无忧渡(無憂渡)The Demon Hunters Romance 全36話 | 一言難盡

一言難盡

Ture courage is about knowing not when to take a life,but when to spare one.

『无忧渡(無憂渡)The Demon Hunters Romance』

2025年 4月~ 中国 全36話

 

出演

久宣夜→任嘉伦(任嘉倫)

段半夏→宋祖儿(宋祖兒)

 

面白い。

自分の視聴した数少ないドラマ中、任嘉倫主演の作品はハズレがない気がする。

 

ネタバレ 第1話~第6話。

人には見えないもの(妖)が見える半夏は、家族に気味悪がられて治療を受けさせられている。慎ましい性格の半夏は、家族を心配させないため未だ妖が見えることは隠しているが、従兄に嫁ぐ蛮娘が妖(煌びやかな鳥)だという事実に気付く。

 

促妖師の宣夜は、その蛮娘を追って段家を見張ることとなるが、早速、半夏には妖を見分ける能力があることに気付き、協力を申し出る。促妖師という割に、側に置いている遅雪は兔の妖だというから、山妖もしかり、人間に危害を加えない妖は成敗の対象ではない。山妖の挨拶である盃を一気飲みする素直な半夏かわいい笑

 

これまでの周りの反応から、口にしてはならぬ妖の存在を噤んで来た半夏は、見えるものから逃避して頑なに否定しているが、誰にも信じて貰えぬ事実を宣夜だけは唯一理解する人間である。その宣夜から、従兄の危機を知らされた半夏は、ひとまず蛮娘を捕えることに協力することとなる。

この鳥妖は、人間の喉を噛み切って声を真似る特性があり、これまで数多くの者が蛮娘の犠牲となっている。それでも言秋(従兄)のことは本気で惚れていたために、傷付けるつもりはなかったようだが、邪魔をした半夏を追い回したあげく、宣夜の手によって成敗される。

開幕に、促妖師として妖から君を守ってやる、と言っていた宣夜は、その言葉通り半夏の危機に必ず救いに現れる実に頼りがいのある男である。おまけに夜道を照らして帰途の安全を守る優しさもあって、素敵という感想しかない。

 

蛮娘が行方不明になったと信じて捜し続ける言秋に、当然、妖だったという事実は伝えられない。それでも彼女だけを一途に愛し続ける言秋を気の毒に思い、塵となった蛮娘の復活の可能性があるのかを訊ねていた半夏に、思いやりを持つ性根の良さが見える。

 

ほどなく半夏の父親が亡くなるという事件が発生する。

別宅の火事が原因で命を落とした父親だが、その火事が起きた後に自宅で父親と会話をした半夏は、もしかしたら父親は亡くなってはいないかもしれないという疑念を抱く。実際、事故現場と自宅で、人の顔面を映さない鏡がどちらにもあったことで、妖絡みであることを否定はできない。そのため父親の命の懸かる事案だけに噤んできた妖の存在を口にするが、家族にとってはまだそんなことを言っている半夏が奇妙でしかないのである。

例によって誰にも信じて貰えぬ妖絡みの事件を捜査するには、段家では困難を極めるため、唯一、妖の存在を知る宣夜を頼りに彼の元へ向かうことにする。

 

ここから鏡妖の事件へと突入するが、これがマジで手ごわい。

父親の行方を追うため、宣夜の元へ辿り着いた半夏は、その街の遊女が奇妙な死を遂げる事件に遭遇する。ここで共通する鏡を見付けた半夏は、その鏡の謎を解くために宣夜に協力を仰ぐが、本人はなぜか乗り気ではない。

宣夜には他にも追っていた音鰻という妖がおり、やっと捕えたかと思えばすぐに逃げられてしまった。少し前に半夏と協力して蛮娘を成敗した宣夜だが、妖仲間を成敗された恨みを持つ音鰻は、宣夜へは無理でも半夏へは仇を討てるとその命を狙っていた(という宣夜の推測)。そのため自分の元へ頼って来た半夏を追い返したものの、すぐに行方を捜すこととなって無駄足でしかない笑

それでも諦めず隣に住まいを構えた半夏のおかげで探す手間も省けたわけだが、宣夜の失態を半夏が埋めるみたいな面白い循環になっている。

結果、音鰻を再び捕えて成敗することに成功するが、この妖を序盤から引っ張っていたために、コイツの存在が何かの鍵なのだと思っていたのは気のせいだった笑

 

この過程で半夏が遊女から耳にした噂話で、宣夜の過去が垣間見えるが、その宣夜は過去に家族全員を惨殺した本人だという。

少し前に、久々に家へ戻った様子の宣夜の回想で、亡くなった家族との会話があった。「人に善悪があるように妖にも良し悪しが存在する、だから一概に論じてはならない。」この父親の言葉から察するに、表では医院を営みながら促妖師も家業だったんだろう。ということは、家族を失ったのも、おそらく妖の仕業なんだろう。

出会って短い間でも宣夜を善人だと信じる半夏は、家族を惨殺したという噂話も全く信じていない。たとえ本人がそれを認めても、そういう話には必ず側面があると断言する半夏は、やはり彼を信じているようである。この真っ直ぐ直感に従う半夏の純粋さにいずれ惹かれていくのかもしれない。なにせ半夏が良い子すぎて寄せられる心には抗えないんじゃないか。

 

序盤から何かと宣夜を構う楚捕頭は、妖の存在を全く信じていない。妖とは気付かず戦った後、気絶させられた自分を救ったのは宣夜だという事実も知らないままイキる姿は抜群にカッコ悪いが、悪い人間ではなさそうである。いずれ妖を目の当たりにして、その不信感が覆されることになるんだろう。

 

遊女の怪奇事件は、捕快と協力して宣夜も半夏も捜査に加わるが、ここには妖の存在を信じる者も少なからず在籍しているため、妖の仕業だという推測の元、旧友の温捕頭と事件を追うこととなる。

