アゲハ ~第16話 工藤 早苗8~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



花「…なんだろう…止まった?」

非常階段を降りている花と若松
先程まで爆発音や銃声が響いていたのに、急に止まった

若松「とりあえず、早く降りよう。警察ももうすぐ来るかもだし…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

フランシス「ぐっ…!」

蝶の銃で撃った弾がフランシスに当たった

哀幻波「当たった…!」

蝶「てことは心が浄化され…」

フランシス「んな訳…!ねぇだろ…!」

フランシスは撃たれたにも関わらず、傷を押さえながら耐えていた
さらにフランシスは奇妙な行動に出た
自分の上着の右ポケットに手を入れる

そこから1枚の写真を取り出す
アーサーの写真だ

哀幻波「…?」

ジム「なんの真似だ?」

フランシス「お前も気になるだろ…?アーサーという人物を…」

ジム「!」

香留「アーサーって…」

蓮「確かジムさんが言っていた謎の情報屋の…」

フランシス「その写真だ」

フランシスは写真の表を見せる
そこには銀髪のアーサーが写っていた

フランシス「アーサー・シア・クック。20歳という異例の若さで情報屋を勤めており、先程までここにいた…!」

ジム「なんだと⁉」

フランシス「今は姿は無い。だが…どうだ?写真をやるから、見逃すことは出来ないか?」

ジム「…は?」

フランシスが突然交渉を始めた

蝶「なんで急に命乞いを…?」

哀幻波「まさか…一応心を浄化されて、その償いのつもりなのか?」

ジム「…ふざけんなよ」

ジムは蝶の銃を再び向けた

哀幻波「!お、おい⁉」

ジム「写真をやるから見逃せだ?冗談じゃねぇよ。お前は嬢ちゃんを拐ったんだろ?写真だけで許せると思うなよ」

フランシス「も、もちろん…彼女も解放する。だから…」

ジム「いや、あんたみてぇな悪人は…死んで償うのが当然だろ?」

哀幻波「待てジム!」

哀幻波がジムの前に出た

ジム「哀幻波どけ!撃たれたいのか⁉」

哀幻波「そうじゃない、撃つのを止めてもらいたいんだ」

ジム「この悪人を許すって事なのか⁉」

哀幻波「違う!俺だって…工藤を拐った奴を許したい訳じゃない!」

ジム「じゃあなんで…⁉」

哀幻波「…俺らアゲハ族は、人殺しなんてしない」

ジム「…!」

ジムは哀幻波の言葉を聞いてすぐに理解した

哀幻波「仮にお前がこいつを殺したところで、見殺しにした俺らも共犯だ。いくら手を出してない、見ていただけ、関係ないとしてもその場にいただけで罪になるんだよ」

蝶「兄さん…」

哀幻波「いじめやパワハラも同じだ。周りの人間がやってないとか、あの人がやっていたとか、関わると面倒だからだとかくだらない理屈並べて…結局はその場にいた時点でもう共犯なんだよ。関係ないとかじゃねぇんだよ」

ミカ「…」

哀幻波「こいつを殺せば…俺もお前と同じ罪になる。直接手を下さなくても同じなんだよ、殺してるんだよ。俺は…」

ジム「分かったよ」

ジムの口が開いた

哀幻波「ジム…」

ジム「お前の言い分は分かったよ」

哀幻波「そ、そうか…分かってくれて」

その時だった

ドォンッ!ドォンッ!

フランシス「ガハッ…!」

哀幻波「⁉Σ((((;゜Д゜)))」

蝶「嘘…⁉Σ((((;゜Д゜)))」

ミカ「えぇぇぇーーー⁉Σ((((;゜Д゜)))」

蓮「んなっ…⁉Σ((((;゜Д゜)))」

香留「あららら…(・・;」

ジムがフランシスに2発撃ち込んだ
これにより、フランシスは倒れた

蝶「ちょっと!私の銃でそんなに撃ったら大変なことに…!」

哀幻波「なんで⁉お前…!」

ジム「わざわざ同じ罪を背負わなくてもいいんだよ、お前らがどうこう言ってくる筋合いはねぇ」

哀幻波「け、けど…」

ジム「だいたいいじめやパワハラと同じにすんなよ。これは俺とこいつの問題なんだ。俺が元々始めたことなんだから、俺のやり方でこいつとの決着を決める。罪なんて俺だけが被ればいいんだ。…つか、自分に火の粉ふっかかってくるのが嫌で俺にそんなこと言ったんじゃないよな?」

哀幻波「はぁ⁉違うわ!俺は…」

ジム「それにこいつ、お前が止めたときにこそこそ後ろからお前を刺そうとしていたぞ」

哀幻波「…え⁉マジで?」

ジム「うん」

ジムがコクりとうなづいたその時

ウー!ウー!ウー!

パトカーのサイレンが響いた

蝶「ちょ…な、何?」

香留「これ…パトカーのサイレン⁉」

蓮「え⁉誰か…通報した?」

ジム「じゃー俺そろそろ行くわ」

ジムはそう言うと自分の武器をしまい出す

哀幻波「は?おいどこに…」

ジム「警察には俺の顔を知られているからな。こんなとこいたら即座に逮捕される」

哀幻波「てめっ…自分で罪被るとか言っといて逃げんのかよ!(#`皿´」

ジム「俺だって逃げたかねぇよ。けど捕まるのがもっとヤダわ。適当にここを通りかかったら人が倒れていたとか言っておけ」

哀幻波「あ!待てこら!(#`皿´」

ジム「じゃね」

ジムはすぐにその場を離れていった