一笑随歌 Fated Hearts 全38話 | 一言難盡

一言難盡

Ture courage is about knowing not when to take a life,but when to spare one.

『一笑随歌 Fated Hearts』

2025年 10月〜 中国 全38話予定

 

出演

付一笑→李沁

凤随歌(鳳随歌)→陈哲远(陳哲遠)

 

 

陳哲遠もさながら、それを上回る李沁の圧倒的な美しさで釘付けにさせられる。中文もさほど難しくなく分かりやすい。

 

ネタバレ 第1話~第6話。

敵国同士である夙砂国と錦繍国の争いで、錦繍国神射手の付一笑に射られた夙砂国大皇子の鳳随歌は瀕死となる。同じく自国の何者かに命を狙われる一笑も崖落ちで瀕死となるが、深手を負いながらも追手と果敢に戦う姿が凛々しすぎて痺れる。

この後、偶然通りかかった正念山荘(停戦地)の凌雪影に救われて一命を取り留めた一笑だが、崖落ちの衝撃で記憶も失ってしまった。おぼろげな記憶の中での、崖の上にいた人物も、殺し屋育成所らしき場所での回想に登場した「別怕」なる救い人も随歌のようにも思えたが、今は何も分からない。

必死にその行方を捜す錦繍国振南王(夏静石)とは、おそらく戦地を共にし、これまで支え合ってきたんだろう。陳鶴一は今回も報われない立ち位置らしい。

 

殺神という異名を持つ大皇子の随歌もまた、自国にはその足を引っ張る敵が連なっている。ゆえに弓で射られて瀕死となった後も玉座を狙う庄家の刺客に遭遇する。それを先回りして躱し、偶然、傷を癒すための聖地で敵である一笑に出会ったため、運良く敵を捕まえられたラッキー!という思いで、そのまま夙砂国へと連れ帰ることとなる。

随歌は嫡子ではあるが、かつての皇后だった母親は、錦繍国のスパイ容疑をかけられ命を落としている。そのためなのか一見すると皇帝も随歌を冷遇しているように思えるが、おそらく玉座に就かせるための試練を敢えて与えているんだと思う。

皇后が亡くなったため、庄家から嫁いだ娘が現在の皇后だが、この父親である丞相(張兆輝)が、二皇子(現皇后の子)を玉座に据えるため、かねてから暗躍しているようである。

随歌の母親の件もおそらくこの男が絡んでいるし、両国の一時的な和平のために、戯陽(公主)を夏静石へ嫁がせる話にも手を回しているのかもしれない。となると、敵国と長い期間に渡って密通しているんじゃないか。ただ張兆輝が素敵すぎて全く悪く見えないのが困るよ笑

夏静石へ嫁ぐという話で目の輝きが増した戯陽は、元々、彼を好いていたようだから、このまま戯陽が順調に嫁げば、不憫に見えた夏静石もその存在で案外救われるかもしれない。

 

敵を根こそぎ叩き斬りながら、夙砂国に連れ帰った一笑を容赦なく痛めつける随歌は、さすが殺神と言われるだけはあるが、一笑も全く負けていない。やられたら必ずやり返すという信念の元、機会を狙って同じくらい痛めつける姿が清々しく嫌悪感は皆無である。

互いに殺意はみなぎっているが、一旦、痛めつけ合いで恨みを相殺することとなった二人の利害は一致し、ほどなく協力体制となるが、この時はどちらも互いの敵を見付け出すために利用しようとする気持ちの方が大きかった。

その一笑の気持ちは、随歌が阿万の命を救った事件で一変する。

 

記憶を失くす前の一笑は、亡くなった同胞の子を引き取り、家族のように寄り添って暮らしていた。厳しくとも愛をもって修練に励んでいた互いの絆は深く、すぐに弟子の存在を思い出した一笑が、見失った阿万を必死になって捜す姿は、これまで無情に見えていた一笑の違う一面を見せられて、そのギャップに悶えるハメになる。

自分の命と引き換えに人質に取られた阿万を救うため、死も覚悟した一笑にとっては、ヒラリと現れた随歌の背中にも何か感じるものはあったようだが、重ねて命を顧みずに阿万を救った姿は究極に刺さったのだと思われる。

というわけで、殺意みなぎる気持ちは一変し、信頼すら芽生えてしまった上に、妹が夏静石を好いている事実を知った衝撃でしょんぼりする随歌を放ってはおけず、屋敷を去ることも出来なくなっている笑

李沁が良すぎて悶絶ものだこれは、、、

 

錦繍国では一笑が生きていることが確認され、連れ戻すことにいきり立つ夏静石がすぐそこまで来ているが、名前からして、その弟かなにかで登場する予定の夏静炎(秦天宇)を楽しみにしている。

 
つづく
 

追記ネタバレ 第7話~第8話。

夏静石にとって、婚姻を結ぶつもりはなくとも、国境を越えて夙砂国へ踏み込まねば一笑は取り戻せない。そのため、共に戦い修練をしてきた寧非と蕭未然を率いて、婚姻手続きという名目で夙砂国へと入境する。

てかね、今回の陳鶴一がべらぼうに美しいのはなんなんだ笑 え、メイク?メイクの腕がいいの?