ほどなく突き止めた鏡妖にまたも追い回される半夏だが、ひたすらの梨攻撃が怖くてたまらない。反射するものがあればどこにでも現れる鏡妖は、半夏を狙って執拗に仕返しをしているようだが、この街を離れるのならとっとと行ってしまえよ、、、その前に仕返しなどと考えるから、宣夜に成敗される羽目になるんだよ(予言)。

 

面白いー、ちょっとグリムやスーパーナチュラル(アメリカドラマ)っぽさがある。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第7話~第8話。

鏡妖の暴走は続く。

遊女である李離の願いを叶えて永遠に側に置くため、人間の命を奪う鏡妖は、李離の裏切りに気付いて相手の男を殺めるが、驚いたことにこれが初めてではなかった。

永遠に鏡妖の側にいるという条件で、人の命を糧に若さを保っていた李離は、何度も何度も別の男と恋に落ちるが、その度に自分を殺めようとする李離の人格を鏡の中へと封じ込め、初回に戻るという作業を、鏡妖は延々と繰り返していた。

李離を見張りながら、半夏に仕返しをするという忙しい作業を自分が望んでやっているわけだが、李離を一旦初回へ戻すため鏡内へと戻った二人を追って、宣夜と半夏は鏡へ吸い込まれていく。

このすぐ後の、鏡が捕頭二人へは反応しなかったことを考えると、ひょっとしたら宣夜と半夏の一部は妖なのかもしれない。


元々、父親の失踪を調べるために鏡妖を追っていた二人は、この妖を成敗する前に、その事情を聞き出すことを忘れてはいなかったことに安堵する。

何妖かに依頼されて父親を捕獲するはずだった鏡妖は、父親が別の何妖かの助けで逃げ出し、偽造した遺体で死んだと思わされていた。それが火事の現場に残っていた遺体だが、そのトリックに気付いた鏡妖は、実物を追って自宅へと乗り込み、結局攫っていってしまった。となると、誤訳でなければ父親の命を狙う妖とその命を助けた妖の二種がいることになるが、どちらも白状しないまま鏡妖は塵になってしまう。

塵にしたのは勿論、封じ込められていた鏡妖を憎む方の李離だが、憎んだ部分が排除された李離が、自分の罪もろとも最後に一緒に塵となった姿は、憎む一方でも愛していたのだな。

図らずも永遠に側にいる約束を果たしたわけだが、何重にも思いが重なる人の心は複雑である、、、

 

結局、父親の行方は分からず仕舞いだったが、妖に恨まれたり助けられたりする立場だったことは新しい発見である。半夏が幼少時に巻き込まれた妖との絡みも、この辺りから来ているのかもしれない。母親、、、かな。

少し前に、偶然、宣夜の肩の傷を発見した半夏の回想では、自分を庇った少年の血が目に入ったのちに、妖が見えるようになった記憶が蘇り、彼がその少年なのではないかと現時点では疑っている。

ここで、以前、宣夜が半夏の目をクリアにする術を施した時に言っていた、元々妖の見える能力を呼び覚ましただけ、という言葉を思い出した。能力のない者にこの術をかけても見えないものは見えないのだが、幼い頃の半夏が、その血によって見えるようになったという経緯は、生来その能力を持っていたことになる。それがあの少年の血で呼び覚まされたのなら、どちらも妖の血が混じっている可能性もある。

 

続けて六年前の宣夜の屋敷で起こった悲劇が語られるが、医院の傍らで捉妖師を家業としていた久家は、妖にロックオンされ一家全員が妖毒に操られてしまった。

これまでお気楽に生きてきた宣夜は、鏡内でその姿を垣間見ることが出来るが、突如に訪れた悲劇で生きた屍となった家族を、やむなく殺めねばならなかった宣夜の苦しみは想像を絶する思いである。あのお気楽な姿から一夜にして変貌し、この苦しみを乗り越えて健気に家業を全うする宣夜を思うと泣けてくる。

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この時の父親の最後の言葉が引っかかる。

「自分が何者かを決められるのは自分だけ。」

あの手首の刺青が宣夜を守る何かであるようだが、やはり彼は人ではないのかもしれない。永夜星河の慕声が巻いていた髪の発帯が脳内で交差したわ。

以前、半夏を救ったのは自分だと気付いたのかと思っていたが、宣夜は幼い頃の記憶を失っているため、気付いたのは半夏の方だった。

 

この話を半夏へと聞かせる楚捕頭は、助っ人気取りで乗り込んだ自分の失態が更に混乱を極めさせた鏡妖事件で、図らずも妖の存在を目の当たりにしてしまった。ひたすら宣夜を一家惨殺の犯人だと思い込んでいた件は、早くもここで崩れ去り協力体制に入るのだと思われる。

 

任嘉倫はこの手の闇を背負う芝居がほんと上手い。地声も相変わらず良い。

宋祖兒の役柄によるゆっくりとした口調と、半夏の人を思いやる優しい性質もとにかく気に入っている。

主演がどっちも良いなー。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第9話~第10話。

父親の行方は分からず仕舞いで振り出しに戻った半夏だが、宣夜との近所付き合いの密度は増していく。どうしても行方を捜すことに協力してもらいたい半夏は、何かと宣夜に打診はするものの、毎度、銭をよこせと言われ続ける。そう言っている割にこれまで銭を受け取ったことはないんだけど笑

 

そうこう過ごしているうちに、言秋(従兄)が居場所を嗅ぎ付けてやってくるが、やはり妖の存在は信じていないため、父親が生きているという話にも全く耳を貸さない。これだから段家を出て宣夜を頼ってこの地に辿り着いたのだが、頑なに連れ帰ろうとする言秋に段々イラついてくる(私が)。この頑な様子は、ひょっとして半夏の幼少時の妖絡みの件を何か知っていて、妖から遠ざけようとしているのかと思ったが、遅雪の変身を見て納得したのか、あっさりと帰っていってしまった。

ただ妖を信じていなかっただけだったのか、、、その割に帰途でまたもや妖に騙される不憫な立ち位置。

この過程で、言秋が蛮娘の正体を知ってヤケ酒を煽り、床にコロンとなった彼を抱え起こすため、遅雪の助けを借りに行くのだが、現れたのは宣夜だった。

このせいで汀州があらぬ勘違いをするくだりが面白い。

 

