9月21日 富士町役場と富士小学校

午前9時、富士町役場の総務課から電話がありました。内容は、本日、町長が出張の為、会う事ができないとの電話でした。実は、10日前に、今日の1時と言う事で約束していました。ですから、町長にお会いした後、富士小学校に行って盲導犬のふれあい学習をする予定でした。ところが、急なキャンセルで、どうしようかと悩みました。結局、私達を心から待っていてくれる富士小学校の子供達の心を裏切ってはいけないと思い富士町へ行きました。午後1時50分、富士小学校へ到着しました。学校では、校長先生を始めとして、先生・生徒・父兄と沢山の人が歓迎してくださいました。

今日は、1年生から6年生までの90名の子供さんが対象でした。もちろん、先生も父兄の方も参加していただきました。始めに、校長先生より、私達の紹介がありました。

その後、マイクを頂いて、盲導犬の学習を始めました。まず、私の子供時代のお話です。その後、盲導犬との出会いなどお話して、盲導犬の活躍ぶりを見ていただきました。アロマは、私の命令に従って、階段の上り下り・椅子を探す・障害物を避けて目的地へ案内する・落とした物をひらうなどの、お仕事をして子供達から大きな拍手をもらいました。その後、いくつかのグループに分けて、子供達の白杖歩行と盲導犬との体験歩行をしてもらいました。子供達は、初めて見る盲導犬に、興味を示し、一生懸命に学習してくれました。その後、数名の子供達の質問に答えて盲導犬のふれあい学習が終了しました。最後は、子供達が最も楽しみにしているアロマとのふれあいの時間です。子供達は、口々にかわいいねと言ってアロマの体を触っていました。

アロマも嬉しそうに、しっぽを振っていました。

子供達とお別れし、校長先生の案内で校長室へもどってきました。

校長室では、コーヒーをご馳走になり、帰りには、おみあげと言って、富士町の名物のお菓子を頂きました。

本当に、あたたかく、嬉しい学校訪問でした。

午後3時20分、富士小学校を後にして富士町役場に行きました。勿論、今日の町長訪問は、キャンセルになっておりましたので、すぐにはお会いする事は、できないとは思っておりましたが、一応役場に行き、町長さんの行き先をお尋ねしました。行き先は、熊本との事、お帰りは、午後7時すぎとの事でした。どうしようかと迷いましたが、どうしてもお会いして身体障害者補助犬法の周知徹底をお願いしたいと思い、お帰りまで約4時間、待つ事にしました。その間、観光課の方にお会いして、「富士町の旅館やホテルは盲導犬の受け入れは大丈夫ですか?」と、お尋ね致しました。自信ありげに「大丈夫ですよ。今時、盲導犬を断る事はないでしょう」というお返事。妻が、すかさず、「法律で行政からの指導が義務ずけられていますが、こちらの課から旅館に対してご指導はされたのですか?」と、お尋ねしたら、あわてられたご様子でした。

その後、六月に訪問しました三瀬村の役場と教育委員会に、盲導犬フェスタのポスターを届けに行きました。三瀬村は、富士町から約14キロあり、往復で約1時間かかりました。今日の夕食は、三瀬村の大八そば屋さんで手打ちそばを頂きました。本当にコシのあるおいしいそばでした。その後、富士町役場で町長さんのお帰りを待っていました。待っている間、車の中で、富士町の宿泊施設20件に盲導犬の宿泊ができるかを電話でお尋ねしました。富士町は、古湯温泉と、熊の川温泉という、素晴らしい温泉があり県内でも指折りの観光地で全国から沢山の観光客がこられております。問い合わせの結果、盲導犬が宿泊できる旅館は、僅か二件、残りの18件は、ダメと言う悲しい結果でした。昨年10月、身体障害者補助犬法が施行されるにあたり、行政からの指導があっているはずなのに、旅館は、あたりまえのように、盲導犬の宿泊はダメと断られました。おそらく、返事の様子では、行政からの身体障害者補助犬法の指導は無く旅館の方もペットを断る感覚で断っていました。それぞれの旅館の共通の返事は、人は部屋の中に泊めますが、盲導犬は外へつないでおいてくださいと言う冷たい返事でした。盲導犬は、私達、視覚障害者にとって体の一部です。しかも盲導犬は、盲導犬協会より貸与して頂いている大切な借り物です。もし、外へつないでいて、誰かが連れて逃げたら、大変な事になります。こんな事情もおそらく旅館の人は知らないと思います。昨年10月、身体障害者補助犬法が施行され、全ての施設が受け入れを義務づけられたと言っていましたが、現状は、90パーセントの旅館が宿泊拒否と言う悲しい現状に直面しました。他の地区でも盲導犬の受け入れ拒否と言う現状はありますが、せいぜい、20パーセントから30パーセント程度です。ですから、富士町の90パーセント拒否には、本当に驚きました。富士町の旅館の皆様、どうか盲導犬等の身体障害者補助犬の受け入れをよろしくお願いいたします。盲導犬も聴導犬も介助犬も、訓練された犬です。そして、障害者にとって、大切な目であり杖であります。体の一部です。法律でも、受け入れが義務づけられておりますので、盲導犬等の身体障害者補助犬が来た時は、どうか泊めてくださいませ。よろしくお願いいたします。富士町の役場[観光課]の皆様、どうかご指導をよろしくお願いいたします。

午後7時、待望の富士町町長様がお帰りになられました。お疲れのところを申し訳なかったのですが、早速、役場のロビーで、町長様へ私達の思いと、富士町の現状をお話させて頂きました。とても真摯に受け止めてくださり、旅館へ身体障害者補助犬法の周知徹底をお約束してくださいました。そして、盲導犬等の資料をお渡しして、午後7時15分、町長様のお見送りを頂き富士町役場をあとにしました。