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門前でその3人を目にした一笑は、断片的な記憶で錯乱状態となるが、静かに諭してその心を鎮める随歌との間には、同志とも言えるような情が湧きつつある。

その時の心情や記憶はなくとも断片が蘇った一笑は、自分の過去を確かめるため夏静石以下3人と対面する旨を随歌へ願い出るが、随歌はそれを許さない。

対面して記憶が戻れば、当然、自国へ戻ることになり、現在の協力関係は解消されて敵を探ることは不可能となる、などと一笑が言っていたようなしがない理由ではなく、これは一笑の命を守るためである。

以前、一笑が追っ手と戦った森で錦繍国の令牌を見付けた随歌は、残党から情報を聞き出していたが、夏静石以外に兵を動員出来るのは蕭未然のみ、と言われていた。仮に、一笑の命を狙っている者が言葉通りの夏静石や蕭未然ならば、命を獲られると随歌が警戒するのは当然なのだ。随歌がそれを隠しているのも、確証もなしに心を乱すような発言で起こる一笑の混乱を招かないためなんだろう。ただしこの理由が、ほんのり芽生え始めた情や死なせたくないという思いからだとは、おそらく本人も気付いていない。

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一笑の命を狙う人物が寧非の線はないと思うが、蕭未然は少し警戒している。(ここから妄想です。)仮にそうだとすれば、戦友を暗殺するという地獄のような命を出せるのは背面にある巨大な力しかない。となると、未だ登場していない錦繍国の皇帝が絡んでいるのか、、、夏静石はその息子だよね。息子の乱心を制するために一笑を消そうとしているのかな、それなら皇后(母親)の可能性の方が大きいけど。引っかかるのは、落ちていく一笑を崖の上から見ていた人物だが、造形が「別怕」の時と同一人物に見えたこと。別怕が夏静石だったということは、崖の上のアイツももしや夏静石だった可能性もある?暗殺の理由は謎だけど。(妄想終わります。)

 

かつて一笑に手を差し伸べたのは夏静石だと今回判明したが、恩人に自分の命を捧げて共に戦ってきた日々を考えると、今の時点で思い出せば後ろ髪を引かれることなく随歌の元を去って行くだろう。随歌にとってはそれもほんのり苦痛なのかもしれないね。

 

その間、和親を交わすための夏静石と夙砂国皇帝が対面する描写もあるが、皇帝はやはり国を安定させた状態で随歌へと玉座を譲りたいのかもしれない。冷遇しているように見せてその心を伏せているのは、庄家である皇后や丞相陣営に足を掬われぬとも限らないためなんだろう。この婚姻が皇帝の思惑なら、丞相の「俺の計画」はどういう流れを辿っていくのかが謎である、この男が誰と手を組んでいるのかも全く分からない。

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イケてんなぁ。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第9話~第10話。

夏静炎(秦天宇)は夏静石の弟かなにかだと思っていたのに、よもや錦繍国の皇帝だったとは、、、皇帝はもっと年配だと勝手に思っていたよ笑 なお饗宴に耽るだけのうだつの上がらぬ人物らしい。顔面はいつも通り愛らしかったけど。

 

この少し前に、崖落ちの原因は夏静石だったという記憶を取り戻した一笑は、目下探りを入れている最中である。「俺の計画」遂行中の夙砂国丞相と夏静石の繋がりも疑わしく、どうやらそれぞれに「俺の計画」があるらしい。因みに戲陽との婚姻も夏静石の計画の一部のようだね、一笑には普通に「断れない婚姻」として、その旨を伝えていたため若干腹黒い闇はありそうだ。

夏静炎が皇帝だった事実で、夏静石の計画を妄想すると、どうみても失脚させるための敵国(丞相)との密通としか思えないが、そうなると以前から皇帝とは敵対していたんだろうか、夏静石の盛られた毒も皇帝の仕業なのかもしれない。そもそも皇帝とは血縁なのだろうが、相関図などを事前にチェックすることもないため、個人的にこの関係は不明である。父親ではないのは確実だから兄弟か従弟か。

仮にこの方向なら、諸事情で皇帝に殺意を向けられた一笑を逃がすための死の偽装だったとも考えられる。蕭未然が謎のマスク男に暗殺をせかされていたことも、夏静石と蕭未然の暗躍に含まれる事柄に思えるし、一笑への裏切りではなく救うための策だったのかもしれない。どう考えても、共に生死の挟間をくぐり抜けたあの3人が一笑を死なせるわけないんだよね。

 

その一笑は、自身の記憶が戻らない段階で、自分にとって見知らぬ彼らを簡単に信用することは出来ない。断片的に蘇る記憶も前後の事情は分からぬため疑心が拭えずにいる。

その事情を知るには夏静石へ近付くしかなく、これに警戒を抱いた戯陽はわざわざ一笑へと会いに出向いて牽制するが、その義母である皇后などは、戯陽との婚姻を邪魔されてはならぬと暗殺を企てている、、、皇后には父親(丞相)の計画の一部である両国の婚姻を必ず成功させねばならない思いがおそらくあるのだろうが、それでもなぜそう思考が極端なのかな笑

長年、夏静石へ心を寄せていた戯陽は大人しそうに見えて専ら能動的に行動をしており、彼を逃してはならぬという思いが強い。錦繍人には狙われ、ここ夙砂でも、その方面へは全く興味のない一笑にとっては実に迷惑な禍が増えた。

 

随歌は、夏静石へ会いにいく一笑にぷんすこ拗ねながら、夏静石に会えば対抗心を剥き出しにしているが、真相解明のための一笑の意向に沿ってその行動は邪魔せずに放っている。傍らで、妹をただ嫁がせるのではなく、逆に夏静石を婿に取るなどという大胆な提案を相手へと行っていた。

息子の事後報告でその件を知ることとなった皇帝は、憤慨するそぶりは見せるものの、念願通り立派に物事を見据えられる人物に成長した姿を、むしろ誇らしく感じているようだ。

面前で丞相と随歌の言い争いを見せられる皇帝は、完全に傍観者だったね笑

 

つづく

 

追記ネタバレ 第11話~第12話。

夏静石が一笑を消さねばならないことは、目的達成のためにはどうやら必須だったようだ。そのために、殺し屋育成所にいた幼少から苦楽を共にした蕭未然に地獄の苦しみを強いている夏静石が一番の悪ではないのか。因みに寧非は何も知らされていない。

 

為了錦繍、為了王爺、と呪文のように言い聞かせて、一笑への刃を緩められぬ蕭未然は実に不憫であり、そこまでさせる余程重要な何かを、部下である一笑が握っているらしい。

揉み合う中の一笑の言葉をそのまま受け取れば、崖落ちのあの日、夏静石の営帳を訪ねた謎の人物との聞かれてはならない会話が、たまたま一笑の耳に入ったのが命を狙われる原因のようだが、となるとその相手はマスク男なんだろう。おそらく道理に反することを行うつもりで、一笑にはそれが許容出来ず阻止へと動いたからなのかも。