「大夫はきっとあなたの事が好きなんですよ、だって遅雪は(兎の姿で)いたのに、出掛けていると嘘を言って自分が手伝いに来たんですから。」

「えーそうなの?」

いや、その会話をあんな近くで話してたらそりゃ本人に聞かれるでしょ笑

実際、遅雪は出掛けていて、汀州が見た兔は本物(遅雪の嫁候補)だったのだから、完全に誤解された宣夜は明くる日にその兔の存在を殊更に強調するが、天然の半夏には効果はなかった笑

 

そんなほのぼのした日々を送り、白髪の出てきた宣夜の髪を染めながら、腕グイで顔面が接近してドキドキなんかしているうちに、父親の命を交換した妖の存在が段々と見えてくる。

この正体は九命と呼ばれる黒猫だったが、どうも悪人善人関係なく無差別に相手を選んでいるように見えるし、代償(銭)は付くものの、人を救う良い妖なのかどうかも未だ不明である。

この黒猫と連動して、白鴉が肩に止まられた人間は近日内に死亡するという案件も発生していたが、この白鴉は死を予言する妖精のような存在で半夏にしか見えない。

これが温捕頭に纏わり付いていたために、次はその命が尽きる予言をされたわけだが、これも黒猫さんが命を交換して温捕頭を救った格好となる。温捕頭や父親を救ったとなれば良い妖だと思いたいが、本当に銭だけで命の代償となるんだろうか。

ひとまずは、この黒猫を誘き寄せて父親の行方を探ることになりそう。

 

という感じで、銭をよこせという割に完全に半夏のおっとりペースに巻き込まれて全力を尽くす宣夜は、相変わらず素敵な男である。それだけでなく、死の予言をされた温剣を、常楽剣の力で何とか救えないかと真剣に書物を漁る友人思いなところもイイ。

この常楽剣は、かつて宣夜の父親を救うためにも使おうとしていたが、妖を斬るだけでなく救う剣でもあるのだな。しかもこの剣は意思を持ち、因果の機に応じて自ら剣を選び発動する不思議な剣だという。序盤、剣を抜く前にクルクル回っていたのはそういう訳だったか。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第11話~第14話。

猫妖が唯一父親の行方の手掛かりなのは分かったが、特に人などに化けて話が出来るわけでなく、今のところは猫のままである。それでも宣夜の屋敷に、これまで命を交換する代償で得てきた銭を投げ入れて、それと交換で言秋が囚われた宿屋へ向かえと暗に仕向けてくる。あの銭の箱はどうやって運んだんだろうな笑

 

言秋が、塵となった蛮娘の幻を見ていた時から怪しい宿屋だったが、猫妖の望むまま目的も分からずそこへ向かった二人+遅雪も、当然怪しい雰囲気を察する。

まず、宿屋の親父が怪しさ満載だったが、これは宣夜が例の光る虫で確認した結果、妖ではなかった。となると娘と呼ばれる伍娘しかいないわけだが、中々正体を現さず奇妙な雰囲気のまま数日を過ごす。

 

その間も、見張りに付いてきた様子の猫妖が度々姿を現すが、どうも宿屋とは関係はなく、どちらかというと味方のような動きをしている。そのおかげで、隠されていた言秋を見付けることが出来たのだが、その言秋は「飲むと一番会いたい人に会える」という謎の酒(浮白飲)を延々と煽って、自ら幻想の中で日々を過ごしていた。幻想だと分かっていてもここから離れられない言秋を見ていたら、昔、インドでヤクに溺れて日本に戻れなくなっていた学生さんを思い出した、、、かなしい。

かなしいのはこれだけではない。少し前に、この浮白飲の名を聞いた宣夜が何か思い当たる節のある様子が見えたが、その理由もここで判明する。

家に戻った宣夜が、家族を思い出している回想だと思わされていたのは、その手で殺めた二度と会えない家族を、この浮白飲を通して見ていた宣夜の幻想だったのである、、、さすがに辛すぎるわ、かわいそうにな。 それでもこの話を聞かされた言秋に、幻想の日々を終わらせて、自分を待つ家族の元へ戻る決意をさせたのだから告白した甲斐はあった。

遅雪もしかり、宣夜にとっても、今の生で家族と呼べるのはお互いだけだと思ったら切なくなった。

 

一方の楚捕頭は部下二人を連れ、処刑された人間が生きている謎を追って、同じ宿屋に行き当たる。このせいで楚捕頭は部下一人を失くすわけだが、この謎(妖)の解明と部下の命を奪った仇を討つため賢明に捜査に邁進する。

序盤はさほど見えなかった楚捕頭の人格だが、真面目で責任感が強く部下思いの素敵な男である。意固地でもなく何事も柔軟に受け入れる能力もあり好感度はぐっと上がった。

 

じわじわと伍娘の正体も見えてくるが、このじわじわ加減が不気味で見入ってしまう。

どうやら過去に従軍していた伍娘の親父は、皆が軍を離れて行く中、上官と二人っきりでその地を守っていたようだが、その上官もほどなく逝ってしまった。一人残されて寂しくてたまらなかった親父は、人形を彫り、それが何らかの力で生命を持った結果、伍娘の姿となったようである。

これが妖と取引した結果なのか、自然に生命が誕生したのかは今のところ分からないが、寂しくてたまらなかった親父も、本物の人間(家族)に焦がれていた伍娘の暴走も若干切ないものがある。次話でどうなるのか楽しみだなー。

猫妖に乗った人形の絵面は不気味さよりも可愛さが勝っていたね笑

 

それにしても、誰とも比にならぬくらい突き抜ける宣夜の優しさがいちいちきゅんなんだけど。この役柄は本当にヤバい、なんというか、、、好きって感想しかない笑

 

つづく

 

