『流水迢迢 Love of Nirvana』
2024年 9月〜 中国 全40話
出演
卫昭(衛昭)・萧无瑕(蕭無瑕)→ 任嘉伦(任嘉倫)
江慈→ 李兰迪(李蘭迪)
裴琰→徐正溪
ネタバレ 第1話~第5話。
開幕から既に衛昭の殺意が漲りすぎてハラハラさせられる。
衛昭には二つの顔があり、一つは朝廷に仕える光明司指揮使、一つは月落城の少主(蕭無瑕)である。
かつて朝廷から叛徒とされ、貶められた衛昭の父親は、治めていた月落城で行われた殺戮によって命を落としてしまった。母親もまた、命を奪われてしまったが、衛昭と姉だけはそこから逃げ出し命だけは取り留める。
そこから姉弟は割かれて別の場所に各々送られたようだが、姉は椋帝の妃という立場まで登り詰め、衛昭はその恩人という名で、光明司指揮使の座を獲得している。姉が妃になるまでの事情はまだ謎だな。椋帝は、この二人が実の姉弟だということも知らないのかもしれない。因みに、姉は既に亡くなっている。
月落や父親の雪辱を果たすため、幼き頃から大椋に偽名で潜入して暗躍している衛昭の目的は、朝廷を倒して、椋帝の命を獲ることだと思われる。この椋帝の月落での殺戮に関しての行いはまだ不明だが、彼も全てのことに疑心を抱いており、誰一人信じてはいない。(張豊毅は始皇帝暗殺の頃から全く変わらず凛々しい。)
一方の江慈は、師匠と二人っきりの山暮らしで伸び伸びと生活していたが、外の世界への好奇心は止まらない。ちょうど、隣国との和平のための式典が行われることを知った江慈は、下山してこっそり見学に行くことにする。
ここで衛昭と出会うこととなるが、初っ端から殺意を向けられ、触れたら血まみれになりそうな緊張感に、楽観的な江慈でも恐怖が拭えない。控えめな江慈の発言にも反応して、剣を一突き、毒まで盛っていく衛昭は、冷酷すぎてドキドキする、、、
この衛昭が纏う緊張感は、月落人の屍を背負って生きてきたためである。あの殺戮の事情を知る唯一の人間(王世荃)を捜していた衛昭は、謎にそこから逃げ出して名を変え、隣国の官吏となった滕瑞(王世荃)が目の前に現れて、この緊張も頂点に達していたのだと思われる。
滕瑞から事情を聞き出さねばならないのに、割と本気で命を獲ろうとする衛昭、、、殺意漲りすぎやろ笑
この場では、式典を任されていた裴琰(剣県侯)に阻止されることとなり、滕瑞を連れ去ることには失敗する。
死にかけた江慈もまた、裴琰に助けられることとなるが、5話まで観ていると、どうみても裴琰と江慈が恋仲になるのが自然ではないか、という錯覚に襲われる笑
裴琰の心中には、裴家の名を背負いその名を上げるための野心がある。そのため、刺客を捕えるための目撃者として、江慈を大事に療養させているが、刺客を捕えるためなら、彼女の命を囮にまでしているため、今のところは利用しているだけである。後々本当に心を寄せかねない雰囲気はあるが。
江慈に自分の手にある傷を知られたために、正体を暴かれる危険を抱える衛昭は、自分の本職は大丈夫?というくらい、ひたすら彼女を木の上からじっと監視している。その傷の歴史を考えると切ないものがあるが、監視している自分の存在を気付かせるための構い方はちょっと笑える。
当時は恐怖心しかなかった衛昭の存在に慣れて、本来の楽観思考が後押しする江慈の彼への気持ちは、少し遊び心も出て来たようである。ポジティブな人間はやはり強い笑
元々、式典を見学するために下山した足で月落へ珍草を探しに向かう目的のあった江慈には、出会った当時にその名を刻んだ本を持っていたことで、衛昭にとっても、少しだけ親近感はあったのかもしれない。そもそも江慈の出自も謎のため、月落と何か関係している可能性はある。姉と同じようにお粥に甘味を入れてたし、、、
この早い段階で、光明司での本職と刺客が同じ自分だったことも、江慈だけには知られてしまったが、師父という人質がいることに慢心しているのか、むしろ自ら正体を明かしたように見える。人質といっても別に捕えているわけではないけど笑
その師父は、椋帝に追われて身を隠していたようだから、燕家と椋帝の間にも何らかの確執があるのだろうが、今はまだ分からない。師父も朝廷に波風を立てるため、行動を始めている。
しかし未だ、滕瑞の動きを監視している段階のため、話はそう進んではいない。それよりも、衛昭と裴琰が互角の能力を持つことを分からせる二人の巧みな騙し合いが見どころ?である。
まだ序盤だけど、このドラマ結構気に入っている。
つづく
追記ネタバレ 第6話~第9話。
暗影閣(月落残党組織)が滕瑞の確保へ向けて動き始める。
裴琰の別宅に滞在していた滕瑞を捕えるため、屋敷に火を付け見事確保に至るが、表向きにはそこで亡くなったように見せかける。
このせいで、責任は和平協議を任されていた裴琰の肩にのしかかるハメになってしまった。
誰も彼もが察しがよく勘が働くために、すぐに江慈は衛昭に疑いを向けるが、小泥猫(猫の置物)を返して貰えばすぐに去るつもりで深入りも望まないため、裴琰にも口は閉ざしたままである。
同じ頃、椋帝は、裴琰が自分の座を脅かす人物だという噂を耳にして焦ったようだが、かつての恋人だった容国夫人(裴琰の母)によって、裴琰は自分の血縁だという匂わせ発言を食らい、手出しは出来なくなってしまった。