未だ断片的な記憶のみで、それに付随する感情までは思い出せていない一笑が蕭未然に対し、かつて交わした約束を口にしながら感情的になっているのが若干不自然だが、この場は死を覚悟した蕭未然へトドメを刺せずに終わる。以前の情までは思い出せていないはずだが、謎にないはずの感情が邪魔をして手を下せなかったということなんだろう。とはいえ、ここは二人の芝居が極まっており、実に切ないシーンだった。

 

トドメを刺せず逃がす決断をした一笑だが、そこにゆっくり現れた随歌はこの機を逃さない。蕭未然が絶対に口を割らないと分かっていても連行したのは、「我們問不出來、不代表別人問不出來」と言っていたように、ここで一笑や寧非への情を利用して聞き出すつもりなんだろう。

随歌は一笑の安全を確保しながら、妹が政の犠牲になることも阻止しようと必死に対抗していたが、今回の婿入りの提案が通ったことで戯陽の怒りを買うことになる。随歌が妹のために尽力していたことは、相手が運良く好いた男だったため無駄となり、婿入りの件では、自国のことなど顧みず好いた男の心情ばかりを優先して、随歌へ向かって失望したとか言っちゃってる。

尽力の割に、一笑になじられ、戯陽にも反抗されるという割に合わない随歌が少し不憫だが、本人も計算高いため、理性と感情が反発し合うのは必然か。

 

夙砂への婿入りを錦繍が了承したせいで、しばし夙砂に留まる羽目なった夏静石は、マスク男と密談を交わしていたが、このマスクがどこの手の者なのかがさっぱり分からんな。

庄相と夏静石は確実に繋がっているが、マスクが庄相側の者には見えないし、コイツが執拗に一笑の死に拘っていることと、随歌を排除して二皇子を玉座に就かせる目的の庄相には、一笑の死との関連性が見えない。婿入りの件は少し都合が悪いようだが、それも想定内だった庄相には、どうやら次の対策もあるようだ。

 

このドラマはキラキラ男子がわんさか集まっているが、李沁が良すぎて男子勢が若干霞んでいる笑

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つづく

 

追記ネタバレ 第13話~第14話。

かつて飢えに苦しんだ過去の芋エピソードから始まり、それを返して決別するまでが辛すぎて苦しい。寧非は、皇后から一笑へ送られた刺客と戦った際の弓を抜くことも忘れる程、揺らぐ絆の行方が大事だったようだ。

その絆もこれまでという絶望を味わい、昏睡した寧非の身体は深く侵された毒矢のせいで生きられる術はない。それでも救える人物がいることを示唆された一笑は、その代償に一生その人物に支配される未来に躊躇いもせず、寧非を救う選択をする。これが後々、足枷になりそうで不穏である。

 

たった一人で夏静石やその背面のマスク、そして未だ見えぬそのまた背面の人物を追い詰める覚悟の一笑に、常に寄り添い必要に応じてその窮地を救う随歌は実に尊い存在である。それを一つ一つ確信する一笑の信頼や安心感は本人も気付きつつあって、気持ちの面では進展している。

随歌の方は、既に手放すことが出来なくなっており、ここを去りたいのなら止めない、などと心にもないことを言っているが、一笑の言葉通り、それ全部バレてるみたい笑

 

夏静石やマスクの最終的な目的は未だ見えないが、一笑の命を狙ったのは、その目的へと向かうまでの計画を阻止されぬためだった。

開幕の描写はほぼ忘れているが、あの平陵の戦はそもそも夏静石とマスクによって仕組まれたものだったらしい。まず、随歌を平陵城へ誘き出し、戦場となった城内で何十万もの百姓を盾に伏兵を紛れ込ませ、やむを得ず全員を殺戮せねばならない随歌へ、畜生の汚名を着せて命を獲る、とかいう計画だったらしいが、一笑の矢と随歌が想定外に動いたことでそれが成功しなかったということなんだろう。随歌の死で夙砂国を混乱させて、その隙に攻め込んで占領するのが目的だったのか?そもそも夙砂公主と夏静石の婚姻を提案したのは夏静炎(皇帝)のようだから、コイツはどう絡んでくるのかな。

ともかく夏静石が自分を射った人物だということは判明したため、次はマスクが何者かを探っていくはずだが、あれだけ夏静石が口を噤んでいるということは、まだこれからの目的に必要な人間なんだろう。このマスクが誰なのかは見当も付かないが、顔面を隠しているため、既に登場している意外な人物なのかもしれない。と思わせて、コイツ誰?ってことも結構多いけど笑

 

一笑の憂いを少しでも解消させて、心身の回復を一心に願う随歌は、言葉にはせずとも喧騒のない生家で療養させることにするが、やってることが健気すぎる、、、その傍らで、皇后が一笑へ放った刺客を捕えて、黒幕に制裁を与えようとしている。

随歌の目的は、母親を貶めて死へ追いやった庄家への仇討ちなんだろうから(推測ですが)、丞相を始め皇后もおそらくその対象である。皇帝はもちろん最後は随歌を救う方へ回るとは思うが、今は口を閉ざしているため元皇后の死の真相も不明である。重ねて庄家の野望と夏静石とマスクの目的、随歌の母親への汚名返上、全てが進行中のため何も片付いていない。

何も片付いてはいないが、一笑と随歌の関係は少しずつ変わってきている。二度と戻れないかつての幸せな思い出を、初めて他人に語って聞かせると言わんばかりの「如今有你」は、既に告白ではないのか。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第15話~第16話。

あー、、、

あの人と会うと少し居心地が悪いだけ、という一笑の言葉は伏線か、、、慕容曜(左叶)がおそらく夏静石と密通しているマスクなんだわ。仮にそうなら、たった一人信頼のおける友人と感じている随歌は、またも裏切られてしまうのか。

この男には、自身の父親に辺境を守らせその命の危険も顧みない皇帝へ怒りはあるようだが、敵と密通する理由は他にもありそうだ。序盤に一瞬登場して何の役割を果たすのかと不思議だったが、マスクが本当に慕容曜なら、当に随歌の周りは敵ばかりだったのか。