追記ネタバレ 第15話~第16話。

半夏に成り代わろうとした伍娘が割とあっさり成敗されて、その父親も自害してしまったが、この後のドラマティックな展開に泣いた。

従軍していた当時、一人残された宿屋の親父は、迷い込んで来た黒猫を一度腹の足しにしようと考えたが、心優しい性根が勝って逆に側に置いて面倒を見ていたことがあった。ほどなく人形に生命が宿ったために、そちらに気を取られて可愛がっていた黒猫は段々と目に入らなくなってしまった。それでも可愛がられた恩を忘れず、ずっと親父の側にいた黒猫は、今回の危機を察知して、彼を救うために宣夜をこの宿屋に向かわせたのである。

九命の最後の命を、自害した親父と交換して黒猫さんの命は尽きたわけだが、言葉はなくとも恩を忘れず、その命を捧げた最後には切ない思いをさせられる。

以前、妖になぜ銭が必要なのかの話が出ていたが、人間が銭でしか動かぬことを理解し、自身の出来る限りの技を使って親父を助けるためだけに、命の交換をして銭を集めていたのか、、、めちゃ切ないっす。妖は妖でも伍娘との見事な対比を見せられたな。


この人形編で一つ疑問なのが、伍娘の肩にあった刺青が楚捕頭の部下の肩にもあったと思うんだけど、あの部下が人形の兄の方って話あったっけな、、、遺体は人形でもなく、確かあの部下には子供もいたはずである。

伍娘が言っていた、相手に成り代わって家に帰った、とは、伍娘が半夏に成り代わった方法と同じ手を、兄が先に使ったということ?

ただ、伍娘の刺青は成り代わった後の人形の方に残っていたし、仮に、兄があの部下に成り代わったのなら、その身体に刺青があるのはおかしいよね、、、謎だ。


半夏から目を離さずひたすら気遣う宣夜は、相変わらず優しく、伍娘との戦いで、離火剣を使用した代償がその身に形となって現れることも口にはしない。

染めた白髪が再び白くなっていることに気付いた半夏は、使用した剣から受けるその代償を聞かされて動揺する。元々、父親の行方を捜すために宣夜の力を借りている半夏は、その自分の要求のせいで彼が傷付いていくことが辛くてたまらないのである。

再び髪を染めながら、しくしく涙を流す半夏の気持ちが画面越しに伝わってこっちも辛くなるよ、、、新たに掴んだ母親の手掛かりを追って地下城へも向かわねばならないが、そこが禁地である宣夜の命を守るため、今回は彼を頼らず、偶然現れたあの捉妖師二人にこの件を依頼することになるんだろう。それでも宣夜は、誰に止められようと共に地下城へ向かうことになるんだろうが、おそらくここで、本人も知らぬ宣夜の出自が明かされそう。

 

一方の楚幽篁もまた、街で起こった妖絡みの事件で地下城へ向かうことになるが、共に調査に出向くのは過去にしがらみがあった司馬令贏である。身分の違いから婚姻を辞退した格好となった幽篁を、どうも好いている様子の司馬令贏とは進展もありそうだが、幽篁は堅物すぎてその辺が疎いんだよね笑

 

つづく

 

追記ネタバレ 第17話~第20話。

宣夜を残して、新しく現れた捉妖師二人と共に地下城へ入った半夏だったが、やはり宣夜は後を追って禁地へと潜入してしまった。

この二人の捉妖師だが、半夏の依頼を全うするつもりはなく、ただ地下城へ潜入したかっただけの輩である。妖と遭遇すれば、害益関係なく飛び掛かっていく姿は、ただの自己満のようにも見える。とにかく同じ捉妖師であっても宣夜やその父親とは妖への捉え方が全く違う。地下城に妖が生息しているという噂だけでこの地へ来たんだろうか、この二人の目的が全然分からないな。

半夏の依頼はそっちのけで、偶然見つけた人の良い妖(魏子昕)を追いかけ回す捉妖師二人だが、そのおかげ?で、宣夜も半夏を見付けることが出来たのは良かったんだけど。

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宣夜の命を守るために置いてきたのに、結局、禁地に踏み込ませたことが心苦しく、その気持ちを知らぬ宣夜に叱られる半夏は、まだその心中までは明かせない。

それでもここで再会した二人は、両親の手掛かりを追って調査を始める。その過程で宣夜の師叔(張壘)とも出会い、今のところは何かと力になってくれているが、純粋に助けているのか或いは打算があるのかはまだ分からないな。

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ほどなく調査に向かった先で、絵画妖に捕まりその絵画の世界へ閉じ込められるわけだが、、、これが予想外に楽しい。

 

外界から絵画に入った人々にとっては、パラレルワールドとなっていて、宣夜以外は現実の記憶を持っていない。

別の案件で地下城を訪れていた幽篁と司馬令贏は、調査しているうちに幽篁だけが絵画の中へ吸い込まれ、絵画妖に攫われた半夏、そして柄の悪そうな隣人兄弟だけが、今のところ宣夜の知る現実世界の人間である。

隣人兄弟などは、この世界では兄弟関係であり、めちゃくちゃ愛らしい姿になっていて実に和むやり取りをしている。

 

絵画の世界で宣夜が目覚めたのは、半夏が幼馴染の幽篁へ嫁ぐ日であり、何とか二人を正気に戻そうと奮闘するが、パラレルワールド状態の二人に絵画の中の世界だと言っても信じてはもらえない。

宣夜の記憶だけが残っているのは、あの手首にあるお守りのせいなんだろうか。とにかく毎度目覚める度に、同じ日を頭から永遠と繰り返すわけだが、何度目かのやり取りで、とうとう半夏は宣夜に心を寄せてしまう。

半夏の芯が強い部分は同じだが、慎ましい性格の現実世界とは違い、この世界では腕力を持たない宣夜を助け、嫉妬心も素直にぶつける姿は新鮮である。

この一日が過ぎて明日になれば、全てリセットされる半夏の記憶に乗じて、現実では言えない彼女への気持ちを口にする宣夜には切ない思いをする。

割と序盤から優しかった宣夜が、どの辺りで半夏に心を寄せてしまったのかは謎だが、「很久之前」とは、ひょっとしたら半夏に出会った記憶のない幼い頃から、心はずっと寄せていたのかもしれない。この告白の間、宣夜をじっと見つめる半夏がすごく良かった、、、

