そう簡単には見せられねぇよ。だってそれ…綾辻先生のエスポワールなんだから」
タテハ「え…」
カラパスと言うロボット型エスポワールは、綾辻黎の物だと知り、言葉を失った
仁はまだ続けた
仁「…あの人、俺らにエスポワールを見せなかったろ?まぁファントムとして動いていたから見ることも出来ないか」
タテハ「綾辻先生のエスポワール…そう言えば、前にエスポワールの話をするなって言ってたよな?前にとある組織を調べてて、その敵と接触して瀕死に追い込んだって…」
仁「あぁ…カラパスは、凶暴なんだよ」
タテハ「凶…暴?」
仁「カラパスを作ったのは、今のアゲハ族の最高幹部のアリノスって人の師匠なんだ。今は寿命で亡くなったけど…その人が作ったカラパスには、化石が埋め込まれていたんだ」
タテハ「化石?何の?」
仁「アーケロンって知ってるか?古代の亀」
タテハ「あっ…聞いたことある。え?その化石が本当に中に?」
仁「あぁ、その化石があるせいか…カラパスを使う人は暴走状態になるんだ。正常に保った人なんて今までにいない。皆身体の一部を失うか、最悪死んだ人もいた」
タテハ「え…⁉」
仁「本来なら封印するか処分も考えた。けど、アゲハ族の中で適合率が1番高い人物だけが使用する事を認められた。またアーケロンの化石も取り除いたんだが、別のエスポワールとして、2つに分かれたんだ。2つ揃うと暴走してしまうけど、1つだけだと、暴走を抑えることが出来たからな」
タテハ「適合率が1番高い人物…それが先生なのか?」
仁「らしいな。けど先生は、その前に話したとある組織の敵と接触して、瀕死に追い込んだ。その時使ったのがカラパスだった。敵の事は分からないけど、カラパスを使った後の先生は…ものすごく震えていた」
タテハ「そ、そんなことが…」
仁「お前が転校してきた時、いなかったろ?休職とか言って。実はそん時、本当に治療していたんだよ」
タテハ「そうだったんだ…」
何故かこの機会に、黎の事を知ることが出来た
だが仁は、まだ納得行かない顔をしている
仁「どうしてあんな人が…ファントムなんて…」
タテハ「仁…」
アラン「…ふーん、そう言う事か」
2人の様子を見に来たアランは、影で話を聞いていた
話が終わった所を確認すると、その場を離れる
昼間にタテハ達と戦って汚れ、雨が降りだして濡れた事もあったので、アランは着替えることにした
黒いYシャツに深紅が入ったコート、髑髏や骨の形をしたアクセサリーを身に付ける
以前は黒目隠しにアイマスクを付けていたが、今は付けない様にした
アラン「今頃アゲハ族の連中…俺の“軽い催眠にかかった”にも気が付かず、第3倉庫に行ってるかもな。残念だけど、そこにはいねぇんだよ」
…ガサッ!
アラン「…!」
どこからか足音がした
アランは鋭いスペードのエースのカードを取り出す
誰かがやってきたのかと、物音がした方に向かい、カードを向けた
…カチャッ!
アラン「!」
アランがカードを伸ばした瞬間、目の前に銃口が向けられた
見ると、そこには意外な人物が立っていた
カイト「…やぁ、久し振りだね」
アラン「……カイトか」
司波カイトだった
カイトは銃を退き、アランはカードを片付ける
アラン「何の用だ?」
カイト「一体何をする気なの?あの2人捕まえてさ」
アラン「へぇ、お前知り合いか」
カイト「知り合いって言うより…最近会ったばかりの黎の教え子だから」
アラン「ふーん。んで?お前はなんでここに?」
カイト「いや、君に忠告しておこうかなって」
アラン「あ?」
カイト「黎の事…」