难哄(難哄)The First Frost 全32話 | 一言難盡

一言難盡

Ture courage is about knowing not when to take a life,but when to spare one.

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『难哄(難哄)The First Frost』

2025年 2月~ 中国 全32話

 

監督 瞿友寧

 

出演

温以凡→章若楠

桑延→白敬亭

 

 

偷偷藏不住のスピンオフで、桑稚の兄である桑延の恋模様が描かれるようだが、あの桑延のイメージとは全く違う顔を見せられる。おかげで、あのちゃらけた裏側で実はずっと傷付いていた気持ちを想像すると切なくなる。

都市劇だから完走出来るかわからないけど、、、

 

 

ネタバレ 第1話~第3話。

開幕は、過去に二人が別れた描写から始まるが、その後8年を経て再会するところからが物語は進む。

 

「我是你的備胎嗎」(俺はキープか。)

というなんとも切ない言葉で最後となった二人は、8年後に偶然夜の街で再会する。8年も会っていなかった割に、一度再会すると堰を切ったように偶然の出会いは続くが、当時の桑延の問いに答えることもなく別れてしまった以凡は、合わせる顔がない。

互いに忘れられず、その想いは抱えて生きてきたため、桑延は素っ気ない態度を貫き、その態度に以凡の後ろめたさは煽られるのである。

以凡の回想から想像すると、過去に乱暴された経験があり、このトラウマを抱えるせいで桑延とも別れる選択をしたんだろう。

この理由については、後々きちんと描写があるのだろうが、今は何も知らず弄ばれたと思い込んでいるため、桑延の口調も若干乱暴である。

 

桑延はぶっきらぼうでも優しい男で、度々再会する以凡を以前のように気に掛けるようになる。家まで送って行ったあの時も、アクセルを中々踏み出すことが出来ず、いつまで見ているのかと思うくらい後ろ姿を見送っていた。

結果、それが功を奏して、男共に追われた以凡を救うことになるが、あんな風で割と武闘派だったのだな、、、一方で、自分のために傷を負った桑延への申し訳なさが募る以凡は、ますます気まずさが増していく。

しかしあんな輩共と共同生活せねばならないのはキツイものがある。少し前にも、このクズに乱暴されかけてトラウマを蒸し返されていたしね。

 

助けた後でもぶっきらぼうな物言いの桑延だったが、自分へ助けを求めないことにも若干ぷんすこしていた。言葉とは裏腹に、昔の想いは続いているため、突き放した態度でも手を差し伸べる準備はあるようだ。桑稚と兄妹だけあって、彼もまた一途である。

 

クズとはこれ以上暮らせないため、次は知り合いの琳姐と同居することになるが、引っ越した途端、琳姐はいきなり転職してこの家を出ねばならなくなってしまった。

必ず女性の室友を捜すから、といって現れたのは、もちろん運命の絡み合った桑延だったよね笑

琳姐に強引に押し切られ、同居することになって気まずさはMAXだが、行き場もない二人は、ひとまず3か月だけ同居することにする。

ここでも桑延の優しさは爆発しており、ぶっきらぼうでも以凡の要望に全て応え、自分がより多く家賃を払っていても、広くて良い部屋を以凡に与える。優しい、、、優男の白敬亭にぶっきらぼうは似合わないが、これからだね。

 

因みに、Netflixのリマインダーから消えていたこのドラマが再び現れたので、同時配信ではなくともそのうち配信されるようだ。

まもなく配信の表記でも長く待たされる場合もあって、いつになるのか分からないけど。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第4話~第5話。

桑延が拗ねらせまくっている。

10代の頃のキラキラした想いを踏みにじられた傷は、なかなか癒えないのは分かるが、こんな男は若干面倒ではある笑

幼馴染みである外国帰りの向朗と、思喬、三人で久しぶりに会う場にも仏頂面で付いて来て、皆に気まずい思いをさせるが、おそらく本人は、以凡に好意を抱いている男と会わせるのが心配なだけなんだろう。