とはいえ一人ではない。

互いの過去を隠すことなく正直に打ち明け合っている一笑と随歌は、既に同志を超えた関係になりつつある。母親の冤罪から始まった庄家の陰謀は、随歌の追及せねばならぬ最大の事案であり、あたしがヤッてやんよ二人とも、と随歌を守る覚悟の一笑の頼もしさは半端ではない。かつては夏静石へとそう忠誠を誓っていたが、道に反する恩人に盲目になるほど自己を見失うことなく、相手が敵国の皇子であっても、その真意を見極めて信頼を置く自己の持つ軸はブレない。この強さが李沁の顔面芝居と絶妙に合致してべらぼうに美しい。ゆえに相変わらず男性陣は霞んでいる。

あの殺し屋育成所も、夏静石の所有するものだと今回判明したため、恩人と思わされていただけだと気付いた一笑は、改めて信じるに値する人間ではないと感じたはずだ。

為了錦繍と口にし続ける夏静石にとっての都合の良い国造りのために、一体どれだけの命を犠牲にしてきたのだろうな。自身も毒で制される中、皇帝である弟を排除するため、心底腹黒いヤツだと思わせる逸話が続々明らかとなっているが、一笑に対してだけは罪悪は存在しているらしい。

 

一方の戯陽は、好いた男の気を引くことだけに執念を燃やす。皇帝に返納された夙印の令牌を食い入るように見ていた戯陽は、十中八九盗んで夏静石(敵国)へ渡すんだろうなぁこれは。公主という立場で甘やかされて育ちながら、己の恋心のために国を売るなどという行為には腹立たしさしかないが、嫁いだ後でも求める愛は得られず闇堕ちまっしぐらとなりそう。

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このポスター、悪戯っ子風味のある陳哲遠の表情がいい。

 

李沁が良すぎて凄く面白く観ているけど、撮影当初から楽しみにしていた「入青雲」が明日(10月8日)から始まってしまうよ!

 

つづく

 

追記ネタバレ 第17話~第18話。

ぐぬぬ、、、戯陽がどこまでも邪魔してくるよ。

これは誰もが予想出来たそのまんまの展開であり、赤マントをはためかせて現れた一笑との対比で余計に愚かさが際立つ結果となる。とはいえ、夏静石にとっては何をおいても自分を優先する妻の姿は何か感じるところはあったんだろうか。この献身を仇で返すようなことがあれば、生粋の悪だったことが証明されるが、国を揺るがせた結果と夏静石の随歌への殺意を目にしてもなお、変わらぬ戯陽の行く末はもはやどうでもいいわ、、、

 

このせいで一笑は随歌を救って重症を負うが、反面で、突然にして本心が随歌へ伝わったのは良かった点である。自分が想いを寄せているだけではないことを知った随歌の勢いのあるキスは安堵するものがあるが、唇の位置を確認するためか目は開けたままなのだね、、、

重症となった腕は凌峰の医術で完治するだろうから心配はしていない。

 

皇帝は娘に裏切られた心労で吐血昏睡という事態に陥るが、令牌を盗む前に戯陽が無理矢理飲ませていた汁に毒でも入れたんじゃないかと疑ってしまう。ただ夏静石の計画を知らぬはずの戯陽が、皇帝を殺める意味がないため、その線はさすがにないだろうが、仮にそうだとすれば恋愛脳も清々しいまである。

だだし可愛がっていた娘に裏切られ、期待を寄せる息子には反発されて、一人ぼっちの皇帝は本当に不憫である。正直に心中を語れば随歌にも真意は伝わるだろうに、頑なに過去の件を伏せているのはなぜなのか。

こうなると庄家が俄然勢いを増してくる。

戯陽もさながら、打算でその地位に君臨する皇后にもイライラするが、二皇子の気立ての良さが唯一幸いといったところである。その時になれば庄家の野望に反旗を翻してくれることを期待している。

 

ついに一笑がマスクの馬車を見付けたため、いよいよ悪巧み連中の目的が見えてきそう。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第19話~第20話。

夏静石の回想でうっすら分かっていたが、夏静炎は無能な上に身内にも暴挙を振るうクズだった。胸のはだけ方からチンピラ歩きまで、クズっぷりが全面に出る分かりやすさがイイ笑

太后の策略で皇帝となり、夏静石は辺境へと追いやられたが、散々冷遇されてきた太后やこの弟に憎しみを持ち、謀反を企てるのも不可避だという説得力がある。

夏静炎が賢帝だったとしても、同じことを行って玉座を奪うような野心が夏静石にあるのかは謎だが、続いて行くこの苦しみから逃れるために、百姓を犠牲にすることも、愛していたはずの一笑の命でも超えられるものはなかったようだ。

夏静炎が暴君すぎて途端に夏静石への不憫さが増す結果となるが、一笑が居なくなった今、一笑を超える存在になるべく肉親を裏切って着いて来た戯陽が頑張ったらいいと思う。それで愛を得られれば初志貫徹である。

 

一笑と随歌の方は、イチャイチャする間もなく次の展開が押し寄せて、共に過ごす時間はほぼないまま離ればなれとなる。

皇帝が目覚めない間、庄相の暗躍を躱さねばならない随歌は、一笑を危険に晒さないためには側に置いておくことは出来ない。一笑もまた、慕容曜がマスクだという事実を突き止めたものの、随歌にこれ以上の心労を与えぬよう、独自での解決に動いている。

慕容曜が夏静石の死士営へ尚書の殺害を命じたということは、庄相とも繋がっているはずだが、随歌へ直接的な恨みはないため、他の面で利害が一致しているんだろう。

未だ友人の顔をして随歌と接する慕容曜の裏切りが、遅かれ早かれ判明して受ける傷なら、今、一笑が掴んでいる事実を伝えても同じことなのでは、、、むしろ黙っていることで余計な問題が発生しないだろうか。

 