容国夫人の様子から考えると、椋帝は、これまで自分の立場を脅かすあらゆる人物を疑い、消して来たのだと思われる。
この噂話は、師父(燕家)が打診していた、裴家と椋帝に亀裂を生じさせる計画の一環だったのだと思う。なぜ裴家をターゲットにしているのかは分からないな。
火事で滕瑞を失った責任を椋帝にも負わされた裴琰は、10日以内に犯人を見つけ出す約束をするが、それが出来なければ裴家を守れないなどと言う椋帝には作為を感じる。本心ではその方が都合がいいとか思っていそう。
刺客の目撃者という名目で江慈を調査の助手にした裴琰は、すぐに衛昭へ疑いを抱く。二人の様子に何か含みがあるように感じたようだが、勘が鋭すぎて江慈も動揺を隠せない。しかも、月落の蕭無瑕という名まで突き止めていたのが驚きである。
さすがに衛昭と蕭無瑕が同一とまでの考えには至っていないようだが、こんなに勘が鋭ければ時間の問題だな、、、
同じく、お粥を使って衛昭が月落人だと突き止めた江慈も、じわじわと彼を追い詰めていくが、上手く躱した衛昭の機転で、蕭無瑕は別にいると思わされる。
そう思わされたのも一瞬で、衛昭と連れ立って侍衛の証言を聞きに行った江慈は、自分が彼によって、ある推測を植え付けられていたことに気付き、衛昭の正体も見破ってしまった。
「黒心卑鄙之人」
と罵る江慈に、どちらが卑劣だと訴える衛昭の心中を想像するとめちゃくちゃ切なくなった。当時は繁栄していた月落城も、あの殺戮のあとでは奴隷の町と化しているのである。
この後も考えを巡らせた江慈は、滕瑞が生きているという結論を導き出す。それをすぐに椋帝へ進言することにするが、このせいで、衛昭の計画はまた掻き乱される結果となる。
互いが互いの邪魔して、裴琰と江慈は捕らわれ、衛昭は遂に江慈の命を奪う寸前までいくものの、ここでも裴琰と江慈の保険が功を奏して、今度は逆に衛昭が追い詰められる。
暗躍していた月落人は次々と命を獲られ、決して正体が知れてはならぬ立場の衛昭を庇って、自害する賀家の老夫婦の姿には胸を抉られる。衛昭を守るための罵り芝居が辛くてたまらん。
これまで皆で故郷やその家族のため、汚名返上へ向けて地道に積み上げてきたものが、日の目を見ぬうちに命を失うとは、、、少主が生きてさえいれば雪辱は果たされるという思いで、亡くなってゆく月落人を、次から次へと見送らねばならない衛昭の気持ちを想像すると不憫でたまらない。
ここで、身内には紳士的な裴琰でも、敵に対しては容赦なく鞭を打つ姿を見せられる。結局、どちら側にいるかで正義はどうとでも変わる。全てにおいて正解など存在しないことが彼の姿を見ても分かるように、江慈が目にした悲劇が、事情を知った後の彼女にとってどういう気持ちの変化を辿るのかな。
江慈も巻き込まれて二重スパイのようになっているため、若干気の毒ではある。
滕瑞の証言から妄想すると、齊王を殺めたのはおそらく椋帝であるし、そこに燕家(師父)も関係しているようだから、王座のために兄弟を殺め、それを隠すために月落城を利用したのではないか、、、こうなってくると、友人だった裴琰の父も椋帝が消したのではないかという疑いも拭えない。となると、衛昭と裴琰は共通の敵を持つことになるため、最終的には、二人が協力して椋帝を倒す、という方向へ向かいそうではある。(いつも妄想が爆走する笑)
師父が追われているのは口封じのためだと思われるが、なぜ今なのかが分からないな、今まで隠れきれていたんだろうか。
つづく
追記ネタバレ 第10話~第12話。
老夫婦の最期の姿を見て全てを察した江慈、勘が良すぎる笑
命を懸けて衛昭の前途を守った彼らの姿は、自分がその邪魔をすべきではないと考えを改めさせることになる。そのため衛昭に対しては、月落人であろうが蕭無瑕であろうが、その追及を止めて、裴琰にも何も知らせることなく保険にしていた文も燃やしてしまった江慈は、余程あの賀夫婦の姿に心を揺さぶられたのだと思われる。
この出来事を経て、殺意が漲っていたこれまでの互いの気持ちも少しずつ変化していくが、やはり恋の始まりは不憫だと思う気持ちが入口なんだと思う。その思いやりを感じた衛昭もまた、小泥猫を握り締めた拳から、手放すのが惜しい気持ちが見える。返したら繋がりは無くなるからね、、、
一方で、刺客を捕えるためなら人の命も犠牲にする裴琰の新たな一面を見て、江慈には少し考えるところもあったようである。
個人的にも、月落側から観ているために、心情は完全に江慈と同じだな。
この老夫婦と御車二人の犠牲で、衛昭は窮地を救われ、滕瑞も生きて見付かったために、裴琰も功績を上げることとなる。しかしその功績も、椋帝の焦燥感を煽るだけとなり、民に慕われている裴琰への疑心は益々強くなってしまう。
この椋帝の疑心を解くため、再度、江慈を利用した裴琰だが、そろそろこの地を去るという江慈を、理由を付けて手放したくなかったのもあったんだろう。うん、、、完全にエゴだな。
ほどなく、南霊の武器製造地がおかしな動きをしているという報告を受けた椋帝に、裴琰は自ら調査を申し出ることになり、これに江慈も同行させることにする。
