入青云(入青雲)Love in the Clouds 全36話 | 一言難盡

一言難盡

Ture courage is about knowing not when to take a life,but when to spare one.

 『入青云(入青雲)Love in the Clouds』

2025年 10月〜 中国 全36話

 

監督 知竹

 

出演

纪伯宰(紀伯宰)→侯明昊

明意・明献→卢昱晓(盧昱曉)

 

 

ひたすら顔面の距離が近い笑

 

ネタバレ 第1話~第3話。

この世界では、毎年、六境で行われる青雲大会で勝利すれば、あらゆる恩恵を受けその地に繁栄をもたらすという仕組みがある。この大会で、七年連続で首位を誇る堯光山太子の明献は、今回も勝利を確信していたが、ぽっと現れた極星淵の紀伯宰にあっさりと敗北を許す。

敗北しただけでなく、自身の霊脈も破壊された明献は、紀伯宰の攻撃による付属品で離恨天という毒も背負うことになり、いずれ元神すらも燃え尽きる身体となってしまう。この離恨天とは、霊脈を持つ者はそれを奪われ、逆に持たない者には霊脈を生み出すという謎の仕様で、前者の明献は一年以内に解毒しない限り、全ての能力を奪われ最終的に朽ちていく。

 

視聴者から見る明献は女子の姿だが、劇中では妙術で男子の姿(左叶)に見えている。敗北して霊脈も断たれた明献は、それを取り戻して今一度勝利するため、本来の女子の姿に戻り解毒薬である黄梁夢を手に入れる計画を練る。

そのためには極星淵へ潜入し、紀伯宰に近付かなければならず、見え見えの芝居であっという間に無歸海(紀伯宰の住処)女主人の座を得ることになる。

女主人といっても揶揄い文句としての名称であり、紀伯宰は明意(女子用の名前)が何者なのかとひたすら疑っている。それでも打算のある極星淵神君の弟、 沐齊柏の配下よりはマシか、とそれを牽制するためにも利用を始める。

かわいい。

 

紀伯宰は、長い間、罪人として沉淵に囚われていたが、その罪名はまだ不明である。そもそも何者なのかも全然分からない。

今回の青雲大会で極星淵公主に召集されて勝利したことで、公主と紀伯宰の婚姻話に発展すれば、病に臥せる極星淵神君の代わりに次の神君を狙う自分の野望が叶わぬため、沐齊柏は美女をひたすら押し付けようとしているのである。同時に、明意を始め、六境全てが狙っている黄梁夢の行方も探っている。離恨天から生み出された霊脈を持つと噂される紀伯宰は、どうやら黄梁夢の行方も握っているようだ。

言笑役の全伊倫は今回悪巧み側のようだが、相変わらず瞳がキラキラで美しい。最近では主演のドラマも配信されていたようだから、次は自分が観られるところで主演作があるといいな。

 

紀伯宰の行動を予測して、あらゆる面を周到に準備している明意は、出自を探られても粗がなく全くバレていないことに驚く。紀伯宰の囚われていた沉淵の近くで薬草を採取していた両親が、その地に蔓延する毒で亡くなった、という設定は後々何かに意味を成すのだろうか。この件は紀伯宰にとっても少し引っかかったようだが、それが同情なのか疑惑なのかは見えなかった。

 

花月夜で酒を煽って、のらりくらりと過ごしているように見える紀伯宰の実際の姿は、過去に命を奪われた師父の仇を討とうとする義理堅く健気な男である。囚われていたのもおそらく理不尽な理由なんだろう。

明意の今の目的は解毒のみだが、共に暮らすうちに情もすぐに湧いて、いずれ悪巧み連中を成敗する方へ加わるのだと思われる。

他にも、明意は、堯光山太子の座を狙う乗雲君(おそらく義母兄弟)に追われているため、こちら側とも争うことになりそうだが、裏で師父を殺めた謎の人物と繋がってたりするのかな。

とにかく黄梁夢と玉座を巡ってのバトルとなりそう。

 

可哀想なわたしを絶賛演技中の明意の、さもしさもなく明るい性質を凄く気に入っているが、筍婆婆を丸め込むやり取りが微笑ましいため、最後まで裏切らず信頼を深めて欲しいな。嬉しいと触覚出るのがほんとかわいい笑
 
つづく
 

追記ネタバレ 第4話~第5話。

引き続き、周到に先を読んであざとく遊女を演じる明意だが、全く嫌味がなく、むしろ可愛すぎてすぐ好きになっちゃうだろ笑

紀伯宰はそんな明意を気に掛けているが、本気で騙されているのか未だ探っている最中なのか全く見えない。

今回、紀伯宰へ探りを入れた明意は、青雲大会で明献の命を残し、破壊した武器(鉄扇)を返す意志のある正道な人物だということも、離恨天は彼の仕業ではないことも知ることとなる。

となると太子の座を狙う乗雲君か、或いは太子の重荷から解放させたかった母親の可能性もある。

 

少し前に、悪巧みの一人である司判堂の后照を拉致って、彼の記憶で師父の最後を辿っていたが、アイツはあのままご臨終となったのだろうか。アイツの生死など特に興味はないが、対外的には未だ行方不明のため、次の堂主である司徒岭の祝宴に招待された二人は、ここで師父(博語嵐)の絵画を見せられる。

確か后照は沐齊柏の手下だったよね、ゆえに博一族の持ち物が沐齊柏の手にあるのは自然だが、紀伯宰に敢えて見せたのは、博語嵐との関係に気付いて、黄梁夢の行方を聞き出すつもりなんだろうか。沐齊柏が自ら白状するように仕向けると言っていたのを考えると、ひょっとして博語嵐はまだ生きているのかな。

因みに新堂主の司徒岭は、マイペースでさほどやる気もないが、悪巧みには絶対に加担しないと思う。

 

