『女性に手を出してはいけない』
子供の頃から、父さんに言われてきた
1回だけ、その事で怒られた事があった
文月「どうして突き飛ばしたりした?」
葉月「…お母さんがいないって言われたんだ」
小学生の頃、同じクラスのボス的な存在である女子にバカにされた
葉月の母親を見たことがない、母親は離婚したのか、母親がいないのは可笑しいなど、様々な悪口を言われた葉月は頭に来て、突き飛ばしてしまった
しかも最悪なことに、その女子の後頭部が机の角にぶつかって、怪我を負わせてしまった
文月「さっきその子のお母さんから連絡があった。怪我を負わせたそうだな?軽傷だったみたいだが、怒っていたぞ?」
葉月「け、怪我をさせるつもりは無かったんだ…!でも…!」
文月「葉月、自分が何をしたのか分かっているか?下手したら大変なことになっていたかもしれないんだぞ?」
葉月「っ…ご、ごめんなさい…!」
文月「私に謝るんじゃ無くて、その子にちゃんと謝りなさい。それにどんな理由であれ、女の子を傷つけるのはよくない事だ」
葉月「だって…悔しかったんだっ…!お母さんがいないなんてっ…!」
文月「葉月…お前の気持ちは分からなくない。だが、自分より弱い女の子を傷つけてはダメだ」
葉月「どうして?パパは悔しく無いの?」
文月「悔しい。お母さんがいない事は葉月に辛い思いをさせてしまっていたな。本当にすまない」
葉月「パパ…」
文月「でも良く聞いて?男の子と違って、女の子はそんなに強くないんだ。今は活発に動いたりするかもしれないけど、成長すると弱くなってしまう。例外もいるかもしれないが、女の子をいじめたりしちゃダメだ」
葉月「う…ん」
文月「…まだ葉月には分からないか、でもその内分かる日が来るよ。だけど女の子には、絶対に手を出しては駄目だぞ?明日は必ず、謝って来なさい」
葉月「うん…っ」
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ヴァレンティーナ「さぁ!貴方の心を、射たせてもらいますわ!」
ヴァレンティーナは球を出し、棒を構えた
葉月「また同じことを…!」
ヴァレンティーナ「いいえ!こうなったら連打ですわ!」
葉月「!」
球は良く見ると9個ある
ヴァレンティーナはビリヤード同様に打ち出した
ヴァレンティーナ「必殺!“数射ち当たる”!」
カァンッ!
カコンカコンカコンカコンカコンカコンカコンッッ!
葉月「っ!」
襲いかかってくる球に葉月は避けるが、先程とは違って腕や足に掠り出す
ヴァレンティーナ「この状況でまだ避けられるとは…!その眼はすごいですわ…!」
葉月(…どういうことなんだ…?)
葉月は先程のヴァレンティーナの話を聞いて、不思議に思ったことがあった
ヴァレンティーナの母親・パトリシアが殺されたのは12年前と言っていた
しかもパトリシアが殺された後、すぐに文月も事故で亡くなった
葉月(一体いつなんだ…?父さんがその時、イタリアに行っていたなんてあった?あの時はずっと長野にいたはずなのに…!)
球を避けながら考える葉月
葉月(待てよ…!)
その時だった
ガッ!
葉月「っ!」
ヴァレンティーナ「あら」
葉月のこめかみに球が当たった
意識は奪われないが、激痛が下った
その時、葉月の脳裏に何かが浮かび上がった
?『…た、助けて…っ』
葉月「…⁉」
フッと同時に発動していた緋眼は消えた
葉月「今のは…?」
ヴァレンティーナ「どうなさりましたの?」
葉月「…ねぇ、1つ聞いてもいい?」
ヴァレンティーナ「え?」
葉月「君のお母さんが殺されたのって…12年前のいつのこと?」
ヴァレンティーナ「!…どうしてその質問をするのですか?」
葉月「僕の父さんが…本当にイタリアにいたのか知りたくてさ。その頃僕は8歳だった。いつイタリアにいたのか…」
ヴァレンティーナ「居ましたわよ、私も確認していますわ!あれは…8月○日の夜でしたわ!」
葉月「…!嘘だろ…⁉」
日付を聞いて、葉月はある答えにたどり着いた
12年前の8月○日、それは文月が仕事の出張のために家を出ていた時だった
葉月(そんな…あの時は仕事だと聞いて…!本当はイタリアに…⁉)
ヴァレンティーナ「…?」
葉月(でもなんで…?なんでイタリアにいたんだ?僕に出張だと嘘ついてまでどうして…⁉)
ヴァレンティーナ(固まった?…でも、これはチャンスですわ!)
考え込んでいる葉月を見て、ヴァレンティーナは球を構えた
ヴァレンティーナ(卑怯だと言われても構いませんわ!お母様の復讐が出来るならそれで…!)
葉月の脊髄を狙い、撃ち出した
ヴァレンティーナ「“魂”突きぃいっ!」
カァンッ!
だが、その時だった
ズガァンッ!
ヴァレンティーナ「!」
葉月「え?」
突然の銃声、飛んできた弾丸により、球は軌道を変えた
それは葉月の脊髄に当たらず、葉月のこめかみに再び当たってしまった
葉月「―!」