ちょうど、齊王の死の調査のために捜していた燕姉妹を、裴琰も捜していることを嗅ぎ付けた衛昭は、これを機に椋帝の心中を利用して、裴琰を監視するという名目で自分の目的も達成するために、二人に付いて南霊へ向かう。
南霊での怪しい動きは、容国夫人も暗躍しているようだが裴琰の知るところではない。それでもあんなに勘が良ければ、母親の動きも何か察知してはいそうだけど。裴琰も腹に一物は抱えているのだろうが、椋帝にロックオンされ、母親にも圧を掛けられ、南霊に着けば、この地を仕切っている裴子放から、裴家に恥をかかせやがって、となじられ、それをじっと耐えねばならない辛い立場である。とはいえ結局、共通の敵は椋帝のような気がするけど、、、
この地で製造された武器が脆弱だったのは、裴子放と何振文が結託して転売した分を手抜きして製造していたからである。この悪巧みに関わる盧瑜が、私武器を製造しているのが判明したため、目的は権力、さらには謀反か、、、月落人はあらゆる場所に潜入して辺りを監視している長年の団結力が半端ではない。
恋愛部分に関しては、衛昭の江慈への殺意は完全になくなり、若干の嫉妬心も芽生えているようだが、本人は気付いていないため、心を寄せ合うにはまだまだ時間はかかりそう。それでも序盤とは全く逆の感情ラインを辿っているため、互いを見る目は穏やかさが増している。
で、結局、崔亮は何者なのか謎だな。
つづく
追記ネタバレ 第13話~第17話。
ちょろまかされた武器の調査のため、引き続き鋳造所を調査する三人は、少し前の火事で全て消失したことを伝えられる。
実際のところ、この事故は、阿顔(南霊への道中で船頭をしていた娘)の恋人だった武器職人の鄭生に材料の異変を気付かれたために、証拠隠滅を図って火を付け、鄭生を消した結果である。このことを調査してもらうため、阿顔は裴琰に直接談判をするわけだが、手を貸すのは江慈である。
存在は小さくとも、無限の包容力を所持する江慈は、周囲全員の心を射止めているため、彼らにとっての存在価値は大きい。
その間にも、裴子放が仕切っている米問屋の件で、飢えた流民を隠すために一ヶ所に集められている場所を捜し当てる。誰も見捨てられない江慈は、ここでも流民を救うことに精を出すのである。
裴琰はそもそも貴族であり、平民の気持ちはおそらく完全には理解できないだろう。対して衛昭は、幼少時に父母を亡くし、家を追われて、姉に見付けられるまでは奴隷として苦渋の人生を送っていたために、隔離されて苦しむ流民の気持ちは痛いほど分かるのである。そのため江慈との気持ちは一致していて、彼女の行動に寄り添って流民の活路を見出すことに協力する。
乗り気ではなかった飢えた住民のふりをさせられる衛昭が、最後は熱演していたのには吹いた笑
裴子放が新米を流通させずに、何がしたかったのか理由言ってたかな、、、どこかに転売しているという話にはなってなかった気がするが、見逃しているのかも、、、結局、私利を得るためだとは思うが。
自分が裴家の名を背負う覚悟の裴琰は、足を引っ張る叔父を犠牲にして、椋帝の信頼を取り戻すための踏み台にするんだろう。嵌められた叔父はあれが最後なんだろうか。
未だ容国夫人が、南霊でのことはまだ裴琰に知らせる時ではない、と言っていたのを考えると、彼女の手足となって動いていた何振文が、武器や宝石を蓄えていた秘密の屋敷で裴琰に言っていたことは真相ではないのかもしれない。
それでも息子の前途のために、財産を蓄えているという母にとっての言い分は理にかなっているように思えるが、公道を目指す裴琰にとっては悩みどころである。
目的のために、悪事に目を瞑って無辜の命を犠牲にするのか、と二度に渡って江慈から問われた裴琰は、母親と好いている女の挟間で声を荒げずにはいられなかったようである。
江慈にとっては、老夫婦の自害の件、胸を刺させた件、そして何振文のしょうもない息子の凌辱の件、これらでの不信感で、自分には紳士的であっても、しがらみのある貴族と平民との差を痛切に感じたのだと思われる。因みに裴琰への恋愛感情は一切ない。
対して、衛昭の親身な姿勢は、この不信感のおかげだといっても過言ではないくらい、より江慈に響くことになる。同じ気持ちで他人を救おうとする自分に寄り添い、二度も三度もその命を救われた衛昭への想いは、序盤に何度も殺されかけたことも相殺するほどである。
さほど感情を表さない衛昭でも、その想いが芝居から見えるために、いつの間にそんなに心を寄せてしまったんだと考えてみたが、おそらく殺意の裏でも、最初っから好意はあったんだろう。序盤は優先順位が月落だったために殺意が勝っていたが、ここまで想いが実ってしまったら、どちらかを選ばねばならないとき選べるのかな、、、
阿顔が凌辱された事件の結末は、どちらも立てようとした裴琰の望み通りにはならず、しょうもない息子も自分で自分の命を失う羽目になり、何振文の恨みは江慈へ向かう。毎度毎度このような逆恨みクズには辟易するが、今後も何振文からの危害は免れなさそうで気が重い。
結局、鄭生を消した何振文の罪はちゃんと追及されるのだろうか。裴琰個人には白状していたが、公言はしてなかったような気もするが。
