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A氏のあーかいぶのブログ

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 ある事象に対する受け止め方は十人十色である。これは、ある男が見た一つの世界、一つの真実の物語である。

 

 紙による確認作業を電子媒体のみによる確認作業に変更することは、一見、進歩的にように見られる。しかし、これは現場の状況によっては、内実退化するという面がある。電子化すれば、仕事のスピード化が図れるだろうというのは、審査事務を経験していない人の発想である。支出命令書(支払伝票)と相手方業者が作成した請求書をコンピューターに読み込ませ、AIにより整合していない部分等を指摘する仕組みができれば、人間の目による照合はなくなるので、事務処理の高速化(当然、正確性も向上)する。今回の財務情報システム更改は、これを目的とするものではない。

 現行の方法は、システムにデータ入力をし、支出命令書を作成する。その根拠資料として、業者が提出してきた請求書が添付されている。システム上、画面でも支出命令書を見ることができるが、紙に印字した方が、請求書とのチェックがしやすい。簡単に言えば、赤鉛筆で、支出命令書の金額と請求書の金額、支出命令書の支払先と請求書の発行元などをチェックし、見た部分がわかるように紙にしるしをつけるのである。請求書に内訳が何枚もついていても、紙だからめくれば良いだけである。

 これを電子化するという。既に電子化している自治体があるというので、視察をすることにした。先行自治体では、紙は減ったが、紙でのチェックよりも正確度が下がっている。又は、紙時代に行っていたチェック項目から、さほど重要でない項目は見ないことにしたという。それでも、画面にしがみつきで、職員から「視力が落ちた。」と言われるという。職員が増えないので、その中で行うのであるから。正直に今までどおりのことができないので、各課に、支出命令書作成については、より慎重にとお願いすることにしたという。

 ディーセントワークの観点から言えば、審査業務を紙で照合していたものを、画面のみで照合するということに変えるのは、甚だ疑問に感じるところであった。単に作業量が増えるだけで、仕事というより、雑用をこなしていくということ。それならば、正規職員ではなく、審査業務の委託化(雑用なら、委託業者でもできるということ)をし、正規職員は雑用ではなく、企画的な業務や他の人員不足の分野に充てた方が良いことになる。この方向性は正しいのだろうか。私は、会計の仕事をその組織のライフラインであると考える。ライフラインの電気・ガス・水道の内、水道以外は民間だから、会計の仕事も外に出しても大丈夫だとの意見もあるだろうが。

 本来、会計審査事務は、照合作業が中心ではなく、適正な支出かどうかの判断をする部門である。照合作業は、各課が行う。請求書の内訳と支出命令書の内訳の確認は、各課が行うのが自治法の本来の趣旨である。だから、各課から支出命令書が提出されない限りは、会計課で支払はできないのである。提出するものは、完全なものを出す。それが、原則であるが、実情は隔たり感がある。事業優先という考えが強く、業者への支払はおまけ程度にしか考えていないと感じさせる職員が少なくないのが現状であった。

 M区の格言に「審査は、最後の砦である。」というものがある。本来の意味は、最後の砦の前には、いくつもの砦があるのだから、まず各課でしっかりしなければならない。もしもの時の備えが最後の砦という意味のはずである。しかし、M区は、会計審査は、最後の砦なんだから、間違って支出した場合は、審査が責任を取れというような風潮である。各課は、事業が忙しいので、とりあえず支払をしなければならないから、書面は送付する。よく見てねという感覚の者も少なくない(他の自治体も同じ程度だろうか。審査事務の委託化を進めた自治体は、違うと思うけど。)。

 こういうものが組織文化となると、まことに厄介である。電子化すれば、各課は作成するだけで、照合すべきものも、事業の方が優先であるから、あとは「よろしく」程度になる可能性が高い。審査の職員は、目を悪くさせながら、画面とにらめっこで仕事をする。これって、人間らしい仕事なのだろうか。ディーセントワークからかけ離れたものと感じた。

 ところで、最後の砦の審査担当は、会計課の職員の中でも、仕事ができそうな者を集めているかというと、実はそうではない。

 次回は、会計課の伝統となった「出納ファースト」について話そう。