開幕の言葉は大学進学の件でのものだったが、向朗が約束の相手だと知った桑延が、これをプラスにとったのかマイナスにとったのかは謎である。それでもこの後、家に戻らずテキストのやり取りだけで数日を過ごす姿は、言い訳でもいいからあの時の気持ちを聞かせて欲しかったんだと思う。仏頂面でいるのは、時間が止まったままのあの頃のことを、自分からは怖くて聞けないために、再び傷付かぬよう自分を守っているだけなんだね。

 

以凡の事情はまだはっきりとは分からない。

当時、同じ大学へ進学するために、一緒に頑張ろうね、と心は寄せ合っていたようだが、桑延とは曖昧な関係だったのだと思われる。

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おそらく自分の家庭の事情に巻き込むことを恐れた以凡は、その純粋な想いも手放すしかなかったのかもしれない。最後の辛辣な言葉の数々は、桑延の気持ちを想像するとたまらないが、同じように以凡も傷付いているのが分かるためにつらさ倍増である。

あの佳佳とかいう娘は血縁なのか義理なのか謎だが、母親の男関係に付随するなにかで、暴行されたトラウマも発生しているようだね。因みに、現在でもくだらぬ男のちょっかいであらぬ噂を立てられている。白月光はつらいよ、、、

 

閉じ込めた気持ちを互いに口にせねば、どちらにも伝わらないが、目線だけで言葉にはしない二人の思いが画面から伝わってきて切ない。

以凡のために買ってきた冷蔵庫の中身を、自分が消費出来なかったら悪くなる前に食え、という桑延が素直じゃないんだよな笑

じゃあ逆にお金払わなきゃ!となっている以凡が不憫、、、

 

思喬と振られて落ち込む浩安には早くもフラグが立つ。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第6話~第10話。

以凡の過去が少しずつ見えてくる。

慕っていた父親が亡くなり、祖母に預けられた以凡は、その祖母もほどなく逝ってしまい、次は伯母の元で暮らすこととなる。

父親が亡くなったとき、この伯母が以凡の母親へ、あんたはまだ若いんだから、といって以凡を祖母に預けたのは、子供がいることで再婚が不利になるためだが、後に、再婚相手の連れ子と折り合いが悪かった様子を見ると、義妹の対抗心によって一緒に住むことが困難だったのだと思われる。

おそらくこの伯母の家のしょうもない息子にトラウマを植え付けられたんだろうが、縁を切ったはずの伯母もこれから絡んで来そうで鬱陶しい、、、目的は金だと思うが。

 

自分の子を守らず、祖母に預けた母親への今の態度は、捨てられた以凡にとって当たり前の反応だと思う。てか、再婚相手と伯母の夫の見分けが付かん笑

後に、大好きだったバレエを辞めねばならなかったことや、伯母の家で存在を否定されながら生きる以凡の描写もあるが、これが苦しくて母親に家へ連れて帰って欲しいという懇願も、義妹の機嫌のみを窺う実の母親は何もすることなく放置していた。

 

この苦しい時期に、何も聞かずに寄り添ってくれた桑延が以凡にとっての光だったことが、7話の冒頭で分かる。

伯母が乗り込んできた部分から暗転して、暗闇から光へ向かって歩き出す以凡は、その先に見えた桑延にゆっくりと寄り添う。

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本人は眠っているため、無意識下で行われていることだが、普段、自分の気持ちを閉じ込めている以凡にとって、本当はずっと桑延の存在のみが支えだったのだと思ったら妙に泣けた。これに戸惑う桑延が、「自作多情」と言われていたのは気の毒だが、視聴者には以凡の心が適切に伝わり絶妙に刺さったシーンだった。

 

同居を始めて、帰りの連絡などをマメに取る二人は、なんだか恋人のようなやり取りをしているが、今のところは、昔過ごした互いの日々の思い出を口には出さない。未だどちらも傷付いているため、気軽に当時のことを怖くて口には出せないんだと思うが。

それでも親友の思喬に少しずつ当時の事情を明かしているのは、これまで口には出せなかったことが、時間を経ながら冷静に自分を振り返る余裕が出来たということか。ここでのケーキの話から妄想すると、ひょっとして当時の桑延との決別は、自分には彼に想われる資格がないと感じていたのかもしれないね。

謝罪に遅すぎることはない、という思喬の言葉はありきたりでも良かった。過去の話を口にすることで誤解が解けて互いの傷が癒えるところを早く見たい。

 