今回、皇帝が15年前から不治の病に侵されていることが分かるが、母親は皇帝の治癒を願い、凌峰へとその先を託して逝ってしまった。ここで、手の施せない病の治癒法がありそうな、寧非が連れて行かれた場所を思い付くが、この場所は随歌の母親が設立した組織であり、設立者の死の件で皇帝を恨む残された者達はおそらく手を貸さないという。

中盤を過ぎ、各方面の事情が段々と見えてきて謎の深まる展開を迎えているが、散らかっているように感じないのは脚本の腕かな。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第21話~第22話。

庄相が二皇子を玉座に就かせるために暗躍していた理由には、もっと根深いものがあった。庄相にとって二皇子はただのおまけなのだな、、、序盤に、しょうもない甥たち(一人は速攻でご臨終済み)に向かって、景珩だったらと自分の息子の死を心底嘆いていたが、おそらくこれは皇帝による命で赴いた戦か何かで、息子を失ってしまったんだろう。その事情はまだ明かされていないが、息子の死で皇帝へと恨みと募らせた庄相は、同じ思いを味わわせるために随歌の命を皇帝の面前で獲ろうとしているのである。

ただ権力を欲するだけの悪者と違い、そこに大事なものを失った苦しみが存在していたことで途端に人間味が増してきた。

慕容曜の言い分もまた、幼心に命の価値を見せ付けられる悔しさを味わった経験には実に説得力があり、こうなっても無理はないと思わされる。

特にこの様な時代では、階級が存在する限り、切り捨てられる側はこの事実を甘んじて受け入れねばならない。それでも庄相や慕容曜のように受け入れられぬ者が現れることも当然あるだろう。

立場が変わればこの二人の思いは、あながち腑に落ちぬ訳でもない悩ましいところが、脚本(原作かも?)の妙だなと感心する。

この様にして、向かってくる敵の存在を焦らすことなく明かしていく展開もストレスがなく、その理由も明確なため、いみふな人物のいみふな行動に憤りを感じることもない。

 

生まれながらにして特権を持つ随歌は、否が応でもこの運命を受け入れねばならない。ただ命を獲るという方法ではなく、互いにどこか救いのある最後を望んでいるが、一笑や随歌が手を下さずとも敵はどちらも自害という結果になりそうだよ、、、

 

一方の錦繍では、暴君の好き放題にされる夏静石を必死で庇う戯陽が謎に生き生きとしている。

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弟を失脚させて命を奪うために、用心深く計画遂行中の夏静石だが、この計画は戯陽の知るところではない。

ここで、自分を必死で守る妻を捨て駒にするのか否かで、夏静石への見方は変わってくるが、どちらに転ぶかは興味深いところ。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第23話~第24話。

あんなに皇帝を憎んでいるのは、庄相の息子には何も非はないのだろうと想像していたが、悪びれもせず私兵を養ってニッコニコの謀反予備軍だった。となると、この死はどうやっても逃れられなかった。

庄相によれば、これ以前に皇后へ手を下した事件が起こっていたため、初めから庄家が玉座を手にすることは目的の一つだったんだろう。皇后を死なせたその恨みで皇帝は息子を死へ追いやったと喚いていたが、いや、謀反を警戒してだろふつーに、、、そんなに息子が大事なら、自分が代わりになるくらいの気概があればまだ良かったが、そういう訳でもなくただの逆ギレだったとは驚きである。

今の慕容曜の立場は、今後のことを考えると同じ轍を踏みそうだが、あの父親なら息子の罪の責任を取って自ら命を絶つかもしれないね。

 

今回、やっと随歌の母親の真相が明かされるが、皇帝自らが率先して死へ追いやっていたことに驚いた。一国の王となれば、自身の選んだ息子を玉座に就かせるという考えに至る皇帝の言い分も分からんでもない。ゆえに皇后が一般的な皇后の考え方ではなかったことが不幸の始まりだった。庄相が玉座を狙っていることで、安直に別の娘を皇后に置くことも出来ない立場では、皇帝が諦めて二皇子に継がせるか、皇后が諦めて随歌に継がせるしかなく、皇帝にとってはこの選択しかなかったのかもとも思う。しかしその選択で息子には恨まれ続けて本末転倒なのだが。

随歌に母親似ではない野心があれば狙い通りだったことも、これは皇帝が随歌に固執した結果の惨事であり、随歌は完全なる被害者である。因みにあの母親の気質は一笑にそっくりだった笑

 

錦繍では、頑なに自分を拒む夏静石に怒りさせ覚え始めた戯陽がどこか揺らいでいないか。このままブレずに愛を貫けば、肉親を裏切ってまでも通した想いが恋愛脳という安っぽい言葉には値しなくなるんだけど。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第25話~第26話。

残り12話もあるのに、終盤かのような熱量で視聴者を襲ってくる。

 

随歌へ思いの丈をぶつけ、怒り狂った皇帝は一笑の死を望むが、それを随歌が実行するわけがない。父親に絶望しながら静かに去った随歌の背中を虚しい視線で追う皇帝は、入れ替わりで入って来た凌峰に、当時、心が離れたと思い込んでいた随歌の母親が、自分の治癒を望んでいた旨を聞かされ、ギリギリで保っていた心の軸は完全に折れてしまった。

愛が消えたのではない、貧しくとも幸せだったあの頃と変わってしまった夫を受け入れられなかっただけである。皇帝の地位など辞退していれば、尻に敷かれながらも家族仲良く幸せだったはずなのだ。父親が亡くなり、母と二人で送った苦渋の日々を自分の子には味わわせたくなかった気持ちは分かるが、愛した妻を見殺しにしたツケは、ひと時も忘れることは出来ぬ虚しい日々に回ってしまった。

 

皇帝の虚しい日々を想像し、しんみりしていたところで、次にやってきたのは、慕容仲(盧星宇)と息子の対話である。

どれだけ傷を負っても皇帝への忠誠は失くさず、辺境であろうと実直に国を思い尽力してきた慕容仲は、息子が庄相と手を組んで謀反を起こそうとしてることに衝撃を受ける。息子の言い分を聞きながら、憐憫のような絶望のような目を向ける慕容仲の思いと盧星宇の芝居が刺さりすぎて、ここでおいおい泣かされる。

