折腰 The Prisoner of Beauty 全36話 | 一言難盡

一言難盡

Ture courage is about knowing not when to take a life,but when to spare one.

 

『折腰 The Prisoner of Beauty』
2025年 5月~ 中国 全36話

 

出演

小乔(小喬)→宋祖儿(宋祖兒)

魏劭→刘宇宁(劉宇寧)

 

 

小喬大喬とか、三国志?

 

ネタバレ 第1話~第4話。

かつて喬圭(小喬の祖父)が魏国と結んだ同盟を違えて、家族を全て失った魏劭は、初っ端から喬家への殺意に満ちているが、この殺意漲る役にキリリ顔の劉宇寧が絶妙に合っている。

この裏切りによって十四年前から憎しみの消えぬ魏国は、仇討ちの機をひたすら狙っている。

戦が続いて大勢の無辜の命が奪われることを防ぐため、喬圭は魏劭の祖母との約束で、魏劭へ大喬を嫁がせることを以前から決めていたが、大喬は政とは無縁であり、祖父が常々口にしていた「水能以柔克剛」の意味もおそらく分かっていない。目をかけていた小喬だけが聞かされていた言葉なのかもしれないが、剛を制するには自分の方が向いていると考えた小喬は、姉の代わりに自らが嫁ぐことを決意する。姉には好いた男がいたため、その幸せを守りたかったのもあったんだと思う。

てか、女主1がずっと女郎とか喬家女とか呼ばれてたから、名前(名称?)が小喬ってのがしばらく分かんなかった笑

 

仇家の娘にいきなり乗り込んで来られた魏劭の苛立ちは頂点へ達するが、一旦、軍師(魏子昕)に諭されて、磐邑を手に入れるまでは娶る姿勢を装うことにする。この恨みに満ちた表情がしばらく続くのかと思っていたが、小喬の愛らしい顔面を目にした魏劭が早速怯んでいたことに、今後の展開が既に見えている。惚れちゃったんだなぁ、この時点で既に。

それでも面子の張り合いで、磐邑の印信を渡すタイミングや辛都磐邑どちらで挙式を挙げるかなどで揉めて、至4話でも未だ婚姻は決まっていない笑

 

この過程で、民衆に責められる魏劭を庇うために悪女を装ったり、自分を丸め込み、磐邑の水路を利用して魏国へ攻め入って手柄を挙げようとする野心家の劉琰が立てた策も台無しにして、小喬は魏国の大勢の無辜の民を救った格好となる。

娶る前からこの様な大業を成した小喬を、疑いながらも信じたい気持ちの魏劭は、遺恨と寛容の挟間で心中は複雑である。

小喬は未だ魏劭に信頼は抱いていないが、民の命を犠牲にする野心の塊である劉琰よりはまだマシだと思い魏劭を選ぶが、選ばれた魏劭が全力で小喬に向かって行くシーンは、序盤ながら既にきゅんである。

この後、喬女を血祭にしろ、という兵の掛け声に腹を立てた小喬に、ほっぺを殴られた魏劭が面食らうシーンがあるが、周りの魏兄弟が目も合わせられずに笑いに堪えているのが実に微笑ましい。巍国メンズが持つのは恨みだけではなく、このようにして和ませる技も備えている。

仇討ちに燃えている魏劭も案外純粋な男である。

小喬がこっそり大喬と会っていた場所に皆でぞろぞろ付いて来て、小喬が自分を称賛するような会話に満足して大人しく戻って行く姿が素直で笑える。小喬にとっては、おそらく姉を安心させるための方便だったのだが、それを素直に受け取って、印信を手に入れた途端に追い出した過去は忘れたかの如く、娶ってもいい、いやむしろ娶りたいという気持ちに変わってきている。

既に怯みっぱなしの魏劭の厳しい態度をもう少し見ていたい気持ちはあるけど。

 

ほどなく祖父が急逝した頼りが届く。こうなると祖父の望んだこの婚姻は必要なくなるわけだが、己の遺憾を孫へ託した祖父の願い通り、小喬が三国の争いを終焉に向かわせるために一石を投じるのだろうから、嫁がないという選択はないよねさすがに。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第5話~第8話。

足元を見られないよう魏劭から求婚させる計画は成功し、魏家へ嫁ぐこととなった小喬だが、魏劭の情緒は不安定極まりない。

引いては押し寄せる過去の記憶と、仇家の女にほんのり寄せる自身の想いは、失った家族への冒涜だと自らを追い詰める度に情緒は定まらず、挙式の最中も脳内はその過去と恨みに支配されて実に息苦しい空間となる。

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その後もすぐに先祖の祭祀のために城へ戻るが、仇家の人間が父兄の祭祀に参加できるはずもなく、小喬は城門外へと放置される。大雨の中、未だ傷の癒えない小喬は熱に浮かされたあげく、朱夫人と楚玉によって休書を押し付けられ、焉州へ送り返される事態となる。

魏劭の知らぬところで行われていたこの勝手な行動は、喬家を恨む母親(実の母なのか不明)と、魏劭へ嫁ぐ気満々の楚玉(従妹)が小喬を嫌がったせいだが、魏劭もさ、妻がちゃんと城内に入ったのかを確認しないからだよ、、、それだけ父兄のことで脳内は一杯だったんだろうが。

ここでの小桃の頑張りには泣けるし、魏兄弟の滲み出る人情に愛しい思いが湧いた。

 

雨の降り続いたまま、魏劭が馬で駆け付けた時には既に二日が経っており、朱夫人の手下を足蹴り→だっこまでは良かったが、高熱の妻を雨ざらしにしていたのがめちゃ気になったんだけど、えっと、、、馬は、、、

とはいえ、 魏劭が愛と疑の狭間で揺れる演出は妙であり、きゅんどころが多い。だっこ前の腕まくりとか恐ろしく萌えるんだけど笑

 

小喬は賢くしたたかな娘だが、魏劭は割と素直で純粋な男のため、緻密に策を練る妻の本質には今のところ気付いていない。そのため寝室を取り上げる分かりやすい芝居にもすっかり騙されて、相変わらず怯んでばかりである。それでも距離が近付いたと思えば、湧き上がる過去のトラウマに引き戻され、愛と疑の挟間を行ったり来たりで情緒は定まらない。