序盤から、ひたすら名前だけが登場している斎王の部下?の趙五だが、衛昭は、阿顔がその男の娘ではないかと疑いを持っていた。しかし見た感じ、阿顔ではなく鄭生がその息子なのかもしれない。燕姉妹との関係もまだ謎で真相も見えていないが、鄭生が亡くなった後に、阿顔の住まいの庭に銭袋を投げ入れたのは、燕霜喬(師父)だと思う、、、尉国の刺客と言われている燕霜喬は、実は斎王側だったのかも。
ひたすら椋帝が悪玉だと思っているため、彼が警戒している人物は皆、公道人だと思ってしまうな笑
つづく
追記ネタバレ 第18話~第20話。
相変わらず勘の良い面々。
以前、衛昭が何永林を撃退した時についた傷跡と、滕瑞を襲った刺客の矢の形が同じだと気付いた裴琰は、疑っていた衛昭がやはり刺客だと確信して、椋帝へ証拠を持って告発することにする。
同じ頃、師父と落ち合う期日が迫り、崔亮の協力の元、隙を狙って屋敷から抜け出した江慈は、そのまま裕州島へ向かうはずだった。衛昭は離れていく江慈が名残惜しくとも、その邪魔をすることなく、小泥猫を返して静かに見送るだけである。やさしい、、、
脱出出来てウッキウキだった江慈も、崔亮から聞かされた衛昭の危機を知って、居ても立っても居られない。
折角、逃げ出して州境まで辿り着いたというのに、身を翻して衛昭を救いに向かう江慈は、彼だからという理由ではなく、おそらく万人にそうやってきたんだろう。それでも衛昭にとって、このことは深く心に刻まれたのだと思われる。こんなに胸を焦がしすぎてしまったらこの先どうするの、、、
この後、上手く裴琰を躱した二人は、裕州島へ向かうが、師父とはすれ違いで会えず仕舞いとなってしまう。
「戻ったのを後悔していないか。」
「でもあなたが捕まってもどのみち後悔するから。」
どこまでもマイナスには捉えない江慈の長所が光っている笑
燕姉妹の調査を続けていた衛昭は、少し前に、江慈の師父が捜している人物ではないかと疑いを持つ。仲間には、斎王暗殺の事情を知る燕姉妹を誘き寄せるためだと言い訳をしながら、師父は月落へ向かった、と江慈に思わせて共に月落へ向かう衛昭は、使命と愛の挟間で、決断を迫られることになりはしないか不安である。月落のおばあちゃんにも、前途は更に困難を極めると言われていたし、、、
月落に着いてからは、月落城を破滅させた椋人だからという理由で、江慈は邪険にされるのだが、、、こ、これは、このところの悲しい事件が絶妙に重なって複雑である。同じ人間とはいえ教育や文化、歴史など、互いが互いの都合の良いように解釈するこの世界では、国を隔てていれば尚更同じようには理解し合えない。話せば分かるというのは理想だが、大きなうねりの中ではもはや解決出来ないことを考えると酸味しか残らないのである。
とはいえ、阿楽と江慈のこの先の関係は心配なさそうだが。
一方の裴琰は、何振文が所持している鋳造所の帳簿を手に入れることにするが、母親の悪巧みとそれに便乗する盧瑜の悪巧みの証拠、二つに分かれていたため、衛昭との取り合いで、母親の帳簿の方は奪われてしまった。ひとまず裴家を守るため、椋帝には手元に残った盧瑜の帳簿を渡して、彼を犠牲にした裴琰だが、椋帝には、辺境を守る盧瑜の命は簡単には獲れないため、彼の息子を人質にしたようだな。
牢に囚われた何振文が執拗に江慈を狙っていたため、これは面倒なことになりそうだと思っていたのは、裴琰の成敗により解決したようである。邪魔になりそうな者は容赦なく切り捨てるところが椋帝と似ている。
容国夫人が、まだ裴琰が知る時ではない、と言っていたことも今回明かされる。
この容国夫人は、裴家を守るためどころか、裴琰を皇帝の座に就けるために長年に渡って準備していたようだ。どんなに密接に関係を築いていても、父の様に、いとも簡単に命を獲られてしまう(命を落とすと分かっていながら戦に赴かせる)ことに絶望しかなかった結果である。
ということは、やはり謀反なのだろう。
自分の企みを知られないよう、次は盧瑜を消すようだけど、この盧瑜は、月落城に軍を率いて衛昭の父親を殺めたあの将軍だったのだな。となると、月落から見てもこの男は敵である。
つづく
追記ネタバレ 第21話~第22話。
なんと、同族からも裏切り者の汚名を着せられていたとは、、、
蕭海天(衛昭の父親)の叛徒としての罪は、月落人にとって根深い恨みとなって残っている。
「不苦粥」の材料となっている霊柩花も、かつての夥しい屍に覆われ、二度と花を咲かせることはないという。哀しい。
同胞の中に、盧瑜と手を組んで蕭海天を貶めた人物が潜んでいることを察知した衛昭は、その人物を誘き出すため、城主選挙を掻き回すが、蕭海天の息子の行方は、協力している月落人以外は知らない。しかしここで姿を現した衛昭が蕭無瑕だということは、長老たちには気付かれたようである。
月落へ戻ってからは、汚名をそそぐために奔走している皆が憂いの陰を落とす。この地で共に過ごした家族は、今では一人も残っておらず、追憶を繰り返して涙を流す衛昭や、序盤に踊り子として登場した玉蓮は、この使命を終えぬうちは自分が生きていることさえ母親には伝えられない。