さらにその後の、棘を背負って息子の罰を代わりに担おうとする姿には、これが庄相とは違うんだよと思わされたのだが、皇帝へは、庄相と同じ、息子への恩赦を必死に懇願していた、、、生気を失った皇帝はもはや力なく答えることしか出来ないが、おそらく息子に恩赦は下らないと慕容仲は受け取ったのだろうね。そうなると庄相と同じ轍を踏むのか否かが興味深いところである。

 

いよいよ随歌の命を奪う計画を実行に移した庄相は、百姓の中に刺客を潜り込ませ、白昼堂々と随歌の命を狙うが、これは平陵城で夏静石が随歌に仕掛けた戦法と同じではないか。

案の定、街中で皆が傷を負いながら刺客との乱戦となるが、私の目にはやはり一笑がダントツでイケていて、そこしか目に入らなかったよ笑

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随歌を待ち構える庄相は、ついにこの時が訪れたという興奮から、今となっては正常な精神は保てていない。この計画を達成すれば命も惜しくない剣幕で、ぴょんと足場のスイッチを踏むが、あと一息のところで一笑の矢が飛んでくる。

毎度毎度、見事に魅せ場を差し込んでくるよ、、、密室となったあの場でよもや一笑の矢が飛んでくるとは想像していなかった。

 

簡単に自害はさせてもらえない庄相は捕らわれて、見世物の如く街中をよたよたと歩かされるが、当然の報いとはいえ、その姿には哀しさしかなかった。これまで息子への仇討ちのため周到に用意した長年の計画はあっさりと阻止され、遂行出来なかった上に自害もままならない老いた姿を見るのはどこか虚しい思いが湧いた。

なにせ今回は、一笑の他に、皇帝、慕容仲、庄相のオジたちが全員良かった。やっぱオジよな、、、

 

皇宮では、皇后が謁見を求めて粘り強く佇んでいたが、皇帝は首を縦には振らない。ほどなく随歌が庄相を引きずり現れたことで事の重大さを理解した皇后は、父親の計画を知らされていないために訳が分からず乱心する。

かつて随歌の母親の死を黙って見ているだけだった皇后は、ひょっとしたら記憶も薄れてしまっていたのか、皇帝の「節哀」という言葉で、これが忘れたかのように生きてきた皇帝の、庄家への復讐だということを知る。(復讐といっても仕掛けたのは庄相なんだが。)耳元で皇帝が「節哀」と囁くシーンはゾクゾクしたよ。

二皇子を玉座に就けるという打算はあっても、皇帝への愛は持ち続けていた皇后は実に不憫であり、庄家でなければ皇帝も随歌を諦めて二皇子を跡継ぎに出来たかもしれないね。

 

一方の錦繍だが、冷遇に耐えかねてどうやら戯陽には愛を貫くことは出来なそうだよ。甘やかされて育ったせいか辛抱が足らず、音を上げるのが早すぎる。

しかも父兄を裏切って国を捨てたはずの戯陽は、皇帝の病状を耳にして戻ろうとさえしている。

いやいや、家族を捨てて夏静石を選んだのならそれを貫かんかい、、、国への裏切りはいつもの許して貰える我儘とは訳が違うのが分からないのか。

その上にだ、夏静炎の再三の「おもしれー女」を獲得し、若干気に入られた戯陽は、共に夏静石の命を奪う仲間として引きずり込まれそうになっている。

 

この2話は役者の熱量も相まって怒涛の展開だったが、12話も残っているため、まだまだ山は襲ってくる。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第27話~第28話。

前話もさながら本日2話分も、え?ひえぇっ??という衝撃回。

かつて母親にトドメを刺したその場所で、庄相の自白が終わったと同時に仇討ちを果たした随歌は、長年背負ってきた重荷をようやく降ろすことが出来た。

大皇子が仇討ちを達成し、部下たちに「大嫂!大嫂!」などと定番の冷やかしも入りながら喜び合うその裏側で、皇宮では、愛が憎しみに変わり果てた皇后が、皇帝を滅多刺しにしていた。

元々、皇帝に慈悲の欠片もなかったことでこれは予想出来たが、その場に現れた、最も忠臣だったはずの慕容仲が鬼と化したのにはひえっ!となる。

ただし、子の命が懸かる状況で、それも自分が手を下してもいない上に遅かれ早かれ落とす命なら、この好機を逃すまいと考えるのは分からんでもない。むしろこれまで皇帝へ良いように使われ、それを忠実に尽くしてきた慕容仲なら、その見返りという名の恩赦を得られないことに少しくらいは不満もあっただろう。

個人的には、慕容仲にはどこまでも正道を貫いて欲しかったが、大抵の親は子のためなら何でも出来るという典型を、意外な人物によって画面一杯で見せられる。

 

こうなると、当然、随歌の存在も邪魔になる。

慕容曜一人を救うため、皇宮のあらゆる側近を斬り殺し、果ては随歌の命も奪うこととなったこの惨事は、父親を巻き込んで鬼へと変貌させるつもりは到底なかった慕容曜が始めたことであり、どれだけ後悔しても後戻りは出来ない。随歌の命を獲ればその部下たちも消さねばならぬため、次から次へと罪を覆い隠すように命が奪われる、まさに血みどろ劇場となり、庄相など可愛いもんだったと今となっては思う。

 

あんなに滅多刺しにされて埋められれば、普通なら生きてはいないが、ドラマだという部分を排除すると、随歌の身体は日頃の鍛錬のおかげで強靭だったということなんだろう。

 

ここでついに謎の医療施設「風雨盟」の出番となるが、序盤に連れて行かれた寧非はどうなっているのかは不明である。ここが出て来たということは、寧非を救うために交わした代償をどう払うのかも明かされそう。

 

皇宮や城内では、全てが随歌の罪にされ、自身も亡くなったという話にされているが、埋めたはずの遺体が不明となったため、今後も慕容親子の追跡は続くだろう。

 