心は寄せていても、喬家女だからという理由で疑心に陥る魏劭の態度は、匣の件がその象徴だったが、やってもいないことを責められた小喬が捲し立てる筋の通った言い分は、後ろ向きで固唾を呑んで見守る魏兄弟+公孫羊も魅了されたようである。匣のからくりを簡単に解いた小喬の早口に萌えた、、、

 

魏劭は裏切った喬家をひたすら恨んでいるが、警戒すべき敵はまず身内なんじゃないか。伯父なんて家主の座を欲して裏切りは目の前である。この伯父は今後、魏劭を殺めるために良崖国世子である劉琰と手を組んだりしそう、、、朱夫人や楚玉も魏劭の邪魔ばかりしている中、祖母は唯一話の分かる人間だが、その心中は分かりづらい。

そもそも父兄を殺めたのは、邊州の李肅であり、恨むべきは邊州ではないの、喬家が援軍を後退させて裏切った格好になったとはいえ、どう見てもここが一番の悪だよね。

邊州といえば、小喬がその境にある博崖へ大喬と比彘を行かせた効果が早速現れる。この博崖には、統率する人間がおらず未だどこにも統治されていない村だが、邊州の人間が度々やってきて村人を徴兵しようとしている。小喬は、この地を統率して守れる比彘の素質を見抜いて姉をこの地へ向かわせたわけだが、予想通り、比彘はその戦に長ける本質を開花させてこの村の軍督となる。

磐邑を巍国へ渡し、永寧渠の修復をやり遂げるという魏家の悲願を達成させて、博崖に喬家の旗を掲げ戦わずして戦を回避する、という筋書きは全て無駄な戦で血を流さぬためだが、地理がイマイチ分かっていないため、脳内で全体図を組み立てづらい。魏家も喬家も、互いにこの地へ援軍を送るという誤解が生じることを避けているようだし、小喬が姉への支援という理由で博崖へ行かせたのは、魏家の姿を邊州に見せて攻め込ませないためなんだろう。

 

今のところの小喬にとっては、魏家の全てが敵だが、賢く立ち回れる度胸があるためあまり悲壮感はない。何だかんだ言いながらも魏劭の中での小喬の存在は大きく、貶め作戦中の母や楚玉からも上手く守ってくれるんだろう。それでも小喬が血を流さずに戦を鎮める軍略に長けていることには気付いていない。この才能に軍師の公孫羊だけは感付いたようだが、それを一応確認するために小喬に比彘の件を訊ねた魏劭は、あの何も知らぬような無垢な瞳に再び騙されるのかな、暗躍していると知ればまた怒り狂いそうだが。

 

面白い、小喬の役柄もしかり、宋祖兒のメリハリのある芝居に感心する。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第9話~第10話。

あれよあれよという間に小喬の計画通りとなり、博崖の丘へ喬家の旗を掲げることとなった結末は、枕を貰って絆されていた魏劭にも疑心と怒りが再燃するが、飄々とそれを受け止める小喬が強すぎてあまり効いていない笑

それでも男君の望まぬことは強要したくない、という言葉が胸に刺さる魏劭は、嘘か誠が疑いながらも心は急速に寄せられている。

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小喬は、魏劭が全力で向ける喬家への恨みを警戒して、焉州へ攻め入られた時の退路をあちこちに確保しているのだな、博崖もその隣の嘯岡への策も、領土が欲しいわけではなくおそらく退路なんだろう。巍国の嘯岡への派兵は、後々、劉琰とガチンコ戦となりそうだが、小喬の行動は常に和平へ向いているのだと思われる。

未だ互いに疑いながらも、背負った責任と過去のトラウマで苦しむ魏劭を理解することに努める小喬と、その優しさをしっかりと感じている魏劭の距離は近付いている。

このタイミングで、どうしても楚玉を娶らせたい朱夫人は、遂に媚薬を使って魏劭を罠に嵌めるが、その自制は揺らぐことなく楚玉を躱して自室へ戻る。戻ったら当然小喬がいるわけだが、楚玉は躱せても小喬を躱すことは難しいようだな、本能が自制を上回るくらい既にその存在は大きい。ここでの氷風呂から水の滴る描写がとんでもなくエロい。

 

しょうもない母親の朱夫人とは違って、太夫人(祖母)は実に慈悲深く倫理にかなう人柄で、この婚姻を結んだのも孫である魏劭の心を守るためである。喬家を憎んでいないわけではない、しかし父兄の残した遺憾を背負い、幼少から恨みに支配された魏劭を不憫に思い、仇家の娘と心を寄せ合うことが出来れば、恨みからも解放されると考えたのである。小喬もその期待に応えたいところだが、未だ、この婚姻で過去の恨みが帳消しになると思うな、などと口にする魏劭には警戒するしかないのである。

それでも祖母を始め、公孫羊にも「嘴硬心軟」という魏劭の本質を聞かされ、夫の発言を言葉通りに受け取って疑ってばかりの自分の心を改めなければならないと思い始める。このようにして二人を囲む聡い大人たちの存在には安心感がある。

 

その心中とは逆に、媚薬の日から自分を避け始めた魏劭に悶々とした日々を送る、小喬の心の変化が見えるこの辺りが一番楽しい。溜め込んだ不満と寄せていく想いが爆発して、魏劭がものも言えぬくらい捲し立てる姿を早く見たい。

 

考えてみると、どうやら実母だったらしい朱夫人だけが息子の苦しみも靴のサイズも分からずにいるようだな。媚薬で息子を貶めたことを反省もせず、罰を受けた怒りが小喬へ向かうような実にしょうもない人間である。

その母親に向かって、男君の望まぬことを汚い手でやり遂げようとして、一体その心に男君の存在はあるんですか、そうやって男君の心を掻き乱して、よもや平穏に玉座に座らせないことが望みですか。(意訳)

という感じに捲し立てる小喬が抜群に良かった。しおらしくしていても相手の出方でいくらでも道理を貫くことのできる強くて優しい娘である。自分には言えなかった言葉を代わって叱責してくれた妻に、魏劭の想いもますます加速していくはずだ。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第11話~第12話。