幼少から沉淵に囚われていた紀伯宰は、機会を狙って地上へと逃げ出したところを博語嵐に救われている。

博一族とは、離恨天と黄梁夢を代々煉制する一族であり、20年前に拠点が焼失してからはその一族の行方は不明だという。その生き残りがおそらく博語嵐であり、弟子となった紀伯宰へ離恨天を使って霊脈を与えたのもこの博語嵐なんだろう。

二人の師弟関係を今は知らずとも、紀伯宰の動揺に気付いた明意は、彼の信頼を得る自分の計画に利用できると考えて、その絵画を盗みに出掛ける。紀伯宰が同じように潜入することを見越していたんだろうが、その後に矢を受けて更に信頼を得るところまでが計算である。この明意の意図に紀伯宰が気付いているのかは謎であり、滲み出る優しさが本物かも不明だが、明意の中でも打算だけではない気持ちが湧きつつある。

 

一方の悪巧み側だと思っていた言笑は、元々は公主と心を寄せ合っていた男である。侍衛だった言笑は、ほどなく医術の道へ進み、今では極星淵神君の主治医となっているが、疑わしいことが増えて公主にとっては沐齊柏側の敵という認識に変わっている。

それでも公主の好いた気持ちは隠せていないが、言笑は何か理由があって沐齊柏側を装い彼を探っているのではないか。考えられるのは公主を守るためか、或いは沐齊柏への仇討ちだが、今は言笑の背景も全く見えないため、ただの妄想で根拠はない笑

キラキラしすぎて闇側だとは思えないんだよなぁ。

 

黄梁夢の行方を探す過程で、明意が発見した紀伯宰の霊屑井なるものは、序盤では体内にある識海のような場所だと想像していたが、あんな無防備な場所にあるもんなのかと面食らう笑

 

つづく

 

追記ネタバレ 第6話~第7話。

あのまま昇天したと思われた后照は、ただでは逝かせぬ紀伯宰の策で、己の悪事を公衆で自白して罰を受ける役割を果たす。

沐齊柏の管轄下である沉淵で、禁じられた離恨天を煉制していた后照は、この旨を神君へと白状するが、それを指揮する沐齊柏の名はギリギリのところで明かすことが出来ないまま塵となる。

この過程で、明意が出自を偽るための両親の死の設定が利用され、后照へ恨みを持つ娘の弱水と共に紀伯宰の仇討ち計画へと巻き込まれてしまう。利用されたことを分かりつつ、明意にも打算があるため、ここは話を合わせて乗り切るが、駒にされたことは彼への疑心としてその心に刻まれる。

 

紀伯宰の持つ霊脈は、てっきり師父の博語嵐が与えたものだと思っていたが、どうやら后照が沉淵で行っていた離恨天を煉制する過程で、その場にいた紀伯宰の身体にも霊脈が生み出されたということらしい。

序盤に、自身の記憶と交換で弱水を救うという約束を交わした后照は、純粋に娘を思う気持ちからだと思わされ、その娘からの裏切りには同情心が湧いたが、結局、娘を生贄にしていた事実で、私の心情的には相殺されて憂いなき最後を迎えられた笑

しかし親玉の沐齊柏は、神君の地位を狙いながら黄梁夢を追い求め、六境すらも掌握しようとしている。そのために沉淵の件を探る紀伯宰や、証人にされた明意と弱水の命を狙って、以前から養っていた妖獣(師父の命を奪った謎の男)を派遣している。他にも、刺客の役目を担う言笑が手下として動いているが、もしかすると公主や現神君の命を盾に脅されているのかもしれないな。自分への想いを確かめるために命を懸ける(毒飲み)公主も気合いが違う、、、

 

明意は紀伯宰に対し、未だ打算と好意の挟間を行ったり来たりしているが、紀伯宰の方はどうやら騙されていることに気付いていない節がある。優しくて純粋なのは元々の気質のようだよ。image

紀伯宰には、自分の仇討ちのために明意の両親の死を利用して巻き込んだことに少なからず罪悪があり、その償いをしようとして、不休に「友人の話なんだけど、、、」と言いながら相談を持ち掛けるが、不休にとってはその「友人」が誰なのかのみが重要らしい笑 ここはやはり触覚のかわいい筍婆婆の方が頼りになる。

毎度制止される不休の「あいつ殺してきます。」思考は、雁回時の柴靖を思い出すよ笑

 

マイペースの司徒岭は仕事にさほどやる気がなくとも、目撃した明意の行動を伏せてくれているのは、明意が明献だと気付いたからなんだろうか。

 

このドラマは、敵が誰なのか、目的が何なのかが初めから明確なため、分かりやすくて気に入っている。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第8話~第11話。

司徒岭は、幼少から心の支えだった明献をあっさりと見抜き、これまでとは打って変わって生き生きとし始める。姐姐呼びで纏わり付く司徒岭を、明意も無碍には出来ず距離はぐっと近付くが、それを目撃する度にぷんすこする紀伯宰の明意に対する距離感は、そのさらに上をいっている。

それでも司徒岭が味方となるとかなり心強い部分ではある。

 

博語嵐を拷問し、明意と弱水を狙った狐妖は、勛名という名の沐齊柏の義弟である。既に勛名の妻は亡くなっているが、沐齊柏は妹を死なせた勛名の罪悪感を利用して彼を支配している。

妻を忘れられず、似た娘を見付けては娶って幻想に閉じ込めるという行為を繰り返す勛名が次に目を付けたのは、明意が花月夜で懇意にしていた章台である。

あっという間に幻想内へ閉じ込められた章台を救うには、勛名の作った幻影を壊すしかないが、本人(勛名)にとって最も大事な記憶を見付け出してそれを再現せねばならない。

これに協力する気満々でも、敢えて取引だと思わせる紀伯宰は、弱水を安全圏へ逃がした時もそうだったように、その優しさを他人には見せたくないんだろうか。常にズレている不休の解釈が、紀伯宰にとっては助かっている部分でもある。

 

