ある事象に対する受け止め方は十人十色である。これは、ある男が見た一つの世界、一つの真実の物語である。
私は、2021年3月31日に定年退職をした。この頃は、60歳定年であった。年金の受給権が発生する65歳まで、再任用職員(1年契約。毎年更新)として勤務を続けることができるが、年収は、退職時の6割に減額される。私は、財務更改の業務があるので、再任用の係長として、引き続き審査係長を務めることとした。この時点では、フルタイム再任用が可能な4年間を係長職として勤務し、財務更改が軌道に乗るのを見ることを望んでいた。
新しいベンダーが2021年度に決まり、財務更改の作業が本格化したのは、2022年6月からであった。
ベンダーとの最初の打ち合わせの際に珍事があった。ベンダー側の総責任者から、「会計執行分野のリーダーは、Aさんお願いします。」と言われた。なんで、相手方業者から、指名されるのか。私は、この瞬間まで、財政課が引き続きリーダーを務めるものだと考えていた。財政課側が負担となるので、リーダー、まとめ役を降りたのだ。その後任として情報政策課とベンダーとの間で決めていた。こういう重要なことは、あらかじめ、当人に話すべきことなのに。公の会議で発表された。既に既成事実となっているようで、情報政策課が会議当日に配布した資料に体制表があり、確かに私が執行分野のリーダーとなっていた。単に私の仕事が増えたのである(年収は、4割ダウンだが)。有無をいわせず、役割分担を決めてしまう。公の会議の場まで、当人に知らせない。これが、4階(区長とその取り巻き部門がある階。企画課、情報政策課、財政課、人事課、総務課(文書係)、契約課が存在。財務更改では、1階にある会計課以外の課が存在する。)の人間のずる賢さなのである。
このことを、会議の後で、上司の会計管理者に苦情として伝えると、笑ってすまされた。この会計管理者は、その前年から就任しているが、事なかれ主義であった。
私は、本来業務のほか、財務更改の一分野のリーダー(ほぼ連絡係で、執行系の会議を開催する場所を予約し、それを各メンバー・ベンダーに伝える役目。各課との日程調整に時間を要する。会場確保といっても、他の事業で会議室がほぼ押えられているので、日程調整は容易ではない。)、押印見直しPT、インボイス制度の庁内調整の臨時の仕事が重なった。特にインボイスは、収入に関することなので、出納係長が関与すべきものであったが、出納係長は、キャッシュレス収納PTで多忙とのことで、その代わりに出てくれと会計管理者から下命を受けたのであった。
これほど、臨時の仕事を抱えていて、本来業務に大きなミスがないのに、私のボーナス査定はC評価(A・B評価が全体の3割、Cは7割)。普通考えれば、個人差があっても少なく見積もり、3年に1回はB査定だろうと考えていた。事なかれ主義の会計管理者の下で3年働いたが、すべてC査定であった。会計管理室は、係長級が3人から4人。係は2つであるから、ラインの係長は2人。仕事の質から考えると、一般職員と同じ仕事をしている係長職員よりも、ラインの係長の方が評価が高いものと考えていた。しかし、勤務評価については、出納係長の一人勝ちであった。なぜ、一人勝ちなのか、次回「古風な調べ」に続く。