新アゲハ ~第23話 饗場 生流5~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、悲しみ、怒り、絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。
※趣味で書いてます。※誤字脱字多いです。



タテハ(変だ…何か変だ)

タテハの精神はまだ夢の中にいた
ハートレスが作った物だと知らずに、夢の中で1週間は過ごしていた
しかし、それどころでは無かった

タテハ(あの女の人…また来るのかな?何だか“子育て幽霊”の世界にいるみたいだ)

飴を買いに来る謎の女性
毎日夜遅い時間に飴を1つ買いに現れる
毎日買うのなら、一気に買ってしまえばいいのにと思うこともある

今夜は、隣村の飴屋だと言う主人が泊まりに来ていた

飴屋の主人「いやーうちも何とか繁盛しましてねー」

タテハ「そ、そうなんですね…」

タテハはよく分からない飴屋の話を頷いて聞いていた
すると、横開きの扉がノックされた
あの女性が現れた

女性A「あの…今日も飴をいただけませんか?」

タテハ「えぇ、いいですよ。あなたの分は取ってありますから」

タテハはその女性に渡す飴を取ろうとする
ふと、隣村の飴屋の主人の顔を見ると、何故か主人が青ざめていた

タテハ「?…どうしました?」

飴屋の主人「な、なんで…⁉なんであの人が…⁉」

タテハ「え?知り合いですか?」

飴屋の主人「知ってるも何も…あの人はひと月程前に病死したんだよ…!」

タテハ「え…⁉」

主人の話を聞いてタテハは驚いた
毎日買いに来ている女性は、なんと死んでいる女性だ
それを知ってタテハは確信した

タテハ(間違いない…!これ“子育て幽霊”のまんまじゃん!)

少しひっかかってはいたが、ようやく確信した
自分は夢で“子育て幽霊”の世界にやってきているんだと

だがここで終わらせる訳にはいかなかった
途中で自分が逃げたり、話を変えようとしたりすると何か起こるかもしれないと思ったからだ

タテハはその女性にいつも通り飴を差し出すと、女性は去っていく

タテハ「…よし、行こう」

飴屋の主人「え?行くって…あれを追うのかい?」

タテハ「えぇ」

飴屋の主人「あ、な、なら…和尚を呼んでくるから…!先に行っててくれ…!」

隣村の飴屋の主人は和尚を呼びに行き、タテハは女性を追いかける
こっそりと追いかけたいが、それは無理の様だ
その女性は走っていないが、滑るように前を進んでいくので、とても早かった
タテハは走って追いかける

タテハ(俺の読みが正しければ…あの人は…)

“子育て幽霊”の話ならば、その女性の正体は幽霊に違いない
幽霊が夜な夜な飴を買いに現れるのは、理由があった

タテハ「…!」

女性の幽霊が消え、そこでタテハはハッとする
タテハが到着したのは、墓地だった
そこに和尚を呼びに行った、隣村の飴屋の主人も合流する

飴屋の主人「ここで間違いないのか?」

タテハ「はい、ここで消えました…」

和尚「…ん?何か聞こえないか?」

和尚が耳を澄ませる
すると、墓地で真っ暗だと言うのに赤ん坊の泣き声が聞こえた
泣き声がする方向へ向かうと、ある墓の前で赤ん坊が泣いていた
その赤ん坊の手には、女性の幽霊が買った飴が握りしめられていた

飴屋の主人「あ!ま、間違いない…!この墓は…!」

墓の名前を見て確信した
そこにあの女性の幽霊の名前があったのだ

女性の幽霊はこの赤ん坊に飴を食べさせるために、夜中に飴を買っていた
赤ん坊は産まれて間もなく、まだ小さいが、親に捨てられていた
その赤ん坊が腹を空かせて、泣いていたところを女性の幽霊は放っておけなかった
だから飴が必要だった
そのおかげで、赤ん坊は死なずに今日まで生きてきたのだ

和尚「…大丈夫、この子は私が責任もって育てますけに、安心してください」

と、和尚は墓の前で言い、赤ん坊を抱き上げた
その様子を見ていたか分からないが、女性の幽霊が笑っている様な気がした

タテハ「…良かった…」

タテハがほっとしたその時だった
目の前に何か光が見えた

タテハ「…!」


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生流「…妙だな」

同じく夢を見ていた生流は、目の前の問題に頭を抱えていた
それは、お米と味噌の事だ
生流がこの夢の中にやって来た時よりも、すごい早さで減っているのだ
自分はそんなに食べてないのに、減りが早いのは驚く

だが心当たりが無い訳ではない
この夢の中にやって来た時、ある女性がやってきた
その女性は「食べない」とは言っていたが、怪しい
生流は出掛けると嘘をついて、こっそり屋根裏から家の中を覗いた

生流「まさかだよな…」

家の中を覗くと、何やらいい匂いがした

それは、米が炊ける匂いだった
それだけじゃない、味噌汁の匂いもした

見ると、そこには団子頭の女性が料理をしていた
米が炊き上がると、それをおにぎりにした
それも50人分ほどだ

生流(あんなに作ってどーするんだ?誰かにあげるのか?)

生流は恐る恐る見る
するとその女性はお団子頭を解く
解いた瞬間、生流は驚いた

なんと、女性の頭に大きな口があったのだ
お団子頭で隠れていたから分からなかったが、これは妖怪の二口女だった

二口女はその頭の口にポーン、ポーンとおにぎりを投げいれた
口もくちゃくちゃと食べ始める
10個、20個、30個…そして最後のおにぎりもペロッと食べてしまい、終いには味噌汁をザザザーッと飲み干してしまった

生流「あわわわわ…!(´д`|||」

生流はとんでもない女性を家に入れてしまったと思った
急いで生流は家から出ていった

生流「誰かに…!誰かに助けてもらおう…!」

生流は全速力で走って逃げていく
しかし、その後を誰かが追ってきた

あの二口女だ
生流に食べているところを見られた事に気がついたのか、鬼になった顔をして追いかけてきたのだ

生流「わぁぁぁーーーっ!((((;゜Д゜)))」

生流は逃げようと必死だが、目の前に池があった事に気が付かなかった
ザパーンッ!と池に入ってしまう

生流「た、助けて…!こ、殺され…!」

二口女「よくも私の正体を見たね…!あんたにはここで消えてもらうよぉ…!」

生流「や、止めろぉぉぉーーっ!」

生流に二口女が襲い掛かる
ところが

…グサッ!

二口女「い、痛い!な、なんだこれは⁉」

生流「え…?」

二口女の足に鋭い草が刺さった
それは、菖蒲の草だった
鋭く、独特な匂いを発揮するため、二口女はこれが大嫌いだった

二口女「ひぃっ!痛い~!」

二口女はその場を去っていった
菖蒲の草に命を助けてもらった生流は、安堵した

生流「よ、良かった…!かろうじて逃げ出せた…!」

ゆっくりとガッツポーズを決めると、目の前に光が現れた
その光は、次第に大きくなっていった

生流「え…?」