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つれづれなるままに。。。きんぎょ注意報トークと、小説を書き綴っていこうと思います。
きん注!の、明るく温かい、楽しく平和な雰囲気が好きな方、どうぞごゆっくりお過ごしくださいね☕

秀一とわぴこの帰り道。いつもの商店街を歩いていく。
 
秀一はまだ葵と千歳の様子が気になっているようだが、仕方がないとも思っているようだった。
『ねっ!秀ちゃん!』
わぴこが何かを見つける。
『ケーキ半額だって!食べていこうよ!』
目を輝かせるわぴこに、秀一が断れるわけもなかった。
 
2人で店に入る。
『わぴこどれにしよう~?ショートケーキもいいし、チョコケーキもいいなぁ~』
メニュー表を両手に持ち悩むわぴこ。
秀一はしばらくその幼なじみを見つめていたが、
『いらっしゃいませー』
の店員の声で思わず入り口のほうに目をやる。
『葵…』
入ってきたのは、両手にスーパーの袋を持った葵だった。
『すず乃ちゃんもいるよ』
秀一の様子に気が付いたわぴこも入り口を向いていた。
 
『いやぁ。いろいろ買えたなぁ~すず乃』
『ホント。良かったぁ』
葵たちは秀一とわぴこに気が付いていない。
『秀ちゃん、どうしよう?』
少し小声でわぴこが話す。こういう空気は読める幼なじみなのだ。
『気が付かないふりをしていよう』
秀一の頭にあるのは千歳のことだった。

秀一の悩みはよそに、幼なじみ二人は盛り上がっていた。
話の内容までは聞こえないが、楽しそうな雰囲気はわかる。
『こちらケーキセットです』
運ばれてきたケーキを黙々と食べながら、2人の様子を伺う。

『あれっこんな時間』
すず乃が時計に気づく。
『うん?なんか用事?』
『ママと約束してたのよ、ごめんね葵くん。またね!』
すず乃は財布から、自分の分を出そうとした。
『いいよ。すず乃。ここは俺が払っとくからさ』
『でも…』
『いいのいいの。ほら、帰国祝いってことで』
ありがとう、と笑顔ですず乃が出て行く。
 
秀一とわぴこが顔を見合わせた。
『秀ちゃん…』
『あの葵がおごるなんてなぁ…』
秀一の悩みは深まったようだ。

『あれぇ。わぴこ、秀ぼー』
『(見つかった)』
『お前らも来てたのかぁ』
悪びれない葵の様子に、秀一もいくらか自分を取り戻したようだった。
 
『葵、お前、すず乃ちゃんといたんだろ』
『…見てたのか?』
まずい、と秀一は心で苦笑いした。冷静沈着なはずだが、どうも抜けているところがある。
『ね、葵ちゃんー!』
わぴこの切り出しに助かる。
『なんだ?わぴこ』
『すず乃ちゃん楽しそうだったね~』
わぴこの満面の笑顔には、意図が有るとも無いともわからない。
『まっ、な』
葵の調子は変わらなかった。
『久々の日本だったし、楽しかったんだろ。あいつも』
サングラス越しでもわかる葵の笑顔。
 
しばらく黙って見守っていた秀一だったが、意を決したように話し出した。
『葵。今はいいけど、生徒会長の前ではすず乃ちゃんとあんまり、仲良くしないほうがいいんじゃないかな』
『なんで?』
葵が要領を得ない顔をする。
『なんで?って、だからね、葵…』
それ以上秀一には、続ける言葉が見つからなかった。
無論、心の中では、様々な思いが駆け巡る。
(葵、生徒会長は…)
(それ以上仲良くすると…)
(ああ、どうなるんだ…)
 
『ねぇ秀ちゃん』
わぴこの声で我に返る。
『なんだい、わぴこ?』
『今度さ、みんなでまた隣町の温泉いこーよー!ちーちゃんも誘って!』
『…!』
それは、秀一・わぴこ・葵・すず乃が小学生だったとき、よく遊びに行ったさびれた温泉だった。
田舎だけあって、古くもあったが子供だけでも気軽に入れる、安くて大らかな雰囲気の、大事な遊びスポットの一つだった。
『…わかった。明日生徒会長に話してみるよ』
 
どうしたものかと思わなくもなかったが、いずれは来るであろう、葵・すず乃の仲の良さと千歳との対面を、始業式の前には済ませてしまったほうがいいかもしれない、といった算段も働いたのだった。何かあっても学校が始まってからでは、秀一もさすがに思うように動けなくなる。
(生徒会長は好きにするだろうが…)
なんせあの学校の理事長なのだ。
なにやら楽しげに、おそらくは温泉の話で盛り上がっている葵とわぴこを後目に、秀一はため息をついた。