※注記
今回の記事はすべて、私(トンボの眼鏡)の憶測になります。
ソースはすべてネットの確定情報からになりますが、内容は関係者の取材に基づくものではありません。
読者のみなさまにおかれましては、このことをご了解されたうえで、お読みください。
(1)アルゼンチン系の躍進
近年、アルゼンチン生産馬の母(または祖母)を持つ馬の活躍がめざましい。
以降、「アルゼンチン生産馬の母(または祖母)を持つ馬」をアルゼンチン系と呼ぶ。
サトノダイヤモンド(母マルペンサ)、マカヒキ(祖母リアルナンバー)、ダノンファンタジー(母ライフフォーセール)、サトノフラッグ(母バラダセール)などなど。
そして、今年(2021年)のダービーでは牝馬のサトノレイナス(母バラダセール)の挑戦が話題を呼んでいる。
(2)社台グループはアルゼンチンから繁殖牝馬を大量導入
サトノダイヤモンドやマカヒキなどの活躍を受けて、社台グループはアルゼンチンから繁殖牝馬を大量に購入して、2018年からアルゼンチン系の馬の生産に力を入れるようになった。
サトノダイヤモンドなどに続くアルゼンチン系のG1馬の誕生も時間の問題だろう。
アルゼンチン系の馬はセレクトセールの目玉のひとつになっていると思わしい。
個人馬主のレジェンドである里見治氏や野田順弘、みづき夫妻、金子真人氏などが積極的に購買していることからも、相馬の目利きたちの間で「G1馬を狙うならアルゼンチン系の馬を買え」という共同認識が成立していることは疑いない。
(3)山本英俊氏が新戦略で参入
このような流れを山本英俊氏が指をくわえて見ているはずがない。
セレクトセールではアルゼンチン系の良血馬を資金が潤沢にある大物個人馬主が囲い込んでしまっている。
しかし、1口馬主のクラブ(東京サラブレッドクラブ)で、リーズナブルに提供するためには、セレクトセールで大枚はたくことはできない。
そこで新たな方法を生み出した。
その方法を書く前に、まず、近年の東京サラブレッドクラブ募集馬でアルゼンチン系の馬を見てみよう。
2019~2020年にかけての東サラ募集馬で私が確認した限り6頭のアルゼンチン系の馬がいる。
詳細を見ると、さらに面白いことがわかる。
まず、生産がすべて社台牧場であること。繁殖牝馬はすべてアルゼンチンのGⅡ・GⅢ勝ち馬か、重賞未勝利馬であること、このような共通点が見えてくる。
社台ファームやノーザンファームのアルゼンチン系生産馬は母馬がアルゼンチンのGⅠを優勝した超良血馬が多く占めるのに対し、社台牧場生産馬はこの次位の馬を導入している。
ちなみに社台牧場は当然、社台ファームとはまったく異なる生産牧場であることは言うまでもない。
現在の社台グループの基礎を築いた吉田善哉氏の父君、吉田善助氏が昭和3年に社台牧場を設立された。
この善助氏の長男善一氏が社台牧場を受け継がれて、次男の善二郎習志野牧場、三男にあたる善哉氏が千葉社台牧場を築かれて、これが社台ファーム千葉となって、現在の社台ファームにつながる。
社台牧場は現在の社台グループを産んだおおもとの牧場ということができる。
社台牧場の現在の代表は吉田香代子氏で、この牧場からユウトウセイ(京都記念)、ダービーレグノ(シンザン記念、新潟記念)などを生産している。
しかし、近年では生産頭数を大幅に減らしており、生産が1~2頭と激減していた。
ところが、上記のように、アルゼンチンから繁殖牝馬を導入して、ディープインパクト産駒の生産を開始し、これを山本英俊氏が買い取る流れができている。
想像するに、社台牧場の復活には山本英俊氏のテコ入れがあったものと推測される。
「社長、第二のサトノダイヤモンドをつくろうよ。俺が全面的にバックアップするからさ。一緒に夢を追いかけようよ。」
吉田香代子氏と山本英俊氏との間でこのような会話があったか、なかったかはわからないが、山本氏の思惑としては、セレクトセールで社台グループの馬を高値で買うよりも、こうした非社台系のルートでアルゼンチン系の馬を安く仕入れるほうがリーズナブルである。
1口馬主クラブの経営の新戦略を編み出した山本英俊氏は、アルゼンチン系でG1奪取をもくろんでいる、と言えば言い過ぎだろうか。
ちなみに、吉田香代子氏の社台牧場は、いわゆる社台グループの中には含まれていないが、現在の社台牧場と社台グループのとの関係は不明である。
吉田香代子氏も吉田善哉氏の一族であるから、吉田3兄弟と交流があることは想像に難くない。
(4)東サラからアルゼンチン系のGⅠ馬が現れるか
改めて東サラ募集のアルゼンチン系の馬を眺めてみよう。
3歳のレッドロワ(牡)と2歳のレッドランメルト(牡)がディープインパクト×母父オーペンで、3/4サトノダイヤモンドと同血になる。
こういう配合を見ても、社台牧場―山本英俊の力の入れ具合がわかる。
レッドロワは3戦未勝利で、人気を集めながら勝ちきれない惜しい競馬が続いている。
今度こそ、2歳のレッドランメルトに改めて来春のクラシックを期待したい。
レッドランメルトは東サラの期待の新星
先日、東京サラブレッドクラブ募集馬のレッドジェネシスがGⅡ京都新聞杯を快勝した。レッドベルオーブ は去年、GⅡデイリー杯2歳ステークスを優勝し、皐月賞にも出走した(8着)。
最近、東サラは調子が上がってきている。
山本英俊氏、悲願のクラシック制覇の鍵はこのアルゼンチン系の馬たちが握っているかもしれない。
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