蝶の虹が行方不明になって約10年が経とうとしている…
未だにアゲハ族は密かに捜索にあたっているが、結果はいつも同じだった
このまま捜索を打ち切りにしようかと言う話も出てきた…
ところが、ある所ではとある人物が動き出そうとしていた…
ー謎の男
ファントム(?)ー
ファントム「…あの日からもうすぐ10年か…」
ファントムはある小さな箱を開ける
そこには蝶の形をしたロケットブローチが入っていた
中心には、7色に輝く宝石が埋め込まれている
ロケットブローチを手にすると、カチャッとブローチの中を開ける
そこには、あの黒木大雅の写真が入っていた
ファントム「…アラクネ様…私は貴方との約束を忘れておりません。それに貴方の言う通り、弱い者が指を加えて見ているなんて私も許せません…」
1年前、アゲハ族を大きく揺るがす事件が起きた
アヴァロン・アイランドの襲撃事件
主犯はアゲハ族の最高幹部・黒木大雅だった
大雅は“アラクネ”と名乗り、過激派組織“アラクニッドファミリー”を指揮し、アゲハ族を変えようとしていた
だがそれは東京都のアゲハ族の手によって、阻止されてしまった
黒木大雅は今、脱獄不可能な蟒蛇刑務所にいる
それから現在、衰弱してしまったアゲハ族は復興のため、立ち直ろうとしている
過激派組織を少しでも減らすために、厳重な審査に警備を進めている
そしてこの男・ファントム
彼は元“アラクニッドファミリー”の人間だった
ファントム「私は、貴方の意志を継ぎます。今度こそ、貴方の理想とする世界を私が作って見せましょう。この…“蝶の虹”を使って!」
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20XX年
某日 福島県 郡山市
この街は表は賑やかではあるが、治安があまり良くない
スリに横領、強請に詐欺などの犯罪行為が絶えない
警察も常に動いてはいるものの、手が足りていないと言う
しかし、裏の世界である噂が流れているらしい
「赤髪の男に気を付けろ」
と…。
眼をつけられたら、終わりと恐れられている…。
女性A「あの~、すみません!」
観光客の女性が、高校生の男性に声をかけた
女性A「あの、私これからプラネタリウムに行きたいんですけど…どっちに行けばいいですか?」
女性B「ね、ねぇちょっと…」
?「…あぁ、それならここの通りを真っ直ぐ行って、左に曲がると駅が見えてきます。そしたら駅の左側の建物の最上階に球体が…」
女性A「あ~ほら!やっぱりこっちじゃん!ありがとうございます!」
女性B「わ、分かったから…あとこの人…」
女性の1人がその男性にビクビクしていた
それもそのはずだ
ビクビクしない人間がいないわけない
目の下や唇の下に専用のピン、耳にもピアスがいくつもつけられている
服装は黒と白のモノトーンで、破れたりなどダメージが多く、ズボンは腰まで履いている
重そうなブーツにジャラジャラとシルバーのアクセサリーを付けている
そして極め付きは、遠くからでも目立つ赤色の髪
それは不良そのものだった
ー謎の男
内海 仁(16)ー
ドンッ
女性B「きゃあ!」
通行人「ってーな!気を付けろ!」
観光中の女性に通行人がぶつかってしまった
通行人は怒るが、その隙に女性の鞄から財布を盗み出す
スリだった
女性は全く気付かず、通行人は何事も無かったかの様に財布を服のポケットに入れる
仁「…!」
だが仁は見過ごさない
通行人が気づかないうちにポケットに入る前に財布をそっと抜き取った
仁「あの、すみません」
女性B「え?」
仁「落としましたよ」
女性B「え⁉嘘なんで…⁉あれ?鞄が開いて…」
女性A「その鞄ボタンが壊れてたんだよね?きっとそれで落としたんじゃない?」
女性B「あ、ありがとうございます」
仁「いいえ。プラネタリウム、楽しんできてくださいね」
女性A「良かったじゃん!拾ってもらえて羨ましい!」
そう言って仁はその場から離れた
すぐに自分の服の袖を動かす
袖から、千円札が2枚出てきた
仁「…この街じゃ、油断しちゃダメだぜ?」
仁はなんと、観光中の女性の財布からそっと中身の2円千だけを抜き取ったのだ
女性は気付かずに観光を続ける
仁「すいません。チョコレートとピスタチオを2段で1つ…」
盗んだ2千円でアイスクリームを買おうとする仁
その横に、小さな男の子が物を欲しそうにじっとこちらを見ている
仁「…いや、2つで。1個はピスタチオを苺に変えてくれますか?」
店員「!はいよ」
店員はすぐアイスクリームを作り、受け取った
苺のアイスクリームの方を、子供に渡した
仁「ほら、あげる」
子供「わぁい!」
子供は喜んでアイスクリームを持って行った
食べたかったみたいだ
仁は子供を見届けると、自分もアイスクリームを食べる
仁「…うまっ。でもこのピスタチオ、香りが強すぎるな…」
仁が美味しそうにアイスクリームを頬張るその頃、郡山駅で電車が止まった
その中から、1人の少年が出てきた
タテハ「…ふぅ、やっとついたぁ」