学生時代の桑延は早恋と罵られながらも、ひたすら以凡を見守っていたが、父親の危篤の知らせで悲しむ以凡が乗ったバスを、走って追いかける姿は、キラキラした青春の極みである。

そう思うと、追いかけることに一生懸命だったあの頃と気持ちは変わらず、傷付けられたまま少し大人になった桑延が拗ねらせていても仕方がないのかもしれない。

以凡に対する態度も、同居するうちに段々と変わっていくが、そもそもやっていることは昔と変わっていないため、昔に戻りつつある。

夢遊病告白のタイミングで、少し話を盛っているところは微笑ましいが、その盛った話に動揺していた以凡が、その晩の夢遊でその通りの行動を取る演出が妙だね笑

度々の演出が妙なのは、過去の台湾ドラマを軒並みヒットさせていた瞿友寧監督だからか、と思うなど。

 

一方で、思喬が浩安の祖母へ親身に協力する姿も実に良い。思喬にとってはまだ友人の域を超えない浩安だが、浩安には少し心を寄せて始めているのが見える。

その思喬の想い人が向朗だったのには驚いた。向朗があの場で思喬の面子を潰して、以凡にも気まずい思いをさせたことで二人に亀裂が生じないかと心配していたが、それも思喬が良い子過ぎて全然心配なかった笑

 

つづく

 

追記ネタバレ 第11話~第13話。

夢遊中の自分の行動を知らされてから、以凡には一層心苦しさが増すが、約束の3ヶ月を過ぎても出て行くつもりのない桑延は、それを逆手に取って以凡を弄んでいる。

俺に借りがある、君の深夜の理性は欲望に殴り倒され俺を占有しようとする、とかいうテキストを細切れで送る桑延の言う借りとは、過去に傷付けられたこともおそらく含まれているんだろう。

二人のやり取りだけは微笑ましいが、この物語の中での夢遊は、おそらく以凡の心に刻まれる傷がストレスとなって現れている症状なんだろうから、そう軽いものではない。

母親や伯母が現れたストレスで再発した病は、この後も、その傷を蒸し返す事案が取材先でも発生する。

 

取材先の娘の話は、これまでの以凡と、これから先起きる可能性のある未来を思わせる内容で、過去の傷がまた新鮮な傷となって刻まれる。実際にも昼間に受けたストレスで夢遊病が発生する事例もあり、以凡の状況はそこに当てはまっている。ゆえに何度でも桑延は無意識下の以凡に翻弄されるのだと思われる。

それでも桑延にとっては、意識のある以凡からは味わえない喜びを得ているため、若干待ち望んでるところはあるよね、どちらかといえば俺ラッキーみたいな笑(笑いごとではない。)

 

章若楠の透明感と言葉のトーンが、闇を抱える以凡の背景を想像出来るこの作品に合っていて感心する。

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以凡の職場の実習生である穆承允は、なにかと以凡に纏わりついて桑延の嫉妬心を煽る存在となっているが、宜荷でも付き纏う男どもにあらぬ噂を立てられ被害を被ってきたことを考えると、彼も周りの誤解を生む危険な存在である。穆承允に気のある風の同じ実習生の娘は、既に思うところがあるようだし。

しかも、時間を経て段々薄らぎ始めた宜荷での小三とされたホラ話を、実話のように引っ提げて現れたおっさん、ほんとキモいんだけどなんなの、、、ここで黙って引きがらない以凡には安堵したところ。

この少し前に母親が現れて嫌な思いをしていた以凡は、幾度も傷を蒸し返されて散々である。娘を捨てた母親にとっては、罪悪を拭うために償いがしたいのだろうが、少し待ってあげたらどうだろうか。伯母やその家族の仕打ちをなだめるような言葉も以凡にとっては気に障るものでしかないのが分からないのかな。

結果、そのストレスが深夜の夢遊に繋がっている。一つ前の夢遊病の名を借りて桑延にぎゅっとしていた以凡にも泣けたが、苦しみを背負う無意識下の以凡の姿は一層つらくなる。

 