小喬は純粋に魏劭のためを思って何かと気遣い、それが魏劭にも伝わってはいるが、喜んだり気遣ったりの自分の姿をなかなか見せない。そのため小喬にはその真意が伝わりづらいが、公孫羊の言葉を心に留めながら穏やかに関係は築かれつつある。素直に嬉しさを伝えられなくとも、早速、腰帯を試着していた魏劭の姿で、これが嘴硬心軟か、と理解はしたはずである。

 

ほどなく放蕩息子で名高い従兄の魏儼(魏使君)が戻って来るが、どうやらこの男は、魏家と喬家の婚姻によって不利益を被ることを警戒した邊州からの回し者のようである。それでも魏劭とは懇意にしているため、彼を裏切るようなことはしないだろう。ただ喬家への恨みは皆と同じ様に持っているはずだから、小喬に対してはどうするつもりなのか分からないな。

早速、二人の間を小さく掻き回しているが、口にしている言葉の真偽も定かではないため真の目的は今のところ謎である。邊州の蘇娥皇が夫以外に冷遇されていることと何か関係あるのかな。

この魏儼の起こす妨げは、二人の間に誤解を生じさせるが、その誤解を引き延ばすことなくちょっとした喧嘩で解決出来ているのが良い。

 

ほどなく、干ばつによって収穫がなかった容郡で食糧危機に瀕する問題が発生する。この解決に魏劭は頭を悩ませるが、ちょうど永寧渠の修復が終わって水路が開けたために、それを容郡まで延長すれば干ばつを防げるという小喬の提案を聞かされる。

しかしこれまでも小喬の参謀気質を散々見せられた魏劭は、この提案も焉州へ攻め込ませないための巧言だと思い込む。小喬には純粋な提案の他に、そのような打算もあったのかもしれないが。

 

「水路の延長という提案は、一時的には焉州の安寧は得られるかもしれない、だけど水路を通せば巍国のために万世の功を築ける。」

くすぐる言葉を次々と射ってくる小喬が賢すぎて目が離せない。確かに、水路を通した後でも焉州を攻められないわけではないし、一旦そうするか、とかになりそう笑

その後も早速、容郡の風土に合う麦の種を喬家に打診するなど、舌先三寸でなく行動も起こす小喬のこの全ては、どこまでも百姓たちの命を守るためだというのが健気なところ。

未だ手紙の検閲はしていて、おそらく小喬もそれに気付いているが、そもそも戦によって生じる無辜の犠牲を嫌う小喬には、不和をもたらすような策は一つもないんじゃないかな。

あとは魏劭の持つ喬家への恨みでの戦脳がどれくらい薄らぐか、これが小喬が魏劭へ嫁いだ理由でもある。

 

てかね、小桃と魏梁の並んだ絵面が可愛すぎるんだよ笑

 

つづく

 

追記ネタバレ 第13話~第14話。

てっきり小喬は手紙の検閲に気付いているのかと思っていたが、そこは全く疑っていなかったようだ。この後の魏劭へのメッセージは、魏兄弟たちがたらい回しにしていたことで察しは付いたが、それを見た魏劭の動揺は尋常ではない。腕を組んで迎え撃つ小喬と目も合わせられず、さっさと布団に潜り込む姿は恐妻とその夫といった感じで面白い。小喬が強くてほんと頼もしいな笑

この後も妻を避け続けていたが、水路の開拓のおかげで作物が順調に育っている知らせが飛び込み、やはり容郡へも水路を通すことが干ばつの解決になると、公孫羊からも小喬と同じ助言を受ける。公孫羊と小喬の言い分が、万世の功の部分まで同じだったことに笑う。

これを機に小喬のご機嫌を取ろうとして、おまえの言う通りにしたよ!その責任者をおまえの腹心に決めたよ!など嬉々として報告へ行く魏劭は実に愛らしいが、小喬には全て見抜かれて塩対応を食らう笑

 

焉州の伯父は巍国へ麦の種を提供すれば国土が豊かになり、攻め入る勢いを与えるのではないかと危惧していたが、小喬の父親は気は弱そうでも、かつての十四年前の時も義理を通そうと祖父を説得していた正直な人間である。そのため伯父を説得して小喬の望むように種を提供することを決断させる。

その前に、祖父の遺言で小喬が望むことは何よりも優先しろ、と言われていたよな。

 

一方の邊州は、巍国が容郡に水路を通して焉州から麦の種を提供してもらう、という知らせを受けて、俄然焦りが湧いてくる。

蘇娥皇は、夫の憂いを拭うべく二国の協定を阻止するため、自ら巍国へと向かう。この蘇娥皇は、かつて魏家で魏保の婚約者として共に育ったようだが、喬家に裏切られた結果、邊州へ嫁がされた経緯がある。魏儼とも何か繋がっているのかと思っていたが、どちらかというと互いに敵対しているように見える。

その魏儼は、母親(魏家)と使用人の間に出来た子らしく、魏家では冷遇されて育ったようである。邊州の回し者なのは確かだが、手下との会話から推測すると、父親とは邊州で既に出会っている。その手下から少主と呼ばれているのを考えると、使用人だと思っていた父親は、邊州では貴族であり間者として巍国へ潜入していたのかもしれない。魏儼が戻ってきた理由は、どうやら邊州が警戒する魏劭を殺めるためだが、ここはあまり心配していない、おそらく出来ないと思うから。

 

蘇娥皇の突然の来訪を当然疑う小喬は、魏劭と懇意だった話を聞いてほんのりした嫉妬は湧くものの、それよりも何かの策略なのではないかと脳内を巡らせている。邊州が携えてきた糧食も、魏劭が受け入れれば焉州が種を提供した面目が立たないと不安が過るが、素直で純粋でも国家間の問題では頭の冴える魏劭には余計な心配だったね。蘇娥皇が色情を利用して丸め込もうとしているのが若干気持ち悪いが。