勛名の大事な記憶が、妻との挙式だということを突き止めた二人は、うっすらとそれを再現する役割が自分達にあると分かってはいる。それでも互いに心を寄せ始めていることを認めたくないせいか、もじもじして中々言い出せないのだが、やっと話がまとまっても余計な言い訳をぺらぺらと口走っているのを見ると、素直になれよとなる。

章台を救うための芝居という体裁だったにも関わらず、大勢が祝宴に現れたのには笑う。

 

その中でも、紀伯宰との婚姻を望んでいた公主だけはぷんすこで、権力を翳すという手段に出るが、紀伯宰を好いている訳ではない、ただ沐齊柏と戦うための武器が必要なのである。元々、権力を翳すような性質ではないのだろうが、今の一人ぼっちでその地位を守らねばならない立場では方法がないんだろう。個人的には、言笑は公主側だと信じているが、今はそれを公言する時ではないらしい。

 

勛名の幻想を壊すために行った挙式は、逆に勛名の罠にかかり、二人もろとも幻想内へと閉じ込められるが、この後に見せられた勛名と妻の過去が実に虚しい。

幸せだった日々を忘れられず沐齊柏の支配下で悪事を行っていた勛名の記憶は、実は沐齊柏が罪悪感を利用するために植え付けた偽の記憶であり、実際は妻に愛されたことなどなかったのである。

あの回想から考えると、勛名が一方的に好いていた妻を娶るために、自身の体内で妖獣を養うという条件で沐齊柏と取引した結果であり、当人である妻の意思はガン無視だったようだ。偽の思い出内では不憫に見えたが、元々、沐齊柏と同じく利己的な狐だったために、お前もな、という気持ちが否めなかった。

その対比のように、偽の挙式で幻影に閉じ込められた二人が互いを想う情の深さは、どうやら当人たちにも本物だったという確信に変わる。明献という身分を今は明かすことは出来ないが、ようやくその間に信頼が生まれたのはめでたい。

 

結果、幻想は破壊され、用無しとなった勛名は消滅させられるが、沐齊柏は妖獣の力を使って六境を支配するどころか、その上の神にまでなろうとしているらしい。その器じゃどうみても無理やろ、、、

黄梁夢がどれだけの力があるのかは謎だが、青雲大会で勝ち抜く力を得るために、司徒岭もそれを追っている。霊脈を持たぬ者に必要なのは離恨天なのではないの?黄梁夢がその役目も果たせるの?

この司徒岭だが、明意に身分を隠さねばならないのはなぜだろう、手下の浮月が狐族だということは彼も失踪中の狐族王子か何かか。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第12話。

失踪した明意の気配を追って長年の師父が突如現れたが、明意は師父にも行先やその理由を告げていなかったのか。とぼけていても師父には見抜かれて、從獣の二十七とまとめて叱られながら、頭をバシバシ叩かれる姿は父と子のようだね。師父の割に直情型で、裏表がなさそうなのも心強い。

感情豊かでその勢いで剣を抜いたりする師父を諫める役割は一番小さい二十七らしい笑 猫というより犬っぽい可愛さ。

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明意は、黄梁夢が紀伯宰の霊屑井に隠されていると疑って、機会を見て盗もうとしているが、霊屑井侵入が許可されるには本人の心からの信頼(愛)が必要だという。この信頼は既に獲得しているように思えるが、明意も同じように信頼を向けているため、騙すことに心苦しさはあるんだろう。

それに全く気付いていないのかは謎だが、紀伯宰は偽の婚姻を本物にしてもいいとさえ思っているようだ。

 

沐齊柏の妹が残した悪事の証言を元に、段々と裏の関係も見えてくるが、どうやら堯光山とも繋がっており、やはり離恨天を明意へ盛ったのは明心やその母親だという疑惑に辿り着く。(沐齊柏が沉淵で煉制していた離恨天が明心の手に渡った、という明意と師父の推測。)

明心って太子の座を狙う乗雲君のことだよね、、、確か。こいつが父親の堯光山神君へ明献の叛逆を示唆して、明献への信頼は揺らいでいる。それでも今の明意は父親に対して何の弁解も出来ない。

 

沐齊柏の方は、自分の手先を無歸海へ送り込もうとしていたため、紀伯宰と明意が自分の知らぬ間に婚姻を結んでいたことにぷんすこで、まずその矛先は明献の從獣である二十七へと向かう。ただ今のところは明献が明意だという事実は知らない。

この婚姻話を言笑が沐齊柏へ伏せていたということは、言笑にも何か打算があるのだと思われる。しかし沐齊柏の親族か何かの天然さんの役割は、和ませ役のボケ担当なのかな笑

 

次話の6分サービスで、幼少の明献と二十七の描写があるが、もうね、二十七が仰天するくらい可愛いんだけど、、、明献を励ます姿も、煮干をちみちみ食ってる小動物風の成りも全てが可愛すぎる。今の二十七(于垚)のミニサイズとも言えるこの配役はセンスがあるね。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第13話~第14話。

案の定、沉淵へ潜入した二十七は沐齊柏の手下に囚われる。

十字架吊りで痛めつけられる姿にはハラハラしたが、霊獣というだけあって、自身でそこから逃れたことに安堵する。

しかしその後を追って、沐齊柏は無歸海へと辿り着いてしまった。紀伯宰の居ぬ間に突如現れた沐齊柏は、所持していた追緝鏡を馬鹿みたいに振りかざし、その特殊な仕様で迷わず指された明意は、またも正体が暴かれる窮地へ追い込まれる。

明意の危機を察した紀伯宰はすぐに戻って来るが、追緝鏡で証明された明意の身分を理由に、敵と通じている紀伯宰を糾弾する機会を得た沐齊柏が謎に生き生きしていて腹が立つ。

問答している間に現れた公主は、やんわりと沐齊柏を跳ねのけて二人を庇うが、続いて登場した司徒岭に、それって堯光山の持ち物だよね、あんたが追緝鏡を持ってんのおかしくね?ってことはあんたが敵と通じてるんじゃないの?などと、しっかり痛いところを突かれてやり込められる。

