华山论剑之南帝北丐(華山論劍之南帝北丐) 全8話 | 一言難盡

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Ture courage is about knowing not when to take a life,but when to spare one.

 

『华山论剑之南帝北丐(華山論劍之南帝北丐)』

2025年 8月~ 中国 全8話

 

出演

洪七公→明道

段智兴(段智興)→何润东(何潤東)

依火→哈妮克孜

大壮→王成思

 

四部構成中の第三弾。

 

ネタバレあり

後に南帝となる段智興と北丐の庶民である洪七の出会いの物語。

世子の段智興は、皇宮で大切に育てられてある意味世間知らずだが、真っ直ぐで思いやりの深い人間である。

この立場では、年頃になるとまず婚姻という任務を果たさねばならないが、その前に世の中を見たいという段智興の好奇心は抑えられず、一旦、その任務から逃亡し、江湖へと旅に出る。

この過程で北丐の洪七と出会うわけだが、洪七は貧しく生まれ、母親の仇を討つことを父親から言われ続けて今に至るが、お調子者に見えても信念があり心根は優しい。

 

全く正反対の環境で育った二人は、短い間でも互いの波長は絶妙だったらしくその間には信頼を含んだ友情が生まれる。

その出会いもそこそこに、洪七は世子である段智興と間違えられて婚約者の依火に拉致られるわけだが、世子ではないと何度訴えても、女性が支配する族の中に一人放り込まれて散々な目に遭わされる。話全然聞かないのな笑

そのまま流れるように挙式も行われることになるが、何とか逃げだした洪七は、また別の族の女に気に入られて拉致られる羽目になる。この時点で、依火は洪七を若干気に入っていたため、後を追った先で一緒に拉致られてしまうが、逃げる途中で崖落ちし、偶然通りかかった小坊主に救われる。

この小坊主が後々重要な人物となるわけだが、少し前に依火の命を守るために飲まされた毒が洪七の身体を蝕み始める。小坊主は解毒の研究を独自で行う変わった子供だったため、それに気付いて何かと洪七の毒を緩和する方法を探っていた。

その間、依火と洪七は穏やかに時を過ごし、互いに心を寄せ合うまでになるが、いよいよ命が危ないと知らされた洪七は、依火を突き放して族の元へ戻すことにする。

死にかけの洪七を励まし、養生功法を伝授する小坊主は年の割には仙人のような面持ちで献身的に洪七を支えるが、その献身と養生功法で12の毒は排除出来ても、残り一つの解毒法を試すのは躊躇っていた。失敗すれば生きる屍となる危険な方法だったからである。しかしそれも生きるか死ぬかの窮地に陥った中では、その方法に賭けるしかなかった洪七は、熱の暴発した勢いで最後の毒も吹き飛ばしてしまったようだ。すんごい爆発だったけどそんなことあるの笑

その結果、洪七は選ばれた人間の如く覚醒を果たすことになる。

 

一方、洪七と別々になってからの段智興は、身分を隠しながら道中で出会った大壮と共に江湖を渡り歩くことになるが、この大壮の、人を騙して金を手に入れる戦法が段智興にとっては卑しく思えて若干嫌悪感を覚えていた。騙すといっても、ホラ話で物乞いまがいをする程度のものだったが、そんな世界を知らずに育った段智興には、適当な嘘一つでも良心が許さなかったのだと思われる。その上、自分との時間を過ごしているのは金目当てだと知って、その嫌悪感は大きくなっていく。

結果、用無しとなった自分を置いてさっさと離れていった大壮を、ぷんすこして追って行った段智興は、大壮の背負っているものが何だったのかを知る。

この様にして、世間知らずだった段智興は、江湖の荒波を段々と知っていくことになる。それでも元々の思いやりの深いところは失くさず、真っ直ぐな性質も失くしてはいない。
 
この後、君山で武林大会があることを聞き付けた段智興は、そこに参加するため、大壮と共に君山へ向かうことにする。

この道中で、目的地が同じ依火と出会うわけだが、彼女の目的は君山に戻った洪七ともう一度会うためである。

 

この辺りから、哀しい空気がドラマ全体に漂うことになる。

冒頭の過去描写で、将軍だった李宏(洪七の父親)と現南帝の段義長の歴史が語られるが、母親の仇と言われていたのは、実は段智興の父親だったことが判明する。

武林大会で段智興の危機を救った覚醒後の洪七が再会に歓喜したのも束の間で、この事実が二人の関係に暗い影を落とし、互いに友情と父への愛の挟間で葛藤が始まる。

その他に、長年失われていた降龍十八掌を会得した洪七が北丐幫主に任命されたことで、それを妬む長老たちが足を引っ張り始めて、定番の蟲の呪いが波紋を広げていく。

 

親の代の遺恨を子が受け継いでも誰も幸せにはなれない。

嫌でもやり遂げなければならない復讐は、この友情へも亀裂を生んでしまうが、重ねて、和平を結ぶために好いてもいない男へ嫁がねばならぬ婚姻も、依火を挟んだ二人の心中を複雑にさせている。

途中で感じた、腹の子供もろとも殺められたのに一体どうなってるの、という疑問も最後に明かされる。李宏のエゴで生かされ、それを果たすため心身に傷を負い続けた洪七は不憫すぎたが、それでも一概に李宏を憎むことは出来なかった。

というわけで、なんせ後半はずっと泣いていた、、、このドラマは四部構成だが、三部とも言い難い哀しさが漂っているため、この背景を踏まえて本編を見ると、色んな部分に思いを馳せられそうではある。

 

結局、この三部目もずっと哀しい気持ちで観ていた。