細かい雪が舞い降りてくる、まさにその時、
私たちはここに。
Kloster Eberbach
「エバーバッハ修道院」
まさか、ここに来ることがあるなんて、
思ってもいなかった場所でした。
日本にいる時、
友人からの録画で見た映画、
「薔薇の名前」
撮影は3箇所で行われたそうです。
一つは北イタリアの山地に作られた野外セット、
迷宮図書館はローマ郊外の撮影所内のセット。
唯一実際の修道院がここ、エバーバッハ。
当時ここはワインの貯蔵場所で、もはや修道院として人は住んでいなかったけれど
改装により、中世の修道院の内部が復元されたそうです。
舞台となる「中世修道院」での生活、慣習、道具などを忠実に再現するため、
衣服から小道具に至るまで詳細に復元されたそうです。
資料:Wikipedia
大きい。
初めの印象でした。
僧服の修道士が、ふっと現れそうな気がして・・
ロマネスクと初期ゴシックの混合
左はロマネスク、右の部分がゴシックです。
映画には、奇怪な容貌の修道士がたくさん出てきて、
おっかなくて、私は座って見て入られず、
用もないのに、あっちへいったり、こっちへ来たり、
見たい、
けれど、寝る前に見たら眠れないな、と、
それほど、中世の雰囲気がありました。
いつも、何の下準備もせず、出かけます。
先入観もなく、知識もなく、ただ感じて、
帰ってきてから、あれこれ、調べます。
ずらり並んだ葡萄酒作りの木製の大型機械にびっくり。
後で調べて納得でした。
バロックの部屋もありました。
ここは修道士たちのドミトリーが並んでいたのだと思います。
あちこちの修道院を訪ねているのですが、似た景観です。
ここでも、ふっとドアが開いて誰かが現れそうです。
映画主演 ショーンコネリーの落ち着いた、深い眼差しも思い出しました。
ここは案内板もなく、ミュージアムに迷いこみました。
ぱっと見て、なんて綺麗なんだろう。
ドアの錠前飾り、
そして、「本」にも装着された、金属の飾り、錠。
リング、ナイフ、釘、小銭などです。
そうです、映画でも「本」が重要なモティーフとして登場します。
仰ぎ見れば、すこし愉快な修道士がかざす「本」
中世の昔、本は、まだ印刷されていなく、
「写本」も、修道士たちの重要な日課だった、そうです。
すこし大らかな印象の女の人に、安堵したり。
違う室に入った途端、
吸い寄せられた、色を放つ、
ステンドグラスのフラグメンテ(残欠)
色は波長だというけれど、
ここでは「意志」を持つ色、だと思いました。
貝は聖ヤコブ、そして「巡礼」の象徴です。
楽譜もありました。
古い建物の中、
歩きながら、タイムトリップをしているような、
不思議な感覚に陥ることがあります。
最後、出口にあるのは
たくさんの葡萄酒の樽。
酒蔵のようでもあり、
そのかげから、また、奇怪な修道士が覗いているのではと、
少し、緊張して
外に出て、
ぴーんと張り詰めた、
雪の降り出しの時でした。
エバーバッハ修道院:1136年創立、シトー派の修道院。
1803年俗化した後は州立の醸造所となった。




