そして13話最後の、桑稚との会話がまた以凡の傷を抉る。

高校時代の桑延は、常に仏頂面でやる気もない様子だったために、両親はこの先を心配していたようだが、ある時から南蕪大を受験するため勉強を始めたようである。当時の桑延は、以凡が全てといっても過言ではないため、その恋心が原動力となっていたんだろう。好きのパワーはとんでもなくデカい、分かるよ笑

一緒に頑張ろうねと言っていたあの頃だ、と以凡は記憶を巡らせて、最終的にそんな健気な彼を傷付けたところまでを遡る。

かわいそうにな、、、桑延に心を寄せていても、この傷付けた彼の痛みや自分の痛みが癒えなければ一緒にいることの方がつらい。母親や伯母との確執はともかく、桑延との誤解だけは早く解けて欲しいが。

 

この回想から妄想すると、伯母の息子か誰かの乱暴が我慢の限界を超え、南蕪そのものが汚らわしいものに感じて、すぐにでもこの地を離れたかったのかもしれない。当時はまだ子供で他のことは考えられず、それを思い出させる桑延さえも全て捨てて、遠く宜荷まで逃げることでしか自分の心を守れなかったのかも、と思いながら、その晩の夢遊で桑延のベッドに潜り込むのを見ていたら不憫で仕方なかった。

 

ここでの桑稚の時間軸は、宜荷へと段嘉許に会いに行った先で恋人が出来ていたと誤解して、空港に迎えに来ていた桑延に縋りついて泣いていた後か、、、と懐かしい思いが湧いた。

あの時も優しい兄だと思ったもんだが、家具に緩衝材を当ててあげる今でも、桑延の優しさは変わっていない。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第14話~第15話。

過去の桑延への言葉を思い返して、何度も自分の心を傷付ける以凡は、その夜の夢遊で桑延のベッドに潜り込み(二回目)、今回はそのまま熟睡していたようだ。

曖昧ながら互いの好意は感じている関係だが、その病を理由に桑延は以凡の本心を聞き出したくてたまらない。それが若干意地悪な質問になってしまうのだが、戸惑う以凡がめちゃくちゃ可愛いんだよなぁ、少し意地悪したくなる気持ちは分からんでもない。

 

それでも以凡にとっては、その桑延の冗談も、自分が彼に損させているのではないかと心苦しさは増すばかりである。てかね、こんなに想いを剥き出しにしているのに、以凡が鈍感すぎるんだけど笑

その鈍感さで、これ以上迷惑は掛けられないと思い、桑延が出て行かないなら自分がこの部屋を出ようと考え始めるが、それを聞かされた桑延のどんより感は半端ではない。その後、あまり最近会ってないと以凡が言っていたのを考えると、おそらく桑延は、いつまた自分から離れていくのかが怖くて避けていたんだと思う。

そんな気持ちには全く気付いていない以凡だが、よく分からぬ感情で、何となく部屋を探すことにも能動的には動いていない。

幸せな日々を送るには、まず自分のことを大事にせねば叶いそうにないが、その大事に思っていない自分自身の心も見えていないため、桑延の気持ちも自分の気持ちすらも分かっていないようだな。

 

桑延の母親が年頃の娘を連れて現れた時なんか、ちょっと笑っちゃうくらいの鈍感さが炸裂する。

少し前に、ここのところ桑延が見合いをさせられているという話が出ていた。連れて来た子がその候補なのかは不明だが、聞こえてきた母子の会話で、桑延はあの子のことが好きなのかな、、、とかいう思い違いを始める。

というわけで、私のことをまるで自分の女のような言い方をしている、と一瞬思ったかつてのことは忘れて、全く桑延の想いには気付いていない。いちいち可愛いすぎるんだけど笑

以凡は序盤から、男性に触れられることを極度に恐れているが、桑延だけは大丈夫なのがなぜなのかもまだ分かっていない。

 

無自覚でもあの頃の桑延に対する安心感は、切れることなく今の同居にも繋がっているため、何となく引っ越しすることを躊躇う以凡は、引っ越ししたいのか、という問いに、実はそんなにしたくない、と答える。正直で実に愛らしいが、それを聞いて一気に目の輝いた桑延もまた愛らしい。これまで不安だったために余計に嬉しかったんだろう。

いい感じになってきた。

 

