「ちょっとぉ。。。物部守屋だってよ」
「・・・うん。そうだね。。。」
・・・くらいしか、あの時は、
言葉が出てこなかったと思う。
そうやって私たちは。
その神社の鳥居をくぐった。
木々の中を少し歩いていた時、
よく解らないけど少し、変な感じがした。
その道の先にある階段をのぼると、
まず、狛犬がいて。
その奥に、小さくて古い、
粗末な感じの拝殿があり。
その拝殿の脇には、ちょっとした
空き地の空間があった。
周りは木々が鬱蒼と生い茂り。
光は、その木々の間から
木漏れ日がさすくらいの中。
その空き地の上だけには、
ぽっかりと空が広がっていて、
とても、明るかった。
あの拝殿の前に立った時から、
実はもう、気づき始めていた。
「なんだか。。。
頭が、フラフラする。。。」
・・・と。
拝殿の前で。
ご先祖に挨拶したあと。。。
その空き地の方へ進むと。
もう。。。
グラグラしてしまって、
真っすぐに立っていられない
ほどだった。。。
昔。。。
アメリカ、カリフォルニア。
サンタクルーズ山にある、
「ミステリー・スポット」というところに
行ったことがあったのだけど。
あの時も、グラグラしてしまって。
ちょっと、気持ちが悪くなった。
あの時の感覚を。。。
なんとなく、思い出していたりした。
周りを見れば、娘も息子も。。。
「なんか、変な感じがする」
・・・と、言っている。。。
そして普段は、こういうことには鈍感で、
ほとんど何も感じないような夫でさえもが。
「頭がちょっと、揺れる感じがする」
・・・と言っていて。。。
「あぁ。。。やっぱりこれは、、、
気のせいではないのだろうな」
・・・と。
そう思ったのだった。。。
直観的には。。。
「これって、おそらく。。。
ご先祖に関係あるのだろうな。。。」
・・・と、思っていた。。。
でも、「頭」は。。。
自分の納得できる答えを、
一生懸命探していた。。。
ミステリー・スポットのガイドの人が、
あの場所は、磁場が狂ってる。。。って
言ってたっけ。。。
きっと、この山もそうなんだ。。。
だから、ナビも狂ったんだ。。。
・・・と。。。
ふと見ると、その拝殿の後ろには、
更に、細くて急な階段が続いていて。
その上にもうひとつ、小さな拝殿が
あることに気づいたので。。。
私達家族はみんな。
フラフラしていたけれども(苦笑)
なんとか、その階段をのぼり、
上の拝殿にも、お参りした。。。
「なんだか。。。怖い」
・・・と。
一刻も早く、この神社から出たい気持ちと。
ずっとここにいたいような気持が
入り交じったような。
本当に、変な気分だった。
*******
そうやって、参拝を終え、
鳥居を抜けた時。
そこにひとりの、年配の男性がいた。
彼は、なぜか私たちの方へ
歩いてきて。
「この神社って、何かあるんですか?」
・・・と訊いてきた。
私達は、、、
「たまたま、通りすがりに寄っただけなので、
よく解らないです」
・・・と、答えた。
車に戻ってきた時は。
みんな少し、グッタリしていた(苦笑)
そして。
当初の目的地であった諏訪大社に、
再びナビをセットして。
その守屋神社をあとにした。。。
登ってきた山道を、車で下っているうちに、
みんな、普通に戻ったのだけれども。
息子だけは、、、
まだ酔いが残っているようで。。。
「頭が痛い。。。」
・・・と言うと、目を閉じたまま。
元気がなくなってしまった。。。
一体。。。何なのだろう?
・・・なんて思っていた時に、
急に、ふと気づいた。
もしや。。。
私たちが今いる、この山って。。。
守屋山なのでは?
・・・と。
それで、急いで調べてみたら、
やっぱり、そうだった。。。
「もう。。。怖い!!怖すぎる!!
