ヒルデガルトは、様々な人々と手紙のやり取りをしており、海外ではそれらの手紙をピックアップして解説する本が出版されています。

ヒルデガルトの巡礼路を紹介する本に、ヒルデガルトの書簡について述べている興味深い記事があったので訳して紹介します。


"王よ、全ての事柄において先見の明を持つことが絶対に必要です。私は霊的ビジョンの中で、あなたが「生ける目」の前で小さな男の子あるいは狂人のように生きているのを見るからです...全知全能の王が、あなたを打ちのめさないように、用心しなさい。“

16世紀より以前の歴史において、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンほど膨大な書簡が残されている女性は他にいない。この著名な女子修道院長は、30年以上にわたる彼女の書簡を後世に残すために自ら編集を行ったようだ。なぜなら、当時、手紙は最も重要な通信媒体であり、著名人の手紙は説教のように公の場で読み上げられたからである。

現存する390通の手紙から、ヒルデガルトが教皇、司教、修道院長、高位聖職者、司祭、修道士や修道女だけでなく、平信徒、特に女性の平信徒など、あらゆる社会階層の人々と手紙のやりとりをしていたことがわかる。医療に関する事柄、人的災害、信仰についての問いなど、誰もが彼女に助言を求めた。

クレルヴォーのベルナールに宛てた彼女の最初の手紙では、彼女は自らを「取るに足らない小女」と呼んだが、後の手紙では、「生ける光」の名においてと力強く語っている。

だから、彼女が当時の教会や社会の状況を鋭く非難することができた。ルペルツベルク修道院に保護憲章を与えた皇帝フレデリック・バルバロッサを、彼女はあえて「盲目」と非難することもあった。このことは、彼女自身だけでなく、同時代の人々も、神が彼女を通して語っていると信じていたことを示している。人々は彼女の言葉、つまり神のラッパの言葉を聞きたかったのだ。

The Hildegard of Bingen Pilgrimage Bookより