それからと言うもの、英梨の態度は変わって行った
英梨「瑞希、今度テストで80点以上採ったらお小遣いあげるわね」
瑞希「本当⁉やったぁ!」
香留(…私はいつも90点台なのにもらったことない…)
英梨「はい瑞希、新しい靴よ?可愛いでしょ?」
瑞希「可愛い!ありがとう!」
香留(この前は私の靴なんて買うお金無いって言ってたくせに…)
英梨「香留!あなた花瓶割ったでしょ⁉せっかく花を入れようと思ってたのに!」
香留「わ、私割ってないよ?」
英梨「嘘おっしゃい!」
香留「本当だって!」
瑞希「ご、ごめんなさい…私が割ったの…」
英梨「え?瑞希が?」
瑞希「うん…ごめんなさい…」
英梨「もうしょうがない子ね、次から気を付けなさい」
瑞希「はい…」
香留(ちょっと待ってよ…。私を犯人扱いしたのに謝りもしないの…?)
毎回瑞希にばかり可愛がる英梨に呆れていた
だがそんな香留だって負けないところもあった
成績だ
瑞希より成績が良かった香留はよく褒められていた
ある夜、香留はテストを両親に見せようと部屋から出てきた
香留(今日も100点…!どんな顔するかな~?)
香留はリビングのドアを開けようとする
すると
?「…なぁ英梨、お前香留に厳しすぎないか?」
香留「!」
聞こえてきたのは、両親の会話だった
ー香留の父親
須川 正義(当時36)ー
英梨「急に何よ?」
正義「今日近所の人から聞いたんだ。香留を無視してるみたいだって」
英梨「何よそれ…まさか田中さんが流したのね。あの人ホラ吹きだから気にしないで」
正義「いや、俺も様子を見てるが…瑞希ばかり可愛がっている様に見えるぞ?」
英梨「気のせいよ。私は平等に扱っているつもりだもの。それに厳しいのは、香留が女の子じゃないからよ」
香留(…え?)
英梨「いつも泥だらけで帰ってくるし、ズボンばっかり履くし、片付けも出来ないし…瑞希みたいに可愛くないから厳しいの、それに気付いてくれないのよ。本当にデリカシー無いんだから」
香留(……なに…それ…っ)
この事を聞いて香留はテストをクシャッと潰した
おかげで見せる気も失せた
さらに最悪なこともあった
自分の誕生日の時に祖母から好きな服を頼み、それをもらったのだが、英梨はそれを見てすぐに取り上げたこともあった
英梨「こんな服着るんじゃないの!香留には似合わないわ!明日デパートヘ行って取り換えて来ましょう!」
香留「嫌だ!私はその服が好きなの!お母さんが買ってくる服は好きじゃない!」
英梨「まぁ、何てこと言うの⁉そんな子にはもう服なんて買ってあげないわ!」
香留「いいもん!自分で買うから!」
この時は自分の服を手にした
だがその翌日、その服は家から消えていた
香留「お母さん!昨日の服知らない?」
英梨「え?捨てたわよ」
香留「なんで⁉なんで捨てたの⁉これから友達と遊びに行くってのに!」
英梨「遊びにって…また汚して来るんでしょ?だったらどの服着たって同じ。それに似合わないもの」
香留「だからって…!捨てることないじゃん!」
英梨「自分で買うんでしょ?だったら文句言わないの!」
香留「…っ!」
祖母からもらった服を捨てる母親がいるのかと思った
もうこれで確信した
英梨は、自分を愛していないんだと…
その思いが爆発するのは、中学生の時だった