今年の4月に内閣府が「高齢者等収支サポート事業者ガイドライン案」を発表し、授業運営に向けた機運が高まっています。

身寄りのない高齢者を支援する民間事業者が増加し、それに伴いトラブルが多発していることを受けて示された指針です。

身寄りのない高齢者問題やトラブルを防ぐために、国が指針を示しました。

現在、高齢者施設への入居や病院への入院、亡くなった後の手続きをお願いできる人がいないなどの問題が起きている中で、民間の事業者が身寄りのない高齢者を支援するサービスを提供しています。

しかし、後期高齢者など判断能力が衰えている可能性がある方に対して、財産や老後の生活に影響するような非常に重要な取り決めを曖昧な条件で進めている事業者が多いという問題があります。

これにより、介護事業者の負担が軽減されることが期待されています。

 

 

高齢者等終身サポート事業において提供されるサービスの例

 
  1. 身元保証サービス

    • 医療施設への入院の際の連帯保証
    • 介護施設への入所の際の連帯保証
    • 入院、入所などの手続きの代行
    • 死亡または退去時の身柄の引き取り
    • 医療にかかる意思決定の支援への関与
    • 緊急連絡先の指定、緊急時の対応
  2. 死後事務サービス

    • 死亡の確認、関係者へ連絡
    • 死亡診断書の受け取り
    • 火葬許可証の申請
    • 葬儀に関する事務、火葬手続き
    • 埋葬に関する手続き代行
    • 費用を精算する病院等の整理、遺品整理
    • 行政機関での手続き、ライフラインの停止
    • 携帯電話の解約、残置物等の処理に関する手続代行
    • 墓地の管理や墓地の撤去に関する手続代行
  3. 日常生活支援サービス

    • 入院の送迎付き添い、買い物への同行
    • 生活に必要な物品の購入、日用品や家具の処分
    • 病院への入院の際の移動
    • 介護保険等サービス受給手続きの代行

現在の問題点

現在、ケアマネージャーがやむを得ず行っているサービスがあります。例えば、緊急時の通院の付き添いなどは、本来は家族がサポートすべきですが、独り身であったり親族が遠方にいてすぐに対応できない場合、身近な介護者が無償で対応していることがあります。

高齢者等終身サポート事業が定義されたことで、介護事業との業務区分が明確に分けられました。これにより、介護事業者の負担が軽減されます。

契約締結にあたっての留意事項

ガイドライン案では、契約締結にあたって留意すべき事項として、以下の点が示されています。

  1. 契約者に対して提供するサービスの内容や費用
  2. 当該利用者の費用の支払い方法
  3. 契約者に対して提供するサービスの履行状況を確認する方法
  4. 入院入所等が必要となった場合における対応指針、医療にかかる意思決定の支援
  5. 利用者の判断能力が低下した場合の対応指針
  6. サービスの債務不履行や不法行為により利用者に損害が発生した場合の賠償に関するルール
  7. サービスの解除方法、解約自由や契約変更や解約時の返金に関する取扱い
  8. 預託金の管理方法
  9. 死後事務として提供されるサービスの内容
  10. 寄付・遺贈に関する取扱方針
  11. 個人情報の取り扱い方針と管理体制
  12. 相談窓口の連絡先

これらの要素を満たさない契約を締結している事業者が存在します。各事業者が指針を遵守し、健全な運営を行うことができれば、身寄りのない高齢者の方々は、より安心してサービスを利用できるようになるでしょう。

事業者へ寄付・遺贈契約について

事業者へ寄付や遺贈を契約条件に含めるのは不適切です。事業者が死因贈与契約や遺贈によって利用者の死後に財産を受け取る場合、サービス提供にかかる費用を抑えればその分だけ受け取れる財産の額が増大するという利益相反的な関係性となります。これにより、利用者に対する生前のサービスの質が低下し、利用者や相続人との間でトラブルになりかねません。

預託金の管理について

預託金は運営資金と明確に区分して管理することが求められます。身元保証事業を行う上で、例えば、死後に発生する葬儀の費用等サービス提供のための前払金預託金を受ける場合、利用者からの預託金等を事業者自身の運営資金との混在を防止し、事業者が万が一経営破綻に陥った場合でも、利用者の被害を極小化するために、信託口座で管理されるべきとの指針が示されました。

高齢者等終身サポート事業者が任意後見人になる場合の留意事項

高齢者等終身サポート事業者が経営する施設やサービスの入所契約や利用契約の締結や費用の支払等の代理権を設定しないこと。また、これらの事項については、任意後見監督人が代理する旨を契約書に明示しておくことが求められています。

これらのことから、事業所だけで身元保証事業を完結させることは困難であり、別法人や専門事業者として任意後見人を立てるべきです。

今回のガイドラインにより、すべての事業者の健全化に向けた機運が高まることは間違いありません。