親が亡くなるというのは当たり前のことで
あって、この年代になれば友人の多くが経験
済みでもある。80代、90代の親御さんの訃報
であればその年齢であればそうだろうと聞き
流す。自分にふりかかって来るとなるとその
意味は大きく異なる。
父が肺炎で入院し2週間が経過した時、医師
からの電話は「万が一のことに備えて下さい」
だった。入院にこぎつけ、専門的な治療が受
けられる、もうこれで一山越えられると思った
のは誤算だった。回復するどころか様態は厳し
さを増した。
迫りくる死が現実になった時、それを恐れる
自分がいる。本当に親が死んでしまう。ひとり
になってしまう。
ネットで調べて見ると多くの人たちが親を失
った喪失感を抱いたまま生きていることがわか
る。絶対的な味方、庇護者として子を守り続け
てくれる親の存在。自分が苦境に立たされても
何かあれば必ず助けてくれる。そんな安心感を
失った時、真の孤独が押し寄せる。