任嘉倫の恋愛絡みの作品は、その作品自体は面白いのに哀しい最後になることが割とあって、今回も警戒はしているが、宣夜が妖か人間かというだけの問題なら、最後まで生きていて欲しいな。

 

この日を機に半夏の現実の記憶は戻ることになるが、これも心が動かされたから、とか、妖の血が混ざってるからとか何か理由はあるんだろう。半夏が宣夜の告白を覚えているかどうかはまだ分からないけど。

ワーワー喚く幽篁は未だ現実の記憶はないが、色恋とは無縁で生真面目な性格の現実とは違って、こちらも新鮮で楽しい。

 

絵画の中に両親がいるとすれば、鏡妖を利用してまで父親を捕えたかったのは、余程、その存在が重要な役割を持つのだろう、という宣夜の推測の元、この絵画世界での日々がどれだけ続くのかな。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第21話~第22話。

半夏が記憶を戻してから、無駄な時間を短縮して目的へと真っ直ぐに取り掛かることが出来るようになり、さらに面白くなってきた。

結果、祭ってある観音像が現実世界から攫われた母親であり、その側で涙を流させる役割として、父親も攫われて絵画の中に囚われていたことが分かる。

どちらも現実世界の記憶は持っていることは安堵したところだが、幽篁と司馬が捜索していた信安王は、記憶を取り戻したせいで、絶望して過ごしたのちに最後には消えてしまった。この絵画の中で命を落とせばおそらく無となってしまうため、信安王はここで命が尽きたのだと思う、、、記憶が戻らなければ何も知らずに幻影内の住人として過ごせたようだが、元々、不治の病を患っていたとはいえ哀しい最後だった。

ということは、宣夜も半夏もその両親もこのまま絵画から出られなければ消えてしまうのか。こうなると気持ちが焦って観ている方もじりじりしてしまうよ笑

 

この絵画の中では、宣夜の亡き両親も再現されていて、ひとときを過ごす家族の団欒は胸にくるものがある。半夏も宣夜の気持ちを察して共に過ごす時間を引き延ばしたりで、互いが互いを思いやる姿が優しすぎて泣ける。

ここで幻影から抜け出すためのヒントが宣夜の父親から語られる。絵画妖を滅するか、幻影と現実の境目にほんの少しでも波紋を生じさせれば簡単に破れるという話だったが、絵画妖を滅することには失敗してしまった。この絵画妖との戦闘は、宣夜の力が発揮できないために半夏が担うこととなるが、主演どちらにも見せ場がある構成が実に良いね。

この幻影に意味もなく、ただの愉快犯のような絵画妖に逃げられたため、残るは22話終盤で、最後の希望のように登場したあの光る虫が鍵なのかもしれない。

 

この一日の最後は、絵画妖に刺された半夏が亡くなったところで振り出しに戻るが、目覚めた時には半夏の現実世界の記憶も再び消えていた。元々あった地下城へ向かう河も、絵画妖に描き替えられた上、信安王の消えた残像を目にして絶望が過ぎった今の宣夜には打つ手がなく、ヤケ酒を煽ることしか出来ない。今が我慢のとき、、、半夏の記憶も消えたのではなく、宣夜を失うことが怖くて遠ざけるために覚えていないフリをしているんだと思う。

しかし外界から、有るものを失くしたり、無いものを加えられたり簡単に描き替えられる仕様が面倒だよ、あの刺客の群れはきついな、、、

 

この絵画内で唯一良かったのが、互いに自分の心を打ち明けられたところ。

同じ一日がループしているため、あの時、躊躇わずに告白出来た宣夜だったが、なんと半夏にはその記憶が残っていた。そんなことだろうとは思っていたが、このおかげでモジモジ期間も長くならず二人のこれからの関係は進展していきそう。

相変わらず絵画内の住民である幽篁は、現実世界での話を自分のことだと勘違いして色々ズレているが、最後まで記憶のないまま幻影で過ごすことになりそうだな笑

 

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おかしな行動ばかりの兄を心配する兄弟が相変わらずイイ。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第23話~第24話。

幻影の消滅は、月虫(光る虫)だけでなく、察しのいい司馬令贏も外界で絵画を描き加えていた沙妖を倒す役目を果たして、各々に見せ場がある。

幻影を作り出していた真の妖は、何の力もないちっぽけな虫だったが、ちっぽけゆえに理想の世界を作りたかった哀しい妖である。結果、初めて満月を浴びて満足そうに消滅していったが、多大な犠牲を伴ったその理想の世界が消えゆく瞬間も、幻想的で実に美しかった。

やっと皆が生きて戻れて安堵するが、おそらく幻影内での記憶が各々に残っているため、幽篁などは半夏への態度が明らかにおかしくて笑う。

その空気を読んだ司馬は、何も言わずに幽篁の気持ちは彼自身に委ねることにするが、何年も幽篁だけに想いを寄せてきて、そんなはずはないのに「我不是非你不可」とかカッコ良すぎるんだよ、、、早く夢から目覚めるんだ!

