(1)ジェンティルドンナの馬体は絵画のよう

 

私が2006年に社台・サンデーの1口馬主を初めて5年目にジェンティルドンナへの出資が叶った。

 

なぜ、この馬を第一希望にしたのか。

 

うろ覚えながら、その理由を今思い出してみると、2つある。

 

一つ目は、カタログ写真の美しさだ。

 

 

「まるで絵のよう」と形容されるほど、うっとりとした見栄えだ。

 

まあ、バランスが良く、毛艶がさえていて、健康的な馬体というぐらいの言い方は素人の私にも言うことができる。

 

しかし、後に牝馬三冠、ジャパンカップ連覇を含むG1を7勝するという結果を残す要素を、この写真から専門的な見地で言語化する能力は、当時も今も、私にはない。

 

だから、「美しい」というざっくりとした言い方しかできない。

 

(2)母系に Danzig が入る馬

 

出資理由のもう一つは5代血統表のある種牡馬に目をつけたことにある。

 

 

ある種牡馬、とは母父父の Danzig だ。

 

母父の Bertolini は英国のG3を1つ勝っただけで、さしたる成績も残していない。

 

名だたる名種牡馬の群にあって、 Bertolini は凡馬といっていい。

 

GⅠを勝った産駒も2005年の 英国 チヴァリーパークSを優勝した、ジェンティルドンナの母ドナブリーニ1頭だけだ。

 

こんな地味な血統的背景もあって、ドナブリーニの2009(ジェンティルドンナ)は、ディープインパクトの初年度産駒にあっても、人気沸騰というわけではなかった。

 

確か実績が500万円代後半で取れたと記憶している。

 

私の当時の実績がちょうどそれぐらいで、私はラッキーナンバーで出資できた。

 

私には母系にスピード値が入っている馬を選ぶ、という確固たる信念がある。

 

スピード値と言ってもただ、テンが速くて軽さが売り、という米国血統、特にMr. Prospector系には辟易している。

 

Danzig は米国産だが、現在その血は主にヨーロッパを中心に広がっている。

 

日本では Danzig 産駒は重賞勝ち馬7頭(ステキシンスケクン、マグナーテン、アグネスワールド、ヒカリサーメット、ビコーペガサス、ドゥマーニ、ヤマニンパラダイス)で13勝している。

 

ステキシンスケクン、マグナーテンといった面々はいわゆる歴史的名馬ではないが、天性のスピードを売りに逃げ・先行で押し切る、けれんみのないレースで印象が残っている。

 

逆に自分の形にもっていかなければ、脆いという両面を併せ持っているのが、日本での Danzig 産駒の特徴だが、このDanzig の血は母系に入ると冴える。

 

ビリーヴやニシノフラワーといったスプリント&マイラータイプからグラスワンダーのような有馬記念を連覇する馬まで母父Danzig は幅広い距離適性を持っている。

 

私は Danzig の血が好きだ。

 

このような極めて単純で主観的な理由からジェンティルドンナを選んだ。

 

いわば直感が働いたと言い換えてもいいだろう。

 

でも、ヤマカンは長続きしない。

 

その後、十年以上も重賞勝ち馬に出資することなく、現在に至っている。

 

そこで、本腰を入れて、ジェンティルドンナを選んだ直感を精緻な血統理論へ昇華して、再現性のあるものにブラッシュアップしよう、というのが最近の私の試みだ。

 

(3)原点に返る

 

私の Danzig 好きが、実は近年のオセアニア系牝馬を持つ日本産馬の活躍を考えるうえでのヒントにつながっている。

 

このことに最近気が付いた。

 

ここ十年内外、特にノーザンファームは米国でG1を優勝した繁殖牝馬の導入に力を入れている。

 

このような高額で購入した繁殖牝馬の子はセールストークの材料になり、クラブ馬やセレクトセールで高く売れる。

 

ただ、馬主サイドとしては、確率的に費用対効果が伴わないケースが多い。

 

私としては、ジェンティルドンナを選んだ原点に立ち返り、やはりヨーロッパ主流の血統に注目したい。

 

そこで、再三こだわり続けている日本産のオセアニア牝系馬と話が結びつく。

 

Danzig系が母系にオセアニア系を持つ馬となぜ結びつくのか。

 

カンのいい方はその答えがパッと閃くのだろうが、ここでは真相を伏せておきたい。

 

今年の募集馬でオセアニア系牝馬を母系に持つ馬は数頭いる。

 

これは調べれば誰でもわかることだ。

 

私が言いたいのは、今年の募集馬から「母系にオセアニア系を持つ馬」を取れ、という単純なことではない。

 

(もちろん、こうした馬も有力候補になることは間違いない)

 

ここからさらに推理に推理を重ねて、今年(2024年)の社台・サンデーの馬選びであたり馬をゲットする手がかりをつかんだ。

 

続きは有料記事に書く予定です。