アルカダイアモンド 社長のひとりごと
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姿はすなわち心である

姿はすなわち心である

 

 駒沢大学野球部の元監督の太田誠さんが、プロ野球で活躍した中畑清さんの若き日のエピソードを披露していました。

 学生時代の中畑さんは、田舎出丸出しの、何とも垢抜けしない学生でした。しかし、声だけは当時からでかく、何よりも人なつこい人柄は、誰からも好かれていたといいます。

 まるで見知らぬ人に会っても平気で声をかけるし、知らないお年寄りにも実に自然に声をかけていたといいます。

 

 中畑さんの行動を観察していると、独特の声のかけ方をしていました。

 例えば、誰だって知っている人に会えば、「こんにちは」くらいは言います。中畑さんは、誰彼構わず、知っていようが、知らない人であろうが、声をかけていきます。

 

 しかも彼の場合、声かけは一言では終わらないのです。

 普通なら「こんにちは」の一言でおしまいです。しかし、彼はその後に必ず言葉を続けます。「今日はいい天気ですね」とか、「おばあちゃん、いつも元気ですね」とか、必ずもう一言付け加えているのです。

 元監督は、それを見て感心し、中畑さんの挨拶を「二言(にげん)挨拶」として、ご自分もやるように心がけたといいます。

 

「二言挨拶」は、必ずしも言葉である必要はないといいます。

 すれ違った相手のために立ち止まっても、これも立派な「二言」になります。

 手ぶりや微笑を添えても、これも立派な「二言」になります。

 

「二言挨拶」をすることで、ただの儀礼の挨拶から、人間同士の心と心の交流が生まれてくることを学び、以来、今日まで実行されているといいます。

 

 元監督は選手たちに「積極的人生を教えたい」として、野球の技術だけでなく、心の態度をしっかり持つことを口うるさく教えていたといいます。

 心の態度がしっかりしていれば、自ずとよい姿勢になります。姿勢が正しければ、よい声が出るようになり、よい声が出せる人間は、瞬間的な行動がとれるようになります。心はその人の姿を現し、姿はその人の心を表わす、これを「姿即心」(すがたすなわちこころ)という言葉にし、若い人に伝えているといいます。

 この話に私も感心して、社員に伝えるようにしています。

マネーはマネーを呼ぶ

 

マネはマネーを呼ぶ

 

知り合いの社長から聞いた話です。

昔、ドイツ系ユダヤ人の青年、ストラウスは、20歳の時に家族とアメリカのカリフォルニアに移住しました。仕事もなく、兄弟がやっていた繊維業の仕事を手伝っていましたが、やがて24歳の時に、独立して、毛布やテントを販売する商売を始めます。ところが、まったく売れず、売れないテントの在庫が山になって頭を抱えていました。

 

時は1850年代のアメリカ、カリフォルニアは、折からのゴールドラッシュで沸き返っていました。一攫千金を狙って、金を採掘せんという労働者が続々と集まっていました。誰もが服もズボンもボロボロ。従来のズボンでは、金を掘っていると、すぐに破れてしまいます。

そこで彼はひらめきます。売れ残っているテントの帆布で、金鉱夫の激しい労働にも耐える丈夫なズボンを作ろうと。在庫の山となっていたテントは、ズボンに仕立て直すと飛ぶように売れました。品薄になり、10倍の値段をつけても売れ続けました。在庫の山は、たちまちマネーの山となったのです。

 

次にズボンのポケットが破れにくくするために金属鋲を打ち付けて補強したズボンをオーバーオールと名付けて売り出すと、これも飛ぶように売れました。

さらに改良を重ね、はきやすく丈夫な生地をフランスから調達しました。その生地の名前が「ドゥニーム」、それが今ではデニムと呼ばれています。デニムで作ったズボンをジーンズと呼び、世界中で売れるようになりました。創業者の青年の名前は、リーバイ・ストラウス。そこからブラント名は、リーバイスとなりました。

 

日本で戦後、米軍の払い下げの中古のジーンズに目をつけたのが、東京の常見米八商店。ジーンズを売るにふさわしいブランド名を考えました。生地のDENIMのDEをひっくり返してED。NIMの文字そのものをひっくり返してWIN。そこからEDWIN(江戸に勝つ)というブランド名になりました。当時の人気ドラマ『太陽にほえろ!』でジーパン刑事役の松田優作がかっこよくは着こなし、ジーンズは広く認知されていきます。しかし、新品は硬くてはきにくいということで、石と一緒に選択して、柔らかくてはきやすいストーンウォッシュのジーンズが誕生したのです。

マネがマネーを呼ぶ。売れるアイデアはそこかしこに転がっているのかもしれませんね。大事なのは、目の付け所です。

浄化の日

浄化の日

 

私たちは、大きな分岐点に差し掛かっているという話は良く聞きます。しかし、破滅を選ぶか、繁栄を選ぶか、と問われたときに、「繁栄を選ぶ」と答えたとしても、そのために、今、何をすべきか、ということが分かりません。

 

ネイティブアメリカンのホピ族に「浄化の日」の予言が伝えられています。実は、ホピ族が住む村には、ウランが埋蔵されています。彼らには、聖なる大地から掘り起こすようなことをしてはいけない、という警告か伝えられていましたが、白人たちは、その警告を無視して、掘り起こしました。このウランが、広島と長崎に投下された原子爆弾の原料になったといわれています。

 

このホピ族に伝えられている「浄化の日」の予言の言葉は次のものです。

 

「劇的なる変化は、活動に激しさを加えつつ世紀を超えて、二十一世紀の最初の二十年を支配することになっている」

 

「劇的なる変化」とは、「浄化の日」ということです。ホピの予言によれば、この世が誕生したとき、創造主は自然と調和して生きる道を人類に示しました。ところが人類は、ある時から神様から離れ、物質を神様とする生き方を選びました。物欲に走り、自然を自分たちの思うままに支配し、破壊することも何とも思わなくなりました。そして、神様からの警告を無視して、聖なる大地からウランを掘り出し、核兵器や原子力発電の燃料として利用してきました。そして、今や人類を破滅に導きかねない危険を冒していることに、少しも反省していないのです。

 

地球も生き物です。黙って破壊されるままになってはいません。場が壊れてしまえば、それを修復しようという力が働きます。近年の異常気象や天変地異は、その表れです。それをホピ族の人たちは、「浄化」と呼んでいます。

 

2020年に全世界に蔓延した新型コロナウイルスの発生も偶然ではありません。これは、浄化の一環として発生したものに他なりません。

コロナ禍は、人類の経済活動に大きな抑制として働きました。その結果、大気汚染が改善され、川や海がきれいになりました。ホピの予言では、浄化が進むと、多くの人が物質を神様とする生き方はダメだと気付くといいます。困難であっても自然と調和する生き方が、持続可能な世界を創造するといいます。私たちは、今こそ自分たちの生き方を根本的に問う時代に生きているようです。

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