 

一方の半夏も、宣夜のはっきりとした言葉が聞きたくてたまらない。はぐらかす宣夜に対し、半夏の駆け引きもなく気持ちに素直なところが、この役柄の良いところの一つである。

気持ちが止まらず捲し立てる半夏から目を離せず、すかさずその口を塞いだ宣夜にはちょっと驚いたんだけど。というより、ドラマでのキスシーンはNGといわれていた任嘉倫にそれがあったことに驚いたという方が正しいか。とにかく二人に関しては、絵画内での日々が功を奏した格好となり、ひととき幸せそうに過ごす姿が微笑ましい。

絵画から救われた礼のためだけに、宣夜を見付け出して駆けつけた兄弟も最後まで良かった。

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一方で宣夜の周囲を纏う不穏な空気は着々と近付いてきている。

絵画内の幻影妖との戦いで、その攻撃を腕輪で阻止したことがあったが、お守りだと言っていたこの腕輪(刺青)は、どうやら居場所を知られぬよう宣夜を隠すためのものだったようだ。それが絵画内で破壊されたことによって、知られてはならぬ者に居場所が知られてしまった。

 

宣夜は黒豹さんだったのだな、、、おそらく幼い頃に半夏を追っていた黒豹は宣夜の兄であり、その兄から逃がそうとしていたのが宣夜だったんだろう。

何がどうなって、宣夜が父親のお守りによって隠されていたのかは謎だが、現実世界へ戻って来た母親が半夏にそっけないのも、この過去が関係している気がするな。

 

半夏はその左目で、宣夜の影を妖だと確認したはずだが、人であろうが妖であろうが関係なく、気持ちは真っ直ぐに宣夜へ向いている。元々決まっていた婚姻も辞退する気満々だが、両親の思いは少し違っており、わざわざ宣夜に半夏の婚姻話を聞かせたのも、二人を引き離すためなのかもしれない。

せっかく胸に秘めた想いを告げて家族となれるかもしれぬ人を見付けたのに、両親の言葉によって再びブレーキのかかる宣夜が不憫だ、、、去り行く背中が寂しい。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第25話~第26話。

半夏の慎ましい奥に潜んでいた、活発な本質がだんだん露わとなってますます良い。加えて曲がったところもなく素直で心に正直な性質が言葉と一致しているのも分かりやすくて良い。

どちらも控え目だと進展はしないが、ブレーキのかかった控え目担当の宣夜に、思ってもない言葉で別れを告げられるもしょんぼりしたのは一瞬で、この先を全く諦めない強さがめちゃくちゃ頼もしい。「退婚するからってあなたに嫁ぐわけじゃないんだからっ!」の行ったり来たりのくだりが可愛いくてたまらん笑

 

その間も、黒豹兄が宣夜と身体を(勝手に)交換したりしつつ廣平城へと距離を詰めているが、その道中で遭遇した司馬令贏と一戦を交えたあと、捕らえて道案内をさせている。

宣夜自身は、自分の記憶が途切れて見覚えのない土地で目覚める繰り返しで悪い予感はしているが、よもや自分の出自が関係しているとは思ってもいない。自分を捜す何者かが迫っていることは分かっているが、今のところはその人物を待つことしか出来ないのである。

身体を交換されたことで、司馬令贏がその何者かに捕らわれていることに気付いた宣夜は、未だ夢うつつの幽篁に彼女の捜索を委ねる格好となるが、やっと夢から覚める時が来たな笑

 

側面では新たな蛇妖も登場するが、この蛇は今のところ悪い妖には見えない。しょうもない暴力夫を殺めたのも、次は男に生まれ変わりたいという希望を叶えたのも、かつての恩返しという理由がある。

その蛇妖は、突然半夏を訪ねてきた許嫁の李賢と知り合いのようだが、この二人がどう絡んでくるのかは全く分からないな。

断固として嫁ぐ気のない半夏が、李賢の何を確かめようとしてヤクを購入したのかも全然分からないが、あれが月虫だとすれば妖を疑ってるんだろうか、それとも李賢から退婚を申し出させるような何か華麗な計画でもあるのかな。

 

半夏は前向きに今の状況を変えようして行動からもハツラツさが見えるが、宣夜の方は、半夏の両親からの圧で気持ちを再び封じ込めて苦しみ、あげく見えない敵(黒豹兄)?にも翻弄させられ不憫でしかない。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第27話~第28話。

李賢に自分の能力や身近な妖の存在を知らせぬまま、婚約関係を継続するべきではないと考えた半夏は、その目で妖の存在を認識させるため、遅雪から無相水を手に入れたのか。

この無相水は、何かしらの素質がないと効かないと思っていたが、妖とは関係のない誰にでも効くのだな。

ひょっとしたら妖の存在を知った李賢が尻込みする期待もあったのかもだが、この男も素直で純粋なため、あっさりと存在を受け入れて羨望の眼差しを向ける。素直で良い子だな、、、

この半夏の行為に若干難色を示す宣夜だったが、あなたなんて選択肢も与えてくれない、と逆に反撃を食らってぐうの音も出ない笑

個人的には、知らずに済むものならその方がいいという宣夜の言い分も分からんでもない。ただ半夏のように、妖の世界に片足を突っ込んでいる状態では、自分の意思を無視する宣夜に憤りを感じて反撃するのは自然である。

 

黒豹兄との問題も放っては置けない宣夜は、今度は自分から仕掛けて相手を探ろうとするが、その多くは未知のまま、ひとまず司馬令贏を逃がすことだけはやり遂げる。

司馬令贏は、大義のためには何事も怯まず立ち向かう強い娘だが、好いた男の前では偽気絶で気を引いたりする普通の女子である。これが実に愛らしいのだが、生真面目な幽篁はこれに騙されて心配が止まらない。司馬令贏の仮病に加担する宣夜にも完全に丸め込まれているが、そろそろ夢から覚めたらどうかな。心配でてんてこ舞いの幽篁は、かつての半夏への奇妙な想いは忘れているようにも見えるが。

 

ほどなく半夏の肩に白鴉が止まるという事件が発生する。

こうなると半夏の命が危ない。側を離れず命を守ることに緊張感が走る宣夜は、その意思とは関係なく、五剣のうちの常楽剣を使用して白鴉をぶった切ることになってしまった。以前、因果に応じてその剣の意思で選ばせると言われていた常楽剣は、その機を己で察して宣夜に選ばせたのである。この代償が未知すぎて怖い。さらに残るもう一本の剣となると命の代償とかにならんか、、、気付かぬうちに何か大事なものを既に失くしているのかも、とかいう伏線っぽい台詞が不穏だ。

 

この辺りで、かつて絵画内で出会った小道士とも再会するが、本物は心が安心を得られるところという言葉通り、浦島太郎となっても悲観することなく、本物は心が教えてくれたかの如く達観していたな。

