アゲハ ~第3話 工藤 花2~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



東京都にありそうな紅葉中学校
ここはミカが通う学校である

今はお昼休みの時間
給食は無く、家からお弁当を持ってきたり、また購買でパンを買う者もいる
教室や外でわいわい楽しく友達と食べている中、1人だけ女子トイレの個室で静かに食べる生徒がいた

ーミカの同級生
 工藤 花(12)ー

花「…」

購買で買ったあんパンを少しずつかじり、牛乳を噛むように飲む
教室ではなく、トイレで昼食を食べているのは理由があった

ザパァッ!

花「わっ!」

突然上から水が降ってきた
それも、トイレの蛇口から繋がれたホースでだ

ドンッ!ドンッ!

その直後にトイレのドアが強く叩かれる
ドアの外で誰かが蹴っているからだ

中学生とは思えない金髪にカチューシャ
軽い化粧
セーラー服専用のタイもなく、短いスカート

鶴巻グループの次女、鶴巻結菜だ

ー鶴巻グループの次女
 鶴巻 結菜(12)ー

結菜「くーどーうーさーん!出てきてよぉー!」

花「……」

花はいじめに遭っていた
教室にいると結菜が絡んでくるから面倒だと思い、このトイレにいたのだ
だが今回はトイレまでついてきたみたいだ

花はびしょ濡れになったが、あんパンと牛乳を置いて、黙ったままトイレの個室から出てきた

待っていたのは、結菜と2人の取り巻きだった
出てきた瞬間、ガシッ!とセーラー服のタイを捕まれた

花「!」

結菜「ねぇ工藤さん、さっきの態度なに?」

花「…何が?」

結菜「その態度だよ!」

ドンッ!と壁にぶつけられ、結菜の足が花の腹に入る

結菜「調子乗んなよ工藤…」

「鶴巻さーん、ほどほどにしたらぁ?」

結菜「は?私は、親切に人との付き合い方を教えてあげてんのよ」

花「……っ…!」

「あれれ~?泣くのぉ?ww」

「てか超濡れてるし!ww」

結菜「ったく…あんたのせいで私の上履き濡れたじゃない」

結菜は花の腹から足を放す

結菜「次あんな態度取ったら…殺すよ?」

そう言うと、結菜は花が食べていたあんパンと牛乳を見つけ、それを便器の中に捨てた

結菜「ランチ中にごめんねぇ。あとはゆっくり食べてていいよぉ?めしあがれ♪」

「うっわ~、きったなーい!w」

「早く行こう~!」

3人はすぐにトイレから逃げ出す

花「……はぁ…」

花はあんパンと牛乳を便器から取り出して、トイレのゴミ箱に捨てた

花「…まだ半分も食べてないのに……」

そう呟きながらポケットからハンカチを出して、濡れた顔を拭く
ある程度拭き、トイレから出た

「…うわっ、何あの子?」

「やだ…濡れてね?」

花の姿を見て気味悪がる者は避けていく

だが、それよりすごいのは花自身だ
花は泣いていなかった

花(いじめなんて…なんで楽しいんだか)

呆れていた
いじめをする結菜や取り巻き達に
だが下手に反抗すると面倒だと思い、何もしなかった

花(…早く着替えよう……)

そう思いながら、教室へ入る



その姿を、ミカにも見られていたとは知らずに

ミカ「……」