思喬と浩安の方も関係は密になってきているが、主演の背景だけでなく、浩安の事情も若干重い。いや重いのは主演だけでいいやろ、あっちもこっちも闇を抱えて情緒が振り回されるじゃん笑

 

 

日本のNetflixでも3月4日から配信が始まるようだが、同時配信でなくとも3週遅れでの上陸とは、かなり尽力してくださっているんだろう。私が言うのもなんですが、、、毎度ありがとうございます。

それでも优酷ではだいぶ終盤に差し掛かっている頃だから、このまま大陸版で観る予定です。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第16話~第18話。

16話の開幕から、電話の通じなくなった学生時代の桑延が、以凡への想いを手放すシーンに泣かされ、そのまま木頭の火葬に繋がる流れは情緒が振り回される笑

番号を変えられて、当時伝えられなかった誕生日のお祝いを、今回は達成することが出来た桑延と、それを嬉しそうに受け入れる以凡の姿は沁みる。

 

今も昔と変わらず、以凡だけを気に掛ける桑延の気持ちは、遂に以凡を前へと突き動かし、今度は自分が好いた女から追われるという立場を獲得する。

といっても、以凡の性格ではアピールも若干控えめなのだが、本人にとっては全力で向かっているつもりである。これがいちいち可愛い。夢遊病で被害を被ることを防ぐために部屋に鍵を掛けろ云々のくだりから、腕を引っ張られた以凡のほっぺがバチーンと胸に当たった瞬間が、ちょっと笑っちゃうくらい可愛かった。

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元々、桑延の気持ちは揺るがないため、以凡が彼を傷付けた過去を乗り越え、前向きに考え始めた今となっては、二人の関係に関しては障害はない。そのためこの曖昧な関係が恋人となるまでは秒読みとなってきた。

次の桑延の誕生日を忘れぬよう、日々残りの日数を知らせ合う微笑ましい姿は、擦れた大人では味わえない甘酸っぱさだわ笑 やっとあの時から進み始めた想いのスタート地点はまだ10代のままということか。

 

ほどなく北楡で災害が起こったために、取材に向かった以凡は、久しぶりにこの地を踏むことになる。

過去の苦い経験をやっと吹っ切って前へ進むことを静かに決意し、新たに自分の気持ちを桑延に伝えたことは、以凡にしてはめちゃくちゃ頑張ったと思う。

言わずとも、以凡の元へ向かっていた桑延にもやっと笑顔が見えて、曖昧な関係が実った18話最後は心底安堵した。傷を負ったあの雨の日を、この日の雨で綺麗に洗い流したように見えたよ。

 

不穏なのは、病院で名前を呼んで盗撮をしていた人物だが、この男(序盤の回想にいた伯母の息子かなんか)がトラウマの元なんじゃないのかな、その詳細は未だ想像の域を超えずはっきりしたことは分かっていないけど。

苦い思い出の一つである義妹に関しては、話し方や声は癇に障るものの、少なくとも幼かった自分の態度を反省はしているようである。

自分の態度の悪さで、母子に亀裂を生じさせた責任を感じているため、義妹や母親との関係は後々修復されそうではある。伯母は無理だと思うが。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第19話~第20話。

やっと二人に笑顔が戻り、中高生の恋愛初期のようなキラキラなやり取りが、その頃を忘れかけた老体にとっては眩しく見える笑

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ここに至るまでの過程が丁寧に描かれていたため、以凡のこれまでにない笑顔を見ると嬉しくなる。

この様にしてしばらく良い気分で見ていた二人の純愛だったが、振り払ったはずの過去が追いかけてくる、、、

あの伯母は父親方だったんだな。以前、息子が結婚するからと以凡に金を無心していたが、ここのところは母親の家に入り浸り、そちらで金の無心をしているようである。

今では、その伯母の息子か何かは知らんが、トラウマと関係のありそうな薄汚い男も以凡へとだんだん迫ってきている。

やっとのことでここまで辿り着いたのに、足を引っ張る過去に不穏さが増している。

 

それでも誰にも言えなかった身内の事情を、少しずつ桑延に明かし始めた以凡に若干の安心感はある。今はもう一人ではなく、なにがあっても受け止める、という桑延がいるし、そもそもこの男は絶対に以凡を見捨てない。

