(1)高知から実況中継
みなさん、お久しぶりです。
いま、私は高知県にいます。
7泊8日の長期旅行の3日目になります。
今日は四万十川をサイクリングして、沈下橋を渡りました。
その話は後日するとして、今回は高知市で「すんごい居酒屋」に行った話をしてみたいと思います。
その名も「かもん亭」。
2022年に食べログの100名店に選ばれたこともある居酒屋。
2か月間に予約しても20時30分からの枠しか取れなかった人気店になる。
(2)先頭打者ホームラン
料理は何を食べても美味しい。
まずお通しから凝っている。
いろいろと説明を受けたのだけれど、複雑すぎて覚えられず(笑)。
この店の凄いところは、高知の地酒をいろいろと集めているところだ。
普段、私は日本酒をまったく飲まない。
甘ったるくて、味がだるい。
こんな偏見を日本酒に対して持っていたからだが、今回その偏見は一掃された。
お店のママがお酒に詳しいということなので、最初に芳醇で香り高いお酒という注文をして提供されたのが、こちら。
亀泉 純米吟醸生原酒 CEL-24
名前が長いので「セル24」と呼んでいます。
こちらが、とてもフルーティーで、まるでワインを飲んでいるような錯覚を覚えるほどの芳醇な香りがいきなり鼻孔に飛び込んでくる。
冷やして飲むとうまい。
トップバッターがいきなりホームランかました格好だ。
(3)酒と料理の相乗効果で思わず……
ズガニのクリームコロッケとこれがまたよく合う。
食べログのコメントを読むと、この店に来た人がみんな注文している。
名物なんだろうけれど、初めは「はあ? カニクリームコロッケって、スーパーのお惣菜かよ!」って馬鹿にしていた。
ところが、これはそんじょそこらのカニクリームコロッケとはワケが違う。
ズガニとは、モクズガニという沢蟹のこと。
上海ガニもこの仲間で、食べてみた印象はカニ味噌が濃厚で、独特の苦みが脳天チョップを食らわす衝撃的な味覚爆弾となる。
これは、当然お惣菜ではない(格が違う)。
イタリアンで一品料理として提供されても違和感はないほどに洗練されている。
そして、このお酒(亀泉「セル24」)とよく合う。
魚介系とのマッチングからすると、やはり「セル24」は白ワインだ。
ワインがそうであるように、この地酒は料理のうま味を引き出す。
さらには、このズガニのクリームコロッケがお酒をさらに美味しく昇華する。
まさに、酒と料理の相乗効果で、無限のループの中で、私は至福の時を感じていた。
今まで美味しいものを食べると笑いがこみあげてくるのことが多かったのだが、ここ「かもん亭」は違う。
じんわりと涙がにじんでくるような気持ちになる。
こんな経験は初めてだ。
(4)美味しさの秘密は〇〇にあり
飲んだお酒だけ列挙すると。
「船中八策」
キレッキレの辛口という私のオーダーでママが何本か出してくれたなかから、常連さんにお勧めを聞いてチョイス。
「船中八策」とは、坂本龍馬にちなむ名前で、この日、私は龍馬記念館を見学していた。
「豊能(の)梅」
「セル24」とはまた違った、芳醇なお酒という注文に店主が選んでくれた。
「セル24」は華やかで絢爛豪華な香り。
対して「豊能(の)梅」は控えめながらも、しっかりと芯のある、確かな香り。
愛人としてはべらすなら「セル24」だけれど、女房にするなら、こちらかな。
女性の読者の顰蹙を買ってしまった。変なたとえですいません。
そして最後に「亀泉「吟麓」純米吟醸」。
これは「一押しのお酒」というシヴィアな私の注文でママが選んだ2本の中からチョイス。
こちらの亀泉は今日の最後のお酒に相応しいもの。
威風堂々とでも形容したらいいか。
ごまかしのない正統派の味と香りとコク。
完成度でいうと、今日の4杯のなかでナンバーワンと言っていい。
亀泉で始まり、亀泉で終わる形となった。
店主に高知の酒が美味しい理由をうかがうと、その秘密は酵母にあるという。
日本酒の美味しいところと言えば東北・北陸の米どころで、寒冷地か京都のように水が美味しいところというイメージを持っていた。
南国高知の地酒を最初は馬鹿にしていた。
ところがどっこい。
高知の酒造りでは、暑さに負けない強い酵母が育っており、この酵母が豊かな香りを出すという特徴を持つのだとのこと。
恐るべし、高知。
今回名前を挙げた地酒を飲まれた方は感想などをお聞かせください。