結局、紀伯宰の霊力でくーるくるにされた追緝鏡は、相手もまたその手法で操作が可能だという証明となり、危機を逃れるかと思ったが、姻縁石で心印を結ぶことが出来れば、はっきりと身分を証明することが出来る、という余計な話に発展する。

 

身分を騙って潜入している明意には、実に都合の悪い展開となるが、自分は騙されているのか、という思いが脳内を過ぎったはずの紀伯宰も真偽を確かめたかったのか、望んで姻縁石へと名を刻むことに挑む。純粋に愛し合っている者同士ならば、おそらくすんなりと名を刻むことが出来たはずだが、そこに偽りがあれば、天罰が下るという仕様の姻縁石を前に、明意が躊躇いを見せたことで紀伯宰は自分が騙されていたことを知る。

いずれ明意と心印を結ぶつもりだった紀伯宰は、筍婆婆が言っていた星雨の浪漫話を実現させるべくそれを準備していた純粋な男である。集めた星輝がこんな気持ちの中で散らばったことには虚しさしかないが、罰を受けながらも姻縁石に名を刻み心印を結ぶ儀式を果たす。もう罰を与えることに疲れたからいいや、という理由で許されたのが適当すぎる笑

 

二人の心中はちぐはぐでも、明意の身分は証明されたため、沐齊柏はさっさと退散したが、信じる者に裏切られた紀伯宰の心は傷付き、その態度は一気に振り出しに戻る。明意にとっても騙していたことが知られた今では、やむを得ず自分の正体を明かすのかと思ったが、明献の婚約者だとまた嘘を重ねる明意にへ?っとなった。これが知られてしまえば、再び紀伯宰を傷付けることにならないか。

明意にも紀伯宰への想いは存在しているが、元々、黄梁夢を手に入れて解毒することが最大の目的のため、それを果たすまでは正体を知られるわけにはいかない。それは分かるが、騙されっぱなしでそれを素直に信じる純粋な紀伯宰が不憫だよ。

 

心印を結んだことにより、おそらく霊屑井への侵入も可能となった明意だが、紀伯宰の憤怒と疑惑は拭えず、牢へと監禁されることになる。それでも二十七を返し、寒さをしのぐ練炭もぶっきらぼうに与える紀伯宰にはまだ愛が残っている。騙している罪悪とその優しさを明意が実際にどう感じているのかは謎だが、これまでと同じように茶化すような態度はどうかと思うわ。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第15話~第18話。

しばし牢へ放り込まれた明意だったが、名目上(明献の婚約者)としての敵と紀伯宰の敵は共通しているため、一旦、手を組んで同じ目的へ向かうことを提案する。

紀伯宰もそれを了承して、早速二人の芝居が始まるが、まずは夫婦喧嘩を装って沐齊柏を呼び出し、その隙に住処である龍鯉台を探ることにする。毎度毎度、孫遼に捕まる二十七は傷だらけでも、今回は、二十七の動向を探っていた不休が助太刀に現れる。この二人はどちらも從獣だが、不休は龍族、二十七は猫族のため、並ぶと性質の違いが見えて面白い。二十七の可愛すぎる「魚たべる?」を完全スルーの不休が笑える。

 

孫遼に邪魔されたものの、龍鯉台を探ったことに成果はあり、どうやら屋敷を覆っている謎の樹が怪しいことに気付く。これが少し前の孫遼と沐齊柏の会話で出ていた食霊樹だと分かってくるが、この時点では何をするためなのか謎だった。

紀伯宰はその樹を探るため龍鯉台へ向かうが、出掛けている隙に明意は紀伯宰の霊屑井へと侵入する。明意には命の猶予がほぼ残っていないため、血印で封じられていなければそれを盗んでいたかもしれない、もちろん後ろめたさはあるんだろうが。

 

食霊樹とは、逐水霊洲の王子と沐齊柏が妖獣軍を結成するために、紀伯宰のような無辜の人々を捕えて、その元神を妖獣兵への肥しにしていた源である。薄々見えていたが、沉淵に捕らえられた人々がどこか無辜に見えたのは、言葉通り無辜だったからである。同じように、妖獣は傀儡兵士にするために捕らえられていたが、一番無念だったのは、目的のために利用した格好となった弱水もその中にいたこと。

紀伯宰にとってのこの事情は、自分が仇討ちのために沐齊柏を追い込んだ結果が大勢の命を奪ったという意味であり、自責に駆られて立ち直れないほど絶望する。

 

この間、明意は霊屑井の内部で、結んだ心印を通して同じ痛みを受けていた。フラフラで戻った紀伯宰を抱きかかえ、心印を結んだ者にしか分らぬその痛みは、明意に新たな決断を促す結果となる。

その後の「一個活着的壞人和一個死去的好人」という言葉で、自分の命を二の次にしたことが見えた瞬間は、明意の真心を感じてなんだか嬉しかった。第三の選択肢である「老不死的好人」、うん、気持ちは分かるよ。

 

妖獣軍が完成する前にこれを阻止せねばならぬ二人は、早速、その元神を吸収して破壊する儀式を始めるが、これも複雑な手間と抑え込むだけの霊力を堅持せねばならない。過去に受けた仕打ちの数々が残る心の闇に呑み込まれぬよう、自分を制御するのは苦しいだろう、、、回想の度に紀伯宰の不憫さが増していく。

その間、外界では、沐齊柏が必死こいて自分の罪を紀伯宰へ擦り付けるための策を練っていた。そのために天然くん(孟陽秋)を利用するのだが、こういう悪気のない無知で真っ直ぐなやつが一番怖い。

結果、予想通りの展開にめんどくせぇやつだな、となる。この点、一心に明意の力になろうとしている司徒岭も、同じように警戒しているが、何者かと思っていたこの男は、なんと逐水霊洲の王子(晁元)だったらしい。逐水霊洲の長男(晁羽)は、沐齊柏と一緒になって悪巧みを画策している男であり、むしろ晁羽の方に主導権はある。全ては父親へ自己を顕示するためだが、この父親も結局、六境を支配することが目的なんだろう。ここに堯光山も絡んでいるため、思いのほか六境上層部は煩悩に支配されている。それにしても晁羽がクズすぎる、、、

