ヒトの体をめぐる血液は、動脈から毛細血管へと流れ、さらに毛細血管から組織液となって細胞のすきまへと流れていく。その主成分は水である。人体をつくる約60兆個の細胞は、血液と組織液が酸素や栄養素を運ぶことによってはじめて生きていくことができる。

血液には、塩化ナトリウムやタンパク質、アミノ酸、脂質、糖、無機質、尿素、アンモニアなど多くの物質が溶けている。組織液は、血液から赤血球と白血球、血小板を除いた液体(血漿)に似た液体で、血漿にくらべてタンパク質の含有量がやや少ない。

血液や組織液に多種多様な物質が溶けているのは、血液の主成分である水の溶解力が大きいからである。

塩化ナトリウム(Nacl)のような「電解質」は水中で陽イオン(Na⁺)と陰イオン(Cl)に分解されて水に溶ける。

陽イオンは水分子の中の「マイナスの部分(酸素原子)と、陰イオンは水分子の中の「プラスの部分(水素原子)と互いに引きつけあい、水に溶けている。

糖やアルコール、リン脂質、たんぱく質のような分子の中に「水になじみやすい部分(親水性の部分)を持つ物質」も水に溶ける。

これらの分子には水になじみやすい部分で水分子と「水素結合」をつくり、水に溶けている。

水が大きな溶解力をもっている理由は水分子が、陽イオンや陰イオン、分子の中に水になじみやすい部分をもつ物質とたがいに引きつけあうことができるからである。

一方、油のような、分子の中に水に馴染みやすい部分をもたない物質はほとんど水に溶けない。これらの分子は水分子から遠ざけられ水と分離してしまう。

 

ヒトの体から排出される水。

ヒトの体から1日に排出される水の量は約2.5リットルである。

その内訳は尿が約1.5リットル、汗が0.5リットル、吐く息や便の中に含まれる水分が約0.5リットルである。

このうち尿は老廃物の排出と血液成分の調整をするために重要であり、汗は体温を調節するために重要である。

汗は蒸発する際に体温を下げる。

蒸発とは、エネルギー(蒸発熱)を得た液体の分子が、まわりの液体の分子から受ける引力をふりきって、液体の表面から飛び出る現象である。したがって分子と分子の結びつきが強い液体ほど蒸発しにくく、蒸発に大きなエネルギーが必要になる。汗は蒸発に必要なエネルギーを皮膚の体温からうばって蒸発する。

汗が効率よく体温を下げることができるのは、水が蒸発しにくい液体だからだ。

尿は血液中の不要になった成分を体外へ運び出す。

腎臓は、全身の細胞の活動によって生じた老廃物を血液から分離し尿をつくっている。

また、腎臓は血液中の成分を監視し調整する働きをしており、その過程で血液から分離された物質も尿の成分となる。腎臓は、まず尿の元となる「原尿」を血液から分離する。

原尿の量は一日に150180リットルにもおよぶ。その後排出してはいけない物質が原尿から腎臓に再吸収され、最終的に残ったものが尿となる。尿として排出されるのは、原尿のわずか1パーセントほどにすぎない。