ある事象に対する受け止め方は十人十色である。これは、ある男が見た一つの世界、一つの真実の物語である。
財務更改にあたり、会計事務規則の改正も必要となる。前回の財務開発は、10数年前に行なわれたが、規則改正時期が遅れたしまった。財務開発メンバーは、開発に専念していたので、規則改正を後回しにした。その結果、前回の財務更改時においては、9月になってから、規則完成が完了した。前回の財務開発メンバーは、よくやったと区長表彰を受けた。しかし、会計事務規則は、改正前のままで、その当時開発したシステムと一致していない部分が多くみられた。システムに合わせて、会計事務規則改正案を作成し、文書係に提出することが、私の職務となった(職員時代のこと)。9月になって、改正完了のため、5箇月は、事務処理が違法状態となったのである。
こんな信じられない経験をしたので、私が財務更改をするときには、失敗しないようにしたいと考えていた。そこで、財務更改稼働時の前年の7月には、文書係に改正案を提出していた。当然、3月末には改正完了するだろうと見込んで。しかし、財務更改後の新システム稼働後も改正が完了せず、稼働してから7箇月過ぎた2024年10月に改正が完了した。
その改正内容には、愕然とした。今回の財務更改に合わせて、請求一覧表、精算一覧表、負担行為併合支出一覧票、支出起案と支出命令書合体ができる規定の改正案に入れていたが、すべて削除されていた。「後任の審査係長を相談し、削除した。その程度のことは、規則改正しないで、運用でよいではないかとの判断だ。」という。これでは、請求一覧表等による事務処理の根拠がなくなる。特に精算一覧表については、精算報告書に添付する「証拠書類」という運用でよいとの判断だ。元々、ここでいう「証拠書類」というのは、領収書の現物を意味する概念なので、改正項目にしていたが、改正なしでは、精算一覧表の存在がいつでも違法なものとなる。これは、前にも触れたが、アンチディーセントワーク対応のためであった。後任の係長は、紙による審査ではなく、電子上の画面での審査となっても、紙で審査していることを画面でもすればよいぐらいにしか考えていない。事務処理時間について、考えていないのである。だから、自分の事務分担が多いと考えれば、職員に仕事を振る。職員の仕事量が増えても、昔からこのようなやり方であったで自己完結してしまう。こうなると、職員は早々に異動を考え、ノウハウの蓄積は起こらない。結果、アウトソーシングしても良いだろうと、審査事務が委託化されてしまう。仕事ではなく、作業をこなすことしかしないようになると、このようになる。
しかし、審査担当には成すべき仕事がある。請求書をクラウドから抽出する場合の受理日、請求書に代表者の肩書・氏名がないが、法人番号またはインボイス登録番号が明示されている請求書の取り扱いなど、新しい商慣習に合わせて、会計事務をどのように変えていくかの課題がある。支出起案を審査するのは、文書主任の仕事であるのに、そんな旧態依然としたことを行い続けるのは、悪しきノスタルジーである。
文書係は、運用で良いというが、会計事務規則自体が、職員向けの地方自治法令を補完する運用方法を定めたものだと私は考える。運用の上に運用は、屋上屋そのもの。役所の得意技である。
本題に戻る。文書係の暴走というのは、次の点である。会計事務規則改正案には無かった項目を削除したことだ。これは、職員給与の支出について、支出命令を財務システム上確認できれば、あえて支出命令書を作成する必要はないという趣旨の規定である。従前のN社のシステムでは、支出命令書を作成できないので、財務システム外の手段で、支出命令書を作表し、紙に支出命令書を打ち出し、押印決裁するものであった。この支出命令書がなくても、給与支出ができた。支出命令書の会計管理者の決裁は、年に2回ほど、給与支給日後になっていた。それで、設けた規定であった。
ところで、J社の新システムでは、支出命令書をシステム上作成し、決裁を行なう。それができないと給与支出ができないという形式を給与係は選択した。そこで、「・・・とすることができる。」規定は不要だから、削除するというのが、文書係の言い分であった。「・・・とすることができる。」という規定であるから、残しておいても支障はないが、後任の審査係長の了解を得たとのこと。給与係も給与支給が遅れることはないと言っている(そう、言うに決まっている。)のでという。私が不安なのは、万一給与支払日に支出が間に合わない場合においても、その後の月も支出が間に合うように支出命令書を作成することを頑張り続けるしかないことだ。支出命令書の作成省略に変更できなくなることだ。給与支出は、他の支出と違い、遅れてはいけないものであるから、きちんとリスク管理が必要だと思い、今から3年前に当時の文書係の了承を得て、改正した部分であるが。文書係の暴走というのは、規則改正案に載っていない事項まで削除してしまうのは、やり過ぎだと感じるからだ。
給与支給が遅れると、前代未聞のことだから、記者会見で会計管理者と出納係長が頭を下げる。その席上には、審査係長はいない。審査は、ただきたものを決裁するだけで、内容を確認することもないのだから、給与支給遅延の責任は問われないであろう。
次回、「監査事務局の暴走?」に続く。