きっぱりと断られた蘇娥皇は、次に自分の手は汚さぬよう、楚玉を捜し当て駒として利用するが、やっぱりあのまま退場ではなかったか。

相変わらずしょうもない魏劭の母親が、再び楚玉と手を組み、懲りずに魏劭を貶める浅はかさには呆れてしまう。

国とそれを支える百姓へも危害を加えるような計画は、いくらなんでも僭越すぎるだろう、楚玉にそんな価値があるのか。ここで楚玉を止めない母親は、小喬に言われていた通り、やはり目の前の怒りの解消のみしか見えておらず、その後、息子に降り掛かる災難のことなどは何も考えていないのだな。小喬を貶めることはその夫の魏劭、果ては国を陥れることになることがまだ分かっていない。ばかなのかな、、、(演者の崔奕が上手い笑)

焉州が提供した麦の種に何か細工をして、既に熟されていた種は、ここぞとばかりに小喬の過失とされるが、意気揚々と現れた巍国伯父の生き生きとした姿にまた腹が立つ。

 

魏劭は小喬を喬家の人間だからと疑ってはいても、百姓に害を与えるような人間でないことは既に理解している。小喬を見ていればすぐに分かることだが、意地は張っていてもその辺りは節穴ではない。それを悠然と言ってのける魏劭にはトキメキが止まらないわ。自分を庇うとは思ってもいなかった小喬の驚きようも実に良かった。

そして矛先は、麦の種の倉庫を管理していた魏儼へも向かうわけだが、先が気になる、、、

 

つづく

 

追記ネタバレ 第15話~第16話。

小喬、魏儼に降り掛かった疑惑は、楚玉の仕業だと分かり二人の疑いは晴れたが、これを仕向けた蘇娥皇は保身のために楚玉の命を奪っていた。やべぇな、あふれすぎる野心を達成するため、今後もあらぬ企てで巍国も巻き込んできそうで気が重い。

病弱だった邊州の家主が亡くなり、陳滂が家主の地位を獲得したことで蘇娥皇とバチバチとなっているが、この野心のぶつかり合いにはさほど興味もないため、潰し合いはそっちで勝手にやってくれんかな。

 

この陳滂だが、なんとこの意地汚そうなじじいが、魏儼の実父だったようである。しかもだ、青雲(魏儼の母)を攫って凌辱した結果、魏儼を身籠ってしまい、子供を産んだ後の青雲は心を病んで逝ってしまったという。

魏儼は、この事情を隠され私生子として魏家で育ったが、可愛がられていてもその自分を恥じていたんだろう。自分は魏家に属する人間だと思っていても、魏家ではただの私生子で心からは受け入れてはいないはずだと半ば諦めていたため、居場所を失くしてあの放蕩っぷりだったのだと思う。実父の陳滂に出会っておそらく甘い言葉を吐かれてからは、余計にその思いが強まった可能性もある。このタイミングで麦騒動が勃発し、疑心を抱かれた自分はやはり魏家の一員ではないと諦めていたのである。

祖母がこれまで兵権を与えなかったのは、父親が陳滂だと知った時、その心は邊州へ向かうのではないかと危惧していたからだが、全ては魏儼自身が自分の居場所を知ることが出来れば解決する簡単な話だった。祖母も魏劭も魏儼を家族だと思っていたんだから。

これを説得したのは同じ境遇だった小喬だが、出しゃばらずゆっくり諭して魏儼の目を覚めさせる手腕はさすがというほかない。その上、しょうもない母親まで仇家の娘を家族として受け入れさせつつある。賢さだけでなくそこに真心があるのが心を開かせる要因なんだと思う。という感じで、宋祖兒演ずるこの小喬という役柄がめちゃ気に入っている。

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容郡への種と水路を通す大きな事業を目前に、伯父やその周辺の輩への示しをつけるため、自ら容郡へ赴くこととなった魏劭だが、小喬は付いて行きたくてたまらない。このことに小喬には何の裏もなく、ただ魏劭と一緒にいたいだけの思いだが、それに気付かぬ魏劭は、危険だからとその話を受ける様子はない。

それでも、種の撒き方とか特殊だし、それを百姓に指導するために私も行った方が絶対いいよ、などという適当な理由を付けてなお食い下がるところが抜群に愛らしい。

この道中でも、ぶっきら棒で鈍感でも優しい性根は隠せない魏劭を、既にポーッとした目で見つめる小喬は、俺を見るんじゃなくて地図を見ろ、とか言われる始末だが、すごく良い感じになってきた、、、春娘が馬車の中で言っていた言葉に同じようにしみじみとした。

信頼することで信頼を得たこの関係は、魏儼の件と同じで自ら能動的になることが大事なのだな。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第17話~第18話。

容郡への旅が楽しすぎてやべぇ笑

これまでの魏劭の荒ぶる魂は、恨みとそれに伴うもののみに支配されていたため、色恋などとは無縁の生活で女心に関しては全くの無知である。

ゆっくりと瞬きをしながらの告白じみた言葉も、それが自分へのアピールだと分からず、その都度の対応はひたすらズレている。

 

容郡では、魏家伯父と郡守が手を組んで水路開通も麦の種付けも阻止しようと企み、あげく命まで狙ってくるが、小喬を庇って毒矢で射られた魏劭はしばらくの間、動けぬ状態となる。

ここで小喬の策略家としての力に頼ることとなるが、この計画に口を挟まず一任する魏劭には、既に小喬へ対しての揺るぎない信頼が存在している。

この計画は、魏家伯父と郡守、互いの疑心を煽って仲違いさせるという実に古典的なものだったが、あっという間に二人の間には亀裂が生じる。その上、邪魔くさかった魏家伯父の存在も、ラブコメ回の流れでサクッと無にしてしまったのがあまりに軽すぎて驚く。この伯父には煩わしさしかなったため、むしろ災いが簡単に排除できて良かったんだけど。

 

小喬がこの旅に付いてきたのは、魏劭との情を深め、困難を共に背負うためだったが、それを結局やり遂げてしまった。妻の策を用いた結果、万事うまくことが運んだことに感心した魏劭は、小喬に褒美を与えることにするが、それが馬500頭って笑

いやそれ、自分が貰って嬉しいものだよね完全に。この鈍さには小喬もポカンとするしかないが、誇らしげな顔で、良いだろ馬だぞ?と言う魏劭への返しに、引き笑いで馬がいななく真似事をする小喬がべらぼうに可愛い。

