トーキョーN◎VAアクト感想 [タイトロープ・オブ・ドゥーム] | *Aquril-Mythra*

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主にTRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)のセッション記録&感想をつらつらと綴る、t*a*r*oの個人的ブログです\(^o^)/
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[Twitter→@tokitobito]

10月第五週の土曜日は、サークル「Rorschach test」さまの同人誌「フォーチュン・シード」より同名のキャンペーン第一話「タイトロープ・オブ・ドゥーム」に参加させて頂きました!

 

この「フォーチュン・シード」はtwitterのタイムラインで知ったときから「やってみたいなぁ」とずっと思っていたのですが、今回念願叶ってついにプレイすることができました!やったー!\(^o^)/

 

メンバーはいつもお世話になっているHORYIさん、先日の「星を漂った男」(*感想記事*)で初めてご一緒させて頂いたLEDmanさん、HORYIさんのご友人で今回お初にご一緒させて頂くペンシロウさん、そしてルーラーはmomoという、あまり馴染みのない方々といきなりキャンペーンプレイという冒険企画でしたが、事前に感じていた心配は杞憂に終わり、とても楽しく充実したセッションとなりました!\(^o^)/

 

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アクトタイトル:タイトロープ・オブ・ドゥーム
出典:フォーチュン・シード (ドグラさま作・サークル「
Rorschach testさま刊)
ルーラー:momo
プレイヤー数:4人
プレイ時間:6時間

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以下、感想です!

 

この「タイトロープ・オブ・ドゥーム」は、「フォーチュン・シード」キャンペーンの三部作の第一部ということで、壮大な物語の予兆と導入を感じさせる大変ドラマティックなシナリオで、フォーカスするキャストのストーリーを深く掘り下げつつも、キャンペーンのテーマそのものを暗喩した作りになっており、映画さながらの没入感を楽しむことができました!

 

手繰られる「運命の糸」、そしてそれが交差していき、やがて大きな宿命と対峙していくであろう予感…というまさに壮大なキャンペーンの導入に相応しい展開が目白押しで、「次回以降も早くプレイしたい!」と思わず感じてしまう、吸引力の強い、魅力あるストーリー構成になっています!

 

内容に関してはネタバレ防止のため詳細な言及を控えますが、キャスト設定は師匠を殺され、社会悪と戦うニューロ(PC1)、ニューロ(PC1)の死の運命を予見したドロイドのハイランダー(PC2)、とある事情により暗殺団のボスの始末を無報酬で請け負うカタナ(PC3)、ハイランダーを天国と共に夢島から拾うミストレス(PC4)、という配置になっています。

(なお、今回はミストレス枠のキャストはルーラー裁定でカブキとなりました)

 

この「フォーチュン・シード」ではキャンペーンを通してのダブルハンドアウト制を採用しており、各キャストにはそれぞれキーハンドが設定されています。


このキーハンドアウトの公開のタイミングは三話中、プレイヤーが任意に決定するということになっており、毎回全員がこれを公開する訳ではないので、公開しなかったキャストの「何か事情を秘めている」感が、アクトを一層盛り上げていました!

 

そして今回スポットが当たるのはPC1のニューロ(各キャストはキャンペーンを通して同一の人物ですが、各話毎にPC番号が変わり、フォーカスされるキャストを変えていくという仕組みを取っています)。彼の師匠の死と、師匠の娘である「霜村エミリ」にまつわるニューロの因縁にちなんだストーリーとなっています。

 

ストーリーはドラマ成分がふんだんに盛り込まれた構成となっており、霜村エミリが内に秘めた想いと、それを受けるニューロ、そして師匠の仇である敵ゲストとの掛け合いが非常に秀逸な作りになっていました!

 

「普通の人間でありたい」というニューロと、それを許さぬ運命。苦い人生の轍を踏みながらも、ヒーローとしての行動でニューロを鼓舞するカタナ。ニューロの本質を突く問いを投げかけ、ニューロを覚醒させるハイランダー。そして「生き方」の軸をぶらさず、ニューロに希望を与えたカブキ。今回の事件で初めて出会ったキャスト同士が、協力してニューロのために奔走し、そして運命を切り拓いた、まさしく「絆」を結ぶことのできた、非常に良い第一話でした!

 

このように、ニューロ自身の苦悩、そしてそれを打ち払うブレークスルーの演出も見事ながら、彼らを取り巻くキャスト、ゲストたちが紡ぎ出す熱い掛け合いが物語を一層盛り上げていました!


また、シナリオの構成も「数奇な運命の糸で手繰られたキャストたちが一同に会し、それぞれの思惑と事情を胸に秘めつつ、互いに信頼関係を結ぶ」ことを可能にする上手い配置になっており、大変良いシナリオギミックだなぁ、と感服しました!

 

ここで今回「運命のタイト・ロープ」を渡ったキャストたちをご紹介!