それらの姿を側で見る江慈は、この哀しい友たちに胸を痛め、なんとか気を晴らせるよう明るく振舞う姿がいじらしくて泣けてくる。言葉にはせずとも衛昭を気遣い、明月谷の惨状も知られたくなかった江慈の気持ちは、もちろん彼にも届いている。だからこそ、燕姉妹の捜索は一旦置いて、スパイ捜しを優先したのである。もしかしたら江慈が敵に回るかもしれない確証を得る覚悟が、まだ出来ていないのかもしれない。
殺意漲る衛昭が、序盤に江慈を刺すことに使った刀を、今回は護身用として送るが、同じ刀を介しながら気持ちは全く違っている。殺意しかなかった序盤の衛昭が遠い過去のように思える。
この哀しい背景に憂いを抱えながら、エンドロールに入るのだが、、、21話からの片尾曲が劉宇寧の「寻常(尋常)」に変わり、この歌詞が追い打ちをかけてきて、涙止まらんのだが、これはどうしたら、、、
裴琰の方も、生き残りを懸けて精力的に動いている。
椋帝の猜疑を取り除き、裴家の帳簿を取り戻すため、ひとまず盧瑜の元へ向かった裴琰は、衛昭と敵対させて互いを潰し合わせたあと、自分が利を得られるよう策略する。
一方で、江慈のことも全く諦めていない。彼女の気持ちはさておき、自分の恋心を成就させるために、連れ去る算段のようである。うん、、、完全にエゴです。
これから先は、月落人と盧瑜に追われることになりそうだが、これを解決してもまだ椋帝が残っている。裴琰と手を組むのはまだまだ先か。(勝手な妄想なので手を組むとは決まっていない。)
つづく
追記ネタバレ 第23話~第24話。
江慈を脅して無理矢理連れ帰ろうとする裴琰が、還給我とか言ってんだが、おかしいな、お前のものじゃないんだけど。そもそも本人を差し置いて返す返さないなどを口にして、人を何だと思っているのだ。さすがに馬鹿にしすぎじゃないの。その前の、何度も私を失望させて云々も、勝手に期待して失望していることを、思い通りにならないからといって憤慨しているのである。
貴族は黙っていても女が寄ってくるため、女心を理解する機会もおそらくないだろう。それが民間人なら尚更、好き勝手に想いを押し付けるのは当然だという慢心がある。賢くはあっても、人の心を理解しようとしないその怠慢から、自分に気持ちのないおなごの扱い方はもちろん分かるはずもないのだ。
全てがエゴゆえに、嫌がっているのにも気付かず、既に自分の物として扱っているところが、いかにも貴族だが、自分は相手を尊重していると勘違いしている。
いつか手を組んで、共に戦う日が来る予感はしているものの、さすがに今回は嫌悪感が否めない。
そんな気持ちの一方で、母の帳簿を取り戻さねばならない裴琰は、江慈を一旦手に入れて、帳簿との駆け引きに利用しようとしているのかもしれない。あの裴琰なら、同時に数多の策を脳裏に秘めていても不思議ではない。
敵ばかりだと思っていた月落も、長老の一人、洪じいは味方だと分かって安堵する。スパイも捜し当て、少しずつ衛昭と江慈の距離も近付いて、お祭りでは挙式のような衣装を纏い、一緒になって石を投げられたり、悲しんでは慰めたりと、互いを気遣いながら、静かに心を寄せ合って過ごしている。この良い雰囲気を楽しんでいたのに、今回は裴琰がキモすぎて、その印象だけが強く刻まれてしまった笑
この印象のまま、終わらせないで欲しいところだけど。
つづく
追記ネタバレ 第25話~第28話。
以前、裕州島への道すがら、小泥猫を偽物とすり替えて、故意にそれを破壊した描写があったが、壊したと思わされていた江慈が、偶然本物の小泥猫を見付けてしまった。
この事情を隠されていたことにショックを受けた江慈は、これまでの衛昭への信頼も一瞬で揺らいでしまう。
衛昭の弁解は事実だが、暗影閣のメンバーには、燕霜喬を誘き寄せる理由で江慈を側に置いている、という体を成している。少なくとも始まりはそうだった。燕霜喬の捜索を遅らせていることにもせかされる衛昭は、大義と愛の挟間で苦しいところである。
返したら縁が切れる、そう言われた江慈の気持ちも揺らぐものの、騙されていたことに変わりはないと考え直して月落を後にする。
その間、月落に叛徒の名を着せて、それを阻止するという名目(二回目)で、攻め込む計画を立てた盧瑜に、ちょうど出くわした江慈は、衛昭に危機を知らせるため戻る(二回目)ことにする。
結局、この戦いで洪じいは命を落としてしまうが、じいとは呼べないくらいの剣捌きが凛々しかった。月落の長老陣は、コマンドサンボばりに素手で命を獲る技も持っているし、強すぎではないか。
裴琰が捕えていた暗影閣のメンバーは、元々は奴隷として大椋へ売られた月落人を、衛昭がそこから助け出した人々で結成されていたのか。だからかつての老夫婦のように、故郷を守るため、誇りを持って命を捧げたんだ、、、
まさに衛昭の予想通りに裴琰が動き、人質とされた暗影閣のメンバーは皆命を取られる結果となる。
盧瑜のしでかすことで、自分が被害を被ることはないといって、その手は汚さず、敢えて盧瑜に策を提案し、何人もの百姓の命を犠牲して目的を達成しようとする裴琰が狡猾すぎる。
とはいえ、彼らの命を脅しに使えば降伏させられるという打算があったため、意図に反して命を見殺しにした格好となり、さすがに焦りと罪悪は抱えていたように見える。