 

ともかく天然くんの煩わしい正義感で、制御していた妖力が暴れ始めた紀伯宰は、一旦その場を退散することになり瀕死に陥る。

ここで意識を失った紀伯宰の回復への時間を稼ぐため、不休が沐齊柏を足止めに向かうのだが、毎度どこかズレている不休の現身がべらぼうにイケていて歓喜する笑

その間、明意は、敵と味方の間を行ったり来たりで霊力の消耗も限界にまで達しているが、それに構ってはいられないほどの想いが既に存在している。段々と心に変化は現れていたものの、心印を通して受けた同じ痛みがその心に乗っかって加速している。

 

危うく妖獣軍育成の罪を押し付けられそうになった危機は、司徒岭の策と紀伯宰の機転で今回も回避し、沐齊柏は部下に罪を押し付け再びすごすごと退散する。

 

ちょいちょいカットインする、言笑と浮月の義理堅い逸話もなんだか切ないんだが、言笑に関してはその相手が悪人すぎて気の毒だよ。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第19話~第23話。

またもや紀伯宰を排除することに失敗した沐齊柏は、晁羽の入れ知恵で明意を捕えることにするが、囮に使われるのは章台である。被害に遭ってばかりの章台、、、

章台を二十七との連携で救った明意はそのまま囚われるが、拷問の後に待っていたのは、勾魂攝魄とかいう自白を促す法器である。黄梁夢の行方を執拗に求める沐齊柏は、ここで母親という弱点を突いてくるが、明意の意思は固く、結局、紀伯宰が気付いて飛んで来るまで口を割らなかった。

別の空間では、兄貴に囚われた晁元(司徒岭)がその拷問の様子を見せられていたが、以前、法器の簪を無理に奪った晁元にとってもこれは拷問である。今までと違っていたのは、痛めつけられて反抗出来なかった晁元が、今回は反撃して命まで獲ったことである。それを後悔というよりも、ずっとこうしたかった思いが後の満足気な顔に出ている。父親がろくでもないために、逐水霊洲は長男も次男もクズだった。

 

てかね、勾魂攝魄から始まって、紀伯宰が闇に打ち勝ち妖獣の元神を制御するまでがめっちゃ長いんだけど。すんげー溜めるじゃん笑 いや大事なところだからいいんだけどもさ。

この件で一番熱かったのは、明意救うために一人で立ち向かおうとしていた二十七の背面に不休が待ち構えていたこと。主人の窮地でやるべきことは同じ從獣二人の強い足取りに信念が見えた。

 

勾魂攝魄で朦朧とした明意を救い出し、屋敷に連れ帰った紀伯宰は、思いがけず明意の本心を聞くことになるが、なるほど、姻縁石まで通過出来たのは、あの時既に気持ちは同じだったんだね。

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水滴の効果を生かして幻想的に撮られていたせいで、このシーンはエロい。

 

極星淵では、公主と言笑の互いの気持ちは極まったまま、立場は敵対しているが、言笑にとってはやっと時が訪れたらしく、公主側へと行動は変化していく。そのおかげで神君は目を覚ますが、まだまだピンピンしている沐齊柏は、妖獣軍を奪われた後の次の策も練っていた。よもやあの手下が身を捧げて妖獣になるとは、、、

逐水霊洲の駒の如く扱っていた沐齊柏が、独自で妖獣を動かし始めたことに腹を立てた逐水霊洲神君は、忘れかけていた存在の明心と共に、さらに隠し持っていた妖獣を参戦させる事態となる。悪巧み同士の権力の奪い合いは実に迷惑な上、この始末を付けるのは紀伯宰と明意なんだけどね。

 

この戦いで、固く結ばれた者同士のみが実現できるという「同心陣」を成功させ、妖獣の元神を封印出来たのは、絆もさらに深まることになって良かったんだが、霊力を使いすぎた明意の命は既に尽きかけている。それでも本当の事情を明かせば、紀伯宰を傷付けてしまうことが今は耐えられないようだ。

 

結果、沐齊柏の望んだ未来は一つも叶わず塵となり、これで極星淵にはしばしの安寧が訪れるが、まだ根源は絶たれていないため、全然すっきりしていない。それでも公主と言笑のわだかまりが解消したことは良かった点である。これまでのキラキラ言笑の献身には泣けたよ。

 

目的だった相手への師父の仇討ちを果たした紀伯宰は、目下、あふれる愛を明意へと注いでいるが、未だ明意の事情は隠されたままである。沐齊柏への仇討ちが終われば、次は黄梁夢を手に入れねばならない明意は、諦めることも紀伯宰へ縋ることもない。

命がなくなれば全ては無に帰するため、どうやっても黄梁夢は必要なのだが、明意が事情を打ち明ければ紀伯宰は命を救うためにそれを使うだろう。ただしそれは師父との約束をたがえさせることになるため、彼に負債を負わせたくない気持ちがある。

結局、黙って自分が盗むことを選んだ明意は、憎まれる方を選択するのである。盗まれたのなら紀伯宰が誓いを破ったわけではないからね。

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今生の別れを決意し、いよいよ霊屑井へと侵入するが、裏切りに対する痛みが心印を通して紀伯宰にも伝わっていた。

お前も他の奴らと同じか、と絶望する紀伯宰の横を、何も得られず愛した男の憎しみだけを背負って通りすぎる明意は、なんだか虚しい思いが湧いただろう。

個人的には、心印で明意の心の痛みは感じたよね、何があっても信じると言ってたのは嘘だったんかい、という気持ちになったが、紀伯宰にとっては何よりも耐え難い裏切りだったんだろう。

 

こうなると明意の解毒は不可能となり、命が尽きるだけだけど、、、などと考えていたら、その命を自分の命に換えて二十七が塵となったことにひっくり返りそうになった。しかもこれは解毒ではなく、尽きる時間をいくらばかりか延ばすためにである。