 

半夏を危険から遠ざけるため、彼女の父親に言われた通りに身を引くことを考えていた宣夜は、既に半夏が自分側に足を突っ込んでいることにやっと気付く。そのため自分が離れようが離れまいが、妖との世界を半夏から切り離すことは出来ないことを考えると、自分が側にいて彼女を守るしかないと思い直す。それを伝えられた父親は、真摯な宣夜の態度に折れるのだと思われる。仮に、幼少時の半夏と妖との絡みで隠している事情があるなら、それも打ち明けたりするかもしれないね。

 

一方の蛇妖は、本来人間に害を与える妖ではない。それでも杏仙の暴力夫としょうもないクズ男を殺めた罪で宣夜に追われることになる。

蛇妖にとっては、恩人を救うため罪深い人間に手を掛けたわけだが、一度人間に害を与えた妖が、これから同じことを繰り返さないという保証はない。捉妖師の立場からそれを許すことは生業の否定ゆえに、宣夜の言い分ももっともである。それでも宣夜は蛇妖のこれからを信じて今回は見逃すのだが。

宣夜との約束通り、この街を一緒に離れるという蛇妖に、都合の悪そうな杏仙の態度が気になる。皇帝の専属楽師の件と何か関係あるんだろうか。

 

そろそろだ、そろそろ宣夜の出自が明かされそう。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第29話~第30話。

杏仙の表情が曇っていたのは義理より自己を選択したためだったようだ。蛇妖はそれを分かっていながら、杏仙の思いを優先して盛られた毒も黙って受け入れる、実に愛の深い妖だった。寿命の長い妖は、その間の修練によって毒などでは命は落とさないようだが、裏切られたことを恨むことなく、かつての恩人のこの先に光を与えて静かに去って行く。

この世は妖が悪とされているが、人も同じく悪であり、まさに宣夜の父親が口にしていた言葉の象徴に見えたな。

 

李賢の粋な退婚でしがらみの無くなった半夏は、やっと宣夜に嫁ぐ方向へ話は進むが、その日が目の前に迫った頃に、黒豹兄が居場所を突き止めてしまった。

ついに視聴者にも宣夜の真の姿が露わとなるが、おそらく皆が予想していたため、そう驚きはなかったんじゃないかな。妖は妖でも黒豹ってのが痺れるところ。

本人も遅雪も知らぬこの事実を察していたのは半夏のみ。そのため、遅雪から伝えられた黒豹の話ですぐに宣夜だと気付くが、よもや彼が妖だとは口が裂けても周囲には言えないのである。

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本能に語りかけて宣夜を引き寄せた黒豹兄によって、俺らは無憂境の玄豹一族だ、という事実を知らされた宣夜は自分が妖だという現実を受け止められず混乱する。それでもすぐに、妖である自分は半夏と共にこの先の道を歩めぬことを受け入れてしまったようだ。

半夏には人でも妖でも心が通えばそう違いはないと思っている節が前々からあったが、宣夜からは人と妖は違うという旨を度々諭されていた。ゆえにその宣夜が実は妖だということも本人には言えなかったわけだが、失ってしまいそうな不安で、我真的會生氣から我真的不在乎に切り替わる半夏の真意が実に切ない。

 

その後の宣夜が寄こした別れの手紙も、半夏にとっては絶望を畳みかけられる結果となるが、これまでの様に諦めぬ強さを発揮してくれると期待している。

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あっという間に残り6話となってしまった。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第31話~第32話。

玄豹一族は、妖の源である無憂境を代々守る使命を持ついわゆる王族である。現王の嫡子である宣夜は、記憶を失くしてその使命も忘れてしまっている。

序盤は悪妖にみえた黒豹兄は、ただ秀でた能力を持つ嫡子である弟と共に使命を全うするため、連れ戻しに現れただけである。この兄には無憂境を守らねばならない大義があるため、ただ欲のために人の命を奪う妖とは全く違った。


束の間の兄弟喧嘩のあと、残された宣夜は黒豹のまま、すかさずいつかの捉妖師に追われることとなる。ここで遅雪は宣夜を庇って命を落とすことになり、本当にやめてくれんか、、、という気持ちになる。黒豹姿の宣夜が悲しむ姿には胸を抉られるが、黒豹なのに顔面が宣夜に見えるんだからすごいよね。

捉妖師に混じって妖を追ってきた捕快の幽篁は、遅雪の庇う黒豹妖がただの妖ではない何かを察知し、心中は複雑である。この躊躇いから妖を一概にはしない彼の慈悲深い本質が見える。

 

一方の半夏は、宣夜が去ったことで故郷へと連れ戻されることになるが、このまま宣夜を放ってはおかない。捕獲された宣夜を檻から逃がし、自分もその背中に乗って逃亡する絵面がファンタジーって最高だなと思う笑

それもすぐに捉妖師に追いつかれるのだが、今回の危機を救ったのは、地下城にいた師叔である。人間の割に妖術の様な技を使いこなし、べらぼうに強いこの男は、そもそも演者が張壘だけに怪しさは満載だったが、この時は宣夜を救った善人側だと思っていた。

その宣夜を追って半夏も地下城に再び足を踏み入れるが、半夏のために別れを告げた宣夜も、その覚悟を目の当たりにして彼女を受け入れ心を解放する。

この辺りから師叔が不穏な言葉を口にし始めるが、やっぱり害人はあなたなんですね、、、

 

黒豹兄の方は、宣夜のひたすらの抵抗によって、お前にはもう関わらないと諦めたように去って行く。幼い頃の記憶が戻れば、宣夜にも兄の話は理解出来るのだろうが、これまで人間として生きてきた宣夜には、いきなり現れた黒豹に玄豹の使命などを説かれても、受け止めるのには時間が必要なのである。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第33話~第36話(最終話)。

夢うつつだった幽篁の意識は段々と元に戻りつつあり、やっとその目にも司馬令贏が映るようになってきて、二人の少し進展した関係が微笑ましい。この二人+温捕頭は、宣夜が妖だと知っても変わらず親身になって協力を惜しまない素敵な仲間である。