20話最後の決意の抱擁にはぎゅっとなった。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第21話~第22話。

過去のトラウマ男の謎は未だはっきりしていないが、取材先で目にしたこの男のせいで、一気に古傷がぶり返した以凡に再び不安が襲う。

これまでもそうだったように、不安そうな以凡を見て、悲しんでいないかを不安そうに窺う桑延の目線が切ない。それでも無理に聞き出すことはせず、側にいるだけである。言い出せない以凡の不安を少しでも受け止めようとして、レコーダーに言葉を残す桑延のまばゆい包容力よ。

しかし毎話の冒頭を観ていると、桑延はずーーーーーっと、備胎だと自覚(桑延がそう思っていただけだが。)してもなお、以凡の様子を見に通っていたのか、どこまでも一途な男だ。

今では、互いには互いしかいない段階まで来ているが、かっこいいよね、という段嘉許への誉め言葉にキッとなってるのが良いね笑

 

今回は、偷偷藏不住と被る描写がある。あの時の桑稚も抜群に可愛かったと記憶しているが、こっちでも理性を失くした以凡がひたすらに可愛い。

酔った以凡が桑延だけに見せる我が儘で愛らしい姿を見ながら、口開けっぱなしでニヤついている自分に気付くと、若干気持ち悪い思いをする笑

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偷偷藏不住では、おんぶされた桑稚が好きな人に想いが届かないと本音を吐いて、段嘉許が自分で自分に嫉妬する(想い人が自分だと知らなかった頃)微笑ましい描写があった。

今回は、おぶられた以凡が宜荷での受難に対する心中を明かすが、それを聞く桑延がどこまでも以凡に寄り添っているように見えてぎゅっとなった。結果、そいつらの頭がおかしい、という返しに、自分でもそう言うと思った笑

以凡のこれまでの人生では、己の気持ちを閉じ込めて不満も口にはしなかったんだろう、と思いながら見ていると、我が儘以凡が可愛いやら不憫やらで、また情緒が振り回される。

あの時、桑延を傷付けた傷も未だ癒えていない以凡が、事情(おそらくあの薄汚い男との件)を明かせる時がくればその傷も相殺出来るんだけど。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第23話~第26話。

あの薄汚い男は、伯母の弟だったようだ。こいつが以凡の職場にまで現れて、過去の己の振る舞いを棚にあげ、人生の転落を以凡の責任にしていることがほんとキモイんだけど、、、いや元々うだつが上がらぬ自称作家風情で、居候して賭け事にうつつを抜かしてたやろ、頭は大丈夫か、、、

こいつが過去を手放さず、桑延の店にも害を及ぼす事態となったため、以凡は再び姿を消すことを選択する。残された者は混乱しても、以凡の性格ならこうするだろうと思えた部分だった。

 

少しずつ過去の事情は明かされてはいたものの、桑延の知ることはそう多くない。この舅舅に遭遇した時の以凡の様子がおかしかったことには勘付いていたが、その過去の事情までは分からない。そのため残された桑延は以凡を捜してこれまでの軌道を追うが、自分の知らぬところで苦しんでいた以凡の痕跡を目にする。

段々と事情も分かってきて、過去の別れも薄汚い舅舅が関係していることに感付いた桑延は、別件でのいざこざで、血まみれになりながら舅舅をぼっこぼこに痛めつける。桑延かっこいい、、、あー早くこのおっさん牢に放り込まれないかな。

 

一方の以凡は、周りの皆に害が及ばぬよう香港へと逃避するが、その前にビシッとゴミどもに警告していくところが、何も言えなかった昔の以凡とは違う。

以凡の態度を今になって、恩着せがましく口にする伯母(金は以凡の父親から受け取っている。)はさておき、元はといえば、母親が責任を放棄して他人に預けたのが始まりである。自分可愛さで娘を手放し、その娘が助けを求めた時でさえ、引き取った後の心労が自分に降り掛かからぬことを優先したのである。それなのに以凡の態度にあれこれ不満を言う資格がお前にあるのか。あの婦警さん家族なんてキラキラしていたではないか、お前は肉親で婦警さんは他人だぞ。(口汚くてすみません、、、)

 