一方、錦繍では、完全に夫に見切りを付けた戯陽が今度は反撃に転ずるようだよ、、、求めた愛が得られず、今となっては憎しみさえ抱く戯陽は、この短い期間すら待てずに乱心し、反旗を翻すのか。だから恋愛脳などという薄っぺらい言葉で終わっちゃうんだよ。なるほど、ゆえにこういう人を恋愛脳と呼ぶのか。

とはいえ夏静石に非がないわけではないが、未だ不明なのは、なぜ敵国と手を組んで暗躍し、公主を娶る話になったのかだが、考えてみれば、まだ夏静石の目的は明かされていないよね。勝手に夏静炎を排除するためだと思っていたが、それだけなら自軍を投入して謀反を起こせば済む話で、敵国は関係なくないかな。

 

思えば、慕容曜も夏静石と手を組んで何をするつもりだったのかが明かされていないし、夏静炎がああまでして夏静石を憎む理由も分かっていない。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第29話~第32話。

瀕死の随歌を救うため風雨盟へ辿り着いたのはいいが、かつてこの場所は、夙砂に乗り込まれて多くの命が奪われた過去がある。この地の人間は、その殺戮を命じたのは鳳平城(元皇帝)だと信じ、ひたすら鳳家を恨んできたため、その息子である随歌を救うことに同意はしない。

それでも設立者である随歌の母親と同じ信念を一笑が持っていたことで、頑なな心は解かれて治療を許される結果となる。もちろん凌峰の必死の説得も後押しをしている。

 

ここでやっと序盤に送られた寧非の登場だが、この地で命を取り留め、屍のように日々を送っていた寧非の心が占めるものは、信じた仲間たちの一笑への裏切りである。それを自分のみが気付かずにいた罪悪と後悔を抱え、こんな自分に仲間だと名乗る資格はないことに苦しみ続けていた。かわいそうにな、、、幼いころから純粋に仲間を大切にしてきただけなのに。

ただし一笑は、彼の命が尽きかけたあの時と同じ、傷付きやつれた寧非を絶対に見捨てず、昔から変わらず仲間を光の方へ導き続けるのである。

 

同じように随歌の命も諦めることはない。

治癒者たちの尽力で、ほどなく盲目となって目覚めた随歌は、その視力を取り戻すために記憶を失うかもしれぬ治療を決断する。これは一笑も同じく、忘れられるかもしれぬ自分の存在を賭けた決断である。

案の定、愛した記憶は失うが、胸に受けた一笑の矢の痛みだけは強く記憶されていたようだ。そのおかげで一笑の存在を忘れてはいなかったことにどこか運命を感じる。その痛みは矢に射られた痛みではないんだね、、、

ほぼ笑うところではなかったのだが、一笑の姿を見る度に「ふぅいーしゃぉー、、、!(殺意)」となっている随歌がおもろすぎて笑っちゃったすまん。

 

度々の殺意の目にもめげず、どんなに絶望したとしても絶対に離れない、と約束したことを胸に、傷を負いながら記憶を取り戻す手助けを諦めぬ一笑は、そう長くかかることなく随歌の記憶へと戻ってきたようだ。まだやるべきことがあるため、記憶喪失にそう時間を掛けてはいられない。

 

記憶を取り戻し、身体も徐々に快方へ向かっている随歌は、やり残した皇后と慕親子との因縁に決着をつけるため、風雨盟を去ることにするが、ここで以前言われていた代償という名の自由を奪われる掟に阻まれる。風雨盟へ足を踏み入れた者は、二度と外へは出られないという掟である。これは、外部へ居住地を知られないための掟であり、余程、過去に攻め入られて付いた傷が深かったのだと思われる。

しかもこの風雨盟でも復讐心を抱いた者の陰謀が燻っており、瀕死から生還した随歌には、またも命の危機が迫っている。

 

この4話は、錦繍の様子も同時進行で描かれるが、こちらはこちらでほとんど狂気である。

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戯陽は恋愛脳というより、我儘の延長なのだな、、、

望むものは与えられぬという夏静石と、それを承知で父と兄を裏切り錦繍へ向かった戯陽は、辛抱もそこそこで得られぬ愛に見切りを付けて相手を恨み始め、父と兄の訃報でプッツンして仇討ちへと方向転換をする。しかし誰に仇討ちをしていいのか分からず、その怒りと仇討心は夏静石へと向かうが、そのために夏静炎を抱き込んで夏静石を潰そうとしている。

 

戯陽は、目的に対し、怯みもせず狂気ともいえる突き抜けた強さは持っているものの、個人的には、都度の感情に流され簡単に人を裏切るこの性質は、信念のような軸が見えずどうも信用ならぬところがある。戯陽には信念などを求められるような役割はないのかもしれないが、ただ飽きっぽくてどれも長く続かなそうな気質はこれまで甘やかされた結果であり、どうも魅力を見いだせない。それでも、そんな戯陽を好いた様子の夏静炎との狂気カップルがどうなるのかは興味深い。打算で側にいるだけだし、結局裏切るんだろうが。

今回の秦天宇、狂ってるな笑 相変わらず顔面がうるさくなくていい。

 

夏静石の方は、夏静炎の命を獲るために味方を募りながら着々と計画を進めているが、混乱の生じた夙砂へ戦を仕掛ける許可を得られて、実に嬉しそうにしていた。この機を夏静炎への謀反にも生かすのだろうが、最終的にはやはり随歌との対決になるんだろうか。解毒もどうなることやらだ。

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その夙砂では、二皇子が望まぬ登極をさせられたが、皇后から随歌の裏切りを聞かされてもやはり兄を信じているようだ。人の口からではなく自身の目で見てきたものを信じる、優しさの中にあるこの二皇子の強さは実に希望がある。このまま賢帝として国を治められる風格が見えているよ。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第33話~第34話。

あれ、これってもしかして、、、初志貫徹かもしれん。

夏静石はともかく、戯陽に関してはこの妄想が本当になれば、俄然、見直しちゃう案件だよ?

