ある事象に対する受け止め方は十人十色である。これは、ある男が見た一つの世界、一つの真実の物語である。
今回の財務更改に合わせて改変したことが、もう一つある。これだけが、今回の財務更改において、私の実績として残るであろう。他の改変した事項は、新任係長たちの考え方に反するものなので、やがて元通りになるであろう。元通りになるということは、職員の事務量が増えることだ。新任係長の古いやり方に対するノスタルジーの影響を、審査係員のほか、各課の職員も受ける。私の改変した事項は、上層部などから、やり過ぎという意見が出ていたのであろう。そのため、人事課は、古い方法にこだわる者を私の後任にしたのではないかと思う。私が係長を降りるにあたり、後任は会計管理者から誰が適切かと聞かれた。後任の係長となった人物以外なら、誰でも大丈夫と考えていたので、「職員がしっかりしていれば、誰でもできる。」と答えた。しかし、後任の係長は、重要なことを決めるにあたり、自分の賛同者とだけ会議し、係内全体での会議を開くことがなかった。そのため、方針変更を知らされず、事務処理をしていた職員もいた。このように、茅の外にされた職員には不平不満が残るだけで、当然モチベーションも落ちたであろう。
さて、唯一残るものとは、どのようなものか。それは、企業会計に合わせて、備品と消耗品の価格基準を変更したことだ。従前2万円としていたものを10万円に変更した。財務システム更改時にこの変更をすることが、事務処理時間の短縮につながるので、あらかじめ財務更改時の2年ぐらい前から、事務処理要領を変更することで、全庁に周知した。2万円以上を備品として管理する方が、物を大切にしていることが伝わっていいではないか。10万円規準にすると、管理する備品数が減るので、手抜きではないかとの反論もあろう。
備品管理については、議員も区民も関心がないことなので、実態が見えないだけである。会計課に物品係があった時代は、確かに1点1点管理されていた。しかし、職員が多すぎるだろうということで、職員定数減が叫ばれた時代に、重要度が最も低かった物品係がなくなった。各課に物品出納員を置き、その物品出納員を中心に管理するという代案が提示されていた。しかし、実情は事業優先のあまり、備品管理は後回しにされ、備品数が多い課においては、備品の現況確認ができなくなり、書面上の数と実際の数との乖離が出てきた。この解決策は、各課の担当者に頑張ってもらうことだとされ、20年以上も決定的な方策を出せないままだった。この課題を解決するには、各課の職員数を増やすか、管理対象の備品を減らすかの2択しかない。職員数増は論外なので、管理対象の備品を減らすことの1択であった。そこで、企業会計の基準に合わせて、2万円から10万円に引き上げた。
こんなこと簡単ではないかという、読者もいるであろう。そんな簡単のことではない。規準を5倍にしたのであるから。
結果、管理がしやすくなった。当然の帰結である。
次回、「用品基金廃止のこと」に続く。