この旅での小喬の積極性は目を見張るものがあるが、魏劭にはそれが全て政策のために見えているのが、さすがに鈍すぎるだろ、となる。小喬の想いには気付いてなくとも、ちょっと可愛い彼女の姿を思い出して一人ニヤニヤしている魏劭は幸せそうではあるが。今回は小喬の心中を遠回しで諭してくれる公孫羊もいないし、この鈍さでしばらくは楽しい思いをさせてくれそう。

 

この仲違い作戦に、魏渠が郡守の娘に婚姻を申し込む芝居も組まれていたが、偽求婚だったはずの娘の方はどうやらその気になってしまったようである。しかも選ばれたのが魏渠ではなく魏梁だったのが笑える。そこいくんだ笑

ここで小桃を煽る悪戯っ子炸裂の小喬もほんと可愛いんだけど。

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俺らには関係ないわの魏兄弟。

 

他に気になったのが、↓なんだけど。

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え、この二人が今後つがいになるの?まだ出会ってもいないよね。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第19話。

鈍くとも、無意識の言動一つ一つが胸をくすぐる人間性を持つ魏劭が、小喬や自分の気持ちに気付いてしまうと一体どうなっちゃうんだろう、これまで以上に魅力があふれてしまえば私の情緒も乱れるではないか笑

 

今回は、なかなか小喬の想いに気付かない魏劭へ、魏兄弟を巻き込んで、「失って気付く大切なもの」作戦を仕掛けるが、まんまと引っかかった魏劭の、「女君呢!!?」にはトキメキが止まらない。台詞に力が入ると声の割れるところがまたいい。

この流れで、出会った流民へ躊躇いもなく活路を与える迅速さで、百姓のために真面目に国策に取り組む魏劭の誠実さが見えるのもさらに良い。小喬は言うまでもなく、初めっから同じ思いを抱えているため進む方向は一致している。

 

妻を見失って、俺が一番心配してた、と自負するくらい焦ってはいたが、自身の気持ちは未だ自覚していない。それでも小喬を目の届かない場所へは行かせまいとする態度がその想いを語っているため、このまま嘴硬心軟でも良い気がしてきたな笑

 

それに比べて喬家の伯父は、うだつも上がらず特に何も考えていないが、若い妾を娶ることにだけは精力的である。焉州を任せるのは小喬の弟の方が余程、国のために尽力してくれそうだが、今後、この伯父に出番があっても足を引っ張ることしか出来なそう。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第20話。

だんだんと距離が近付き、今の安寧が長続きしないことに不安がつのる魏劭へ、たとえ一瞬の安寧でも心さえあれば何代でも続けていけるという小喬は、やはりこの世の平穏しか望んでいないようだ。それでも過去に魏家を裏切ったのは喬家であり、その恨みを手放せとは絶対に裏切られた側へは口には出せない。ゆえに自分の願いを伝えることしか出来ないが、治世であろうと乱世であろうと、男君に従って側を離れず、水路整備の事業を支えながら共に困難に立ち向かい、戦も恨みも終わらせて天下に平和をもたらす、という旨を面と向かって告げる。この言葉を受けて、この時は魏劭も共に未来へ向かっていけると思っていたように見える。

しかし魏府へ戻ったら、再び押し寄せる過去のトラウマと小喬へ心を寄せる自分に罪悪を感じて、葛藤の日々の始まりである。

おまけに苦し紛れに相談した魏儼にも、(情が湧いたら)だめだろ、とあっさり否定される。

魏儼は魏劭が苦しむことが見えているため、想いを寄せてはならぬ理由を次々と提示する。それでもその理由一つ一つに反論を挟む魏劭の、この無意識下の想いを気付かせることこそが、何だかんだ言いつつも魏儼の目的だったのかも。

この後、描画しながら呟いていた言葉を無理矢理妄想すると、過去の恨みに囚われた魏劭を、祖母の思いと同じ様に本当は解放してあげたいのかもしれないね。魏儼は祖母へも魏劭へも愛が深い。

 

葛藤が始まった魏劭は、再び小喬を避けるターンに突入する。

自分の思いを伝えた今、この葛藤だけは本人に委ねるしかない小喬は、何も要求はせず魏家のために今出来ることをやるだけである。

仮に、魏劭が葛藤に打ち勝ち小喬を選んだとしても、博崖で行わせている抜け道工事が露わとなれば、疑心が再燃して一度は仲違いの危機に陥りそうだが。これは逃げ道であって争いのためではないが、なんせ小喬の弟が博崖に行っちゃってるし、あらぬ誤解へ発展しないかと若干不安がよぎる。

 

魏劭の情緒が乱れる度にいちいち呼び出される魏兄弟+公孫羊が不憫だ笑

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つづく

 

追記ネタバレ 第21話~第22話。

てっきり魏劭に気付かせるために、心を寄せてはならない理由をずらずらと並べていたのかと思えば、実は自分へ言い聞かせていた魏儼には仰天したわ。あの描画も自分の神女捜しだったのかよ、正直、この二人での女の取り合いみたいなのはいらなかった、、、こうなると、欲望が暴走するかもしれぬ魏儼にも警戒せねばならないし、やっと気持ちを隠さなくなってきた魏劭が、イケメンで才能ある危険な男(何潤東)を遠ざけたばかりなのに。個人的には魏儼がとても気に入っているため、あらぬ方向へ向かわないで欲しいが、既に小喬を見る視線が切ないんだよ。

 

恋心に目覚めた魏劭は、離れていることに耐え切れず、結局、自分から小喬の元へ戻っていくが、その表情は穏やかで実に柔らかく接し始めている。それでも願いごとを盗み見るのはさすがに権力の乱用ではないの笑

民衆の願いを把握するのが自分の役割だと言いながら、小喬以外のものはその辺へポイポイ捨てているのが実に正直で面白すぎるが、しっかり盗み見した痛い代償は食らう。この小喬の故郷への平和のみの記載に若干ショックを受けてぷんすこの魏劭に、小喬は訳が分からず再び心を悩ませる。

