Elbphilharmonie 〜最良の日 |  ランゲンディンゲン便り

 ランゲンディンゲン便り

 Brief aus Rangendingen

南ドイツの街、からのお便り
季節のもの、伝統、歴史、豊かな自然、気持ちのまま綴ります。

 

昨夜はElbphiilharmonie,

 

ハンブルグに建った新しいコンサートホールのオープニングだった。

 

 

お昼過ぎ、マーガレットのマネージャーからの連絡。

 

『今日のオープニングコンサートで弾く!」

 

 

曲、演奏家など、秘密にされていて、すべてサプライズだったらしい。

 

マーガレットは素晴らしいハーピスト、

 

同輩のバロックハープ、

 

3列の弦、両側はピアノでいう白鍵。真ん中は黒鍵のように半音。現代のコンサートハープより大きい。

マーガレットのハープは2m10、チェンバロを立てたと思えばいい大きさ。)

 

 

大きなハープを持って

年に70回も飛ぶ、ヨーロッパで引っ張りだこの人。

 

 

同輩の喜びはひとしお。

 

友人達に電話し、夜のライブ放送を告げる。

(ドイツ国内だけではなく、スイス、オーストリアでも同時実況放送)

 

 

 

夜7時にセレモニーは始まった。

 

メルケル首相を始めたくさんの政治家も。

 

8時15分からコンサート。

 

 

近代、現代作品のオーケストラ演奏に続いて

 

聞こえてきた天から降るような音。

 

でもどこから?

 

 

 

なんと3階くらい上の客席からだった。

 

 

 

カウンターテナーのJarousskyと、Margret Köll

 

 

 

 

オープニングコンサートというと

クラシックないし、コンテンポラリーが典型的だけれど、

 

古楽を取り入れたプログラミング。

 

演奏される音楽に呼応して

建物の外側には素晴らしいライトショーが展開。

 

 

二人のDuoの間、ただ金色の光が、

 

金色の炎、金色の鳥のように舞った。

 

 

 

 

 

エルベ川の河口、海に面したフィルハーモニー。

 

船から眺めを楽しんだ人も多い、という。

 

 

 

土台の部分は古い貯蔵庫、

 

その上に<波>のように新しい部分を建てた。

 

 

当初の予算をなんと10倍もオーバーして、

 

建築も2000年から7年もオーバーしてやっとオープン。

 

シドニーのオペラハウス、パリのエッフェル塔にも匹敵する歴史的建造物だという。

 

 

 

 

内部のアコースティック、音響は世界一だという。

 

聴衆が入っても、空でも変わらない音響を目指したこと。

 

客席のどこからでも変わらない音響。

 

誰かがポケットティッシュを広げたなら、

 

その音は反対側でも聞こえる、といった具合。

 

 

 

その音響の立役者として登場したのは、なんと日本人だった。

 

TOYODA さんと仰る方。

 

どれだけご苦労があったことか、

 

コンサートの最中にも夫人と座る彼の姿が映されていた。

 

 

 

<ヨーロッパの伝統の響き>

 

よく響くバロックザールの響きの秘密は

なんとバロックの飾りによるのだそうだ。

 

いつだったか案内された修道院の<クロイツガング>

修道士が祈りを捧げて歩く回廊。

 

その隅で誰かがささやく。

 

不思議なことにどこでもすべて聞こえる。

 

そんなしみついた伝統。

そしてモダンなテクニック。

 

この国はバランスがいい。

 

コンテンポラリーな音楽、美術。

そして歴史的な物も大切にしていくこと。

 

 

 

このホールの壁には細かい不思議な模様。

模様に見えるのは

石膏と紙で作られた貝殻の中のようなでこぼこ。

 

これが素晴らしい音響を作り出すのだ、という。

 

 

 

二人の演奏もマイクなし、

 

弱音が美しく染み渡るようだった。

 

 

 

2回にわたる二人の演奏。

 

同輩はすぐにマーガレットに祝福のメイルを送った。

 

 

楽器製作者が表舞台に出ることはない。

 

彼にとってこの日は<人生最良の日>、

 

 

メイルを今一度読み上げて、最後涙声になった。

 

 

自分の楽器が歴史に残るホール、歴史的演奏会で響いたこと。

 

自分の若いころからの夢、

 

9歳の夢、

 

厳しい父親に言った夢、

 

 

それは『アーティストになりたい』だった。

 

 

 

最後、出演者が全員舞台に。

 

同輩の魂も多分、

 

ここに。

 

 

素晴らしい音楽。

 

音楽とともに生きること、

 

楽ではないけれど、

 

素晴らしい。

 

 

 

 

*映像はすべてNDR、TVを直撮りしました。

 

コンサート模様は間もなくyou tube でも見られるはず。

 

また、ご案内します。

 

日本の新聞も見てみたけれど、この記事はありませんでした。残念!