この処刑の様子を見ると、盧瑜の下男の少年は月落のスパイなのかもしれない。もう一人、盧瑜が何かと軍略について相談している腹心は、おそらく、以前、私武器を製造している便りを衛昭へ送ってよこした月落のスパイである。
少し前に、地下を掘って城に潜入する、という提案をしたのも、一定以上掘れないことを知っていて、時間を浪費させたのだと思われる。(妄想なので確証はありません、、、)
散々命を犠牲にした挙句、この後、汚物を撒いて感染症を引き起こす手段は、本当に胸糞が悪い。
27話の開幕は、フィールドに放置された暗影閣メンバーの屍を、暗闇に紛れて城へ運び入れるところから始まるが、犠牲になった彼らをせめて家族の元へ返してあげたい思いで、一人一人抱え上げて疾走する衛昭の姿には胸が痛む。月落内に残った人々を守るため、苦渋の決断をした衛昭は、長い間このような思いに耐え、怒りを飲み込んできたんだろう。
衛昭の苦渋を理解し、一心に月落を守る姿は、江慈のぷんすこ案件(小泥猫の件)も忘れさせてしまったようである。
この後も気の収まらぬ盧瑜は、攻め入るために再度、月落の人々を人質にとる。さすがの裴琰も、盧瑜の無辜に対する殺戮を何度も放置は出来ない。先の犠牲も裴琰にとっては不本意だったため、今回はあらかじめ衛昭と取引を行う。
取引をした猶予の5日間で反撃準備を万端にした月落は、盧瑜を迎え討つが、月落へ向かったという江慈を追いかけて、燕霜喬が敵の兵士に紛れて助けに来ていた。
そのため乱戦の中、予期せずして燕霜喬が目の前に現れ、師父を見付けた江慈は荒ぶり、衛昭にとっては想定外の事態が重なる。その衛昭の躊躇いに勘付いた盧瑜は、何かに利用できると思い、江慈を連れ去ってしまった。もちろん裴琰も乱戦に乗じて江慈を連れ帰ろうとしていたため、想定外が多すぎて乱戦の中の無駄な乱戦が繰り広げられる。
連れ去られながら、これまで衛昭がしてくれた数々のこと、掛けてくれた言葉の数々は、全て師父を捕えるためだった、という想いが駆け巡る江慈、、、
いや、師父と戦っている衛昭の姿を見ただけで、それを全て理解するって、そんなことある?いくらなんでも勘良すぎるやろ笑
割と序盤から、そこ気付く?という場面が多々あったのを考えると、これには疑問を抱いてはいけないんだと思う笑
盧瑜陣営に連れ去られた江慈は、ここで出自が明らかとなる。
盧瑜の腹心が、月落のスパイだったのは想像出来たものの、江慈が斎王の娘だったとはな!これは全く薄っすらとも脳裏には過ぎらなかったわ。皇族だったのか、、、その娘を大事に育ててきた燕霜喬は、やはり斎王側だったようである。
燕霜喬は、蕭海天(衛昭の父親)が斎王を殺めた者だと信じて、その息子の蕭無瑕にも敵のような目を向けているが、これはただの誤解のような気もする。あの時、月落へ攻めてきた盧瑜が蕭海天の命は獲ったが、この男が斎王を殺める利点はないため、ひたすら醜悪な盧瑜でも主犯ではないと思う。となると、やっぱり椋帝だよな、、、
それとも、娘に残した手紙の内容から、自害とも考えられるが。
今回は、衛昭と裴琰が、下心なしに初めて手を組む姿を見せられるが、これを繋いだものは江慈の存在である。
つづく
追記ネタバレ 第29話~第30話。
裴琰が痛すぎて見てられない、、、
盧瑜の元から自分を救った衛昭に、冷ややかな態度で接する江慈の裏切られた怒りは収まらない。衛昭も傷付いてはいるものの、騙していたことも、師父を尋問することもある意味事実のため、弁解もせずじっと佇むだけである。
今回は、師父の昔話から色んなことが見えてくる。
江慈の父親が斎王だというのは前回明らかとなったが、母親は、師父の姉だという話を聞かされる。なるほど、これで師父と斎王の繋がりが判明した。
師父は、蕭海天が斎王の命を獲ったと思い込んでいるため、その娘が椋帝の妃となり、息子は官職に就いている事実を、蕭海天が蕭家の栄光と引き換えにした結果だと信じて疑わない。
姉は、踊り子として皇宮へ出向いた先で、椋帝に気に入られて入宮し、寵愛する妃の弟だという理由で、衛昭を官職に就けている。
どこにも蕭海天は関わっていないし、おそらく彼の血縁だとも椋帝は気付いていない。気付いていたら速攻消されていると思うから。
姉が斎王へ墓参していたことも、(また妄想ですが)椋帝が殺めたことをどこかの段階で知ってしまったからではないか。姉の命が短かったのは、それを知られたために、椋帝が手を下した結果なのかもしれない。
斎王が江慈に残した手紙を読んで、他に残したものがないかをひたすら気にしていた椋帝の様子は、明らかに黒だな、、、
師父の話を聞きながら、斎王が軟禁されていた、という事実が妙に引っかかった衛昭は、椋帝を疑って調査を始めているが、自分の恋路だけで頭が一杯の裴琰は、正直いって余計なことしかやっていない。
はっきり断られて自分の力では連れ戻せなくなった江慈を、どうしても連れ帰りたい裴琰は、椋帝へ斎王の娘だということを知らせて、その手を借りることにする。
裴琰さぁ、、、椋帝に知られたら江慈に危機が及ぶというのに、何をやっているんだよ。裴琰の母親も、斎王の事情を察しているなら、先に息子に喚起するのが道理だと思うが。どうして教えてあげないの?