 

・"アンリマーカブル"沢良宜(さわらぎ) 幾斗(ニューロ● / チャクラ◎ / カゲ)[プレイヤー:ペンシロウさん]
師匠の意志を継ぎ、社会悪と戦う正義感の強いニューロ。殺された師の仇を探しこれまでも数々の敵と戦ってきたが、本人はあくまで「普通の高校生」を自称し、そうありたいと願っている。両親は長期海外出張中で、妹の♪(れみふぁ)との二人暮らし。

 

…「平穏な日常を守る」ため、「非日常に足を踏み入れなければならない」というパラドキシカルなテーマ描写が非常に見事な、悩み多き主人公を大変上手く演じておられました!


また、敵ゲスト相対し、最終的に自らの手で敵ゲストを「殺す」ことを選ぶ(今まで幾斗は殺人には手を染めていなかった)という、"アンリマーカブル(注目に値しない普通の少年)"が"リマーカブル(要注意人物)"となるブレークスルーの演出もグっとくるものがありました!

 

師匠の娘である霜村エミリ、妹のレミファ、両方とも幾斗にとっては大切な人物なのですが、前者が非日常の象徴、後者が日常の象徴という表現分けが見事で(これはルーラーのゲストのロール分けも大変見事でした)、彼自身、その手を血に染めつつも「レミファの日常だけは守る」という決意もまた美しいものがありました。

 

ペンシロウさんとはお初の同卓でしたが、かなりキャラクターを深堀りされる方のようで、未熟なキャラを表現するために、敢えて「データを弱く作る(後の伸びしろが表現できるように、下地を作るのみに留めておく)」という視点は目から鱗でした…


…自分の場合、ゲーマーの悲しい性か、キャストを組むときどうしても(経験点制限の範囲内で)最適解を求めてしまうんですよねぇ…この発想はなかった…

 

・アシタバ(バサラ / ミストレス● / ハイランダー)[プレイヤー:taro]
何者かに作られ、そして夢島で倒れていたドロイド。通常のドロイドとは異なり、肉体から臓器まで人間と同一の素材で作られており、地上の技術では再現不可能。


自らの記憶については曖昧だが、基本的な人間としての知識や常識は身に付けている。外見は高校生くらい少年。温厚でクールな性格だが、時に感情的な、苛烈な一面を覗かせることもある。

 

…ペルソナハンドアウト、キーハンドアウト共に謎が多いのを活かし、敢えて「これまでの記憶は自身でも曖昧で、自らに課せられた使命のみ明確に覚えている」という設定にしました(これは思った以上に有効に働きました)


人間とほぼ同等の身体、心を持っているハズなのに、鋼鉄の身体を持つマスクド N◎VA(PC3)よりも感情の揺らぎが少ない…という、「クロガネではないハイランダーのドロイド」という設定を上手く表現できたかな、と思っています。

(後の回では、そんな彼が感情に揺れるロールをぜひ差し挟みたい!)

 

また、こだわった点として、彼に関係するゲストたちの名前がとある神話の木の神、及び植物からネーミングされていたので、このキャストの名前も植物である「アシタバ(明日葉)」から命名したところです!


…今日蒔いた希望の“種”はやがて芽吹き、“明日”の“葉”となる…なーんてコトを考えながら名付けました!(恥)


こういうこだわり大事!(自己陶酔)

 

・"マージナルヒーロー"マスクド N◎VA(カブト● / カタナ◎ / クロガネ)[プレイヤー:LEDmanさん]
全身を鋼鉄の鎧に包み、正義のために戦うヒーロー。機械の身体を持ちながら、熱い魂を宿し限界まで戦うその姿は、多くのものに勇気と希望を与えた。


…というのは過去の話で、今では高額の報酬のみで動く「仕事を選ぶ」バウンサー。冷たいマスクの奥に、果たして彼の熱い魂は残っているのか…!?

 

…一風変わったメタルヒーロー。彼が「お金にこだわる」ようになったのは、キーハンドアウトの秘密と関係しているらしいのですが(まだ未公開なので僕も知りません)、冷徹かつ非情に徹しつつも、やはり「ヒーロー」としての矜持と誇り、そして正義感は失っていない、というクールでニューロなキャラクターでした!

 

基本的に「高額な報酬でしか動かない」をポリシーにしているため、マスクド N◎VAは(初対面の)他のキャストにも平気でプラチナムをふっかけるのですが、LEDmanさんはプレイヤーレイヤーでの協力ムーブが非常に上手く、キャストを上手く制御して積極的に場を動かし、そしてキャスト同士がスムーズにつながるような動きをされていて感服しました!

 

また、キャストのロールも「何か事情がある」感を(嫌味にならない丁度良いレベルで)醸し出しつつ、「この熱い魂を敢えて自ら封じなければならない(でも本質はやっぱりヒーロー)」という、クール系キャラの熱さ、というものをテクニカルに表現されていてスゴいなぁ、と思いました!

