こんにちは。
ブログにご訪問いただき、ありがとうございます。
東京北区のアロマテラピーサロン&スクール「アロマベーネ」かわせゆうこ です。
今日は、最近読んだ本のことを書こうと思います。
タイトルは「だから、もう眠らせてほしい」(西智弘著、晶文社)
著者は緩和ケア内科、腫瘍内科の医師で、2人の癌患者との出会いをきっかけに、安楽死と緩和ケアについて悩み、答えをみつけようとする過程が書かれています。
なぜこの本を読もうと思ったかというと、一昨年、月に一度の緩和ケアの勉強会(現:日本式家庭の緩和ケアを伝える会主催)に参加していたことがあります。
緩和ケアという概念を最初に知ったのは、もう20年以上前に「病院で死ぬということ」(山崎章郎著)を読んだときでした。
著者の山崎章郎氏は、日本ではまだ数少なかったホスピスの院長でした。
最後の大切な時間を病院で不本意な形で過ごすことへの問題提起がされていました。
著者のホスピスとは”どのように生きたいかをかなえる場所である”と言われていたことが心に残りました。
その後キュープラー・ロス氏や鈴木秀子氏の著書なども読み、人生の最後の限られた期間は、人が学び成長し、人とのつながりを深めるための大切な時間なのだと思うようになりました。
生きることに意味をみいだせずにいた人も、この短く区切られた時間なら1日1日を大切に生きてみようとすることができるのではないでしょうか。
緩和ケアとは終末期の疼痛コントロールや精神的ケアのことだと思われがちですが、病気の初期から受けることができるもので、患者本人だけでなく家族も対象となります。
今は健康な人も、自分や家族が最後の時間をどう生きたいか考えておくことは、今の生き方や人との関係性をとらえなおすきっかけになりますし、社会や医療への問題意識を持ち、よりよく変えていくことにもつながります。
本に登場する患者の一人はスイスでの安楽死を希望しますが、希望がかなわず、第二の方法として最後は「持続的な深い鎮痛」を用いることを希望します。
「持続的な深い鎮痛」は終末期で余命がわずかの時に、他に苦痛を取り除く手段がないときに使われる方法で、患者は鎮静剤で眠ったまま最後を迎えます。
苦痛は取り除かれますが、会話も食事も同時にできなくなります。
そしてこの患者は、通常行われるよりも早い段階での鎮痛を希望します。
もう一人の患者は結婚間もない若者で、看護師になる夢のために仕事を辞めて看護学校に通っています。
彼は余命がわずかになっても、先のことを考えたがらず、病状の説明もはぐらかし、今を楽しもうとします。
もう一人、写真家であり癌患者でもある幡野広志氏が登場します。
幡野氏は、著者とたびたび対談などで会っています。
幡野氏は、「安楽死が制度化されるためには、緩和ケアが発展しなくてはいけない」と言います。
緩和ケアによって、患者や家族に教育をして、どう生きるかを考えたり、悲嘆への向き合い方を学ぶことがあって初めて成り立つものなのだと。
3人の終末医療への考え、今の日本の医療、社会の情勢に感じていることに対し、著者が答えを見つけようとする過程で、ジャーナリストの宮下洋一氏、精神科医の松本俊彦氏、緩和ケア医の新城拓也氏の意見を聞きに行きます。
スイスでの日本人の安楽死を扱ったNHKのドキュメンタリーをきっかけに、一時期、さかんに日本での安楽死の是非が問われました。
この本を読むと、賛成、反対を言うまえに、知らないといけないことが多いことがわかります。
読み終わって、著者の「安楽死制度があっても、安楽死をする人を無くす」、松本俊彦氏の「周りの気づきの感度を高める」という言葉が心に残りました。
自分や家族のやがてくるその時を考えるとともに、自分の周りへの関心を高めていくことの大切さを感じました。
今日も笑顔の一日になりますように。
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