その上、弟の娘として入宮させられた江慈を、本人の承諾なしに椋帝へ直接賜婚を懇願しに行くとは、行動の全てが痛すぎて見ていられない。
そもそも、自分だけが江慈を守ることが出来る、という自負はどこから来ているのだ?一体何から守るの?君のその行動がむしろ江慈を危険に晒しているんだけど、、、
本人は、妄想で江慈との恋愛を楽しんでいるようだが、直接本人から拒否されると、師父を盾にして脅しのような言葉を口にする。これはだめだわ、恋愛初心者のためやり方が分からず全てがズレている。
久々に登場した崔亮にも諭されるが、都合の悪い話は聞く耳を持たない。少なくともエゴだという自覚はあるようだが。
その息子をどうにかせねばと考える容国夫人も、おそらく何か仕掛けてくるだろう。椋帝の目も警戒せねばならないし、盧瑜も未だ行方知れずで、江慈には更に危険が迫る。
つづく
追記ネタバレ 第31話~第32話。
裴琰の奇行もさながら、絶対に母子に違いないと思わせるような、容国夫人の勢いも止まらない。
この夫人は、遠い昔、椋帝に捨てられた時から、その恨みを抱えて生きてきたのだと思われる。皇帝になるために数々の非情な手段を取ってきた椋帝を、必ず潰すという覚悟が生半可ではない。
そのため、まずは裴琰が夢中になっている江慈を毒殺して、椋帝に罪を着せる計画を立てるが、衛昭に見破られて達成は出来なかった。
衛昭の動きに乗っかる形で、自分の母親が江慈に手を掛けようとしたのを察した裴琰は、まさに遅れて訪れた反抗期の如く、母親へと反旗を翻す。
しかしどんなに息子に拒絶されても、これまでの自分の計画を曲げようとはしない。
自分の計画を潰したのが衛昭だと気付いた夫人は、姉の亡くなった原因を調べていた彼を利用して、自分の計画に協力を仰ぐことを思いついたようである。
姉の死の原因は、椋帝が手を下した結果だと言って衛昭を煽り、斎王殺害の主犯も椋帝だと口にして、師父へも自分の計画に乗っからせることに成功する。
なんか、、、ここまで来ると、用意周到に全てを椋帝の仕業にするため、暗躍していたのではないかと疑ってしまうが、それなら斎王の死の時にとっくに出来ていたはずだから、やはり椋帝が全ての黒幕なんだろうか。
黒幕だとしても、急に突出してきた夫人の熱量と、何も知らない様子を演じる(黒幕ならば)椋帝の芝居が上手すぎるため、どちらが黒幕なのか分からなくなってしまった笑
姉の入宮のいきさつは、おそらく裏で夫人が動いていたのだろうが、そうなると、姉の死も夫人が椋帝を貶めるために策略したのではないかと疑ってしまうな。
序盤から、椋帝が全ての黒幕だとずっと思い続けていたが、終盤に入り、こんなにも強い執着を見せる夫人の姿は怪しさが半端ではない。
息子が夢中になっている江慈の命を、ハナから獲るつもりだった夫人は、結局、最後に江慈を狙うのではないか、、、それでも衛昭の存在がある限り、達成は出来ないと思うが。
うん、、、エゴでゴリ押しした賜婚、遂に勅旨が手元に届いてしまった。
つづく
追記ネタバレ 第33話~第36話。
終盤に差し掛かり、目まぐるしく事は動く。
椋帝を貶める目的に利用された師父は、衛昭や椋帝の目の前で命を落とすが、衛昭も己の目的が達成出来ないうちは、椋帝の敵となった師父をむやみに助けることは出来ない。そのため、師父を無事に戻す、という江慈との約束は果たせず、死にゆく師父をそのまま黙って見ているだけになってしまった。
師父を犠牲にし、貪欲に玉座だけを追い求めていたかのように見えた容国夫人は、そこに執着していたのではなく、愛していたんだね、、、どちらかといえば、自分から愛する人を奪った玉座を憎んでいたように思えて哀しい気持ちになった。
この事件が、ちょうど裴琰と江慈の挙式の日に起こったために、この婚姻自体は取り消されたが、衛昭と江慈の間には更に亀裂が生じる。先の騙されていた事情も解決していない状態で、師父を失くした今、もはや衛昭を許すことは出来なくなってしまった。
一時乱心して、江慈に対する奇行を重ねた裴琰も、行き着くところまで行った母親の姿を見て、自分の行いを振り返ることが出来たようである。あのまま闇堕ちせず己を取り戻した裴琰には安堵した。
この騒ぎのせいで、町では、椋帝が斎王を殺めたのではないかという噂が飛び交うことになる。椋帝は、江慈の存在がある限り、斎王の件が掘り起こされることを危惧して、やはり江慈を消さなければならないと思い始める。
そこで、江慈が毒を盛って椋帝を殺めようとした、というシナリオで自ら芝居を打って、江慈を捕えることにする。衛昭はすぐにこれを察して、何とか江慈を助けようと智慧を絞るが、これに協力するのは正気に戻った裴琰である。ここでやっと手を組む日がやってきたか笑 長かった、、、
大理寺まで出て来て江慈への尋問が始まるが、衛昭と裴琰は、裏で太子と庄王に容疑が向くよう画策する。この二人は全く関係ない畑にいて若干気の毒ではあるが、証拠を捏造して庄王の根底にある妬みを煽り、互いが互いに疑心を抱き始め、想定通り二人の間には亀裂が生じる。
