渋沢栄一の三つの魔

 

 日本資本主義の父と言われる渋沢栄一の人生は、最初から恵まれたものではありませんでした。

 彼は埼玉県の農家の出身です。縁あって一橋家につかえることになりましたが、侍になりたいとの強い願望がありました。

 しかし、割り当てられたのは、雑用係といってもいい勝手番でした。

 これでは上の人に接する機会もなければ、登用してもらうチャンスはないものに等しいです。

 しかし、上の人が毎朝、乗馬の訓練をするときに、馬小屋から馬を引き出して、滞りなく乗馬ができるようにと付き添うことができました。

 そこで、乗馬している時であれば、話ができると思い、馬と一緒に走りながら、自分が日頃考えていることや思いを語りかけることを実行しました。

 しかし、ただ話をしても上に取り上げられるチャンスをめぐってきません。

 常に学ぶ姿勢を持ち、思いついたことを企画としてまとめることを怠りません。また、人の能力を見抜き、人と人をつなぐことにもたけていたといわれます。

 

 渋沢は毎朝の乗馬の際の話をすることから栄達の機会を得たといわれています。

 それを可能にしたのが、三つの魔です。

 それは、「吸収魔」「建白魔」「結合魔」の三つの魔と言われています。

 

 吸収魔として、とにかく機会をとらえては学ぶ姿勢を忘れず、人に聞いたこと、見聞したことをどんどん吸収し、自分のものとしていきます。

 さらに建白魔として、知識や見聞をそのままにとどめず、立案し、企画し、それを上の人に建白することを行い続けたといいます。

 また、結合魔として、人の才能を発掘することにたけ、優れた才能をしかるべき場所に置かれるように、しかるべき人物につなげることも惜しみませんでした。

 

 こうした三つの魔をベースとして、のちに500社もの会社の設立にかかわり、日本の資本主義の基盤を作り上げたといってもいいものです。

 渋沢栄一が特別だったのではありません。三つの魔を持つことによって、特別になっただけなのです。

 今からでも遅くはありません。自分なりの三つの魔を持つことで人生を変えるチャンスを捉えてはいかがでしょうか。