ヤケ酒で酔った小喬の普段は見せない可愛さと、それに振り回される魏劭の姿もニンマリと見ているが、この様にして互いに少しずつ心中を明かしながら夫婦となっていくのだね。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第23話~第24話。

酔った小喬に唇を奪われ、それを受け入れて確実に心地良くなっている魏劭の想いは、揺るぎない方へ向かってはいるが、小さな誤解でひっくり返りそうな一抹の不安はある。

 

前回、願いごとを盗み見て失望したくだりがあったが、今回も盗み見で失望を味わう懲りない主公、盗み見するからだよ笑

妻からの護心鏡が欲しくてたまらぬ魏劭は、下手な芝居でそれを匂わせる愛らしい姿を見せるが、その辺りは天然の小喬には伝わらない。それでも魏梁から小桃へと情報は筒抜けのため、今回もすぐに魏劭の望みを叶えてあげる小喬はほんとにいい妻だ、、、魏梁が小桃からもらった護心鏡より数段煌びやかな品を送られて、上機嫌の魏劭がかわいい。

 

陳滂から追われて邊州を脱出した蘇娥皇は、生き残りを懸けて魏家を利用することを思い付くが、魏劭の懐に入るための嘘で相変わらず他人を貶めている。今回は焉州の伯父が各所の美人を集めて周辺国へ献上するらしい動きを利用して、自分も標的にされているという嘘を吐く。魏保の残した玉佩を壊せば、より魏劭の同情を買えると考えて好いた男の形見も叩き割る、どこまでも計算高い女である。勝手に陳滂とガチンコしてればいいのに、やっぱり魏家に絡んできて掻き回す係なのだな。

 

一方、久々に登場した良崖国の劉琰は、小喬が見抜いていたよりもさらに極悪だった。親父の首を絞め、その妾の頭を叩き割って自分が国主となり、まだ幼い異母弟を躊躇いなく殉葬させるという力技には度肝を抜かれる。

今回は割と出番があると思っていた李肖冰、そんな血みどろ役ですか笑 この後の鹿驪大会で蘇娥皇と出会う劉琰が、荒ぶる野心の一致で良崖国に引っ込んでくれるといいけど。

 

蘇娥皇の嘘に巻き込まれた弟の喬慈は、一片の曇りもない素直で真面目な少年だが、魏劭には喬家の人間という偏見がある上、蘇娥皇の言葉を信じて疑心を向けている。小喬は蘇娥皇の嘘を初めから見抜いていたのかもしれないが、魏劭の前で穏やかにその嘘を暴いたのは実に爽快だった。これで魏劭の心にも蘇娥皇への疑心が生まれ、喬慈への誤解も解けることになる。

その喬慈は、魏儼に連れられて遊郭へ行った件で小喬によって罰を受けるが、俺にまかせろ、と自信満々で取り成しに行った魏劭が、逆にやんわりと尋問される側になってるのが笑える。結局、取り成すことも出来ず、喬慈と一緒になってうろたえるハメになる一国の主、、、それでもその主の権限でしか決断出来ないことを仲裁代わりに出せるのがつよい。喬慈が会いにやってきたことで、故郷に思いを馳せていた小喬の寂しい心が癒されたのも良かった。

 

ここしばらく準備に追われていた鹿驪大会は、巍国が周辺国を招いて武を競う大会のようだが、何のためにやっているのだろうな、周辺国と親睦を深めるためかな。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第25話~第26話。

邊州は仇だとしても、鹿驪大会にも招かれていた良崖国の立ち位置がイマイチ謎だな。

今回の鹿驪大会への周辺州の招待は、水路を開通させて百姓の平穏な日々を守るという大義の元、それを各州へ了承してもらう目的もあったようだ。劉琰だけは水路の修復に携わる兵力を警戒して即座に拒否するが、他州には喬慈の説得によって了承が得られ、さすがは小喬の弟、言う事が違う、と感心していたが、全て小喬の受け売りだった。どうりで笑

ここのところの魏劭は、兄の形見である槍を喬慈へ貸し出した姿で、やっと喬家への恨みを手放したように見えるが、このまま迷いもなく国を支える百姓のために突き進めるといい。

 

蘇娥皇の動きが相変わらず不穏で、何かと恩着せがましく魏劭へ縋っているが、侍女にもその(恩を着せる)教育をしっかりやっているのが抜かりない。

一方で、劉琰の心中を突いて丸め込もうとしているが、小喬の獲得・排除という目的は同じようだな。自分が小喬に選ばれなかったことを境遇のせいにしていたが、いやそこじゃないと思うよ、、、劉琰には一生理解出来なそうだが。蘇娥皇もさ、このまま生家へ戻されれば劉琰に嫁がされる私かわいそう、みたいな芝居はもういいから、魏家へ縋りつくのはやめて早く良崖国へ行ってくれないかな。

 

魏劭には既に蘇娥皇への疑心は湧いているが、何がどうとはっきり言えないために積極的には追い出せない。蘇娥皇はここに留まって、愛がないと勘違いしている小喬との仲を掻き回すつもりなんだろうが、確固たる愛を確認した二人に水を差そうとしても今となってはもう遅いのでは、、、

心配なのは魏儼の秘めた想いに気付いた蘇娥皇が、ここにも参戦しそうな気配を匂わせていることだが、想いを隠し通して必死で手放そうとしている魏儼にとっては迷惑な話である。想いを寄せながらも、一方で二人の睦まじい関係を見守る立場に留まる魏儼は、その挟間で苦しんでいるというのに面白半分でからかわれては困るよ。劉端端にはなんというか独特の雰囲気があって、このチャラくて切ない役柄が実にハマっている。

 

今のところの魏劭と小喬の関係は安心して見ていられるが、相変わらずの魏劭の面子と荒ぶる嫉妬心は止まらない。高恒に対抗するためだけに貴重な石頭を破壊したことも気に留めない様子には唖然としたが、余計な口を挟んで小喬に叱られる姿は、序盤とは立場が逆転して微笑ましくもある。

その後も文才で名高い高恒の隆々たる筋肉を見せ付けられて、目線が釘付けの一国の主、、、結果、負けじと筋トレを始めるという分かりやすさが、いつまでも少年のような魏劭の良いところ。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第27話~第28話。