困ったことになった椋帝は、衛昭にしてやられたと気付いたものの、事態を収拾させるため、陶総官に罪を被せることで解決させてしまった。
少し前から、月落での衛昭の動きを調査させていた椋帝は、彼が蕭無瑕だということに気付いてしまったのである。まだはっきりとそれを認めたわけでもない衛昭だが、椋帝のじわじわと弱みに付け込む作戦に敗北して捕らわれてしまう。
元居た奴隷闘にまた戻されるとはね、、、
この絶妙なタイミングで、尉国が攻め込んで来たために、朝廷は途端に慌ただしくなる。その戦の筆頭に選出された裴琰は、衛昭と協力して戦に赴くという説得力のある戦略を椋帝へ進言し、命を獲られる前に衛昭を取り戻すことに成功する。
国の存亡のためにはやむを得ないと考えた椋帝だが、最後は、この二人によってその座を追われるのだろうね。
しかし張豊毅がかっこ良すぎる。
つづく
追記ネタバレ 第37話~第40話(最終話)。
あの船から飛び降りた盧瑜はどこへ行ったのかと思っていたが、なんと尉国へと逃げ延びていた。まんま二十年前の滕瑞再来である。しかもこの滕瑞も、尉国軍の先頭に立って弱い百姓ばかりの城に侵攻して、私腹を肥やしていたのには驚いた。懲りもせずこういう輩の性根は変わらないのだな。思えば、この二人が百姓の命を盾にして取引する手法も、クズだけに同じであった。
この面倒な奴らを、衛昭と裴琰で片っ端から片付けていくが、椋帝は、この戦で衛昭が命を落とすことを望んでいたため、援軍は出陣させず、衛昭は窮地に陥る。
ここでの間一髪の月落人の登場は熱い。以前の盧瑜との戦で月落とは若干揉めたものの、助けられた恩義は忘れず、洪杰率いる長老たちも一目散に衛昭の元へ向かい、窮地を救う姿は感動物である。そのおかげで、盧瑜にも滕瑞にも、亡くなっていった月落人の仇を取って一つ目的を達成する。
この戦の過程で、裴琰の側近だった安澄が命を落とすことになるが、あんな小さな頃から側にいた安澄を失くしてしまった裴琰の気持ちを想像すると胸が痛い。弟分の哀しみようも尋常ではなかったため、裴家の男衆の絆は相当深かったのだと思われる。哀しい。
師父を失くして、衛昭に怒りをぶつけるしかなかった江慈の想いは、少し冷静になれば、彼が自分のためにしてくれたことを思い返すことが出来る。裴琰が衛昭のための弁解をしてくれたことも江慈の心を大きく左右するが、江慈にとっても、自分が衛昭を許す口実が必要だったのかもしれない。
終盤に来て、二人に笑顔が戻ったことで少し安堵したが、ブランコで寄り添いながらの雰囲気は、互いにこれが最後となるかもしれない思いが透けており、視聴者を不穏な気持ちにさせていた、、、
椋帝が己の身を守るためには、やはり二人を消さなければならないため、裏では着々と準備が進んでいた。
衛昭が皆の前で、椋帝の斎王への罪を暴こうとした計画も、先回りで阻止されて失敗に終わるが、衛昭だけには、過去に斎王を自害させたこと、姉である妃にその罪を疑われたことで命を獲ったこと、斎王側だった蕭海天を危険視して死なせたこと、全てをその口でペラペラと白状する。
ブランコでの雰囲気は気のせいではなく、とっくに衛昭の中では相討ちでなければ終わらないと覚悟していたのだと思う。
いやいや、椋帝は一人で逝かせればいいでしょ、、、付き合ってあげることないじゃない。(椋帝の死に際の顔面をもう少し見せてくれても良かった。)
これまで父親と月落の汚名を晴らすため、仲間の死を悼む隙も与えられず、先に旅立った皆の屍を背負って生きて来たというのに、やっと事実を突き止め重荷を降ろしたと同時に命が尽きるって、幸せな時はほんの一瞬しかなかったことを考えるとこれは辛いのである。
しかし結局、どんな時でも衛昭の人生の中で優先していた、月落の解放と父親の死の真相以外のことは、彼にとっては構うところではなかったのだろう。それをやり遂げたために、ある意味達成感を抱えて死を受け入れた結果があの姿なのだと思う。
だけどもっとがむしゃらに死に抗って欲しかった。自分を犠牲にして椋帝から江慈を守る、というシナリオ上、仕方がないのだが、生を諦めたように見えた衛昭には、愛さえも勝てなかったのかと感じてしまったから。(ドラマなので、ドラマティックに終わらせるというのは分かってるんだけど笑)
だから、最後まで無限の抱擁力を持って側にいてくれた江慈が不憫でならない。
最後には、見えているのに救えず、遠ざかるしかないあの別れは、これからも生きていかねばならない江慈にとっては残酷すぎる結末だったし、極めつけの衛昭だと思われる遺灰を大事に集めるところなどは、もう辛くて見ていられない。
任嘉倫のドラマでは、以前もこんな感じの最後があった気がするが、あの衝撃よりはいくらかマシなだけで、個人的な心境は同じである。最後の最後には、子供と共に衛昭の幻を見て満足そうだったが、たとえ時間が少し解決してくれたとしても、そう簡単ではない。
せめて、どこまでも前向きな江慈が、穏やかに過ごせることを祈るばかりである。
ほんと面白かったけど、仙侠ファンタジーのように戻って来ることもない、このような結末は好きではないです、、、