勝手に山に案内された!」
・・・と、ひとしきり大騒ぎした(笑)
守屋山は。
諏訪大社のあとに行く予定だったのに。
先に行かされちゃったね。。。
・・・なんて話しながら、私たちは。
ナビに従い、そのまま車を走らせていた。
途中、「諏訪大社前宮」という看板が見え。
「あ、あったよ、諏訪大社」
・・・と言うと、夫が。
「ここじゃないんだよ」
・・・と言い。
自分たちの向かう先は、
「本宮」なのだと、教えてくれた。
そうやって。。。
横目で前宮を眺めながら、、、
私達は、その場を通り過ぎたのだけど。。。
でもそこからがもう。。。
大変だった。。。
いつまで経っても。
本宮に着かないのだ。。。
「目的地周辺です。
案内を終了します」
・・・と。
ナビは、何度も何度も。
私達を違う場所へと案内し続け。。。
私達はずっと。。。
諏訪湖の周りを、グルグルと
周り続けることになった。
「もう。。。ヤダ。。。
なんで、着かないの???
・・・っていうか。
今日はもう、行けないんじゃないの?」
・・・と、私が言うと、夫は。
「ちょっと、待って。
今度こそ」
・・・と、懲りずに再び、
ナビをセットしなおした。
もうこれで。。。
何度目だっただろうか(泣笑)
そこは、諏訪湖のほとりで。。。
その頃はもう、日もだいぶ落ちて
きていたせいか。
湖に、光が反射していたのを
覚えている。。。
息子の体調は悪く。。。
あれからずっと、眠ったままだったし。
これでダメだったら、もう
諦めよう。。。と。
そう言いながら、最後の賭けに
出たのだけど。
道は、相変わらず混んでいたし、
疲労や苛立ちも募り、
私達家族のテンションは、
下がりまくっていた。
夫は、なんだかもう。
意地になっていたみたいで(笑)
ここまできたら、なにがなんでも
行ってやるんだ~~
・・・って。
そうして、私たちはようやく。
諏訪大社の本宮に到着することが
できたのだった。。。
「あぁ。。。やっと、着いたよ(涙)」
・・・と。
夫も私も、ホッとした。。。
*******
本宮に到着して、、、
車を降りようとすると。
息子は。。。
「頭が痛いから、行きたくない」
・・・と言い。。。
えー。。。どうしよう。。。と思った瞬間。
今度は私に、突然、強い腹痛が起こった。。。
ちょっと、今、動けないから待って。。。と。
しばらく、腹痛が治まるのを
待っていたのだけど、一向に治まらない。
もう無理そうだから、夫と娘だけで
行ってきてもらおうと思ったけど。
娘までもが、「私も行かなーい」とか
言い出し。。。
さすがに夫は。。。
こういう状況の中、私たちを置いて、
ひとりで行く気にはならなかったようで。
「もう。今日は諦めよう」
・・・と。
本当に。。。
諏訪大社の本宮はもう、
目の前にそびえていたのに。
私達はその日は。
その鳥居をくぐらせてもらうことが
出来なかった。。。
*******
けれども、不思議なことに。。。
本宮参拝を諦めて。
その駐車場を出た途端。
私の腹痛が、ピタッと治まった。。。
「あぁ。。。もう。。。
そういうこと?」
・・・と、その時点で、
薄々勘づいていた。。。
そしてその日は。
山梨の温泉施設にでも泊まって
いこうか。。。
・・・みたいな話になっていたのだけど。
息子の頭痛がひどかったので、
それもまた、諦めることにした。
でも。。。
「今日はもう、帰ろう。。。」
・・・と。
車を帰路に向かわせた途端。。。
さっきまで、あんなにひどかった
息子の頭痛が、突然、消えて。。。
すっかり、元気になった。。。
なんだか、これって。。。
今日は、他のところには、
行っちゃダメだからね。
・・・と。。。
ご先祖様に言われているような
気がしてしかたなかった。。。
だから私もあの出来事以来。。。
「物部守屋」
・・・のことが、気になるようになり。。。
それからは、夫とも。
「共通の話題」で、盛り上がれるように
なっていったのだった。。。
*******
つづく