218.回想日記~スクールの変化~ | Spring Breeeeze~♪

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1990年代前半の英国留学日記です。

現在の英国は随分変わっております。

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バースのこのスクールの校長ではないけれど、講師陣の中のおそらくトップだった先生と思います。
名前はもはやあやふやなので、マイケルとしておきましょう。

マイケルは私の担任ではありませんでしたが、前回も今回のタームでも、私は彼の授業を取っていました。
午後の授業で、郊外学習の授業でした。
前にも取っていての今回ですので、少しは私の事を記憶してくれていたようです。

 

 

サマータームももうすぐ終わり、最後の授業での散策の時にしみじみといろんな話をする機会がありました。
「シュリは前回ここに通っていたのはいつだったっけ?」

「去年の秋のターム、9~12月よ」

「ああ、そうだったね。
あのころがこのスクールの良い時代の最後だったと僕は思うよ」


「え?じゃあその後のタームやこのサマーは?」


しばし何か考えている様子で、そしてマイケルは話し出した。
「生徒も、先生も、スクール自体も全てあのころまでがぎりぎりよかったと思う。
でもどんどん変わってきてしまっている。
学校も生徒も先生も。
シュリは戻ってきて、感じたことないかい?」


「んー、レギュラータームとサマータームはまったく別物だと思っていたから、違いは当然だと受け止めていたけれど」

「ああ、そうか。」
といって、またしばし考えるマイケル。そして

「シュリは前は先生、誰だった?」

「ジャッキーよ。今回はいないのね。サマーホリディを取っているのね?」

「そうかもしれないね。」
意味深な回答。
 

 

 

 

 

 

マイケルはそれほど大きな人でもなく、ブラウンの髪に黒縁(立ったかな?)めがね、穏やかな先生。
恋愛対象は男性だと前のタームからよく噂を耳にしていたが、このソフト感はきっとそうだろうと思う。
 

日本人の女子学生さんの多くはそのマイケルのソフトな感じがちょっと気持ち悪い~という声が大半だったけれど、女性に興味がないのだと思うと私はそれほど気持ち悪く思う必要もないと思っていた。
むしろ気持ち悪い男性という人のほとんどは、恋愛対象が女性という男性の中にいるものだと思っている。


マイケルはただ、男性的な抱擁と大きな穏やかさ、そして男性にしては珍しい細やかさを持っている人だと私は認識していた。

それまでたくさんお話をしてきたという印象はなかったけれど、この日は散策自由時間にたまたま歩きながらいろいろ話した。
「古きよき時代」(というほど古くないー)を知る旧友か同志と話している錯覚を持ってくれていたのだろうか。

 

 

「シュリはあの良い時代にここで学べたこと、本当にラッキーだった思うよ。
もうここにはあの頃のよさはないし戻ってこないだろうね。
どんどんなくなっていく一方さ。

僕もここで教えるのはもう長くないかもしれないと思っている。
いろんな複雑な事情があるのだけれど、とにかくもうあんな楽しい幸せな時代は戻ってこないと思う。」



このとき、どこまで話を聞いたのか、これ以上のことは思い出せない。
あの時経営がよくない、と言う事まで私は聞いたのかどうか。

私が帰国して数年後、このスクールはなくなった。
とてもハイクオリティで暖かくてすばらしい学校だったのに、どうして経営が難しくなっていったのだろうか。

ただこの頃、私みたいなのが語学留学する時代、語学留学をする子がどんどん増えてきていてビジネスとして“うまみ”のある業種だったと思う。
金儲け至上主義で経営する語学学校がどんどん増えていた時代。
日本人だけでなく、世界中からu.k.に語学留学に来る生徒がわんさといた。

このスクールは、ブリティッシュカウンシルの認定する最良スクールの一つに認定されている数少ない学校の一つだった。
フランスグルメのミシュランに選ばれるが如く、やはりスクールの内容はとてもよかったと思うし安心して通えた。

 

ただその分かなりスクールフィー(学費)は高かった。
私は安心料と思っていたが、やはり普通は少しでも安くてそこそこのクオリティのスクールを探すだろう。
各国の語学留学生、その低価格の学校にどんどん流れて行ったようだ。

どんなに内容がよくても、資金がなければクオリティの維持は難しい。
そう言う事だったのだろうか。

 

 

 

 

 

マイケルが「今回ここに来て変わったと思わないか?」と質問してきたときには気がつかなかったが、あとから考えると思うことはいくつかある。

講師陣が「若返った」こと。
前回通っていた時は助手として、おそらくパートタイム的に雇われていたのではないかと思う大学生くらいに見える若者先生が、レギュラーの先生になっていた。


ターム中も、先生がころころ変わった。


食堂の食べ物が少しだけ、少なくなった。


休憩時間のビスケットも、なくなったか少なくなったかだったと思う。

食堂で働く人が、とても若くなっていた。
与えられる学用品も、テキストを始め色々、確かに少なく?コストダウンな感じになっていたような。

ただこれら全ては「サマータームだから特別」なのだと思って私の中では片付けていた。
実際のところはそうではなく、きっと秋からのレギュラータームでもサマータームとまったく同じだったのだろう。

 

 

きっと「よき時代」のバースのこのスクールに通った人たちみんな、あの学校がなくなったことをとても残念に思っていると思う。

建物はやはりu.k. ですから、残っています。
他の会社?がちゃんとそのまま使っています。
グーグルアースってほんと、便利ですね。

生きている間にまた、ゲートから覗くだけでもいいからあの建物に行けるといいなぁ。

 

 

 

 

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