12/30の日記。
今日はいよいよ走行開始の日。
前の記事にも書いたが、スタート地点はダナンから100㎞程離れたベトナムの古都フエである。
まずはフエまで自転車ごと移動させねばならないが、ここで一悶着あった。
輪行袋につつんだ自転車を載せられるように大型バスの予約をしていたものの、土壇場でリムジンワゴンに変更されてしまった。
メールフォームで問い合わせて自転車を載せられるかと尋ねたが「載せられない」というではないか。
粘り強く交渉するも載せられないことは明らかで、だったら返金してくれと頼むと「嵩張る荷物があるなんて言ってなかったじゃないか」とおっしゃる。
「嵩張る荷物を載せることを見越して大型バスを予約したんだ」と反論してもニッチもサッチもいかず。
これ以上のやりとりは腹が立つので、フエまでのバス代約1500円はベトナムに寄付したものと自分を思い込ませる。
とはいえフエまでなんとか移動せねばならないので、自力でダナンのバスターミナルに行ってみることにした。
結論、フエまでのバスはあるにはあった。
だがいわゆる中型バスで荷物を載せるスペースはギリギリしかない。
さらに運転手は「自転車か、、、二人分の料金をもらうぜ」とおっしゃる。
これはしめたもので、二人分の料金を支払うことで何が何でも自転車を載せてもらうことにした。
ギリギリなんとか自転車を積むことができ、ほっと一息。
なお、二人分の料金と言っても20万ドン(1200円程度)である。
車内はかなり狭い。
フエまでノンストップかと思いきや、途中乗車の客をどんどん乗せていくではないか。
折りたたみ椅子まで用意して通路にもじゃんじゃん乗せる。
乗車賃がそのまんま運転手の取り分になるのだろう。
窮屈な姿勢で身動きも取れず、2時間半トイレを我慢するので必死だった。
なおこのバスは完全に地元民向けであって外国人観光客が乗ることを想定したものではないので、ダナン→フエの旅行を考えている読者は安心されたい。
フエのバスターミナルに到着。
小雨が降っていたのでやむなくトイレの屋根の下で自転車を組み立てる。
ぎゅうぎゅうに詰められていたので、破損がなくて心からほっとした。
いったん2㎞ほど北上して、クイーンカフェバスの事務所前で記念撮影。
ここは3月のコール・オブ・フォー編のゴール地点だった場所で、あの時もVIPバスと言いながらめちゃくちゃ狭い車内に閉じ込められて大変な思いをしたのだ。あの時は奴隷船のようなバスに二度も乗るとは思ってもいなかったよ。
ヴィンコムプラザのスーパーで補給物資を買い込み、いよいよ走り始めるのだ。
小雨→霧雨を繰り返す天気の中、植木屋のカートの後ろにくっついて南下する。
雨が強まったタイミングでフォー食堂に駆け込む。
フォーかと思ったらなんじゃこりゃ。粥じゃないか。
フォーですらカロリー低めでほとんど補給にならないのに、粥はそれ以下である。
必至な思い出底の米粒を掬い取る年の瀬である。
なお、神栖市のごみ袋のおかげで泥ハネしてもほぼノーダメージ。
おそらく今旅のMVPになるに違いない。
またまた雨が強まったのでカフェでフルーツジュースをいただく。
↑の写真に載っている緑色の雨合羽は初日にダナンのバイクオヤジにいただいたものである。
雨合羽を着用するタイミングを見誤ったせいで服が結構濡れてしまった。
身体が冷えてテンション下がる。
さて時間は5時を回ったあたりだが、後少し走るかどうか迷うところ。
「迷ったら行く」が僕のポリシーである。
売店でコーラをグイっと飲み干してもうひと頑張りする。
だが峠があるとは想定していなかったよ。
真っ暗になってしまったじゃないか。
しかも押して登っている間に後輪からカラカラと音がする。
前回の東欧編に引き続き、またしてもスポーク折れである。
今回は原因がはっきりしていて、車軸が少し緩んでいたのだ。
車体の向きを変えた際に重い荷物の負荷に耐え切れずにバキッといったに違いない。
もうなんというか非常に心細い。
さすがに真っ暗になってしまっては走れないので、国道沿いのニャギーにチェックイン。
オーナーのおばちゃんが気を利かせて扇風機を貸してくれた。
風呂場で手洗いして扇風機でガンガン乾かす。
夕食はポテチのみ。食欲があまりないのだ。
夕方のカフェで休憩していたあたりから薄々気づいていたが、たぶん熱がある。
原因に思い当たるフシが多すぎる。
冬期講習終わって間髪入れずにベトナムに来たことか、ダナンの排気ガス地獄にやられたか、奴隷船で体力を消耗したか、服が濡れて体が冷えてしまったか。
自転車旅中の発熱は3度目である。
1度目は2013年の北海道編、2度目は2022年のドイツ編、そして今回。
はやく体力が回復するよう願いながら床についた。
走行距離:74km
走行時間4時間20分
総走行距離:26377km