『Common』BBC oneオリジナルドラマ
2014年7月14日放送 イギリス
監督 デイヴィッド・ブレアー
脚本 ジミー・マックゴーヴァン
出演
ジョンジョー(ニコ・ミラレグロ)
トミー(ダニエル・マイズ)
キーラン(アンドリュー・エリス)
コリン(ジャック・マックミューレン)
法律の側面を描き、社会に疑問を投げかける作品を多く手掛けている(らしい)ジミー・マックゴーヴァンの最新作。
イギリスでは「joint enterprise」という法律があり、これによって無実の者が実刑判決を受け、服役している例が少なくないそうだ。日本でいうと、殺人ほう助罪が一番近い気がするが、法律のこともイギリスのことも、日本のことさえよく分からない私には的確には説明できない。
ネタバレ
17歳のジョンジョーは、いとこのトミーに「ピザ買いに行くから、ちょっと車出してよ。」と、言われるがままにピザ店へ向かう。ジョンジョーを車に残し、トミーと友人二人はピザを買いに店に入るが、そこで友人の一人キーランが少年をナイフで刺してしまう。
その少年がそのまま亡くなってしまい、この四人が殺人罪に問われることになるのだが、まず、刺したのはキーランで、別に計画的でもなく「なんかむかついたから」的な理由で、キーラン単独での犯行であった。
にもかかわらず、店に一緒にいたトミーとコリンはともかく、パシられて車で送っていっただけのジョンジョーまで、グループ犯行とみなされ実刑を受けてしまう。
寒かったその夜に、車のエンジンを掛けっぱなしだったから。という理由でである。
ただ、殺された側からすると、全てが同じもの同じ犯罪者に見えるのも事実なのかもしれない。
脚本のジミー・マックゴーヴァンは、この判決を実際受けた少年家族と話し(このドラマとは異なります。)、無実の者が罪に問われるこのjoint enterpriseという法律に疑問を持ち、社会に現状を訴え、怒りを感じてもらいたいという気持ちでこの作品を制作したという。
↓参考↓
Common: Jimmy McGovern takes on 'group' crime rule
裕福ではない者たち(おそらく労働者階級)は、優秀な弁護士はまず雇えず、検察の言われるがまま判決を呑まざるを得ないケースが多く、結果、多くの無実の者が実刑を受けているのが現状だという。
ジミー・マックゴーヴァンも、決して裕福ではない出身なだけに、弱者への思い入れも強いのかもしれない。
たんなるこじつけで、冤罪とはちょっと違う気もするが、無実の罪を償わなければならないことほど不毛なことはない。