(1)はじめに
前回、前々回の記事で1口馬主の選馬をする際、3代父(または母)の配合で考えるという方法を提案した。
特に、ボトムラインが大事で、3代母が良血であることが大きなファクターになることを強調した。
今回は、今年の桜花賞馬(エンブロイダリー)と皐月賞馬(ミュージアムマイル)を例にこの事実を検証したい。
(2)エンブロイダリーの3代前の血統構成
まずは桜花賞馬のエンブロイダリーの5代血統表を検討する。
3代前の種牡馬4頭を赤で囲んで血統構成を分析すると。
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①(父父父)サンデーサイレンス(サンデーサイレンス系)
②(父母父)Medicean( Mr. Prospector系)
③(母父父)フレンチデピュティ( Deputy Minister系)
④(母母父)アグネスタキオン(サンデーサイレンス系)
まずは、①と④でサンデーサイレンスの 3 x 4 (18.75%)の「奇跡の血量」を構成している。
これに② Mr. Prospector系とフレンチデピュティとの組み合わせになる。
さらにボトムラインの3代母ビワハイジはいわずと知れた名繫殖牝馬。
(3)ミュージアムマイル血統構成
次に皐月賞馬ミュージアムマイル血統構成を分析する。
①(父父父)Kingmambo( Mr. Prospector系)
②(父母父)スペシャルウィーク(サンデーサイレンス系)
③(父母父)サンデーサイレンス(サンデーサイレンス系)
④(母母父)フレンチデピュティ( Deputy Minister系)
こちらも、②と③でサンデーサイレンスの 4 x 3(18.75%)の「奇跡の血量」を構成している。
これに① Mr. Prospector系とフレンチデピュティとの組み合わせになる。
エンブロイダリーとミュージアムマイルの血統構成は良く似ていることが了解できる。
さらに、ボトムラインの3代母ハッピートレイルズの姉は 名牝シンコウラブリイ。
ミュージアムマイルの父や母父、きょうだい(この馬は初子なのできょうだいはいないが)などの従来の選馬法からは見えない、この馬の潜在的な血統の可能性をあぶりだすことができる。
これが、「3代前血統分析」の切れ味と言っていいかと思います。