ご用件は?
饅頭が欲しい。
今、出先で、帰るにはしばらく時間がかかるのですが。
どのくらい?
そうですね、2~3時間。
申し訳ありませんが、その頃にもう一度お越しいただけますか?
こまったなぁ~、時間的にそれは難しい。
それに明日には、東京に帰る。
明日お帰りでしたら、今日、お買い求めにならない方がよろしいと思います。
でも、土産に欲しいんです。
わたしがお客様の宿泊先に、明日お届けいたします。
お忙しい中、そんな迷惑かけられないよ。
電話でこんなやり取りしたが、結局は、ご主人が翌日宿泊先に持ってきてくれることになった。
お幾つお入り用でしょうか?
五つお願いします。
承知しました。
ところで、一つおいくらですか?
100円です。
ちょっと待って。
それじゃぁ、足代にもならないじゃないですか。
20個にしてください。
余分はいけません。
お口に合うかもわかりません。
ご無理をせぬようお願いいたします。
長岡の老舗和菓子屋さんのご主人とのやり取りである。
その経緯はこうだ。
旅では土産を買うことは滅多にない。
荷物になるからが一番であるが、さらに、一軒に買えば、あっちもこっちもと余計な神経が煩わしいこともある。
行きはよいよい、帰りが怖い。
これが旅の荷物である。
長岡の街歩きで、店の趣から偶然飛び込んだカフェがある。
すっかり気に入って、滞在中に日に何度も休ませてもらうことになった。
小腹を満たすために、これまた、偶然頼んだ牛筋煮込みも抜群においしかった。
このマスターとの雑談でこの「饅頭」のことを知った。
うん、オレ、それ買って帰る。
そういって、コーヒーもそこそこに、急ぎ向かったのが、この和菓子屋さん。
が
生憎、店は閉まっている。
そのガラス戸の前に張り紙。
「お急ぎの御用の方は、恐縮ですが〇〇にお電話ください」
かくして、上記のようなやり取りになった。
この珍しく土産として買う気になった饅頭は、殿町1丁目にある「川西屋」さんの“水まんじゅう”。
カフェのマスターから聞くところによると、山本五十六がこよなく愛し、TVや映画でも必ず彼がこれを食す場面が出てくるそうだ。
・明日のお帰りなら、今日買わない方が良い。
・余分に買わない方が良い。
・お越しになれないなら宿泊先にお届けする。
もう一度言っておくが、500円の饅頭である。
長岡人の人情、気質をここでも見た気がした。
旅は良い。
その最たるは人との出会い。
長岡の旅はお釣りがくる。
そんな思いが頻りである。
さて
ボクのブログには食い物は出てこない。
が
旅の感動の一つをもらった“水まんじゅう”なので、感謝を込めてこの店を記す。
長岡市殿町1丁目7‐2
「川西屋本店」 Tel & Fax 0258-32-4323
旨い、不味いは、その人の味覚、そして、親しんだ慣れもある。
なので
好みに合うかどうかはわからない。
名物に旨いもの無し、などともいう。
で
ボクにはたまたま合うような味ではなかった。
が
これだけは断言できる。
饅頭はともかくとして、心がなんとも美味しいお店。
さて
先刻、プールから帰った。
その前に、
実弟夫婦が来ていた。
実弟が聞いてきた。
アニキの長岡、それと、アネさんの三重。
それぞれ、旅はどうだった?
で
ハタと気がついた。
長岡から帰って、すでに10日以上たつ。
カミさんが三重から帰ってからも6日目になる。
なのに
未だに、旅がどうだったなんてお互いに話したこともないし、聞いたこともない。
で
お互いに、どこで何をしてきたかなんて知らないままである。
「亭主元気で留守がいい」があれば、山の神の居ぬ間に命の洗濯もある。
どっちもどっち。
元気でありさえすれば、それだけでよい。


















