『チェルノブイリ Chernobyl』
2019年 アメリカ HBO 全5話
監督 ヨハン・レンク
出演
レガソフ博士(ジャレッド・ハリス)
シチェルビナ(ステラン・スカルスガルド)
ホミュック博士(エミリー・ワトソン)
1986年4月に、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国のチェルノブイリ原子力発電所で起きた事故を基に、HBOで製作されたドラマ。
ネタバレ
開幕、レガソフが首を吊るシーンから始まる。
このシーンを最初にもってきたのは、「最後にこれを見せられた視聴者にとってはショックが大きすぎる。」という製作陣の配慮であり、こういう事故が起きて、結果こうなるというのを敢えて先に見せることで、ショックを和らげるという意図があったようだ。
被ばくの恐ろしさを体験していない自分が言うのも図々しいのだけど、見聞きしたもので少しは想像できる。
事故が起こった直後の、発電所職員や消防士そして近くの住民が、無防備な格好で事故現場に向かう姿を見ると、無知な自分でもこれはマズいんじゃないかという気持ちを抱く。
原子炉がむき出しになったそれの放射能濃度は、想像を絶するほど高く、その場で被ばくして亡くなってしまった方もいらっしゃったようだ。また、その場では生き延びても、数週間で体が機能しなくなり、おおよそ元の姿が分からない状態で亡くなってゆく描写がリアルすぎて怖い。
なんとか汚染の流出を防ごうとする人らが、己の命を投げうって後処理を行う場面では、放射能測定器が振り切れてしまった音がひたすら鳴り響いている。この音が目には見えない毒に体が汚染されている証明のようで、なんともいえない酸味が胸に押し寄せる。
この放射能汚染が、人間のDNAに刻み込まれ、子や孫その先にまで影響を及ぼすのではないのか。。。
この事故に携わった科学者や作業員は、数人を除いて亡くなってしまわれたようだ。隠蔽や欺瞞に振り回されながらもこの責任を取ろうとしている方々の姿を見ていると、これはとんでもないことが起きたのだと思わされる。
放射能を浴びて亡くなった方々の遺体は、火葬する事も土葬する事も出来なかったようで、セメントで埋められていた。
数世紀に及ぶ長い年月が流れても、汚染された土地が元に戻るのかどうかは分からないと言われている。