これは切ない回。

蘇娥皇の暗躍で、魏儼の秘めた想いはあっという間に魏劭の知るところとなる。そのため殴り合いにまで発展するが、声を荒げながらも滲み出る互いの愛情は胸にくるものがある。

思えば、これまで魏儼の感じていた疎外感は視聴者以外には明かされていない。ゆえにここで魏儼の抱えていた思いを知り、それに対して正直な気持ちを告げた魏劭の祈るような表情が切ない。互いの家族としての愛情は深く、色恋などでは引き裂けない絆が存在している。言わずとも全てを把握している祖母もさすがである。

この絆の深さには何も入り込めないように思えたが(実父はもちろん入り込めないが)、蘇娥皇の更なる暗躍で、魏家の評判に関わるような噂が飛び交い始めたため、魏儼はその悪評を全て引き受けて漁郡を去る決断をする。

それでも絶望するような別れではなく、あくまで魏儼の前進のためだと思えば全く侘しさもない。名目は何であれ、自分の居場所を見付け、更なる可能性を探しに旅立った魏儼は、必ず生きる意義を掴んで戻って来てくれるはずだ。

 

この思いを受け止め、魏儼を静かに送り出した魏劭だが、家族を貶められた罰は容赦ない。薄々、蘇娥皇の仕業だと感付いていたのか、これまでの魏家周辺で起きたおかしな事件は、全て彼女の暗躍だったことを知る。

この蘇娥皇の牡丹命格だが、これまで書いたり消したりしていたのもあって、命格って痣のようにくっ付いているものでもないのか、と漠然と思っていたが、よもや偽物だったとは笑

やっぱり普通は痣みたくくっ付いてるものだよね、、、

 

これまで利用され続けてきた蘇娥皇の過去を鑑みると、小喬の言っていたように、昔の無邪気な頃とは変わっていったのかもしれないが、個人的には、その過去の苦渋を明かされても全く響くものはなかった、、、魏保や元夫のように、利用するだけでなく愛してくれる人間も確実に存在していた過去を忘れたかの如く、他責にばかりするその心が、自分が苦境に立たされている原因である。その取捨を決定するのは自分なのだから、人のせいばかりにされてもね、、、と思うなど。弟の鮮やかな裏切りも、その人間性を信用しては貰えてなかった薄っぺらい関係だったことでも分かる。

だから懲りずに良崖国へ向かって、劉琰と悪巧みの一致で手を組むことになるんだね。てかこの二人、己の腹黒さを置かれた境遇のせいにしているところが凄く似ている。

巍国や焉州、博崖を巻き込んで一波乱は起きそうなものの、利害だけの関係では、愛情で繋がった絆の強い巍国相手に戦う結果は既に見えているため、腹は立ちそうでもあまり心配はしていない。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第29話~第30話。

良崖国で一息付くこともせず、早速、攻め入る計画を提示する蘇娥皇は、生家が迎えに寄こした使者も撥ね退けて、偽命格に惑わされた劉琰をさっさと手の内に収める。

劉琰は蘇娥皇を娶ることに少なからず期待はあったようだが、挙式などには興味もない蘇娥皇の戦へのゴリ押しは、そのまま劉琰を戦場へと導いてしまった。

 

一方、一年が経って祖父の喪が明けた小喬に、仇だった相手を弔う機会を与える魏劭は、小喬への愛と受ける献身で恨みは既に手放してしまっている。

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初夜を迎える日などはソワソワしすぎてちょっと面白いが、やっと床入りというところで劉琰の侵攻の知らせを受ける。

最悪なことに、小喬が博崖で掘らせていた抜け道を通って簡単に侵入して来たため、案の定、魏劭の疑心は再燃する。とはいえ、以前の喬家女云々での疑心ではなく、小喬が自分に信頼を置いていなかったことに殊更傷付いていたところが一年前とはまるで違う。背中を押す祖母の「要以德報怨」も凄いよ。

なるほど、以前、薛泰がコソコソ博崖を監視して抜け道を掘っている旨を報告していたが、早速、劉琰はこれを利用して突撃を試みたのだな。

 

巍国を窮地に陥れた小喬の「退路」に腹は立つものの、やはり焉州を守るために康郡の防衛を選択した魏劭は、小喬の言葉を疑うことは今や無いんだろう。小喬の正直な言葉は、頭にはきていてもしっかり魏劭へと伝わっているのが分かる。

劇中では数分で魏兄弟も戦へ赴くこととなり、殊の外スピーディーな流れで話は進むが、苦戦を強いられそうな劣勢の立場でも、どこか余裕の魏兄弟にはいつにも増して安心感がある。

一年前の魏劭へ抱いていた思いとは真逆を辿って今に至る小喬は、自分の策で巍国を窮地に追いやったことが心苦しくてたまらない。魏劭を一人では戦わせないという気持ちを抱いて、自ら博崖へ向かい援軍を求めた小喬だが、大喬からは期待した回答は得られなかった。

この大喬の言い分は無理もない。通常、軍略を交えながらそこに属して戦に待機しているような人間でなければ、大局を見ることなど出来ない。国を守る使命を負ってもいない大抵の庶民は、自分やその家族が安全ならば他のことは気に留めないだろう。どこそこの百姓の命などに至っては、見知らぬ他人の話を出されても、その見知らぬ者のために家族の命を犠牲には出来ないと思うのは自然である。大喬にとっては、焉州の家族などは夫を危険に遭わせてまで守る対象ではないんだろう、或いは他人任せか。小喬が聖人なら大喬はただの人間という感じで現実味はある。

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焉州代表?で一人参戦していた喬慈が頼もしい。さすがは小喬の血縁というだけはある。

 

他人に縋って何かを得るのではなく、自らで手に入れる術を探すスタイルの小喬は、援軍を望めぬことに絶望はしたものの、すぐに切り替えて次の一手を捻り出す。この策に、巍国兵も一丸となって懸命に取り組む姿勢は、一年前に仇家の女と敵意を向けられていたことを思うと感慨深い、、、小喬のその行動一つ一つで、その存在を認めざるを得ない今の立場を確立していったのだね。