 

・"暴君(タイラント)"モーランド=ヴァン=ヘレイネン(カブキ◎ / クロマク● / ハイランダー)[プレイヤー:HORYIさん]
軌道の名家、ヘレイネン家の次男。世界を飛び回る有名なサックス奏者。「こんな面白い事、俺抜きでやれると思うな」が口癖。


その傍若無人な振舞いから"暴君(タイラント)"と呼ばれ恐れられているが、場の空気を読み、物事が自分に利するようコントロールできる頭脳派。

 

…なんと、taroのキャスト、ゴッドフリート=ヴァン=ヘレイネン(長男)と、momoのキャスト、トリスタン=ヴァン=ヘレイネン(三男)の間に兄弟ができました!


やったねたえちゃん、家族ができたよ!(www)

 

実のところ、ヘレイネン家には次男がいることはなんとなく決めていたのですが、特に深い設定は決めていませんでしたw


そこの枠にわざわざお越し頂き、大変嬉しいやら恥ずかしいやら…なんというか、恐縮ですwww

 

閑話休題してアクトでのモーランドの話に戻りますが、暗くなりがちなアクトの雰囲気を「こんな面白い事、俺抜きでやれると思うな」で、明るい方向に引っ張って頂いて、大変助かりました!


また一見、唯我独尊的な態度を取るも、その実は深謀遠慮がある…そしてその真意は周囲には読み取らせない、というクロマクらしいムーブも見事で、モーランドのキーハンドアウトには一体何が書いてあるのか楽しみでしょうがありません!

早く見たい…!

 

さらには、他のキャストの見せ場では一歩引いて、常にプレイヤー視点から俯瞰しながら場をスムーズに進行させるという気遣いを随所で頂き、大変有難かったです。


意外とこういうムーブって誰でもできるわけではないなぁ…と、痛切に思います。(自分も含めてですが)ロールプレイに没頭しちゃうと、ついつい前面に出たくなっちゃうんですよね…

 

***
…そんな訳で、第一回目のキャンペーンシナリオは、大盛況&大成功のうちに終わりました!


第二回のカタナ回に続くような伏線シーンも、アシタバとマスクド N◎VAとで作ることもでき、とても楽しいセッションでした!
次回もとても楽しみです!早くやりたい!

 

フレキシブルに上手くセッションを進行、マスタリング頂いたルーラー、素晴らしいロール、ムーブを頂いたプレイヤーのみなさん、そしてステキなシナリオを執筆頂いた作者さまには本当に感謝です!


また、次回以降もどうぞよろしくお願いします!\(^o^)/

 

***
(蛇足)
商業誌(同人誌)ということで、今回は普段あまり書かない類のちょっと気になった点を敢えて書いておきます。

※作者さまを批判したり、シナリオが面白くなかった、という意図では決してありませんので、そこはご理解くださいませm(_ _)m
(シナリオは良作でしたし、セッションも大変盛り上がったので、あくまでも個人的な意見ということでお流しください。僭越ながら率直なフィードバックもあった方が良いのかな、と愚考した次第です)
※ここからはネタバレを多分に含むため、白黒反転しています(未プレイの方は絶対見ないでください!)。

 

・ニューロが窮地に陥ったとき、ニューロのキーハンドアウトを参照して、ゲストに神業を打たせることを想定しているように見受けられましたが、神業はやはり「あくまでもキャストの見せ場」だと個人的には思っています。なので、ゲストがこのシーンの見せ場を持っていってしまうのはちょっと違和感を感じました(キャストが主体的に神業を撃って解決できるようにも作られているようですが、この場合に必要な神業数と、このギミックの必要数は釣り合わないなぁ、と思いました)。

 

・いくつか荒削りな部分があり、作者さまの意図をルーラー、プレイヤーが補完しながら進める必要があると感じました。例えば「死の予言」の情報項目では、プレイヤー視点で書いてある事は完全に理解できるのですが、初期コネクションがなく、ニューロ以外のことを知らない段階でハイランダーが「キャスト全員」と言われても、キャストはどう解釈したらよいのか場合によっては悩んでしまうのではないか、と感じました。

 

ここは、判定が<電脳><自我>なので、「ニューロの他にも、このトーキョーN◎VAの命運を左右する人物があと2人いるという予知が働き、その者たちとコンタクトを取らねばならない」というように解釈して進めました(そして、それで良かったと思っています)。

 

・ハイランダーのキーハンドアウトですが、公開せずとも第一話のストーリーがほぼそれを描写してしまっているので、「あ、これは第一話中に公開しておけばよかった」と若干後悔しました。このへんは完全にプレイヤースキルの問題ですが、推奨公開話数の示唆があるか、もしくはもっとハイランダー回の核心に迫る秘密が書かれていると個人的には嬉しいなぁと思いました。
(ただ、これは非常に難しい問題で、自由にやるからこそ良いとも同時に思います…)