しかしこの間も師叔の暗躍は止まらない。宣夜を諦めて無憂境へ戻ろうとする黒豹兄を、執拗に追って捕えようと躍起になっている。

 

この師叔は十二年前の人間界と無憂境の界門が開いた当時、うっかり無憂境に吸い込まれてしまい、妖の源の存在を知ってしまった。そのため自分のやるべきことはこの地を破壊することだと信じて、これまで多くの妖を殺めて妖力を手に入れていた。全ては、無憂境を破壊して妖を全滅させるため、自分がまず妖となって無憂境へ入る準備を進めていたのである。宣夜へのわざとらしい理解も、彼の力を手に入れて妖になるためだったようだ。その上、兄の力も得ようとしている。今回もそんな役どころですか笑

 

この師叔の策を当に見抜いていた宣夜は、人間に成れる方法があると言う師叔に騙されたフリをして真意を突き留めようとするが、ほどなくそれを知られた師叔にはもはや何も隠すことはなくなってしまった。宣夜を救いに現れた兄と二人で対抗しても、人間とは思えぬ強さの師叔にじりじり感が止まらない。

結果、自身を犠牲にして宣夜を救った兄は、ここで命を落とすが、その兄の力を得た師叔はついに妖へと変貌する。そのすぐ後に、共に宣夜を救いに駆け付けた幽篁と司馬令贏も、血みどろの戦闘の末、命を落とすのだが、この終盤で心を寄せていた人々を次々と失っていくこの感覚は絶望でしかない。

 

目の前で行われる激しい戦闘も、半夏には見ていることしか出来ないが、個人的には半夏にも何か特別な力があって、この窮地を救うのではないかと思っていた。

ところがこの窮地を救ったのは、妖となった師叔を滅すことの出来る五剣目の歸元剣。手ごわかった師叔はこの剣のおかげで滅することが出来たが、この男の起こした波紋はそこら中に広がり、この世界の崩壊は目前となる。

自ら機に応じて姿を見せる、最も重要な剣だと言われていた常楽剣がここで再びゆるりと現れたことで、宣夜は己の為すべきことを知る。


宣夜の剣の一振りで、時間は十二年前の半夏と出会う前まで戻り、そこから出会わない時間軸での世界が進み始める。

以前、この常楽剣と歸元剣は誰も抜いたことがないと言っていたが、こうなってみると元々宣夜だけに与えられた運命という他ない。ゆえに根源を滅することと、この禍が起きぬ世界に時間を巻き戻すことは初めから宣夜の役目だったんだろう。

 

時間の巻き戻った世界は、父親や兄、遅雪や幽篁、司馬令贏も命を落とすことのない世界となっていた。十二年前に界門に吸い込まれたのが、師叔ではなく善良な父親だったことが軌道を変えたんだと思う。

その部分は安堵したものの、かつて命を賭して宣夜を救った誰もが、半夏ですらもその存在を覚えている者はいない。時間を巻き戻した宣夜だけが、ほどなく以前の十二年間を思い出し、度々、人間界の半夏や家族の様子を伺いに足を運んでいた。

記憶のあるまま、あんな幼い頃から嬉しさとも寂しさともいえぬ思いを抱えて、陰から見守る宣夜にはぎゅっとなる、、、一族の使命を果たさねばならない宣夜は、かつてのように人間界で生きることを切望してもそれは不可能なのである。

以前とは違って人間界へ迷い込むこともなく、兄弟二人で使命を全うし続ける宣夜の心中を理解し、気遣う兄の愛がとてつもなくデカくて泣けるよ。この兄の愛と互いの信頼のおかげで、巻き戻した時間を絶望せずに過ごせたといっても過言ではない。兄が事情を知るのは記憶があるからなのか、宣夜から聞かされたからなのかは分からないけど。

 

一方の半夏は、かつての記憶はなくとも心に刻まれた宣夜という存在が気になって仕方がない。運命でも消すことの出来ない想いは心に刺さった棘のように留まり、それを確かめようとして何度も追いかける半夏は、その度に知らぬ者同士を装う宣夜に追い返される。

その棘と同じように、消えずにこの世界に残っていたのが回音螺である。思えばあの時、自分の気持ちを螺にだけには打ち明けていたよね。あのじいさんは時間軸の外にいる存在なのか謎だが、因縁果報時機已到という言葉から、忘れたままの運命ではないことが初めから決まっていたのかもしれない。

記憶が走馬灯のように蘇った半夏は、全てを思い出すこととなるが、だからといって共に白髪となるまで添い遂げられるという話ではない。宣夜と兄の守る無憂境では、無憂草が枯れ始めて妖の存続が危うくなっており、それを何としても防がねばならない使命がある。ゆえにお気楽に好いた女と添い遂げるなどという夢は抱いてはならない。

再会しても、その使命を知る二人の間には、落ち着きはありつつも未来はないことを薄っすら感じているのが見える。

このまま別々の道を進むこととなった二人を見るのは侘しいものがあるが、白髪となるまでという希望をあの雪で一足先に達成したように見えたな。

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これまでの事件で遭遇した妖は、宣夜とその兄の尽力により、運命が変わった妖、同じ運命を辿った妖、様々だったが、九命猫妖が、結局、恩人のために命を捧げた結末は、巻き戻した世界でも同じことを選択するのかと尊い気持ちになった。

以前とは違い、生き続けた父親とも約束した十二年後に再び界門が開く時が訪れるが、今は見送っただけの半夏が、十二年後は無憂渡を渡って無憂境に足を踏み入れる時が来るかもしれない。

という少し希望のある未来は見えた。きっとこの再見は二度と会わないという意味ではないはず。

 

ほんと面白かった。

終盤などは胸が抉られる苦しい思いが続くが、抱えてきた憂いを解消させつつ、なにより最後まで皆が生きていたこと(特に任嘉倫の役どころ)が個人的には未来があって良いと思えた。

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