朝、亀山市のホテルから、三重県四日市の市役所の記者クラブに、ファックスを入れました。内容は、私達を取材して下さいと言う、内容です。

亀山のホテルを出発して、約二時間ぐらいたった時、携帯に電話があり、四日市に入ったら取材をしてやろうと言う、ありがたい電話でした。

歩いている時の取材は、本当にありがたいものです。

なぜなら、こちらから新聞社に行かずに、向こうから記者の人が来てくださるので、時間の節約にもなり、しかも目的地に向かって歩いていますので、一石二丁で、本当に助かります。昼食を済ませて歩き始めた頃、再び、先ほどの人と違う新聞社の人から、電話があり、四日市で取材をしてやると言う嬉しい電話がありました。嬉しくて歩くピッチも上がります。何と言っても今の私達にとって一番嬉しい事は、私達の行動を広く皆様に知っていただく事です。こういう取材が入るのが、元気の元になります。気持ちもハイになり、足取りも軽くなり、何よりの薬になります。スピードをあげて四日市に向けて歩きました。

途中、何度も記者の人から電話があり、現在地の確認がありました。

午後三時過ぎに、ようやく四日市に到着して、記者の人にお会い出来、街角で取材をして戴きました。一社の取材も終わり、再び歩いていますと、向こうから一人のおじさんが、やってきて、大きな声をかけてくださいました。

そのおじさんは、昼食後、電話をかけてくださった、毎日新聞社の嶋野啓二郎様と言う記者の人でした。人のよさそうな叔父さんで、たくさんの、ねぎらいの言葉をかけてくださり、丁寧な取材をしてくださいました。

また、私達の夢の手伝いをしてやると言って戴き、NHKの紅白出場の請願書の署名もして下さいました。

また、途中で困った事があれば、いつでも携帯に電話をする様にと言って戴き、力強い思いがしました。

翌日、その毎日新聞の記事がデカデカと載って、たくさんの人の応援を戴く事ができました。二つの新聞の取材も終わり、午後5時になりました。

実はこの日もホテルは予約しておらず、四日市に泊まるか先に行くか、二人で相談をしました。

この日の予定では四日市に泊まって、翌日、桑名まで歩く予定にしていましたが、四

日市から桑名までは、約14キロ程度で、一日分にするのはもったいないと思い、夕食後、桑名まで歩く事にしました。この日も夜桜見物の夜店・屋台が立ち並んでいます。ぼんぼりも道沿いにずらりと並んでいます。歩いている橋の左右の道並には満開した桜並木がずらりと続いています。夜店で買ってもらい満悦の笑顔で話の弾んでいる親子の和やかな光景が目に飛び込みます。絶景を眺めながらの素晴らしい旅になりました。主人には沿道の桜の木の枝が伸びてきて手の届く花がありました。その花びらに手を当て、臭いを楽しみ、桜の花の満開を確認しながらの素晴らしい旅を満喫しました。

四日市から桑名の間は、比較的道がよく、道の左右にお店もたくさんあり、暗くなっても外は明るく、車の往来も頻繁なため足元も明るく照らされて、歩いていて寂しい感じはしませんでした。桑名の「焼き蛤」に釣られて、夜9時過ぎに、目的地の桑名のホテルに到着しました。この日の歩いた、総距離は、34.3キロで、今回、長崎から東京まで歩いた中で、最も長い距離の一日でした。

朝、出発した頃は、時速3キロぐらいのスピードで歩いていますが、こんなに長道の時は、夕方から疲れが出て、足もくたびれて、時速2キロぐらいのスピードでしか歩く事が出来ず、長い時間かかってしまいます。名物の「焼き蛤」を食べたい一心で、主人は一生懸命に歩いています。この日は、十時間ぐらい歩きました。足もヨロヨロよろけそうになっています。ようやく、ホテルに到着しました。

ホテル到着後は、足の痛みをとる為、すぐお風呂に入りました。

少し落ち着きましたので、二人で桑名名物「焼き蛤」を食べに行く事にしました。

桑名の名物は有名で、諺にもある様に、[その手は、桑名の焼き蛤]やきはまぐりです。

私は、今回、長崎を出発する時から、桑名名物の[焼き蛤]が食べたくて、食べたくて、桑名に到着する日を楽しみにしていました。

早速、ホテルの人に、蛤を食べさせてくれる店を尋ねて、出かけて行きました。

お店は、ホテルから約5分離れた所にあり、魚料理のお店でした。水槽の中には大きな蛤が生かされています。私は期待を持って注文しました。注文は、勿論、「桑名名物の焼き蛤」で、二人前注文しました。

10分ぐらい待っていると、カウンターの前に、細長い皿が二つ出されました。

細長い、皿の上には、小さな、蛤が五つ並んでいました。

実は、私の期待していた蛤はもっと大きな物で、目の前に出された蛤を見てがっかりしました。桑名の蛤の大きさは、並みのあさり貝ぐらいの大きさで、しかも、桑名で取れたのでは無く、九州の海でとれた蛤でした。焼き蛤に魅せられて、長時間かけて

歩いて来たのに、出された蛤の小さい事と言ったら・・・・。涙が出てきました。がっかりして、九州の蛤を魚にして、生ビールを飲んでいました。

すると、となりのカウンターのお客さん[小川様]が、私達に生きづくりの刺身をプレゼントして下さいました。始めて、会った人なのに、何か私達の姿を見て感じて下さったのでしょう、思わぬ、贈り物を戴きました。

妻は、駆け足でホテルに戻り、私のデビュー曲のカセットを取りに行き、そのお客さんに、プレゼントしました。

こんなすばらしい出逢いを戴いた桑名の夜でした。

よく考えてみますと、一時でも早く、桑名名物のやき蛤を食べたい為に、蛤につられて、翌日の分まで歩いたのでした。

[宿泊地 桑名市 パークホテル]