それから半年が過ぎたが、桑延の気持ちは変わらずとも、どこを捜せばいいのか分からず途方に暮れていた。しかし香港といえば向朗だ。少し前に、街で以凡を見掛けた向朗が、その情報を持って桑延に会いにやってくるが、ここで向朗の存在意義があったことを知る笑

ここから桑延や思喬浩安の香港での捜索が始まるが、そう簡単には見付けられない。浩安なんて完全に思喬との旅行を楽しんでいるだけだしね笑

 

以凡の方は、この地で子供たちへとバレエを教える機会を得るが、学生時代に桑延が練習場を作ってまでして続けたバレエを、ここに繋げて来たことに、なるほどとなった。時間を経て、気持ちも落ち着いてきた以凡は、香港ボーイの言葉もあって、今も諦めない舅舅から逃避する格好となった自分が段々と馬鹿馬鹿しくなったのか、ついに宣戦布告を果たす。

 

この4話でだいぶ気は滅入ったが、やっと過去と対面することを決意し、桑延と再会するという希望が見えてきた。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第27話。

やっとだよ、、、やっと10年前の互いの傷を修復出来る時がきた。

 

再会直後はモジモジしていた二人だが、きみに会えたことがなによりも嬉しい、と言ってぎゅっとする桑延にはちょっと泣けたな。互いの想いは揺らぐことなく、離れていてもそこに失われぬ信頼は存在していたことがしっかりと見えた。

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過去の全てを明かす以凡への目線がいつもの如く切ない。

 

最後に追加される「我接受、不完美的自己」というサブタイトルがこの話の全てを語っているが、過去から逃避し続けた自分と向き合い、対峙していくことを決意した以凡が、少しでも自分を好きになれるといい。

 

27話最後に、数年前に北楡で起きた女学生の失踪事件に関する取材に向かうことになるが、こうなると、もはやあのゴミ舅舅の仕業としか思えない。

なるほど、どうやってあの男を牢に放り込むのかと思っていたが、おそらくこれで以凡の過去も含めて天誅は下るんだろう。

伯母家族がなぜ南蕪に越して来たのかという疑問が、劇中で何度も台詞として出ていたのも、これと繋がっているのかもしれない。もしやこのせいで南蕪へ逃避したのか?

となると、伯母も伯父も共犯ということになり、めでたく罰されることになるね。久々に再会した、とんでもなくキラキラした婦警さんも一石を投じてくれるはずだ。

 

月曜に収官礼が解禁だけど、平日だからカレンダー通りの視聴となりそう。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第28話。

人の命を奪ったその後も止まることなく罪を重ねた舅舅はもとより、それを隠蔽していた伯母もサイテーだったな、、、そのくせ罪を忘れたかのように、以凡に対する横柄な態度がいみふなんだが、盗っ人猛々しいとはこのことである。しかもゴミ舅舅は居候だと思っていたのに、コイツがあの呪われた家の主だったとは驚きである。そのため舅舅の犯罪に対して伯母家族も強く出れなかったようだが、比にもならぬことで一体何の言い訳なのか。人の命を奪い、未遂の果てに何人をも苦しめているのに。

娘(郭鈴)の命を奪われた父親なんて、最後に喧嘩別れしたことを悔いて未だ苦しんでいる。失った娘に対する態度が良くなかったことを自責して、変態舅舅の罪も一緒に背負っているかのような父親が本当に気の毒だった。生きてさえいれば小さくとも幸せな未来があったはずなのにね。

 

謎に捕まらず、以凡の周りを未だうろついていた舅舅は、桑延の拳によって制裁を科せられる。(その後連行された。)

以凡が失踪してから過去の事情を少しずつ知っていった桑延は、当時、自分の傷を抱えるのに精一杯で、以凡の苦渋に耐える日々に気付いてあげられなかった自分をひたすら後悔していた。そのため今回こそは過去の因縁を取り除くという決意の元、それを遂げたことで、以凡の過去にも自分の後悔にも遂に終止符を打つこととなる。身体は傷だらけでもその心は救われて、どこか晴々としていたな。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第29話~第30話。

長い間苦しめられた過去に決着を付け、その罪に傷付けられた人の心も救ってやっと重い鎖から解放される。

もう一つ、残ったしがらみは母親の存在だが、捨てられた自分が逆に母親を捨てるという選択は、大好きだった父親との約束を破ることになるため、究極のところは先延ばしにしていたのである。

