創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



カンナのエスポワールの九節鞭の先端が、綾部を向けて震えだした
もし持ち主を突き止める能力だとしたら、たらいの持ち主は、この綾部となる
それは同時に、この綾部が強盗の主犯格と言うことを意味する

綾部「森久保さんじゃないか。どーしてここに?」

カンナ「あ、えっと…」

だが確証はない
もし違えば、大変なことになるかもしれない

輝人(ん?このエスポワールが指しているのは…)

始「あ、すいません。紹介しますね、こいつは同じ『俳優育成科』に所属している綾部って奴です」

綾部「ど~も~、初めまして~」

ユウナ「こんにちは~!」

綾部「!」

ユウナがすぐ綾部の手を取る
握手のつもりだろう

カンナ「あ!姉さ…」

ユウナ「…ん?綾部くんって、お手々冷たいね!まるで氷みたい!」

日奈子「え?」

航平「氷って…!」

始「まさか…!」

始はユウナの手から綾部の手を離す
綾部の手首に触れるが、綾部から体温を感じられない
それに、脈もない事を確認した
綾部はネクロだと言う事を知った

輝人「あんた…ネクロなのか?」

綾部「……だったら?」

バッ!と始から手を離す
それと同時に、左手の人差し指を上から下に動かした
するとどこからか、たらいが落ちてきた

ゴンッ!

航平「あ痛ぁーっ!Σ((((;゜Д゜)))」

始「うわっ!たらい!?」

日奈子「あれ?これって私が受けたのと同じ…!」

カンナ「や、やっぱり…!」

たらいが落ちてきた事で、カンナは確信した
綾部が間違いなく強盗の主犯格だ

カンナ「捕まえてください!そいつが宝石店の強盗犯です!」

輝人「そー言うことかよ!」

カンナの台詞を聞いてすぐに動き出したのは輝人だ
綾部を捕まえようと手を伸ばす
だが綾部は右手の人差し指で、円を描く
するとすぐ輝人の足元に落とし穴が出来た

輝人「うおおおっ!?Σ((((;゜Д゜)))」

日奈子「輝人!」

突然落とし穴が出てきたことに驚き、戸惑う
その隙に綾部は別の扉から部屋を出ていく

日奈子「あ!待ちなさいよ!」

カンナ「やっぱりこれは間違いじゃ無かったんですね!あのたらい、彼のアビリティで作られた物だったから、彼に反応したんですね!」

ユウナ「待てー!」

綾部「あらら、まさかバレるなんて思ってなかったけど…捕まるなんて嫌だからね」

逃げている綾部は余裕の表情だ
くるりと追いかけてくる日奈子達の方を見ると、今度は横一文字に指をなぞる
すると日奈子達の足元に紐が現れ、ピーンと伸びる
ガッ!と日奈子と始は引っ掛かってしまった

日奈子「わぁあーーーーっ!」

始「いでっ!」

茜「日奈子様!」

ユウナ「おっとと…!」

カンナ「くっ…!どこからこんなものが…!」

どうやら綾部が指を動かすと、その罠が生まれる
先程の円は落とし穴、上から下にスライドする形はたらいが落ちて、横一文字は紐が現れる
それぞれの罠を作るには、様々な動きが必要みたいだ

ー罠(トラップ)ー
使用者:綾部 希
様々な手や指の動きをすることによって、罠を生み出すことが出来る。
(例)円を描く→落とし穴
   上から下にスライド→たらい落とし
しかし自分が知っている罠しか使えず、また地雷など爆発物は生み出せない。

綾部「うーん、これも使ってみるか」

しつこく追いかけてくるカンナやユウナに向けて、今度は両手の指が網目状になるように重ね、押してみる様に前に出す
するとカンナとユウナの上から、突然網が降ってきた
2人は絡まって、動けなくなってしまう

カンナ「キャア!」

ユウナ「わーん!動けないよぉ~っ!」

綾部「バイバ~イ」

手を振って綾部はそのまま外へと出る
追ってくる前にすぐ大学から離れようとする

綾部「…もしかしたら警察に通報されるかも、来る前に出ちゃおっと」

綾部は1歩踏み出したその時だった

トール「だからそっちじゃないよナイル!」

ナイル「うっ…これいい加減外してくれないか?」

トール「ダメだよ、すぐ迷子になるんだから」

『アクアリウム』のトールとナイルの姿があった
異様な姿に思わず綾部は反応する

綾部「…プッ、何あれw」

ナイル「ほら、あぁやって笑われるし…」

トール「でもそんなことしたら…ってあれ?」

トールとナイルも、綾部がいることに気が付く
綾部の顔を見ると、自分達が持っているリストを確認する

ナイル「…いた」

そこに、綾部のリストもあった