紀伯宰と決別したとしても、二十七の存在でそう絶望はしていなかったのに、この結果は全く望んでいなかった、、、鈴に戻した神識で重生してくんないかな。

 

明意を気に掛ける者の中で、望みは晁元の存在のみである。

勾魂攝魄の反動で離恨天が加速した明意の身体には霊力はほとんど残っていない。この勾魂攝魄という法器は、逐水霊洲の者になら離恨天を緩和出来る作用があるらしいが、明意に対しては意味がない。ただし逐水霊洲の血を明意の霊脈に流せば、同じ作用が得られるという。そのため晁元は、ひたすら隠してきた身分を晒して明意を救うことを選択する。

 

紀伯宰の元へ向かおうとする晁元へ、黄梁夢は存在しないと明意が言ったのは守るための嘘だよね。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第24話~第27話。

自分の身分や、離恨天で侵されていることを紀伯宰には知らせずとも、先に章台へ打ち明けるんだね笑 それを聞いても全く動じず変わらぬ友情を保つ章台には安堵する。

相変わらず明意を生かすことだけのみを考える晁元は、黄梁夢を手に入れることに必死になっている。ほどなく浮月が探ってきた結果で、博家の残した黄梁夢の精製方法が上下冊で残されていることが判明する。

皆は力を尽くすつもりでも、自分の事情に他人を巻き込むことを恐れた明意は、一人で沉淵へ向かうことを決断するが、その間も離恨天の反動は待ってはくれない。途中で息絶え絶えとなった明意を小走りで駆け付け救うのは、勿論あの時別れを告げたはずの紀伯宰である。元々優しい性分で、気持ちは何も変わっていないのだから当然そうなる笑

必死こいて駆け付け明意を救ったものの、ここでも紀伯宰は、明献の事情を持ち出したりなどして無駄な会話を続け、その返答などに嫉妬混じりでぷんすこしているが、一人だけ何も知らされぬ滑稽な立ち位置でほんとかわいそう笑

 

傍らで、紀伯宰は食霊樹を断って沉淵を永遠に封印するために動き始め、博家の残した上冊という目的が同じの晁元、明意、野望を遂行中の逐水霊洲次男、皆が沉淵で鉢合わせをする。ただし次男以外は明意側のため、当然、他の二人にやられるわけだが、この次男に手を下すのはやはり晁元だった。長男も次男も消えたとなると、どうやら逐水霊洲に残った息子は霊脈を持たぬ晁元のみとなり、親父にとっての駒は今まで目もくれなかった晁元ただ一人となってしまう。その怒りで痛めつけられた晁元への浮月の献身は限りないが、晁元の脳内は明意で占められており、報われることのない想いが毎度不憫である。

 

その間、極星淵では、食霊樹を断った反動で瘴気が蔓延し始めていた。これも逐水霊洲神君の仕業なのだが、極星淵神君はこの瘴気から住民を守るため、その身を捧げて街を封印し塵となってしまう。父を亡くした公主は絶望するが、側に言笑がいることで安心感はある。

 

上冊を手に入れた後は、下冊を探さねばならないが、この行方は、かつて火事で焼失したという博一族の故郷へ隠されているという。この地は博家の血脈でなければ足を踏み入れられないが、一旦そこへ向かうことにした明意は、ここでも紀伯宰と遭遇することになる。

少し前に、明意が明献だと確信していた紀伯宰は、それを確認するために現れたのである。既に身分を確信し、離恨天に侵されているのも本人だと知った紀伯宰は、「(自分が)思ってた以上に(君の存在は)重要だった。」とか言っちゃって好いた気持ちが再び隠せなくなっている。明意を見る目が優しいんだこれが。

 

劇中では、博家の血脈が紀伯宰だと思われて話が進んでいたため、その血では結界内へは入れず明意が入れたことに驚いたが、博語嵐の姉が言っていた、身分を知られぬようにしている自分の娘とは誰なんだろう、、、仮に明意が博家の血を引く者ならあの場で言ったはずだが、そうは言ってなかったよね。となると周辺でそれらしき者は章台しかいないけど、、、章台は以前、突然、霊脈が現れたと言って喜んでたよね確か。仮にそうなら、あの地へ入れたのも、何度も章台を助けた明意なら有りえる。まあ妄想ですが。

他に気になるのは、紀伯宰の知らぬところの博語嵐が心苦しく思う謎の事情だが、これは後に明かされるんだろう。

 

とにかく博語嵐から受け取った一冊で、黄梁夢の精製方法を得るという目標は達成したため、次はその材料を集めねばならないが、同時に堯光山太子の座が明心に渡る前にコイツの悪事を暴かねばならない。

そこで、近々行われる今年の青雲大会で極星淵のメンバーと共に堯光山の茶会への参加資格を、公主との取引で得ることになる。ただしこの大会に合わせた逐水霊洲の悪巧みで、再び六境は混乱に陥りそうだけど。

 

一方の晁元は、材料取得の難易度に頭を悩ませ、( ゚д゚)ハッ!と思い付いた方法で、その身を犠牲に狐族の禁忌である謎の術に手を染めて明意の命を延ばすヤクを作り出すが、これが後々、妖獣に支配されそうな雰囲気を出している。以前、沐齊柏の落とした指輪を同じように人差し指に嵌めていたが、なぜそれを手放さないのだ、、、闇堕ちまっしぐらではないか。

 

晁元の飲ませた謎の血で、霊脈が戻り離恨天の反動を感じることのなくなった明意は、二十七を重生させる希望にも浮かれて、その代償が何かも知らずにいるが、晁元は一体どうなってしまうのだろうな、真っ直ぐすぎる想いが若干怖いよ。

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二十七が僅かな神識だけとなった事実を知った不休が、落ち込んで釣りを始める姿はめちゃ切ない。

 

霊脈を取り戻せたのが晁元の功だと知った紀伯宰は、実に複雑な面持ちだったが、そのせいなのか今まで話題にも出さなかった黄梁夢を明意のために使用するとか言い始めた。

離恨天は、霊脈を持たない者にそれを生み出すという作用に加え、毒も漏れなくついてくるのか。ゆえに紀伯宰にも黄梁夢が必要なのだが、明意に使うとなると、今はその反動が博語嵐の妙術で抑えられていても、いつか離恨天の反動が表れたとき、自分の解毒はどうするつもりなんだろうか。ここが不休の最も懸念する点だけど。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第28話。

前話の最後を今一度観ていたら、不休は、「給了她?」(過去形)と言っていた。どこで紀伯宰が黄梁夢を明意にあげていたのかと思い、一話先まで戻ってみたが、そんな描写はなかったため、28話目を観始めたら、なんと、博家への潜入時に洞窟であげた葱油餅に混ぜて食わせていた!

