今回はかなり堅苦しい内容になります。
表題の通り、直噴エンジンと日々戦う中ある仮説が頭の中を離れません。
それは私がオイルフィルターマニアだからかもしれません。
さて…
皆さんはディーゼル車のオイルフィルターや廃油をご覧になった事はあるでしょうか?
想像通りオイルフィルターは巨大で、しかも複数着いているものもあります。
廃油は墨汁のように黒く、水のようにシャバシャバ(燃料希釈)のものや、ヘドロのようにドロドロ(ブローバイ過多)のものがあり、量も多いのが特徴です。
もちろん、ディーゼルは基本的にディーゼル専用の規格を満たしたオイルを使用します。
ディーゼル車のオイルフィルターは、未燃焼物質や燃カス(煤)を多量に発生させるディーゼルエンジン用に開発され、ガソリン車よりも目の細かな濾紙を使用して微粒子を回収します。したがって、容量も大きく、それでも足りない場合は複数個装着するのです。
当然のことをなぜ今更?
そう思われるでしょう。
実は、今回の議題である直噴ガソリンエンジンはディーゼル車と非常に似た部分があります。簡単に言ってしまうと、煤を大量に排出し、その煤の回収の一部をエンジンオイルが担っていると言う点です。
直噴エンジンはオイル交換が大切。
私はこれまで、そう考えてきました。
今でも、オイル管理や使用するオイルの品質は重要だと考えますが、実は直噴エンジンの種々の問題は「オイルフィルター」が原因ではないかと考え始めたのです。
毎月かなりの数の直噴エンジンのオイル交換やフィルター交換を行うのですが、ひどい場合にはオイルがほとんど出てこない。
こんなのが稀に… ではなく良くあるのです。
どれだけ燃焼室を掃除して、インテークのカーボンを落とし、プラグ交換にインジェクター気孔クリーニングなどなどあらゆる手を尽くしてもオイルが減る…
ショボいオイルだと2,000kmで空になり、そこそこのオイルで5,000km超えたあたりから急速に消費が進む。
そして、最も信頼するオイルを入れても5,000kmから消費が始まるのです。
ショボいオイルは論外として、基本的にどんなオイルを入れても5,000km以上保たないのです。
エルフ、モービル1 、ニューテック 、モチュール、アッシュ 、ペトロナス 、モティーズ、リンクアドバンス、BPカストロール、ワコーズ、昭和シェル、出光、エネオスの各メーカー色々なグレードを試しましたが、どうやらオイルの品質では打ち破れない「何かの壁」があるようです。
そこで、ふと気付く
煤はディーゼル車並みなのに、こんなフィルターで大丈夫なのか??
ちなみに、ディーゼル車用と比較…
このディーゼル車は、オイル量が7Lで交換指定距離が5000km
オイルフィルターも必ず5000km毎に交換せよと書いてある
もしかすると、このオイルフィルターが直噴エンジンの真のウイークポイントなのでは?と思う理由がここです。
直噴ガソリンエンジンは大量の煤を発生させるにも関わらず、同じように煤を発生させるディーゼル車よりも「圧倒的に能力と容量」が不足しているのではないだろうか。
ディーゼル車用のオイルフィルターは、ガソリン車のフィルターよりも小さな微粒子を高確率で捕捉する。
このフィルターにより、ディーゼル車は長い寿命を確保できているのではないだろうか。
もちろんエンジンが鋳物と言うのも関係あるが、それほどメンテナンスに拘っているわけでは無いのにも関わらず、一般常識として寿命はやはり長い。
直噴ガソリンエンジンでは、発生した煤がオイルに混入し、それを捕捉するフィルターの能力が低いために「オイルの持つ煤分散性」キャパシティを物理的にオーバーしたのでは無いでしょうか。
水に塩を溶かしていくと、ある一定量でそれ以上塩が全く溶けなくなるようになります。
※加熱すると溶けますがあくまでイメージの話です。
本来、その不純物を取り除くのがフィルターの役目なのですが、ガソリン車のフィルターは前途の通り基本的には目が粗いのです。はじめは、フィルターの容量に限界があるのかとも考えましたが、外したフィルターがそれほど汚れていたと言う事はありません。
よって残された可能性は… フィルターが煤に対しては「ザル」と言う結論です。
これが5,000kmの壁の正体だと私は考えます。
物づくりには、設計寿命と言うものが存在しますが、これが意図されたものなのかどうかはわかりません。
もし私が設計者ならば、直噴ガソリンエンジンには「ディーゼル用」のフィルターを使用します。これはぜひ実験で検証してみたい。
また、欧州では直噴ガソリンエンジン車には「ディーゼル車用(専用ではない)」を指定している場合も多くあります。これは「煤分散性」のキャパを少しでも稼ぐためである事は火を見るよりも明らかです。
これはあくまでも私の考察で、事実かどうかは定かではありません。
しかし…