(1)人口1,000人あたりの医師が多い県は

 

はじめに、クイズを出します。

 

人口1,000人あたりの医師数が多い都道府県はどこでしょうか?

 

 

大方の読者のみなさんは東京都、大阪府、愛知県などの3大都市や埼玉県や神奈川県といった、首都圏の県を答える人が多いかと思います。

 

人口が多いところに病院が多くあるから、医師の配置は人口密度に比例している。

 

そう考えて、東京や埼玉、神奈川と答えるかと思います。

 

ところが、正解は徳島県です。

 

東京都は第3位となります。

 

人口1,000人あたりの医師数が多い都道府県の上位ベスト5を挙げると、以下のようになります。

 

第1位:徳島県

 

第2位:京都府

 

第3位:東京都

 

第4位:高知県

 

第5位:鳥取県

 

下に都道府県別医師数の分布図を添付しました。

 

 

 

全国の人口1,000人あたりの医師数の分布は西高東低となっています(看護師も同様の傾向にあります)。

 

一方の人口1,000人あたりの医師数が少ない都道府県のワースト5は次のようになります。

 

第1位:埼玉県

 

第2位:茨城県

 

第3位:千葉県

 

第4位:新潟県

 

第5位:福島県

 

 

人口が多いところがそれに比例して患者数も多くなるので、過密地域の首都圏の千葉や埼玉、大阪、名古屋とその近辺に医師を多く置くのが合理的です。

 

ところが現実はそうなっていない。

 

なぜでしょう?

 

過疎地の地方のほうが高齢化が進んでおり、これに対応して医師を配置しているから徳島県や高知県、鳥取県に医師が多い。

 

これは理由として間違ってはいませんが、それならば同じように過疎で高齢化が進んでいる東北地方に医師が少ないことが説明できません。

 

それに、こうした医師の西高東低は、少子高齢化が顕著となる以前からあったものなのです。

 

医師の偏在の理由は、医師養成の医療教育機関が西日本に偏っているからです。

 

それでは、なぜ医療教育機関が西日本に偏在しているのか。

 

その理由は、歴史的に作られた、ということにあります。

 

 

(2)明治の昔も今も変わらない

 

理由の第一に、明治政府は西日本中心に医学部を作ったこと。

 

戦前までに官立の医学部は13あり、このうちの8つが西日本にありました。

 

長崎、熊本、福岡、岡山、大阪、京都、金沢、名古屋の8つになります。

 

対して東日本は新潟、東京、千葉、仙台、札幌

 

これは、明治政府は薩摩藩、長州藩、土佐藩、肥前(佐賀)藩の、西南雄藩、つまり四国・九州などの西日本の藩出身者で政治が動かされていたから、という背景があります。

 

一方の東北地方の各藩は戊辰戦争で負けたところが多く、冷遇されて、医学部などの教育施設が少ないという事情もあったのでしょう。

 

医学部を作るには莫大な資金を必要とします。

 

国の予算を握る薩長土肥の藩閥政府は自らのお膝元の近くに資金を投下して医学部を作っっていった、ということになります。

 

この医療格差が維新後150年以上経った今も続いているのです。

 

政府の利益誘導という政治の恥部は明治の昔も今も変わらないというわけです。

 

 

(3)地域医療に貢献

 

このような政治の闇は伏せておいて、私はこのような医師の偏在や医療格差の問題は予備校で生徒に話しています。

 

公立の医学部受験では高知大学や徳島大学といった、四国の大学が比較的合格しやすいということもありますが、そのようなテクニックを話すよりも、むしろ医師・看護師の少ない千葉や埼玉で地域医療に従事したいとの決意表明をしてもらうことを主眼としています。

 

このような医師・看護師の偏在の事実は予備校の医学部指導の担当者の間でも以外と知られていません。

 

データをもとに生徒と一緒に考えて小論文を書かせる授業を進めています。

 

やっていることは、1口馬主の選馬と共通するところがあります。

 

人の目につかないデータを見つけて、これをもとに考えて独自の見解を見つけるという作業は、とても楽しいし、やりがいがあります。

 

何でも他人と一緒は嫌、という私の性分が、1口馬主という、こんなところに生かされていると思うきょうこのごろです。

 

 

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