斗影「…ハッ、髪の毛一本でも傷つけたら許さねぇか……もうとっくに後頭部殴ってるんだけどな」
斗影は蝶のスマホを立てたドラム缶の上に置いた
スマホの近くには、蝶の武器のデリンジャーが置かれている
斗影「…あぁ、息苦しくて窮屈かもしれねぇけど、我慢してくれるか?」
斗影は部屋の柱の方を見て言う
そこには、縄で拘束された蝶がいた
蝶「…ぅう…っ!」
身体は縄で拘束され、口に猿轡を噛まされた状態では、斗影を睨むしか出来なかった
斗影「悪いな、こんな扱いで。出来るのであればこんなことしたく無かったよ」
蝶(……油断した…っ、蓮も捕まって無かったし、まさかトンファーを“2つ”も持ってたなんて…!)
斗影はトンファーを2つ持っていた
1つは蝶が預かっていたが、もう1つは斗影が隠し持っていた
それで蝶は背後から殴られ、捕まってしまった
斗影「…けどまさか、あんな嘘に簡単に騙されるなんて…まだまだ甘いな、アゲハ族は」
蝶「…っ」
斗影「心配すんなよ、少ししたら蓮がここに来る。その時は…どうなるかな?俺に殺られるか、俺を殺るか……お前はそれを目の前で見ることになるんだからな」
蝶「ん…っ⁉」
斗影「…蓮を殺したら…お前のことはどうしようかな?」
蝶(…蓮…っ!)
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蓮「ハァ…ハァ…ッ!」
一方、蓮は目的地の○×廃工場に到着した
呼吸を整えるため、一旦壁に手を当てて休憩する
蓮「…蝶はここに…っ」
上を見上げ、廃工場の様子を確認する
…ガサッ
蓮「ん?」
蓮の足元に何かが当たった
蝶のカバンだった
蓮「ー!」
それを見ただけで蓮は驚きそうになった
蓮「…やっぱりここにいるんだ…っ」
蝶のカバンを見て確信し、すぐに蓮は工場の中へと入って行った
蓮(…斗影は普通じゃない…っ!まさか蝶を人質にするなんて…っ!“あの時”の言葉は…っ!)
斗影『…な、なんで…っ!なんでお前に負けて…っ!』
蓮『斗影、もう止めろよ。どうせ勝てないんだし』
斗影『っ…!覚えていろよ…!絶対タダじゃおかねぇからな…!』
蓮『…何度でも言え』
斗影『次は…!お前の大事なものを奪うからな!』
蓮(…殺るなら別にいい…!けどだからって俺らの勝負に蝶を巻き込むな!)
武器のナイフを取り出して、警戒しながら進む
蓮(蝶…無事でいてくれ!)