祖父の時代の悲願であった水路の開拓から繋がったこの策は、悉く成功し、援軍を望めなくなった劉琰は退却するしかなくなってしまったが、これがあらぬ絶望を抱かせることなく2話でコンパクトにまとまっていたのが爽快だった。突然、戦が始まり、小喬の智慧と魏劭の猛攻でサクッと終焉を迎えた良崖国の反乱は、物語の軸以外のものに時間を割かない作りが非常に良い。血みどろの中での仲間の死とかいらないからね?終盤も。

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邊州へ渡った魏儼もただの放蕩息子でなかったことが今回分かるが、魏劭の危機を知って、すぐさま援軍に向かおうとする姿勢は最高だった。親父はどうあれ、この様子だといずれ魏儼が邊州の国主になるのかもしれない。邊州軍にも、すぐに少主という立場を認められていたし、親父があっさり逝ってくれれば魏儼が邊州を牽引することとなり、周辺国家、特に巍国との争いは無になると思えば、皆が望んだ通りの安寧が得られるではないか。

親父がまだまだハツラツと矛を振っているのが若干煩わしいが、魏儼は道を外れず正道を歩んでくれると思う。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第31話~第36話(最終話)。

援軍の得られなかった劉琰が一旦退散し、兵力差のあった巍国は小喬の後方からの支援で救われる。喧嘩別れのまま戦に就いた魏劭は、一刻も早く小喬と和解したい思いで気ははやるものの、それを素直には言えない。それでも気持ちが全面に漏れているため、魏兄弟や公孫羊に上手く促されて、博崖へと迎えに出発する。

その道中で比彘と遭遇した魏劭は、ここで初めて博崖の援軍など存在しなかったことを知る。この後、小喬が辿った道を一つ一つ追う魏劭は、援軍の得られぬ中、小喬が智慧を絞って巍国や自分のために起こした行動をその目で確認して、もはや胸は一杯になっている。それでも必死で捜した小喬が目の前に現れた時には、失くしてしまいそうな不安が先立って、気の利いた一言も言えない不器用な男である。これも愛あるゆえに、すぐに心中を打ち明けるところが良いんだけど。

必ず喬家へ三代の仇を討つという思いを抱えてきたこれまでの日々で、康郡には足を踏み入れることもなかった魏劭だが、小喬を娶って一年が経ち、恨みも手放した今、遂に喬家を許してその門をくぐる気持ちにまでなったのは実に感慨深いところ。

この地で、小喬の父も自分や小喬と同じ方向を目指していることを知ったのもめでたい。小喬の父は、当時の祖父の決断と、その決断によって不義理を働いたゆえの遺憾を抱え続けた姿もずっと見ていたために、自分も共にその罪を背負って生きてきた。当時の祖父を止めていた姿でも義理堅い人間であることは分かっていたが、巍国へ向かって三礼する父親の姿には胸があつくなったよ。

 

それに比べて、祖父の心中も理解せぬまま無駄に歳だけを重ねた伯父はつまらぬ人間の極みである。正直、生き残るために人を貶める蘇娥皇や権力を求める劉琰よりも憎しみが湧いたのがこの伯父である。

33話以降の惨事は、全てコイツのつまらん決断のせいなんだが。劉琰の侵攻から守って貰っておいて、それでもくだらぬ面子のために、中原の主を求めるその敵と手を組んで、自分の娘ですら道具にする姿は醜さの極みで目も当てられない。

比彘も大喬と同じ、家族以外に大事なものはないために、泣く泣く劉琰の駒になるしかなかったわけだが、ここで魏梁が命を奪われたのには唖然とする。この展開を最も恐れていたのに、思えば門の手前で振り返って小桃と手を振り合っていたのがフラグだったよね、、、スローモーションだったし。

大喬の死も全く求めていたものではなかったが、比彘をこちら側へ引き戻すためだと思えばギリギリ分かる。だけど魏梁は瀕死で良かったよね、、、死なずとも残った魏兄弟の復讐心を駆り立てる理由にはなったじゃん。それもこれもクソ伯父のせいだが、劉琰と手を組んだ代償は、その命によって払われる。それも初めから覚悟していたのかお花畑のクソ伯父にはそこまでの考えは及ばなかったのか、弟を貶め娘を犠牲にした結末は、何も成し遂げられずただ利用されただけの虚しい最期だった。

大喬が援軍を断った時に、この父親を見捨てたのも同然だったが、皮肉なことに父親もまた同じだったというわけか。

 

劉琰にももちろん腹は立ったが、コイツは始めから終わりまでブレない欲深さを貫き、心理的には伯父よりは潔い悪者だった。

一番いみふなのは蘇娥皇だが、あれだけ生き残るための悪事を働いてきたのに、最後に自分へ退路を残してくれた劉琰の愛で、これまでの己を振り返って後悔でもしたのか、おそらく最期は自害だったんだよね、、、いやいや、劉琰のように最期まで悪人を貫いて散ったのなら胸もすく思いだが、これまで愛を注いでくれた人間を忘れたかの如く人を貶めて生き残ろうとしていたのだから、最期までそれを貫かんかい!しかも気付いたのが劉琰の存在でってところが何とも言えないところ。先の二人は、退路も残してもくれずに自分を残して逝ったことが響かない原因だったのか、、、とにかく蘇娥皇には後悔などせず最期まで貪欲に足掻いて欲しかった。

割とあっさり死を迎えたこの三人を見ると、やっぱり魏梁の死は必要なかったのでは、、、

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背負った蘭草がかなしい。

それでも最後に魏兄弟と笑顔で足を踏み出す小桃に少し安心した。残された者は前に進まねばならないから。

 

面白かった。

仇家の娘を渋々娶り、共に過ごす日々の中で培われる愛で恨みを手放し、15年前に交わした祖父たちの遺憾を達成してこの世を安寧へと導く、という先婚後愛の中でも実にそそられるドラマだった。

33話以降の惨事で薄れてしまったが、32話で押し倒される魏劭が色っぺーのなんのって笑

個人的に胸が躍ったのは、窮地の漁郡に華麗に帰還した魏儼の姿。戦いは端折られていたものの、あそこで現れた魏儼に感謝しかなかった。