見習い生を送って |  ランゲンディンゲン便り

 ランゲンディンゲン便り

 Brief aus Rangendingen

南ドイツの街、からのお便り
季節のもの、伝統、歴史、豊かな自然、気持ちのまま綴ります。

 

今からウィーンの近くまで帰る、彼女を見送った。

朝の9時発、家にたどり着くのは9時間後。

 

勇ましいこの出で立ち。

おおきなリュックは20Kg近くはある。そして小脇に抱えた木材。

途中の乗り換えは多く、時に4分しかない、という。

荷物を持って走るのは大変。大丈夫?

 

 

珍しく、電車は定時にやってきた。

安堵する私たち。

彼女はこのドアの向こうに収まった。

乗り手は多くはない。朝の電車なのに、といわれそうだけれど、

学校はまだ、おやすみだし、あったとしても始まりが早いのでこの時間はOK.

 

この自転車マーク。自転車を畳まず、一緒に乗り込める。

自転車だけでなく、乳母車もOK.

開閉ボタンの上の自転車マークの<8>は8台までいいよ、という意味。

友人たちはよく、行きは自転車で、帰りは電車。このパターンで出かける。

お天気が悪くなっても、疲れたとしても大丈夫。

電車が混まない国ならではかもしれない。日本ではありえない?

 

 

2週間の滞在だった。

珍しく可愛い、いい少女だったけれど、食事が大変だった。

またまた、ベジタリアン。それはいいのだけれど、好き嫌いが多すぎた。

 

キノコは嫌い。スープは嫌い。

日曜日に、少しご馳走をと、ラザーニエを作れば、嫌い。

 

 

ここで、私はブーイング。

嫌いなものがあるなら、先に言ってほしい。

でも、なんでも食べたほうがよくない?

 

また、2週目には言わなくなったけれど、なんでもBioでなくては嫌だ、という。

ドイツではこのBio(オーガニック)のお店がとても多くなりBioのスーパーもある。

でも、やっぱり高い。私たちはすべてを揃えるほどリッチでもない。

 

典型的若者世代で、昨日のパンは食べない。ふたをあけたばかりのジャムばかりに

手をのばす。

 

自分の家で主義を持つのは自由だけれど他の家でそれを主張してもどうかしらん。

 

私は機嫌が悪かった。

でも、数ある中で、トップを争う、仕事ができる<見習い>だという。

男の子達を抑えての出来の良さ。彼女の仕事は私にもわかった。

 

シュッシュッ、道具の音でわかる。

上手な人は音もいい!。見る必要がなく、わかるものだ。

しょうがないな、となるべくみんながいい気持ちでいられるよう、ニュートラルで

いるように気持ちを抑えた。

 

 

ある日の食卓。

そば粉のパンケーキ(クレープとの間)。野菜をのせて巻いて食べる。

アーティーショークも嫌いだと言われる。やれやれ。

 

これはゲストブック

何か書いてね、と昨夜、渡しておいた。

 

 

仕事の経験のお礼、そして食事!

「色鮮やかな、愛情のこもったお料理を食べれなくなるのが寂しい。

 いつも今日は何かな、と楽しみだった。

あなた達と一緒の時間は、芳しい香りにみちた日々だった。ありがとう。リーナ」

 

聞けば、父親はエレクトロテクニックの大学教授。

両親は、彼女が「楽器作り」を志すのを、喜ばなかった、という。

 

彼女が母親と電話で話すのを聞いた同輩、『はい、ママ。はい。』

 「何度も繰り返してたよ。」

母と娘はシビアなものだけれど、彼女はまだこれから、母、両親を超えていかなくてはならないのだろう。

                                                       *

 

        送ったあと、私たち「なんか、ちょっと疲れたね」

 

  「オーパとオーマみたいだね!」おじいちゃんとおばあちゃん、かもね。

 

    私たちの2週間は過ぎた。

    この週末はちょっぴりのんびり、したいなあ。