 

伯母や舅舅に娘の面倒を見て貰っていた手前、当時も今も強くは出られなかった母親は、今回の事件の暴露で涙ながらに許しを訴えに現れる。

以凡にとっては、絶望ばかり味わわされた母親だが、この時はまだ、これまでのように連絡先を削除するという気持ちまでにはなっていなかったのかもしれない。

 

継父には愛人がいる、だから義妹も自分を慰めるために以凡に側にいて欲しいと思っているのかも。

そんな話を唐突に切り出した母親を、かつて自分を捨てた母親が、今は捨てられる立場となっていることに、同じく捨てられた以凡にとっては滑稽に感じたのかもしれない。

絶対的に愛してくれるはずの母親から愛されなかった絶望を口にした以凡に対しての、この母親の返しは、何を思ってこの見当違いな話を持ち出したのかはいみふである。縋りついて同情でも引きたかったのだろうが、都合の良い時だけ母親面をして、結局は過去から何も変わっていない自分のみを守る姿を哀れに思いながら、今回はキッチリと決別することを決意する。

母親が自分に対して取った行動を見事に返す格好となったわけだが、そもそも母娘関係は以凡が捨てられた時に終わっていたよね。

 

全てのしがらみを断ち切り、これからは桑延との未来を前向きに歩むことのみとなり、残り2話は、睦まじい姿を見て癒しを貰うだけとなりそう。

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ずっと愛してくれていたのは、母親でもなく、この時から桑延ただ一人だった。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第31話。

桑延の家族が最高だ。

家族と呼べる人間が一人も残っていない以凡にとって、何でもない普通の会話でも桑延の母からの言葉は光そのものだったよ。桑延が唯一の光だったように、彼を育てた両親も同じだったことが以凡の傷をだんだんと癒してくれる。直前に長月燼明を観ておいおい泣いていたせいか、ここでも涙止まらんな笑

魏子昕は悪役でもそうでない役でもどれも素敵だ、、、

 

かつて失恋して生きる気力も失くしていた桑延に、桑稚が王子と姫のたとえ話をする回想も良かった。今となっては、壁にぶつかった後に、それをバネにして活力を取り戻した桑延が、遂に以凡を苦しみから解放したのだから、桑稚が漫画に例えて鼓舞した通りになっている。あんなに傷付けた桑延を、それがあったことで逆に良かったと思わせる桑稚の言葉は温かく、以凡もいくらか救われたのではないか。

その後、禁忌の箱を見付けた以凡には再び後悔が押し寄せるが、桑延の見えなかった過去に気付いたのは良かったと思う。六年長く生きてそれ(あなたが想っていてくれた分)を返す、という以凡も実に愛らしかった。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第32話(最終話)。

ゆっくりと関係を修復していった始めの頃のように、終わりも唐突にはせず、味わいを残す余韻のような最終話。

派手な表現などはほとんどなく、一定の速度で時が流れるようなドラマだったが、12年かけてやっと辿り着いた、いわば桑延の一貫した想いそのものだったね。

個人的には以凡に心を寄せながら観ていたため、開幕から桑延を傷付けた自分を、自分で傷付ける姿にずっと胸が痛んでいたし、それでもめげずに見えないところから寄り添ってくれた桑延に感謝ばかりしていた。

途中で失踪したあの時は、その桑延が不憫に思えるが、桑延が過去の以凡の軌道を辿らなければ、開幕の言葉や当時の状況の重さも知らず仕舞いだったと思えば、失踪にも意味はあったと思う。後に以凡の口から語られてはいたものの、ただ聞くだけと自分の目で確認するのとは受ける衝撃が全く違う。そのためあの当時の自分の傷は、自分だけのものではないことに桑延も気付くことが出来たんだと思う。というわけで、どれも無駄ではなかった。

 

強いて言えば、、、

思喬と浩安の方にはほとんど注視していなかったが、偷偷藏不住のように、主演だけに絞った方が良かったのでは、、、このドラマでは軸の部分が若干重かっただけに、箸にも棒にもかからぬ中途半端に感じた思喬と浩安がもったいない気がしたな笑

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