ルチア「…輝人、覚悟は出来てるわね?」
輝人「…!師匠…?」
目の前にいるのは、かつての自分の師匠である舞白ルチアだ
クロノスが、輝人の記憶を使い、ルチアをその場に召喚した
ところがそのルチアは、腰のサーベルを引き抜き、輝人に向けて攻撃を仕掛けた
ルチア「ハァッ!」
輝人「!し、師匠…!?」
輝人は寸でのところでサーベルを止めるが、それでもルチアのサーベルは止まらない
幻覚かと思ったが、サーベルの感触ですぐ分かった
目の前にいるルチアは、実在している
クロノス「ふふ…師匠と久し振りの再会だ。楽しむといいさ」
輝人「てめぇ…!何しやがった!?」
クロノス「余所見してていいのか?ほら」
ルチア「どこを見ているっ!」
ズバッ!
輝人「ぐわぁっ!」
日奈子「輝人!」
ルチアのサーベルが輝人の胸を切り裂く
傷の感触も本物だ、ルチアは目の前に実在している事が改めて分かる
輝人「ぐぅ…!」
ルチア「あら、終わりなの?あんた、そんなに弱かったっけ?」
輝人「く、クロノス…!てめぇ、師匠を操っているのか!?師匠はこんな…!」
クロノス「頭の弱い奴だな。操る?違うよ。お前の記憶を使って、師匠の舞白ルチアを再現しただけさ」
ツバサ「ルチアを…再現?」
エドワルド「それが、覚醒と関係があるのか?」
合わせてエドワルドが質問をする
それにクロノスはちゃんと答えてくれた
クロノス「あぁ…言い忘れていたな。覚醒ってのは、俺のアビリティが覚醒したってことだ」
彩耶華「アビリティの…覚醒?」
クロノス「お前らは、ネクロはアビリティを使い過ぎればオーバーネクロになると思っているんだろうが、それはマイナスの方向に使い過ぎるからそうなるんだ。悲しみや怒り、憎しみに絶望、それら負の感情による重度のストレス、その状態に囚われたままアビリティを使えばオーバーネクロになるのは当たり前。だが逆はどうなる?喜びや楽しさ、嬉しさや希望、それらのプラスの感情でアビリティを使ってもストレスにはならない。プラスの感情でアビリティを使えば使うほど、アビリティをコントロール出来るし、さらには普段持っているアビリティよりも、上のランクのアビリティを使うことが出来る」
サミュエル「それが“覚醒”ってことか…」
ニコール「ネクロにそんな段階があるだなんて…」
クロノス「俺は“記憶”のアビリティだが、先日覚醒してな。“記憶を読み取って、具現化させること”が出来た。おかげでこうして、舞白ルチアを再現出来たんだ」
平太「うぅ…っ、ぼ、僕のアビリティと似てるけど、ちょっと違う…!」
檻に閉じ込められている我孫子平太は、“想像(Imagination)”のアビリティで、自分が想像した物を具現化出来る
だが人を襲うことは出来ないため、クロノスが覚醒したアビリティとは違う
クロノス「良かったなぁ、また再び愛する師匠と再会出来て」
輝人「ふっざけんな!こんなの師匠じゃねぇよ!」
クロノス「ん~?可笑しいなぁ、お前の記憶を頼りに作ってみたんだが、お気に召さなかったみたいだ。不服か、なら仕方ないな」
クロノスがルチアの方を見る
すると、とんでもない発言をした
クロノス「舞白ルチア、依頼をしてやる。斑目輝人を殺せ」
輝人「なっ!」
ルチア「…えぇ、喜んで」
それに答え、ルチアはギラリとサーベルを光らせる
その瞬間、強い踏み込みを入れて、輝人に襲いかかる
輝人「ぐっ!止めろよ師匠!あんた、あんな奴の命令を聞くなんて…!」
ルチア「私にとって、奴は依頼人だ。依頼人の言うことを聞くのは当然だろ?」
輝人「!それは…」
ルチア「また脚が留守になってるぞ」
そう言いルチアが輝人の脚を蹴る
輝人はバランスを崩し、ガードがまた緩くなってしまった
その隙にルチアはまた輝人の身体に傷を縦に入れた
輝人「がぁあっ!」
ツバサ「ルチア!止めなさい!」
ツバサが前に出て、檻の柵を掴んで叫ぶ
両手が鋭い柵で切られてしまうが、そんなのは今関係ない
目の前で、自分の子供の様に育てたルチアと実の息子の輝人が戦っているのだ
親として、見ていられない
ルチアのペースで、輝人は追い込まれてしまう
東郷「ルチア!止めろ!止めるんだ!」
薫子「ルチアちゃん止めて!」
クロノス「無駄だ、お前らの声は届かない。実在していても、心がある訳じゃないんだ。だから簡単に…動いてくれるんだよ」
ルチア「ハァッ!」
輝人「…!」
……ドスッ!
航平「あぁっ!」
カンナ「キャアッ!」
ゆに「ひっ!」
始「なっ…!」
日奈子「う、嘘っ…!?」
輝人「っ…!がぁぁぁあーーーっ!」
輝人の悲鳴が聞こえ、同時にその場にいた全員は絶句した
ルチアのサーベルが、輝人の眼帯を貫いた
その眼帯には、ルチアの形見があった
それを、開かない輝人の目玉ごと貫いてしまったのだ
ツバサ「輝人ぉぉぉおーーーーっ!」