なるほど、あそこで一粒も無駄にするなと言っていたのはそういう訳だったか。晁元のおかげだと明意が言っていた時などは、効果音付きの困惑顔が若干不自然に見えたのは、解毒したのは自分なのに、、、という思いがあったからなんだね笑

この描写が、明意の勘違いの前に入っていれば、紀伯宰と一緒になって、おい!となったところなんだが。

とにかく、己の命を二の次にしたこの主人の行為で、從獣がスラングを使いまくっているのは笑えるが、本人はその身を案じて本気で腹を立てているのがなんだか愛しい。

 

相変わらず晁元の脳内は明意で占められているが、その明意の視線の先には常に紀伯宰の存在がある。どれだけ代償を払っても、明意が自分へ想いを向けることはなく、これまでの犠牲は何だったのかと虚しく感じているようだ。うーん、尽くしただけの見返りが欲しいのか、、、確かにそれは理解出来る。ただそうなると見返りが得られなければ、その想いは真逆に転ずる可能性もある。浮月なんて見返りなどなくても、晁元のために再び傷だらけになって黄梁夢の精製方法を複製してきたではないか。

結果、闇落ち確定のようだが、かつての沐齊柏と同じ、天をも負かす方へと向かうらしい。今のところは父親をそそのかして、黄梁夢精製のために必要な幻の帝屋木心の株を手に入れたが、用済みとなったらすぐに親父も滅するつもりなんだろう。

この株は、親父が沐齊柏を使って博語嵐から奪い取ったらしいが、黄梁夢を作り出すためにこの材料が必要なことを、あの冊子も見ていないはずのこの親父はなぜ知っていたのかな。まあこの辺はどうでもいいか、、、この親子はどちらも利用し合って情などは存在していない。

 

一方、明意と紀伯宰の方は、偶然手に入れた住事鏡を通して沐齊柏と明心の密通を確信し、離恨天を盛ったのもどうやら明心だという結論に達する。ひとまず二人は茶会へ潜入してもう一片を手に入れることが目下の目的となる。

ここで紀伯宰が晁元の身分を明かすが、あの時、正体が判明したと思っていたのも、明意にはそこまでは分かっていなかったらしい。どうやら明意は晁元を見捨てない方向のようだし、堕ちた晁元を光の方へ引っ張り上げられるかもしれない。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第29話~第31話。

見事に闇堕ち真っ最中の晁元は、次は明心を使って明意を手に入れようと考える。正攻法では手に入れられないため、結局、力技となってしまうが、妖獣の囁きのせいでそれが愚かな行為だとは気付かず、力を得て天をも負かすと息巻いている。しかしそれも明意を側に立つためのどこまでも初心を忘れぬ想いのみが根源である。

 

いよいよ明意は紀伯宰と共に堯光山へと乗り込み、明心の挑発に乗って住事鏡の最後の一片を手に入れる。二人の悪巧みの記録が残されている住事鏡を完成させたことで、ひとまずは堯光山神君へ自分の潔白証明と明心の敵との内通の証拠の確保は出来た。

 

この後は、二人の出自が一気に明かされる。

結果、明意は博家の血脈であり紀伯宰は堯光山太子だったようだよ。博一族の故郷で、博語嵐の姉の子が唯一この血脈を持つ娘だと言っていたが、明意があの地に入れたのは、本人が血脈を持つ存在だったというそのままの意味だったらしい。しかも父親が明意の師父だったという事実で、あれやこれやの引っかかった部分は一気に解決する。振り返ると伏線は張られていたものの、その時は全く師父へは繋がっていなかった。

紀伯宰も同じく、判明した出自がよもや堯光山太子だとは思わず驚いたが、なるほど、殊更に額の印を強調していた辺りに伏線は張られていたんだね。

霊脈を持たずに生まれた太子と、博語嵐の姉が産んだ博家の血脈が入れ替わり、運命によって再び元の位置に戻ったわけだが、同時に、博語嵐が紀伯宰へ顔向け出来なかった理由も明かされる。

姉の子を奪われ、怒りに任せて捨てた紀伯宰が、沉淵へ囚われている事実を知った博語嵐が、そこから救ったのは偶然ではなかったようだ。あんな赤子の頃から薄暗い沉淵での日々を強いられ、誰の手で育てられたかも不明だが、あの滲み出る性根の良さが培われたのは本質が環境を超えた結果か、或いは本質を上回る環境のおかげか。

この環境という広範囲に及ぶ言葉を普段から簡単に使っているが、辞書によれば、人間または生物を取り巻くまわりの状況。そのものと何らかの関係を持ち、影響を与えるものとして見た外界。という意味で、人と人との関係だけに置き換えるととても深いなと思いました、、、

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騙して黄梁夢を手に入れようとした明意を憎み切れず、師父との約束を違えてまでその命を救った紀伯宰は、解除した心印を再び結ぶことになり、溢れ出る愛は止まらない。今となっては黄梁夢で救われた明意にもその事実は明かされ、二人の想いは不動の域へ達している。