 

引き続き風雨盟の掟に阻まれる一行だが、周長老の目に殺意が見えたなどという鋭すぎる観察力で、腹に一物あると察した一笑と随歌は、自分達を利用して雷長老を嵌めるというこの長老たちの狙いを、ほぼ推測だけで当ててしまう笑

実際に、入れば出ることの出来ないこの地への不満、夫や子を奪われた不満など、雷長老が良かれと思い律してきたことは、半ば囚われの身となった住人達には苦渋でしかなったようだ。その心を知り、自分の独りよがりだったことに気付いた雷長老は、傷付きながらも潔く皆を解放することにする。

その後すぐに自由を手に入れた安姑と凌峰は共に周遊へと旅立ち、雪影と寧非は正念山荘へ留まり引き続き人々を救う日々を送ることとなり、段々と仲間たちの行く末は固まって行く。

ただ皆を危険から守るためだけに堅持してきた掟は、ここで遂に終わりを告げるが、いつかふと立ち止まって戻る者がいれば、門はいつでも開いている。

 

一笑と随歌は、わずかに残った部下たちと京へ戻っていよいよ慕容家や皇后へ戦いを挑む準備を始める。

随歌はその前に、ひたすら兄を信じて疑わなかった承陽(現皇帝)との再会を果たすが、広げた兄の腕と疑いもせずそこに飛び込む弟との抱擁はちょっと感動するところ。互いに親の陰謀を知りながら、兄弟の絆は決して揺るがなかったこの二人の関係は熱い。承陽は頼り気もなく無垢なようで芯の定まった子だったことに安心した。

 

34話の最後を観て、同じく期待を抱いているのが戯陽だが、夏静石の計画が成功を収める収めないは正直どうでもいいのだ。しかし自分の信念が定まらずフラフラしている戯陽が、実は、好いた男のために皇帝を翻弄している最中なのではないかと感じたことに期待が高まっている。仮にそれが本当なら、あの時、父と兄を裏切ってここまで着いて来た意味を果たすのである。となると、揺るぎない夏静石への想いを貫徹することになり、戯陽の存在が今の私の中では天辺を超えるかもしれん笑 敵同士のまま終わればそれはそれで仕方ないが、随歌や承陽の兄妹ならばそうあって欲しい思いが俄然湧いてきた。

ひょっとしたら、事前に夏静石と示し合わせているのかも、、、とも思う。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第35話~第38話(最終話)。

うん、過度な期待によって自分の妄想が暴走しただけだった笑

皇帝の私室から金印を盗み、父や兄、果ては国までも裏切った戯陽の行為は、私にとっては大きすぎる罪だったため、それに見合うような信念があるのかと期待していた。たとえそれが悪行だとしても関係なく最後まで寄り添って想いを貫くか、或いは完全に敵としてその手で夏静石を叩き斬って自身で決着をつけるか、ならその罪の責任を自分自身で担ったという清々しさがあった。

ただし、予想外に夏静炎の愛が深く、予想外に夏静石の一笑への執念が強すぎたために、戯陽の着地点は、やはり主演の随歌に我儘を許される世間知らずの公主というところへ落ち着かざるを得なかった。あの裏切りがあっても、絶対に妹を見捨てない随歌の気概を見せるための存在だと思えば、その役割である戯陽へ過度に期待をした自分が全ていけなかったと反省した笑

 

錦繍へ向かう少し前、承陽と再会した随歌は、協力して悪を断つ決意を固めるが、その一方で、悪巧みによる結束で承陽を皇帝に就かせた皇后と慕容仲の間には既に権力の奪い合いで対立が始まっていた。皇后はさておき、慕容仲の制御不能となった野心は、ついに息子を皇帝へと就かせるところまで来ている、、、煩悩とは恐ろしいものだ。

 

その対立も虚しく、鳳水営でさらに部下との結束を固めた随歌は、乗り込んできた慕容仲をサクッと排除し、長年信じてきた慕容曜との対決に挑むことになる。

簡単に剣の一斬りでは、受けた絶望と怒りは収まらなかったのか、一撃一撃痛みを感じながら拳を振り上げるが、その心に残る築いてきた幸せな日々への決別には哀しさしかなかった。

皇后もまた、命は獲られずとも別院へ送られることになるが、面影に負け続けた自分が、今となってもなお負けてしまった自分の存在に滑稽さを感じたのか、苦しみ続けた日々は自分の手で終わらせる最後となる。

 

この様にして、自国での因果を終わらせてから、初めの錦繍に戻るわけだが、物語の最後はこの地が舞台となる。

夏兄弟による血みどろの結末は、初めから、原因となる夏静石への冷遇と、その夏静炎や太后へ恨みを募らせた復讐の結果、という道筋が決まっていたため、夏静炎が命を獲られることは必至だった。

自分の命を乞うことはなくとも、戯陽の命は守りたかった夏静炎と、復讐に駆り立てられなければ愛した一笑と過ごせたかもしれぬ夏静石の、最後はなんだか愛の深い兄弟だったという感想に至る。

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幼い頃から三傑として苦楽を共にした一笑、寧非、蕭未然もまた、自分たちだけで三傑を終結させるが、一番苦しかったのは蕭未然だったろうと思うと辛くてたまらなかった。計画を知らされていたのが一笑だったなら、おそらく無辜を巻き込むことなく、真っ直ぐ夏静炎の命を獲りにいっただろう。そうする決断も出来ず、仲間を手に掛けた時に自分の死もとっくに覚悟していた蕭未然は、それでも忠誠を誓った主人の仇討ちまではと苦しみながらここまで来たのである。そう思うと、何も知らされてなかった寧非が、ある意味で一番幸運だった。

 

全体を通してみると、夙砂と錦繍で起こった全ては因果であり、それぞれ事情は違っていても、立場を変えればあながち筋違いでもない原因がそこにはあって、簡単に誰が悪かなどとは言えない複雑な思いが常に交錯していた。あれだけの登場人物全員に感情移入させるだけの背景を描き、それが散らかっているように感じないのは脚本、演出の腕なんだろう。

それでもやはり一笑と李沁の役柄の一致が、少なくとも自分を釘付けにして最後まで引っ張ってくれた要因だと思う。序盤と比べて終盤は、錦繍のインパクトが強すぎて存在が薄らいだとはいえ、最初から最後まで一笑を夢中になって観ていた。

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