リンダのスマホを見て、パワハラの事を確信してしまった
だがそれでも信じられず、アンクはアゲハ族の情報屋を使って、リンダの事を調べた
するとやはり、リンダはパワハラをしていた
会社の人間は口を揃えて“可愛がっていた”と言っているが、真っ赤な嘘だ
全員パワハラを否定し、自殺の件も会社が揉み消したのだ
この事を知ったアンクはリンダに失望した
また、同時に本部からとんでもない事が命令された
リンダ・キキーモラの心を殺せと…
しかもそれを指名されたのが、アンク本人だ
アンク(ちょっと待てよ…!俺のエスポワールじゃ心は殺せねぇぞ⁉)
アンクは迷った
死刑執行人である自分が実の妹を殺さなければならないと言うことに…
でも問題があったのは事実だ
何もしない訳には行かない
アンク(…どうすれば……いいんだ?)
アンクは迷った
その時だった
本部から連絡が来たのだ
アンク「…は、はい…アンク・キキーモラです…」
?『…大丈夫か?』
アンク「…!」
聞き覚えのある声に驚く
相手は、あの男だった
アンク「……大雅さん…っ」
黒木大雅、アラクネだ
大雅『話は聞いたよ、辛いだろうけど…』
アンク「…大雅さん、俺は妹を殺すことは出来ません」
大雅は会った時からよく相談に乗ってくれた
もしかしたら、良い答えが出るかもしれない
アンク「いくら罪を犯したとしても、妹なんです。血が繋がっている家族を…俺はこの手で殺したく無い。出来るのなら…心を殺す道具が欲しいです、それならば妹は…」
大雅『アンク、それは出来ないんじゃないか?武器は使い慣れた物を使えと言ったはずだぞ?』
アンク「す、すみません…でも……」
大雅『それに、いくら家族でも許せないものだってあるんだぞ?』
アンク「え……?」
大雅『君の気持ちは分からなくないよ。私にも許せない男がいた。だがそいつは、私に酷い事をしたのだ。そいつが許せなかった、だから殺したんだ……』
許せない男とは、蝶と哀幻波の父親である黒木竜之介だ
大雅が殺したのだ
その事は以前、アンクも聞いた
アンク「……」
大雅『止めるようにいくらか伝えたのかもしれないが、何も聞いてくれなかったんだろう?辛いだろうが、このまま野放しにしてしまえば、いつかまた被害が拡大する。彼女の場合、また別の生贄を見つけて攻撃をしでかすに違いない。そうなってしまっては遅いんだよ。もうその人間の悪い網があちこちに張り巡らされて……元には戻らなくなってしまう。そうなる前に断ち切らなくてはいけない』
アンク「大雅さ…」
大雅『大丈夫だ、君なら出来るよ。悪を断ち切る事が出来たら…君は“こっち”の人間だよ』
アンク「……はい」
大雅の話を聞いて落ち着いたのか、アンクは礼をした
大雅の言う通り、これ以上被害が拡大しないためにも、悪を断ち切らなければいけない
アンクは実行することにした
その翌日にアンクは「仕事が入った」とパリを出たフリをした
リンダがいつも退勤の時に通る道に隠れ、リンダを待ち伏せした
手には、エスポワールの鎌を持っていた
アンク「……」
自分の手で妹を殺すなんてそう簡単に出来るわけが無い
だが、このまま放っておけば被害が拡大する
その前に、殺らねばならない
リンダ「~♪」
アンク「!」
リンダが帰ってきた
何も知らず、口笛を吹きながら夜の街を歩いている
アンク(……っ!)
ついにその時がやってきた
アンクはリンダの袖を引っ張り、人影の無いところに引きずり込む
リンダ「キャアッ!」
アンク「ハァ……ハァ……ッ!」
リンダ「!お、お兄ちゃん……⁉」
フランスを飛び出したはずのアンクがいる事に驚くリンダ
さらに手に大きな鎌を持っている事にも驚く
リンダ「お、お兄ちゃん…⁉どうして…⁉次の仕事があるんじゃないの…⁉それにその鎌…ハロウィンじゃ無いんだからさ…」
アンク「リンダ……」
リンダ「え?何?」
アンク「……ごめんな」
……ドスッ!
リンダ「……ゴホッ……!」
ついにやってしまったのだ
アンクは自らの手で、妹を殺してしまった