明心の野心による悪巧みも暴露し、太子が紀伯宰であることも周知となったが、唐突に明かされた事実を堯光山神君が受け入れて判断を下すには、どうみても考える時間が必要である。この後は逐水霊洲の悪巧みで天に楯突く計画も控えており、紀伯宰や明意の存在が不可欠となるため、いずれ許されるのだろうが、紀伯宰の離恨天が活発になり始めるとマズい。

 

黄梁夢を巡り、先手に回る晁元も絡んできそうだが、結局、明意を救うために紀伯宰の命は消えてしまいそう。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第32話~第36話(最終話)。

不休の言葉でフラグが立っていた通り、霊力が戻らぬまま霊屑井へ明意を退避させた紀伯宰は、体内の離恨天が暴走を始めてしまった。以前、明意のために使用した黄梁夢は、霊屑井を保てないほど多大な霊力を使って煉制したため、霊脈すらも断たれそうになっている。その上、離恨天が暴走したとなれば消滅していく時間は止められない。

 

百年前から逐水霊洲神君によって準備されていた呑天陣法は、この世に存在する元神全てを吸収し、結果的に呑天陣と繋がった者がその力を得られるとかいう代物だが、この封を解くことが出来るのは離恨天と黄梁夢を所持する者のみであり、条件に合う人間は紀伯宰たった一人である。その上、封印するには自分の命を犠牲にするしかない仕様となっている。これは、、、完全に長月燼明の同悲道と同じではないか。

この事実を、博語嵐の絵画を通して知った紀伯宰は、この時から自分が封印せねばならないと思っていたんだろう。この事を明意には知られぬよう姻縁石へ刻んだ名を白紙に戻し、心印も解いた紀伯宰はここで永遠の別れを告げることになる。主人の覚悟を止めることも出来ず、涙を流すしかない不休の気持ちを想像するとたまらないな。

一方、事情を知らぬ明意は、これまでの情全てを解消されたことに呆然と立ち尽くしていたが、このタイミングで二十七が戻ってきたことで若干の救いはあった。戻ってきてくれて嬉しい、、、

 

別れを告げたとはいえ、最後に一目だけという想いには抗えず、明意の前に現れた紀伯宰は、今生の別れを心では惜しみながらも、その理由は絶対に口にせぬ姿は実に切ない思いをする。

たたでさえ時間は残っていないが、晁元の追い打ち技で瀕死となった紀伯宰は、呑天陣を封印する前に命を落とした時のために、最後は残った元神で封印することを不休へと託す。そのために從獣の契りも解除しようとするが、不休の早口で捲る己の信念には泣けた。あのプライドの高い不休が明意へ膝を付いて懇願するほど迫っていた危機は、明意に全てが明かされたために一時的に回避することが出来た。

 

一方で、逐水霊洲神君の悲願である六境の支配は、晁元が兄貴の霊力を奪って完成させた黄梁夢で現実味を帯びて来るが、当然、その野望は晁元に奪われ、生きる屍と化す。かつて愛した女を生贄にし、百年かけた野望を達成する直前に駒である息子に裏切られるなど、これまでの行いのツケが回ってきたという他ない。

これで晁元は完全に妖獣と一体になり、闇へと落ちてしまった。

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一時的に命の危機は回避出来たものの、紀伯宰の離恨天は未だ解毒されていない。そのため晁元の完成させた帝屋木心を奪いに向かうが、目が覚めたら婚衣を着せられていたという定番の流れを経て、晁元と対峙することとなる。

序盤の明意に憧れていたキラキラ感は失せ、淀んだ空気を纏い、欲望のままに突き進む姿を見ていたら、以前、天然くん(孟陽秋)と同じ、真っ直ぐで怖いと感じたことを思い出した。

この二人は好いた女を一途に想い続け、一見、同タイプでどちらも警戒していたが、相手の幸せを願う孟陽秋と己の想いを優先する晁元で、最終的に真逆の道を辿ることになった。

 

結果、無事に黄梁夢を精製し解毒に成功した紀伯宰は、いよいよ呑天陣の封印へと動き出すが、以前のようにたった一人でやり遂げる計画は、明意の熱意によって阻止され、共に同じ運命を辿る道へと進む。

というわけで、六境の運命の懸かる青雲大会では、明意だけではなく堯光山と極星淵の闘者総出による茶番が行われる。この茶番が若干長かったものの、最後に晁元を引っ張り出した二人は、呑み込んだ元神の力によって増幅した彼の力に敵わず、自分たちの命を以って、呑天陣の封印を果たすことを決意する。

 

ピューっと上昇した二人が、てっきり封印を成功させて塵になるのかと直前まで考えていたが、昇った先には、かつて逐水霊洲神君の野望の阻止を試みた妖獣軍の王の神識が残っていた。この王はかつて生贄となった神君の妻だが、六境のために犠牲となる覚悟のある人間をひたすら待ち続けていたようだ。

その王の慈悲で、封印する力を与えられて下界へ戻された二人は、六境の運命を託された責任を果たし、この世の混乱を終焉へと導くのである。

親父も兄もろくでもなく、晁元の境遇は悲惨だったが、今世はどうやっても報いを受けねばならない。ただし次の生では、きっと浮月が見付けてくれるはずだから、業も背負わず明るく過ごせるといい。

 

最近の仙侠ファンタジーでは、主二人がこの世界のために共に命を懸け、生きて戻ってくるという展開が少しずつ増えているが、常にHEを望む自分としては、皆がそれぞれの道で幸せを掴む姿を見て、こういうのでいいんだよ、となった。

紀伯宰、明意を始め、その從獣たちに和みながら、公主と言笑や浮月の、皆がそれなりに救われたことに満足感を得て、二度目で本物の星輝の祝福を浴びて一度目の苦味は解消される。まだあれ持ってたんだね笑

しかし最終話の酔っ払い紀伯宰がめちゃくちゃ愛らしいんだけど、こんな可愛くてどうするの、、、

それにね、週末に収官礼が来るとつい課金しちゃうの止めたい笑

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毎度の如く、誰とでもCP感を出せる盧昱曉がすごい。